一部の抗精神病薬は施設入所高齢者の死亡リスクを高める可能性がある

【文献名】

著者名:Huybrechts K F, Gerhard T, et al.
文献タイトル: Differential risk of death in older residents in nursing homes prescribed specific antipsychoticdrugs: population based cohort study. 
雑誌名・書籍名:BMJ. 
発行年:2012 Feb 23;344.

【要約】

<OBJECTIVE>
To assess risks of mortality associated with use of individual antipsychotic drugs in elderly residents in nursing homes.

<DESIGN>
Population based cohort study with linked data from Medicaid, Medicare, the Minimum Data Set, the National Death Index, and a national assessment of nursing home quality.

<SETTING>
Nursing homes in the United States.

<PARTICIPANTS>
75 445 new users of antipsychotic drugs (haloperidol, aripiprazole, olanzapine, quetiapine, risperidone, ziprasidone). All participants were aged ≥65, were eligible for Medicaid, and lived in a nursing home in 2001-5.

<MAIN OUTCOME MEASURES>
Cox proportional hazards models were used to compare 180 day risks of all cause and cause specific mortality by individual drug, with propensity score adjustment to control for potential confounders.

<RESULTS>
Compared with risperidone, users of haloperidol had an increased risk of mortality (hazard ratio 2.07, 95% confidence interval 1.89 to 2.26) and users of quetiapine a decreased risk (0.81, 0.75 to 0.88). The effects were strongest shortly after the start of treatment, remained after adjustment for dose, and were seen for all causes of death examined. No clinically meaningful differences were observed for the other drugs. There was no evidence that the effect measure modification in those with dementia or behavioural disturbances. There was a dose-response relation for all drugs except quetiapine.

<CONCLUSIONS>
Though these findings cannot prove causality, and we cannot rule out the possibility of residual confounding, they provide more evidence of the risk of using these drugs in older patients, reinforcing the concept that they should not be used in the absence of clear need. The data suggest that the risk of mortality with these drugs is generally increased with higher doses and seems to be highest for haloperidol and least for quetiapine.

【開催日】
2012年3月28日

褥瘡を悪化させず介護負担軽減にも有用な「体位交換法」

【文献名】

大浦武彦,見て・考える褥瘡ケア 創面をみればすべてがわかる ここで差がつくテクニック,

中山書店:p106,2010年9月


【要約】
褥瘡の発生要因でもあり、治癒阻害要因であるものが「圧」と「ズレ」である。これらは治療で排除できる種類のものではなく、ケアこそがその役割を担うことになる。このために、褥瘡においてはケアが非常に重要で、ケアと治療が車の両輪のようにうまく機能してこそ、褥瘡は予防でき、また治癒させることができるのである。

 すなわち、褥瘡ケアの質は、いかに「圧」と「ズレ」を排除できるかにかかってくる。



○想像以上に大きい「圧」と「ズレ」

背上げや体位変換時に生じた「圧」と「ズレ」は、想像以上に大きい。背上げをしただけでも「圧」と「ズレ」は背中と殿部に滞留する。そこで、背上げや体位交換時には必ず「背抜き」を行わなければならない。



○背抜き

健常者が姿勢を変えた時、例えば椅子で座位姿勢を変える時、無意識ながら、最後に必ず少し腰を浮かして姿勢を整えるが、背抜きでは、その動作をケアで行うことをイメージすればよい。健常者が無意識に行うその動作が障害をもつと容易にできなくなるので、それを支援するということである。

 姿勢を変えた時、「圧」と「ズレ」が過剰にかかる部分を少し浮かせるようにして、そこに手のひらをさっと通す。この時’マルチグローブ’などを用いると、適切に確実に「圧」と「ズレ」を排除できる。



○褥瘡と患者に優しい体位交換

背抜きを行うことは前述の通りであるが、体位交換の方法そのものを工夫することも必要である。’マルチグローブ’をはめた両腕を、患者の身体の下(特に仙骨部の突出した部分)をくぐらせるようにして、そのまま患者の身体(特に褥瘡部位)を両上腕にのせたままスライドさせるように体位交換を行うと、「圧」と「ズレ」の発生を大幅に減らすことができる。
 この場合、両腕をスライドさせるのであって、患者をもち上げない。
 

参考動画:http://www.youtube.com/watch?v=yYAG4AE7ys8



【開催日】

2011年8月3日

高齢者の予後予測には歩行速度が有用かもしれない

【文献名】
 Gait Speed and Survival in Older Adults
Stephanie Studenski et al.  JAMA. 2011;305(1):50-58

【要約】
<目的>
①高齢者の歩行速度と予後の関係を評価すること
②年齢や性別を補正して歩行速度が予後の変動性を説明しうるのかを明らかにする
 
<研究デザイン、セッティング、対象者>
1986年から2000年の間に行われた9つのコホート研究を解析。
地域社会に暮らし、ベースラインの歩行速度が得られた65歳以上の高齢者34485人を6~21年(平均12.2年)フォローアップ下。対象者の平均年齢は73.5歳59.6%が女性、79.8%が白人(11.2%がアフリカ系アメリカ人、7.7%がヒスパニック)、平均の歩行速度が0.92m/sであった。
 
<主要アウトカム>
生存率と平均余命。
 
<結果>
17528名が研究期間中に亡くなった。全体の5年生存率は84.8%(CI 79.6%-88.8%)、10年生存率は59.7% (95% CI, 46.5%-70.6%)。すべての研究において歩行速度が生存率と関連性を示した(hazard ratio per 0.1m/s1は0.88。95%CI 0.87-0.90, p<0.001)。 歩行速度が0.1m/s増加するごとに生存率が上がる傾向がすべての歩行速度において見られた。75~84歳の男性では歩行速度が0.4m/s未満では10年生存率が15%、1.4m/s以上では50%。 女性においては35%~92%。 民族による層別化でも同様の傾向であったが、信頼区間は広くなる傾向にあった。 ベースラインの歩行速度ごとに余命を予測すると中央値は0.8m/sあたりであった。 年齢、性、歩行速度による予後予測は年齢、性別、移動補助具の使用、自己申告による機能評価を組み合わせたものや年齢、性別、慢性疾患、喫煙、血圧、BMI、入院歴を組み合わせた指標と同様に正確であった。   <限界> この観察研究では歩行速度と余命との因果関係はわからず、様々な形のHealthy volunteer biasの影響を受けている。9つのうち1つのみしか実際の臨床をベースにしておらず、研究への参加に同意できる進行した認知症患者はほとんどいない。身体の活動性と生命予後の関連は活動性の足底の仕方にばらつきが大きいため評価することはできない。今後はより臨床を基礎にした対象者において他の重要なアウトカム(障害など)について検討する必要が賀あるだろう。   <臨床への適用> 介護予防的介入に用いるのが適当であろう。ベースラインの歩行スピードを測定することにより高齢者の全体的な健康状態の特徴をつかめる。歩行速度を経時的にモニターしていくと、低下は評価を要する新しい問題の発生を示唆することになるだろう。歩行速度は手術や化学療法のリスク評価に用いることができるかもしれない。 【開催日】 2011年3月2日

~重症認知症患者の肺炎治療の意義~

【文献名】

Givens JL, Jones RN, et al. Survival and Comfort After Treatment of Pneumonia in Advanced Dementia. Arch Intern Med 170 (13), 1107-9.





【要約】

[目的]
重度認知症や老年期の患者において、肺炎の抗菌薬治療が「生命予後」や「生活の快適さ・安楽さ」を改善しうるかどうか明らかにする。



[研究デザイン]

前向きコホート研究(CASCADE)
(最大で18か月又は亡くなるまで追った。)



[セッティング]

2003~2009年のボストン、マサチューセッツの22ナーシングホーム入居者323人



[対象集団]

重度認知症の入居者で肺炎と確定診断された患者 Table1参照。

※これはCASCADEのベースラインと似通っている★代表的な集団が選ばれているか?

・60歳以上

・いずれのtypeの認知症と診断された

・Cognitive Performance Score 5^6点(重度の認知能低下)

・Global Deterioration Scale 7点(家族がわからない、最低限の会話、ADL全介助、便尿失禁)



[介入/要因]

抗菌薬治療を、しない群・経口治療のみ・筋注治療のみ・点滴治療(入院も含む)で分類。



[主要アウトカム]

生命予後:肺炎発症後~亡くなるまでの日数

快適さ(scored according to the Symptom Management at End-of-Life in Dementia scale:SM-EOLD)

測定前90日間の痛み・呼吸苦・抑うつ・恐れ・心配・いらいら・落ち着き・皮膚の損傷・介護への抵抗の項目に対して頻度(なし、月1回、月数回、週1回、週数回、毎日)を介護士?nursing caringが記載。点数が高いほど、快適度が高いスコア。

※90以内に亡くなった方は除外されるが、Comfort Assessment in Dying with Dementia scaleが死亡後2週間以内に測定された。



[統計手法]

生命予後:コックス比例ハザードモデル

快適さ:線形回帰モデル

多変数モデルを各治療群の差を調整するのに使用



[結果]

225の肺炎のエピソード(133人41%)があり、治療なし8.9%、経口治療のみ55.1%、筋注治療のみ15.6%、点滴・入院治療20.4%であった。

生命予後Table3/Figureは、治療しない人と比べて、すべての治療あり群は改善(経口群リスク比0.2 95%CI 0.10‐0.37)(筋注群リスク比0.26 95%CI 0.12‐0.57)(点滴・入院群リスク比0.2 95%CI 0.09‐0.42)であった。

快適さはTable4、治療前のSM-EOLDと比べ、いずれの抗菌薬治療をえた群でもscored according to the Symptom Management at End-of-Life in Dementia scaleは低かった。



[結論]

ナーシングホーム入居中の重度認知症の方において、肺炎の抗菌薬治療は、生命予後は改善するが、快適さは改善しない。





【開催日】

2011年1月12日(水)

~意欲の低下した認知症患者にどう関わるか~

【文献名】
折茂賢一郎、安藤繁、新井健五 共著 廃用症候群とコミュニティケア  医歯薬出版株式会社 p187-195, 

【要約】
Tさん 82歳女性 認知症
・ADLは誘導と指示などの軽介助があればほぼ自立。
・意欲・活動性が低く放っておくとすぐに横になって居眠りする。→自宅で転倒し大腿骨頚部骨折で入院加療
・家族が話しかけても開眼すらしない。
・体を他動的に起こそうとしても、全身に全く力が入らない。

このように、認知症高齢者は「どうせ、何もできないから・・・」、「また、失敗するから・・・」、「何を言ってもわからないから・・・」、「聞こえないから・・・」と放置されやすい。また、問題点(できないこと)を探すとできないことだらけになってしまい、「これはよくなる見込みはない」と判断して放置してしまう。

そこで、「残存能力(できること)」を発見しようとする視点をもち、評価することが大切。
・過去の生活史や仕事、趣味などの「個人」の情報から残存能力を見つけ出す、「昔とった杵柄によるアプローチ」。
・Tさんは東京の女学校を優秀な成績で卒業、読書が趣味だったという話から「昔取った杵柄」は「読書」「活字」「文字」に関連する能力ではないかとアプローチして、「声を出して文章(活字)を読むことができる」という能力が残っていたことがわかった。
・Mさんは和裁の先生をしていたという生活史から、周囲の「危ない!」という反対の声もあったが、「針と糸とタオル」を渡したところ、みごとに雑巾を縫い上げた。

いずれのケースも、発見したアプローチを継続的に実施し、発展させていくことで着実に認知症状は改善をみせた。このように、認知症の高齢者に対するアプローチは、個別に行っていくことが大切である。

【開催日】
2010年12月29日(水)

~認知症高齢者の困った行動(BPSD)とどう接するべきか?「パーソンセンタードケア」②~

【文献名】
認知症の介護のために知っておきたい大切なこと パーソンセンタードケア入門 トム・キットウッド,キャスリーン・プレディン著 高橋誠一監訳 寺田真理子訳 筒井書房 より p69-90

【要約】
(おさらい)パーソンセンタードケアとは?
おおもとは、イギリスの心理学者のT. キットウッドが提唱。
●パーソンセンタードケアのコンポーネント
•人間性が失われたのではなくて、見えなくなっているだけとみなす。
•全てのケアの場面で、その人の人間らしい側面を重視する。
•環境やケアを個別化したものとする
•意志決定の共有(Shared-decision making)を提案する
•認知症の方の行動を、その方の視点にたって解釈する
•ケアのルーチンタスク(清拭など)と同等に、認知症の方との関係性に重きを置く。

(この書籍について)
T.キットウッドが自らが介護者・家族向けに書いた、認知症患者との接し方の訳本。
上記の原則から始まって、日常の接し方、サポート、生きがい、薬との付き合い方、人権やグリーフまで網羅して接し方について具体的なことから心構えのようなところまで記してある。
その中から、今回は第7章『徘徊やおもらし、攻撃…認知症の「困った!」にどう対応すればいいの?』を紹介します。この章は、いわゆる認知症の問題行動(BPSD;Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」について総論と、よくあるもの7つ(徘徊、失禁、攻撃、物を隠す、同じことを繰り返す・叫ぶ、性的行動、妄想・幻覚)について個別に取り上げています。

(基本的な考え方)
●認知機能が衰えてくると、周りの世界は以前よりもおそろしい場所のように思える。周りの人がだれなのかわからなくなっていく。混乱は不安を生み、さらにこの年齢層に特有の病気や障害の多さが加わって、生活の中でのあらゆる問題によって、うちのめされてしまう。喪失や障害を抱えている彼らがうまくいかないということに共感することが重要である。
●問題行動を起こしているのは「彼ら」であるが、実際には私たちの思いやりや優しさ、注意が足りないために、「わたしたち」も問題の一部であることが往々にしてある。
●手っ取り早い解決策を取ろうとする代わりに、以下の5つを考えることが有用である。
①それは本当に問題なのか?どれくらいの頻度で起きているか?
②どうしてそれが問題なのか?
③だれにとって問題なのか?私たち介護者が変化や適応、受け入れを拒むことで問題にしたのではないか?
④「問題行動を」する人は、わたしたちに何かを伝えようとしているのではないか?
⑤どうすれば、その人の生活の質を高めるような方法でこの問題を解決できるでしょうか?

(各論)
全般的に、問題行動の裏にあるその人の不安が何かをくみ取り、その人が本当は必要としているもの、を考えるように促す内容が記されています。(「徘徊」の部分の内容を例に挙げてみます。)
●徘徊は、不安を感じた人が、なじみの場所や愛する人を探したり、仲間や安心を求めているため起こす行動かもしれない
●活気や十分な刺激がなくて、単に生きていることを実感したいだけかもしれない。
●夜に増えるのは、光や音がなくなり、人もいなくなり、感覚に訴えるものが少ないからで、仲間と一緒にいて安心する人は夜になると不安になってくるかもしれない。
●混乱が原因ではないこともある。トイレに行きたいかもしれない。痛む所があるのかもしれない。服が汚れて気持ちが悪いのかもしれない。退屈なだけかもしれない。運動不足が原因のこともある。

●徘徊をやめさせるための鎮静薬は、徘徊する人より混乱させてしまう可能性が高い。安全に徘徊できるようにする方がいい。もっと徘徊者を安心させる方法は、一緒に歩いてみること。腕や手をとったり、近くに一緒に居るというメッセージを送り、安心させる。
●急に家具の場所を変えたり、夜に物の位置を変えることは避ける。寝室の明かりをつける
●一人で外へ出る人なら、状況に応じて鍵をかける必要がある。馴染みのないドアの下の部分につける必要がある。身分証明書は持たせるようにする。

●万が一徘徊しても、パニックを起こさず、警察の力を借りて探すのを手伝ってもらう。
●再発をどうやれば防げるか考える。刑務所のように閉じ込めるよりは、少しのリスクを引き受ける方がよいでしょう。

【開催日】
2010年12月15日(水)

~認知症患者の自動車運転の可否をどう評価するか?~

【文献】
D.J. Iverson, D.J. Gronseth: Practice Parameter update: Evaluation and management of driving risk in dementia. Report of the Quality Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology. Neurology: 2010; 74: 1316-1324.

【要約】
《背景》
軽度の認知症患者は集団としては自動車運転のリスクが高いが、最近の研究では76%もの患者が路上運転試験をパスし、安全に運転が可能であることが示されている。臨床医は安全に運転できる患者を不必要に制限することなく、リスクの高い患者を見つける方法を求めている。
《目的》
認知症患者の自動車運転の能力を予測できる患者特性や病歴、認知機能テストの有用性に関するエビデンスをレビューすることと運転のリスクを回避する方法の有効性を測定すること。
《方法》
American Academy of Neurology’s evidence-based methodsを用いた文献のシステマティックレビュー。
5つの問いをたて、文献をレビューした。
《結果》
(1)認知症の重症度の包括的な測定法はどの程度運転能力と強く相関するか?
Clinical Dementia Rating(CDR; 参考文献参照)は危険な運転のリスクの高い患者の発見に有用。(Level A)
MMSE24点以下は有用とするエビデンスはある(Level C)一方で、相反するエビデンスもある。
(2)患者自身や介護者は運転能力や危険をどの程度評価することができるか?
介護者による評価は危険な運転者のリスクの高い患者の発見に有用。(Level B)
患者自身による評価は患者が安全に運転できることを保証するには有用ではない。(Level A)
(3)どのような病歴が運転能力の低下と関連するか?
・ 過去1~5年の間に事故を起こしたという病歴、過去2~3年の間に交通違反のきっぷをきられたという病歴は有用。(Level C)
・運転する距離が短くなった、運転の機会をなるべく避けるようになったという病歴は有用。(Level C)
・運転の機会をへらしているという病歴がないことは安全に運転できる能力があることを保証するものではない。(Level C)
・攻撃的、直情的な性格傾向は運転のリスクが高い患者の発見に有用。(Level C)
(4)神経心理学的検査は役に立つか?
神経心理学的検査が運転のリスクの評価に有用であるという十分なエビデンスはない。(Level U)
(5)運転のリスクを軽減する介入法は存在するのか?
認知症を有する運転者に対する介入法の効果を支持するまたは否定する十分なエビデンスはない。(Level U)
《考察》
CDR1.0の比較的軽度の認知症の患者では路上運転試験をパスするケースも多いため、運転を制限する必要のない患者に介入を行わないように、その他のリスクファクターを考慮して対応を決めるような下記アルゴリズムを提唱している。

101124

DMV: department of motor vehicles
※ 参考文献: Morris JC. The Clinical Dementia Rating (CDR): current version and scoring rules. Neurology 1993;43:2412-2414.

【開催日】
2010年11月24日(水)

~「斜め」サイン(認知障害の徴候)~

【文献】
Perter Kraft, Ottar Gadeholt, et al. : Lying obliquely–a clinical sign of cognitive impairment: cross sectional observational study.BMJ 2009; 339:b5273 doi: 10.1136/bmj.b5273 (Published 16 December 2009)

【要約】
《目的》
病院のベッドへ寝るよう言われた際、ベッドの縦軸に体の軸を合わせられないことが認知障害と関連するか検討した
《デザイン》
観察横断研究
《セッティング》
ドイツの大学病院の神経科病棟
《参加者》
110人の60歳以上の神経疾患を有する入院患者, 23人の神経科スタッフ医師
《主要アウトカム》
体の軸の角度と3つの認知能検査(MMSE, DemTect, 時計描出テスト)との関連
《結果》
110人のエントリー
・平均年齢 70.9歳 (SD 6.8)
・34人が認知障害…8人がMMSEで, 11人がDemTectで認知症
・体とベッドの軸の角度は0-23度であり、これはMMSE, DemTect, 時計描画テストのスコア全てと有意な関連(角度↑につれて、スコア↓, つまり認知障害↑)
・スタッフ医師の90%が「斜め」と考えた最小の角度は7度
・7度以上の角度がMMSE, DemTect, 時計描出テストによる認知障害を予測する…特異度 89-96%, 感度27-50%
《結論》
体動可能な神経疾患の高齢者において、ベッドに寝る際、斜めになった場合は認知障害を疑うことができる

【開催日】
2010年11月17日(水)

~プライマリ・ケアの場で認知症と診断された患者さんの予後~

【文献】
Rait G et al. Survival of people with clinical diagnosis of dementia in primary care: Cohort study. BMJ 2010 Aug 5; 341:c3584.

【要約】
《目的》
プライマリ・ケアの場で、認知症と診断された後の生存期間を概算する。また、認知症の発症数を確定する。
《デザイン》
プライマリ・ケアのデータベースからの情報を用いたコホート研究
《セッティング》
353のGP施設
《対象者》
患者は1990-2007に認知症と新たに診断された60歳以上の成人22529人。対照はランダムに選ばれた認知症のない112645人(患者群の5倍)。
《主要アウトカム》
生存期間の中央値, 認知症の発症数
《結果》
認 知症と診断された患者さんの生存期間の中央値は60-69歳で6.7(3.1-10.8)だが90歳以上で1.9(0.7-3.6)と低下。調整死亡率は 診断後1年目でもっとも高かった(relative risk 3.68)。これは2年目に2.49まで低下した。認知症の発生数は、3-4/1000人年と安定していた。発生率は女性や若年(60-79歳)群でより 高かった。
《結論》
生存期間の中央値は、スクリーニングされた場合より短い(構造化された認知症スクリーニングツールを使って行った地域 住民に基づいた研究では、認知症発症後の生存期間の中央値は、65~69歳の対象者で10.7年、90歳以上の対象者で3.8年であった。)。この臨床的 に有用な結果は、患者・介護者・医療者・政策者を助けとなりうる。診断後1年目がもっとも死亡リスクが高いことは、診断が危機の時期や疾患経過の遅い時期 になされることを反映しているかもしれない。プライマリ・ケアにおいて認知症の診断が遅れることは、早期介入の機会を逸することになるかもしれない。

【開催日】
2010年9月29日

~認知症患者の介護に有用な「パーソンセンタードケア」①~

【文献】
Philip D Sloane, et al. Effect of Person-Centered Showering and the Towel Bath on Bathing-Associated Aggression, Agitation, and Discomfort in Nursing Home Residents with Dementia: A Randomized, Controlled Trial. J Am Geriatr Soc;52:1795-1804. 2004.

【要約】
《導入》
(認知症の)パーソンセンタードケアとは?
おおもとは、イギリスの心理学者のJ. キットウッドが提唱。
● パーソンセンタードケアのコンポーネント (参考文献より)
•人間性が失われたのではなくて、見えなくなっているだけとみなす。
•全てのケアの場面で、その人の人間らしい側面を重視する。
•環境やケアを個別化したものとする
•意志決定の共有(Shared-decision making)を提案する
•認知症の方の行動を、その方の視点にたって解釈する
•ケアのルーチンタスク(清拭など)と同等に、認知症の方との関係性に重きを置く。
● 今回の文献の中では以下の一連のアプローチを指している。
 ・居住者の快適さと好みを尊重する
 ・行動的症状は、ニーズが満たされていないため起こるとみなす
 ・居住者の認知機能に合わせたレベルのコミュニケーションを行う
 ・問題解決的アプローチを用いる
 ・居住者の快適さのために、環境の調節を図る
《目的》
●介護施設入所中の認知症患者の興奮状態や攻撃的行動を減らすための非薬物的介入(Person-centered showingまたは、Towel-bath)の効果を評価する。
【研究デザイン】
ランダム化比較試験 
【セッティング】
15の高齢者福祉施設(Nursing home)
【論文のPECO】
P;入浴介助時に興奮したり、攻撃的行動がみられた認知症利用者69人と介助する介護者37人
E;①person-centered showering
  ②the towel bath (a person-centered, in-bed bag-bath with no-rinse soap)  ①と②はクロスオーバー
C;通常通りのケア
O;AgitationとAggression、入浴時間・入浴が終えられるか、皮膚の状態、皮膚常在菌叢
 AgitationとAggressionは Care Recipient Behavior Assessment(CAREBA)というスコアで測定された。
 利用者の不快感についても、Discomfort Scale for Dementia of the Alzheimer Typeというスコアで測定された。

《結果》
Primary endopoint
興奮や攻撃的行動
Person centered showering: 53%減少(P<0.001) Towel bath:  60%減少 (P<0.001) Control:  減少なし 不快感スコア Person centered showering:  (P<0.001) Towel bath:  (P<0.001) Control:  減少なし Secondary endpoint 平均入浴時間は、Person-centered showeringのグループの方が、Towel bathのグループより有意に長かった。(3.3分) 体を洗った部分の多さや皮膚状態、皮膚細菌叢については差は見られなかった。 参 考;David Edvardsson, Bengt Winblad, PO Sandman. Person-centred care of people with severe Alzheimer’s disease: current status and ways forward: Lancet Neurol 2008; 7: 362-67 【開催日】 2010年9月15日(水)

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