旭川に来てちょうど1年

北星ファミリークリニックの八藤です。

20110327

今日は旭川に来て、ちょうど1年目の記念すべき日でした。
というわけで、夕食は”洋食屋“のヒレステーキを食べて、家に帰ってきてから、大好きなあまおうを1パック食べました。

 さて、思い起こせば、草場理事長から旭川行きの話があったのは一昨年の11月頃でした。
 室蘭で働き始めて5年目の秋だったので、『ようやく患者さんともいい関係ができ、地域のこともわかり、地域とのネットワークもできてきたのに・・・。』と最初は納得できませんでした。
 また、本輪西ファミリークリニックという北海道家庭医療学センターの直営サイトで働いていたこと、家庭医を目指したきっかけになった草場理事長と働いていたこともあり、離れたくない気持ちがありました。
 しかし、当時の看護師長とぶつかったこともあり、僕自身がよく思われていないのかなと思う部分もありました。
 そして、一昨年度は北海道家庭医療学センターのフェローシップの第2期の修了生が2名も卒業を迎える年であり、後輩達が活躍する場所を作るのも、先輩の仕事だと思っていました。
 「北海道家庭医療学センターで働き続けるには、旭川に行く以外に選択肢はない。」
 旭川に行かないのであれば辞めるしか選択肢がありませんでした。
 指導医になるためのフェローシップでお世話になったO先生にも泣き言のようなメールを送ったのを思い出します。お忙しいのに、丁寧なお返事を下さったO先生、ありがとうございました。
 異動の話が出た衝撃もある程度落ち着き、O先生から頂いたメールを読んで冷静になってきて、改めて、自分がどうしたいのかを考えました。

 (1)僕の夢は「日本全国で家庭医が働くこと」(自分のブログにも書いています)
 (2)自分の一番のロールモデルは草場理事長であること。
 (3)北海道家庭医療学センターにここまで育ててもらったこと。
 (4)北海道家庭医療学センターには同期の中川先生をはじめとして、大切な仲間がいること。
 (5)北海道家庭医療学センターには毎年家庭医を目指す後輩達が来てくれること。

 そんなことを考えたら、やはり、北海道家庭医療学センターで働かせてもらいたいという気持ちが一番強いことに気づきました。
 そして、室蘭のル・ミエーレで、草場理事長に、「旭川に行かせて下さい。」とお願いしたのです。
 それからは旭川のサイトの立ち上げ準備です。
 電子カルテの導入や北星ファミリークリニックの説明会の準備など、急ピッチで仕事を進めました。
 3月27日に引っ越しをしたのですが、引っ越しの日、北海道は季節外れの大雪。また、業者の手違いで、荷造りに時間がかかってしまい、室蘭を出発できたのは20時過ぎ。高速も雪で閉鎖になっていたので、旭川まで6時間もかかってしまい、着いたのは午前2時過ぎでした。
 4月1日に仕事を開始したのですが、まだまだ慣れていなかったなぁと今では思い出すと苦笑することばかりです。

 慣れないうちは、その場に合わせる対応がなかなか難しく、どうしても、自分たちのやり方で進めてしまっていました。それで苦情を頂いたことも何度かありました。
 また、旭川の方からしてみれば、医師が全員入れかわってしまっため、今までとやり方が違いますので、それだけで戸惑います。
 さらに、今まで1人しかいなかった医者が3人になったのですから、絶対によくなったと思ってらっしゃったはずです。
 それなのに、何だか期待と違う。
 そんな不満は、以前から長く働いている看護師長に苦情として届けられました。
 看護師長から「こんなに苦情が出る医師は私の看護師人生でも初めてです!」と怒られたこともありました。
 『どうしてわかってもらえないんだろう? なんで旭川なんかに来てしまったんだろう?』
 僕自身も辛い気持ちになることが上半期は多かったです。
 しかし、徐々に、僕たち家庭医の診療のことが理解されるようになり、何だか働きやすくなってきました。

 (1)病棟を閉鎖したら、訪問患者さんが減るのではないかと思ったのですが、減りませんでした。逆に増えています。
 (2)あれだけたくさんあった時間外の電話が今はほとんどありません。
 (3)ある患者さんの往診をきっかけに、地域の保健師さんにも家庭医の働きが認められ、地域包括支援センターとの連携が始まりました。
 (4)患者さんからもお褒めの言葉を頂くことが増えました。
 (5)一緒に働く医師からも、「働きやすくなった」と言って頂けてます。
 (6)結果的に全員入れかわってしまいましたが、一緒に働きたいと思う看護師さんが来てくれました。
 (7)何よりも、看護師長から、「先生が理想としていた状況になってきていますね。」と言って頂けました。

 自分自身も大きく変わったと思えますし、今は心底やりがいを感じて働けています。
 旭川では人生が変わるような大切な出会いもあり、今では来るべき運命の場所だったのだと思っています。
 このような機会を下さった草場理事長を始め、医療法人 恵心会の皆様、北海道家庭医療学センターの仲間達、ありがとうございます!

 来年度も旭川の、北海道の、そして、日本の家庭医療を盛り上げていくために、しっかり診療を行い、地道に地域に貢献していきたいと思います!

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