アルブミンとCRPはPEG増設後の短期予後の予後予測に役立つ。(欧州の前向きコホート)

【文献名】
John Blomberg,et al.Albumin and C-reactive protein levels predict short-term mortality after percutaneous endoscopic gastrostomy in a prospective cohort study. Gastrointest Endosc. 2011 Jan;73(1):29-36. 

【要約】
<背景>
PEG増設は多くの合併症を伴う可能性がある手技である。合併症のリスクに関して患者に説明をするために、重要なリスクファクターは理解しておく必要がある。

<目的>
年齢、BMI、アルブミン、CRP、PEG造設の適応となった病態、併存症がPEG増設後の死亡率、もしくは胃瘻周囲の感染に与える影響を評価すること。

<デザイン>
2005年から2009年までの前向きコホート研究。PEG増設後の感染症に関しては14日間追跡死亡率は30日間

<セッティング>
大学病院
【対象】PEG造設に至った484人の患者(参照:characteristicsはTable.1)
【介入】PEG 
【主要アウトカム】①30日間の死亡率と②PEG挿入後14日間の胃瘻周囲の感染率。
【結果】
①30日間の死亡率
484人の患者のうち、58人(12%)が30日以内に死亡した。
以下の項目が死亡率増加と関連した。
アルブミン<30g/L(日本では3.0g/dlの表記が一般的、基準値>36g/L)(HR, 3.46; 95% CI, 1.75-6.88)
CRP≧10mg/L(日本では1.0mg/dlの表記が一般的、基準値<3mg/L)(HR, 3.47; 95% CI, 1.68-7.18) 年齢≧65歳(HR, 2.26; 95% CI, 1.20-4.25) BMI<18.5(HR, 2.04; 95% CI, 0.97-4.31) 低アルブミンとCRP高値の両方を認める患者は死亡率は20.5%、それらを認めない患者は2.6%で 7倍の調整死亡率の増加があった(HR, 7.45; 95% CI, 2.62-21.19) ②PEG挿入後14日間の胃瘻周囲の感染率 453人の患者を評価した。 年齢、BMI、アルブミン、CRPでは差がなかった。 適応疾患で、脳梗塞の患者で他の疾患患者より感染リスクが低かった。 併存疾患では差がなかった。 <Limitations> 若干のデータを採取ができていない。 胃瘻周囲の感染に関して、フォローアップできなかった患者の内訳は20人が死亡、 9人はフォローできず、2人はカテーテルを抜去してしまったためであるが、 それらの患者がよりCRPが高かったり、アルブミンが低いなどの問題を抱えていた可能性 もあるため、関連が薄い方向へ結果が導かれた可能性がある。 サンプルサイズが大きいにもかかわらず、弱い関連も見出すことができなかった。 <まとめ> 低アルブミンとCRP高値の両方を認める場合(ここが新奇性があるとのこと)には、PEG増設後の短期間での死亡率増加につながり、適応を決める際には考慮すべきである。 【考察とディスカッション】 患者やその家族にとって胃瘻を増設するということは、生物医学的にも、心理社会的にも大きな問題である。その際に、当然のことながら予後を念頭に入れてディスカッションする必要がある。このような予後予測因子についての具体的な研究を原著で確認できたことは有意義であった。しかし、本研究では追跡期間が30日間と短期である。調整すべき要因が多くはなるが、家庭医としては中長期予後の予測因子の研究も望まれるところである。 以下、全体でのディスカッション 低アルブミンとCRPの高値であった場合、PEGを造設するのかしないのか? 造設せずに他の栄養法を選択した場合、または栄養を取りやめた場合、PEGを造設した場合と比較してどうなるのか? 造設した場合このアウトカムを避けるために何かすべきなのか? など、実際の臨床の現場に適用するには難しい部分が多い研究である。 110518

【開催日】
2011年4月20日

外来血圧は手動より自動が正確

【文献名】
Myers MG et al.: Conventional versus automated measurement of blood pressure in primary care patients with systolic hypertension: randomized parallel design controlled trial.BMJ 2011; 342:d286.

【要約】

【Objective】
To compare the quality and accuracy of manual office blood pressure and automated office blood pressure using the awake ambulatory blood pressure as a gold standard.

【Design】
 Multi-site cluster randomized controlled trial.

【Setting】
 Primary care practices in five cities in eastern Canada.

【Participants】
 555 patients with systolic hypertension and no serious comorbidities under the care of 88 primary care physicians in 67 practices in the community.

【Interventions】
 Practices were randomly allocated to either ongoing use of manual office blood pressure (control group) or automated office blood pressure (intervention group) using the BpTRU device. The last routine manual office blood pressure (mm Hg) was obtained from each patient’s medical record before enrolment. Office blood pressure readings were compared before and after enrolment in the intervention and control groups; all readings were also compared with the awake ambulatory blood pressure.

【Main outcome measure】
 Difference in systolic blood pressure between awake ambulatory blood pressure minus automated office blood pressure and awake ambulatory blood pressure minus manual office blood pressure.

【Results】
 Cluster randomization allocated 31 practices (252 patients) to manual office blood pressure and 36 practices (303 patients) to automated office blood pressure measurement. The most recent routine manual office blood pressure (149.5 (SD 10.8)/81.4 (8.3)) was higher than automated office blood pressure (135.6 (17.3)/77.7 (10.9)) (P<0.001). In the control group, routine manual office blood pressure before enrolment (149.9 (10.7)/81.8 (8.5)) was reduced to 141.4 (14.6)/80.2 (9.5) after enrolment (P<0.001/P=0.01), but the reduction in the intervention group from manual office to automated office blood pressure was significantly greater (P<0.001/P=0.02). On the first study visit after enrolment, the estimated mean difference for the intervention group between the awake ambulatory systolic/diastolic blood pressure and automated office blood pressure (−2.3 (95% confidence interval −0.31 to −4.3)/−3.3 (−2.7 to −4.4)) was less (P=0.006/P=0.26) than the difference in the control group between the awake ambulatory blood pressure and the manual office blood pressure (−6.5 (−4.3 to −8.6)/−4.3 (−2.9 to −5.8)). Systolic/diastolic automated office blood pressure showed a stronger (P<0.001) within group correlation (r=0.34/r=0.56) with awake ambulatory blood pressure after enrolment compared with manual office blood pressure versus awake ambulatory blood pressure before enrolment (r=0.10/r= 0.40); the mean difference in r was 0.24 (0.12 to 0.36)/0.16 (0.07 to 0.25)). The between group correlation comparing diastolic automated office blood pressure and awake ambulatory blood pressure (r=0.56) was stronger (P<0.001) than that for manual office blood pressure versus awake ambulatory blood pressure (r=0.30); the mean difference in r was 0.26 (0.09 to 0.41). Digit preference with readings ending in zero was substantially reduced by use of automated office blood pressure. 【Conclusion】  In compliant, otherwise healthy, primary care patients with systolic hypertension, introduction of automated office blood pressure into routine primary care significantly reduced the white coat response compared with the ongoing use of manual office blood pressure measurement. The quality and accuracy of automated office blood pressure in relation to the awake ambulatory blood pressure was also significantly better when compared with manual office blood pressure. 【考察とディスカッション】 起床時の自由行動下血圧測定(ABPM; Ambulatory blood pressure monitor)をgold standard にした場合、外来診療において血圧は手動で測るよりも自動血圧計で測定する方が正確である、という結果であった。HCFMでは外来の血圧測定は看護師が自動血圧計で測定していることが多く、この研究結果が医師の行動の変化には結びつかないが、診察室で手動で血圧を測定する医師も多いため、参考になるのではないだろうか? 【開催日】 2011年2月23日(水)

アスピリンとワーファリンを併用している安定した心房細動患者ではアスピリンの中止を

【文献名】
1.    Gregory Y H Lip: Change Page: Don’t add aspirin for associated stable vascular disease in a patient with atrial fibrillation receiving anticoagulation. BMJ: 2008; 336: 614.

【要約】

【キーポイント】
• 安定している慢性心房細動、安定している心血管疾患患者においてはワーファリンにアスピリンを追加しても脳梗塞や心血管イベントの予防には有効ではない。ワーファリンとアスピリンの併用は、出血のリスクを高くする。
•  安定している心房細動患者では、アスピリンとワーファリンを併用している場合、中止するべきである。

【臨床的課題】
慢性心房細動患者においては、ワーファリンのような抗凝固薬は、脳梗塞の予防に有効である。しかし、陳旧性の心血管疾患や陳旧性脳梗塞をもつ慢性心房細動の患者において、抗凝固薬にアスピリンのような抗血小板薬が加えられていることも多い。

【変化のためのエビデンス】
抗凝固薬とアスピリンを用いている心房細動患者において、ワーファリンのみで治療している患者とアスピリンにPT-INR<1.5の抗凝固療法を行っている患者、ワーファリンのみで治療している患者とアスピリンにPT-INR2.0-3.0の抗凝固療法を行っている患者で比較し、ランダム化試験を行った。 アスピリンにPT-INR<1.5の抗凝固療法を行っている患者においては、ワーファリン単独患者と比較し違いはなかった。アスピリンにPT-INR2.0-3.0の抗凝固療法を行っている患者においては、一つの研究では、アスピリンに抗凝固療法を行っている群においてワーファリン単独患者と比較し出血が有意にみられたため中止となった。ワーファリンを用いた中等度からハイリスクの心房細動患者、経口トロンビンインヒビターを用いた中等度からハイリスクの心房細動患者に対して、それぞれアスピリンを加えた群と加えなかった群を比較した2つの大規模RCTを後ろ向きに分析したところ、アスピリンを加えた群と加えなかった群で、脳梗塞や心血管イベント(死亡もしくは心筋梗塞)において効果に差がなかった。特に、アスピリンとワーファリンを用いている心筋梗塞患者の割合はワーファリン単独患者とほぼ変わりがなかった(0.6% and 1.0% a year respectively)。しかし、アスピリン追加使用患者は、ワーファリン単独患者に比較し、出血のリスクが高まっていた(major bleeding 3.9% and 2.3% a year respectively; P<0.01) いくつかのコホート研究においても、PCIを受けている抗凝固薬を使用中の患者(only a proportion of patients had atrial fibrillation)において抗血小板薬を追加することにより、出血のリスクが上昇することが指摘されている。心房細動をもつ患者10093名を対象にしたあるコホート研究においては、抗血小板薬治療が出血のリスクを上昇させることが指摘された(relative risk 3.0)。 【変化への障壁】 心房細動患者や冠血管疾患患者にアスピリン+ワーファリンを用いることについては、アスピリンは冠血管疾患のような血小板の多い血栓をきたす疾患に用いる、ワーファリンは心房細動のようなフィブリンが多い血栓をきたす疾患に用いる、という事実がベースとなっていることから認識されている。 この原則は特に、アスピリンにクロピドグレルを12カ月投与することが推奨されている急性冠疾患やPCIを受けた心房細動患者 で認識されている。予防効果に対するエビデンスはまだ不足しており、3剤併用療法の出血リスクについても重要視されていないが、脳梗塞のリスクが高い心房細動患者の場合にはワーファリンは処方される。また、人工弁をもつ心房細動患者においては、ワーファリン+アスピリン療法が推奨されている。’不安定’な冠血管疾患や弁疾患をもつ心房細動患者においては、併用療法のリスクに対する長期的利益はまだ知られていない。 しかし安定した冠血管疾患においてワーファリンは有用な抗凝固薬となりうるが、アスピリンの追加は時にリスクに比較し出血のリスクが高くなる。しかしアスピリン追加療法の利点は少ないが、これはすべての抗血小板薬にも適応される訳ではない。例えば、中等度からハイリスク患者に対して、抗血小板薬であるCOX阻害薬と、アセノクマロール(クマリン系抗凝固薬:本邦未承認)やこれらの併用療法を行った群を比較したある無作為試験では、抗凝固薬単独療法に比べCOX阻害薬とアセノクマロールを併用した群に比較し、一次アウトカムは低い結果となり、出血の副作用は抗凝固薬と併用療法に有意な差はなかった。 【どのように私たちの診療を変えるべきか?】 臨床家は、心房細動患者や安定した心血管疾患患者においてのアスピリンとワーファリンの併用療法が、脳卒中や心血管イベントの予防につながっておらず出血のリスクを増大させていることに気づくべきである。もしアスピリンを使用している心房細動患者が弁膜症の診断を受けワーファリンによる治療が必要となった場合には、アスピリンは中止されるべきであり、ワーファリンをINR2.0-3.0の範囲で使用するべきである。一方、アスピリンとクロピドグレル(ワーファリン以外の薬剤)の併用療法は、心房細動の脳卒中のハイリスク患者において、アスピリンとワーファリンの併用療法と同じではない。そのため、ガイドラインでは特にアスピリンとワーファリンの併用療法について中止することを強調するべきである。 【考察とディスカッション】 ワーファリンとアスピリンの併用を行っている患者がみられたため、今回この文献を読んでリスクを考慮しながらアスピリンの中止ができることを理解できた。 安定した心房細動患者に対してワーファリン単独療法とアスピリン+クロピドグレルの併用療法についても同時に調べたところ、以下のような文献を見つけた。 the ACTIVE Writing Group on behalf of the ACTIVE Investigators: Clopidogrel plus aspirin versus oral anticoagulation for atrial fibrillation in the Atrial fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for prevention of Vascular Events (ACTIVE W): a randomized controlled trial. The Lancet, Volume 367, Issue 9526, Pages 1903 – 1912, 10 June 2006. Primary endpoint を脳塞栓とした研究で、心房細動の患者に対してワーファリン単独の方がアスピリン+クロピドグレルのよりも優れているという結果であった。 【開催日】 2011年2月16日(水)

プライマリ・ケアセッティングにおける2つのDVT診断ルールの比較 ~精度とコスト~

【文献名】

Comparing the Diagnostic Performance of 2 Clinical Decision Rules to Rule Out Deep Vein Thrombosis in Primary Care Patients. Eit Frits van der Velde, Diane B. Toll, Arina J. ten Cate-Hoek, et al.  Ann Fam Med 2011;9:31-36





【要約】
【Background knowledge】

1.The Wells rule has 10 items including one ‘subjective’ item: Alternative diagnosis at least as likely as DVT(or, Wells rule is influenced by pretest estimate of the clinician) 
If score is more than 1, ultrasound is indicated regardless of the result of D-dimer testing. 
If score is 0 or 1, ultrasound is indicated if D-dimer test is positive.
2.The primary care rule has 7 items(with no ‘subjective’ items) and D-dimer testing. 
If the score is more than 3, ultrasound is indicated. 
If the score is 3 or less, ultrasound is indicated if D-dimer test is positive.

【Purpose】

The objective was to compare the Well’ rule (Table1) and the primary care rule (Table2).
1.The ability of both rules to safely rule out DVT
2.The ability of both rules to efficiently reduce the number of referrals for leg ultrasound investigation that would result in a negative finding.

【Methods】

A.Study design; Prospective cohort study without control group.

B.Procedures

1. Family physicians collected data on 1,086 patients to calculate the scores for both decision rules before leg ultrasonography was performed. Patients with 1 or more of the following symptoms were enrolled: swelling, redness, or pain of the lower extremity.

2. In all patients D-dimer (dimerized plasmin fragment D) testing was performed using a rapid point-of-care assay. URL;http://www.clearview.com/d-dimer.aspx

3. Patients were stratified into risk categories defined by each rule and the D-dimer result. The actual management was based on the primary care rule as calculated by the attending physician.(Thus, the Wells rule score was only calculated in each patient and not considered in the management.)

4. Outcomes were DVT (diagnosed by ultrasonography) and venous thromboembolic complications or death caused by a possible thromboembolic event during a 90-day follow-up period. We calculated the differences
between the 2 rules in the number of missed diagnoses and the proportions of patients that needed ultrasound testing.

【Results】

A.Overall prevalence;

Data from 1,002 eligible patients were used for this analysis. Of 1,002 patients, 136 (14%) had DVT confirmed by objective testing. Three patients were lost to follow-up.

B.Outcome; Missed diagnosis;

A venous thromboembolic event occurred during follow-up in 7 patients with a low score and negative D-dimer finding, both with the Wells rule (7 of 447; 1.6%; 95% confidence interval [CI], 0.7%-3.3% ) and the primary care rule (7 of 495; 1.4%;95% CI, 0.6%-3.0%).

C.Outcome; The effectiveness of the rules(=The number of D-dimer testing and ultrasound);
Using the Wells rule, 447 patients (45%) would not need referral for further testing compared with 495 patients (49%) when using the primary care rule (McNemar P <.001). (Fig.1 in detail.)
 Fewer patients (22%) need D-dimer testing when using the Wells rule, but 4% more will have to be referred for compression ultrasonography.
Expressed differently, to save 1 referral for compression ultrasonography, an additional 5 or 6 D-dimer tests have to be performed when using the primary care rule.



 【考察とディスカッション】 著者がそれぞれのルールについてコストを計算している。
プライマリ・ケア医がDVTを疑う患者を100人診療したとき
 (1)    プライマリ・ケアルールを適用した場合、Dダイマーのオーダーが22件増え、$220のコストがかかる(1回あたり$10。)
 (2)    Wellsルールを適用した場合、超音波エコーへの患者紹介が4件増え、$240のコストがかかる(1回あたり$60。)
DVTに対するプライマリ・ケアルールが存在することとその有用性を知った。
Wellsルールもプライマリ・ケアルールと同様に有用であるが、超音波エコーへの紹介件数が増える(郡部ではこのことが障壁となりうる)。
 英国ではDダイマーの迅速検査が普及していることに驚いた。 110216_1

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【開催日】
2011年2月16日(水)

2歳以下の子供の急性中耳炎治療に対する抗菌薬の使用

【文献名】

Alejandro,et al. Treatment of Acute Otitis Media in Children under 2 Years of Age. N Engl J Med 2011; 364:105-115




【要約】
【背景】

2歳以下の乳幼児の急性中耳炎の治療における推奨に関してはImmediate antimicrobial treatmentとWatchfull waitingと様々な意見がある。

【方法】

従来よりも厳格なcriteriaで急性中耳炎と診断された生後6~23か月の乳幼児291人を無作為にアモキシシリン・クラブラン酸(以下ABx)投与群とプラセボ群に割り付け、10日間治療を行った。
厳格なcriteriaとは以下の3つを満たすものと定義した。

①48時間以内の発症

②AOM-SOS score 3点以上

③中耳の所見(中耳の浸出液and中等度もしくは重度の鼓膜膨隆or軽度の鼓膜膨隆と耳痛or鼓膜の著明な発赤)


除外基準

他の急性疾患あり/慢性疾患あり/アモキシシリンアレルギー

96時間以内に1つ以上の抗生剤内服歴あり/48時間以上の耳痛/鼓膜穿孔
 
※ AOM-SOS score(0~14点満点)

耳を引っ張る/泣く/不機嫌/寝つきが悪い/活動性低下/食欲低下/熱

各項目 いつもと比べて(none :0点 / a little:1点  / a lot:2点)で回答し合計する。



Primary Outcome

・症状がほぼ消失する(AOM-SOSスコアが0~1点となる)までの期間

・各群のAOM-SOSスコアの平均値の治療開始後7日間の推移



Secondary Outcome

全体的な効果、アセトアミノフェンの使用状況、有害事象の発生状況、鼻咽頭の常在化率

ヘルスケア資源の利用状況

【結果】

291名が2群に分けられ、ITT解析が行われた。

両群の患者層は同等であった。

(1)症状がほぼ消失する(AOM-SOSスコアが0~1点となる)までの期間

ABx群
2日目 20%  4日目 41%  7日目 67%

プラセボ投与群

2日目 14%  4日目 36%  7日目 53%

(2)各群のAOM-SOSスコアの平均値の治療開始後7日間の推移

ABx群が有意に低かった。(p=0.02)

治療修了時点の10-12日目時点でもスコアは平均0.87(95%CI 0.29-1.45,p=0.003)と有意に低かった。

(3)治療失敗率はABx群で優位に低かった。
治療途中の4,5日目 4% vs 23%(P<0.001)
 (4~5日目の失敗の定義: 症状の改善が認められない、耳鏡所見が悪化) 治療終了時の10~12日目 16% vs 51%(P<0.001)
 (10~12日目の失敗の定義: 症状が消失していない、耳鏡所見がほぼ完全に治癒していない) 
 乳様突起炎がプラセボ群で1例認められた。 
(4)10~12日目において、以下の場合に治療成績が有意に悪かった。 ・週に10時間以上、3人以上の子供と接触した(P=0.007)
 ・試験開始時のAOM-SOS scoreが悪い(8点以下と8点より上で分けた場合)(P=0.004) ・両側の中耳炎の場合(P=0.002)
 ・鼓膜がより膨隆している場合(P<0.001) 
(5)21~25日目における再燃または中耳の滲出液の持続
再燃
(10~12日目で臨床的に治療が成功したにもかかわらず、21~25日目で再発した症例) ABx群16%、プラセボ群19% (P=0.56)
 中耳に滲出液の貯留
 (10~12日目で治療失敗と評価された患者にはamoxicillin-clavulanateに加えcefiximeを投与された)
 ABx群50%、プラセボ群63% (P=0.05)
 (6)下痢、オムツ皮膚炎はABx投与群で多かった。
 (7)両群間でStreptococcus pneumoniaeの鼻咽頭の常在率に変化は見られなかった。 【Conclusion】 
急性中耳炎をもった生後6~23か月の乳幼児に対しては、10日間のアモキシシリン・クラブラン酸投与は症状を改善するための時間を短縮し、症状を軽減し、耳鏡検査の急性感染徴候の持続率を減らす。
 
【考察とディスカッション】 小児の中耳炎で抗生剤治療に悩むケースは比較的多い。重症例では確かに抗生剤投与を積極的に考えるが、軽症から中等症に関しては抗生剤を用いないケースもあった。
確かに、そのような場合、数日後の再診の際に抗生剤を開始しなければならないケースを経験することも少なくない。
今回の研究では、治療失敗例としてその割合などを具体的に明記してくれていたため、今までの臨床上の感覚的なものを数値化して捉える事が出来た。
この辺りのデータを提示することで、今後は結果的にどちらの選択になろうとも、今までよりも多い情報量の中で合意を得つつ治療していくことができそうである。

 【開催日】 2011年2月9日(水)

レビュー:骨粗鬆症に対するビスフォフフォネート製剤

【文献名】

Murray J.Favus,M.D: Bisphosphonates for Osteoporosis. N Eng J MED 363;2027-35, 2010.




【要約】

【The clinical problem】
Estrogen deficiency after menopause is the most common cause of osteoporosis, but secondary causes must be ruled out before treatment is undertaken.
Common Secondary Causes of Osteoporosis are Vitamin D deficiency, Primary hyperparathyroidism, Celiac disease, Idiopathic hypercalciuria, Hyperthyroidism, Myeloma.
Osteoporotic hip fractures are associated with the highest morbidity and mortality. Up to 50% of patients with such fractures have permanently impaired mobility, and 25% lose the skills necessary to live independently. The rate of death from any cause is increased by a factor of 5 to 8 during the first 3 months after a hip fracture.
【Pathophysiology】
Estrogen deficiency due to either spontaneous or surgical menopause activates osteoclast and accelerate bone resorption. Bisphosphonates disrupt the attachment of osteoclasts to the bone surface, and stop bone resorption.
【Clinical Evidence】
Alendronate and risedronate and zoledronic acid are effective to prevent hip fracture and vertebral fracture.
 Etidronate is effecitive to prevent vertebral fracture, but there is no study to show efficacy for the
treatment of hip fracture.
 Randomized, placebo-controlled trial of pamidronate has not been performed with sufficient power to assess the efficacy of the drug for the treatment of hip fracture in women with postmenopausal osteoporosis.
【Clinical use】
All postmenopausal women with measurements of bone mineral density at either the spine or the hip that meet World Health Organization (WHO) criteria for osteoporosis (T score of less than −2.5) should receive long-term therapy with an agent that has been proven to prevent fractures.
This author often uses the WHO Fracture Risk Assessment Tool (http://www.sheffield.ac.uk/FRAX/tool.jsp?lang=jp) to assist in making treatment decisions. FRAX is a calculator algorithm that incorporates risk factors with measurements of bone mineral density, generating a quantitative estimate of the 10-year probability of a major osteoporotic
fracture (hip, vertebral, humerus, or fore-arm) or of a hip fracture alone in patients who have not yet begun therapy. In general, the author initiates pharmacologic treatment in patients who have a 10-year probability of a hip fracture that exceeds 3% or a 10-year probability of a major osteoporotic fracture that exceeds 20%.
Raloxifene decreases the risk of vertebral fractures, but it may not reduce the risk of nonvertebral fractures.
Calcitonin has limited efficacy in reducing the risk of vertebral fractures and lacks efficacy in preventing hip fracture.
After initiating bisphosphonate therapy, this author typically reevaluate the patient in 1 month to assess tolerance and thereafter at 3 months, 6 months,and 1 year. At 3 months and 6 months, he obtain measurements of bone-turnover markers, such as osteocalcin or serum C-terminal telopeptide of type 1 collagen (CTX). At 1 year, and every 2 years thereafter, he repeat the assessment of bone mineral density with the use of DXA.
【Adverse effects】
 Erosive esophagitis, ulceration, and bleeding, heartburn, chest pain, hoarseness, and vocal-cord irritation, transient renal toxic effects, osteonecrosis of the jaw, etc.
【Areas of uncertainty】
  The optimal duration of bisphosphonate therapy remains uncertain. Recent retrospective studies and case reports suggest that long-term bisphosphonate therapy may result in the suppression of bone turnover and confer a predisposition to increased bone fragility, with an increased risk for atypical femur fractures. After 5 years of treatment, this author would decide whether a drug holiday might be appropriate for this patient, taking into consideration the fact that she is at high risk for recurrent fracture.


【考察とディスカッション】
骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート製剤に関する最新のレビューを読んだ。
FRAXという骨折のリスク評価法を学んだ。
Areas of uncertaintyの項ではビスフォスフォネート製剤の長期的な使用がコツの脆弱性を引き起こす可能性を示唆するレトロスペクティブな研究と、この薬剤による治療の期間について言及している。
今後のエビデンスの出現に注意しつつ、実際の臨床においても治療継続期間を見直す必要があるだろう。


【開催日】
2011年2月2日(水)

胃潰瘍からの出血後、元々使用していた低容量アスピリンはすぐに再開すべきか?

【文献名】

Joseph J. Y. Sung, et.al: Continuation of Low-Dose Aspirin Therapy in Peptic Ulcer Bleeding: A Randomized Trial. Annals of Internal Medicine: 152:1-9, 2010




【要約】
Background: It is uncertain whether aspirin therapy should be continued after endoscopic hemostatic therapy in patients who develop peptic ulcer bleeding while receiving low-dose aspirin.

Objective: To test that continuing aspirin therapy with proton-pump inhibitors after endoscopic control of ulcer bleeding was not inferior to stopping aspirin therapy, in terms of recurrent ulcer bleeding in adults with cardiovascular or cerebrovascular diseases.

Design: A parallel randomized, placebo-controlled noninferiority trial, in which both patients and clinicians were blinded to treatment assignment, was conducted from 2003 to 2006 by using computer-generated numbers in concealed envelopes. (ClinicalTrials.gov registration number: NCT00153725)
Setting: A tertiary endoscopy center.

Patients: Low-dose aspirin recipients with peptic ulcer bleeding.
Their indication for aspirin is cardiovascular diseases or/and cerebrovascular diseases.

Intervention: 78 patients received aspirin, 80 mg/d, and 78 received placebo for 8 weeks immediately after endoscopic therapy. All patients received a 72-hour infusion of pantoprazole followed by oral pantoprazole. All patients completed follow-up.

Measurements: The primary end point was recurrent ulcer bleeding within 30 days confirmed by endoscopy. Secondary end points were all-cause and specific-cause mortality in 8 weeks.

Results: 156 patients were included in an intention-to-treat analysis. Three patients withdrew from the trial before finishing follow-up. Recurrent ulcer bleeding within 30 days was 10.3% in the aspirin group and 5.4% in the placebo group (difference, 4.9 percentage points [95% CI, −3.6 to 13.4 percentage points]). Patients who received aspirin had lower all-cause mortality rates than patients who received placebo (1.3% vs. 12.9%; difference, 11.6 percentage points [CI, 3.7 to 19.5 percentage points]). Patients in the aspirin group had lower mortality rates attributable to cardiovascular, cerebrovascular, or gastrointestinal complications than patients in the placebo group (1.3% vs. 10.3%; difference, 9 percentage points [CI, 1.7 to 16.3 percentage points]).

Limitations: The sample size is relatively small, and only low-dose aspirin, 80 mg, was used. Two patients with recurrent bleeding in the placebo group did not have further endoscopy.

Conclusion: Among low-dose aspirin recipients who had peptic ulcer bleeding, continuous aspirin therapy may increase the risk for recurrent bleeding but potentially reduces mortality rates. Larger trials are needed to confirm these findings.



【考察とディスカッション】
胃潰瘍からの出血直後からのアスピリンの再開・継続により再出血のリスクが高まる可能性があるが、95%信頼区間は-3.6--13.4であり、この結果はよりサンプルサイズの大きな同様の研究を待たなくてはならない。
2次アウトカムではあるが、内視鏡直後からアスピリンを再開したグループの方が有意に死亡率が低いことは8週間と非常に短い期間であることも含めて注目すべき結果と考える。


【開催日】
2011年1月26日(水)

~Effectiveness of screening for CKD(CKDのスクリーニングの有効性)~

【文献名】

Braden Manns, et.al.:  Population based screening for chronic kidney disease: cost effectiveness study.BMJ 341:5869,2010.



【要約】
【Objective】

To determine the cost effectiveness of one-off population based screening for chronic kidney disease based on e-GFR. 

【Design】

Cost utility analysis of screening with e-GFR alone compared with no screening. Analyses were stratified by age, diabetes, and the presence or absence of proteinuria. 
Scenario and sensitivity analyses, including probabilistic sensitivity analysis, were performed. Costs were estimated in all adults and in subgroups defined by age, diabetes, and hypertension. 

【Setting】

Publicly funded Canadian healthcare system. 

【Participants】

Large population based laboratory cohort used to estimate mortality rates and incidence of end stage renal disease for patients with chronic kidney disease over a five year follow-up period. Patients had not previously undergone assessment of GFR. 

【Main outcome measures】

Lifetime costs, end stage renal disease, quality adjusted life years (QALYs) gained, and incremental cost per QALY gained. 

【Results】

Compared with no screening, population based screening for chronic kidney disease was associated with an incremental cost of $C463 (Canadian dollars in 2009; equivalent to about £275, €308, US $382) and a gain of 0.0044 QALYs per patient overall, representing a cost per QALY gained of $C104 900. 
In a cohort of 100 000 people, screening for chronic kidney disease would be expected to reduce the number of people who develop end stage renal disease over their lifetime from 675 to 657.
In subgroups of people with and without diabetes, the cost per QALY gained was $C22 600 and $C572 000, respectively. In a cohort of 100 000 people with diabetes, screening would be expected to reduce the number of people who develop end stage renal disease over their lifetime from 1796 to 1741. 
In people without diabetes with and without hypertension, the cost per QALY gained was $C334 000 and $C1 411 100, respectively.

【Conclusions】

Population based screening for chronic kidney disease with assessment of e-GRF is not cost effective overall or in subgroups of people with hypertension or older people.
 Targeted screening of people with diabetes is associated with a cost per QALY that is similar to that accepted in other interventions funded by public healthcare systems.



【開催日】
2011年1月19日(水)

~SAHの早期診断~

【文献名】
Perry JJ, et al. High risk clinical characteristics for subarachnoid hemorrhage in patients with acute headache: prospective cohort study. BMJ 2010;ONLINE FIRST.

【要約】
(目的)
・ 頭痛を訴える神経学的異常所見のない患者において、SAHについてリスクの高い臨床特徴を同定する。

(研究デザイン)
・ 5年にわたる多施設前向きコホート研究

(セッティング)
・ 大学関連の3次救急対応教育病院6カ所にて2000.11~2005.11までデータ収集

(参加者)
・ 1時間以内にピークに達した非外傷性頭痛を訴えて、神経学的異常所見のない患者

(主要アウトカム)
・ 頭部CTでのくも膜下腔の出血像、脳脊髄液中の黄色症(キサントクロミー)、血管造影で陽性所見(動脈瘤)を示しかつ脳脊髄液中の赤血球像 のいずれかで確定されたクモ膜下出血

(結果)
・ 登録された1999名の患者の中で、130症例のSAHを認めた
・ 平均年齢は43.4歳(16-93歳)、1207名(60.4%)が女性、1546名(78.5%)が人生で最悪の頭痛だと訴えた。
・ 13の病歴情報と3の身体診察所見の信頼性が高く、SAHとの関連が見られた。
・ これらの変数を帰納的に群分離して、3つの臨床診断ルールを設定した。
・ 全てが100%の感度(95%信頼区間 97.1-100%)、28.4~38.8%の特異度を示した。
・ この3つの診断ルールのうちどれかを利用すれば、CT・腰椎穿刺・その両者の検査率を現在の82.9%から63.7~73.5%に低下させることができたであろう。
<ルール1> 感度100% 特異度 28.4%
 40歳以上、頚部痛やこわばりの訴え、意識消失の経験、運動に伴う発症
<ルール2> 感度100% 特異度 36.5%
 救急車での到着、45歳以上、少なくとも一度の嘔吐、拡張期血圧100以上
<ルール3> 感度100% 特異度 38.8%
 救急車での到着、収縮期血圧160以上、頚部痛やこわばりの訴え、45-55歳

(結論)
・ ある臨床的な特徴はSAHに対する予想因子となりうる。
・ 1時間以内にピークに達した頭痛を訴える患者には、実践的で感度の高い臨床診断ルールを利用することができる。
・ 前向きの検証も含めて、ここに提示した診断ルールに対する更なる研究を実施することで、頭痛の患者に対してより選択的で正確な検査を行うことができるようになるはずだ。

【開催日】
2010年12月8日(水)

~非結核性抗酸菌症の診断~

【文献名】
David E Griffith, Richard J Wallace, Jr: Diagnosis of nontuberculous mycobacterial infections of the lungs in HIV-negative patients. Up To Date ONLINE 18.3: last updated December 2, 2009.

【要約】
臨床的基準(以下の両者を満たす)
1.肺症状、胸部レントゲンで結節状あるいは、空洞陰影(M.kansasii感染の90%、M.avium complex(MAC)感染の50%に見られ、結核感染の場合よりも壁が薄く、周辺実質組織が不明瞭になる)、HRCTで多発性の小結節陰影を伴う気管支拡張像。
・MACの少なくとも50%は気管支拡張像を伴う結節影を認め、それは右中葉、舌区に最も頻繁に見られる
・ある研究では、気管支拡張像も持つ患者で24%は肺に多発性の結節影を認め、喀痰培養でMAC陽性の患者で結節影を認めた患者が53%、認めない患者は4%に過ぎなかった。
かつ
2.他の疾患を適切に除外
微生物学的基準
(1)喀痰検査は少なくとも3回、別々の検体で検査する必要がある。その中で少なくとも2回、別々の喀痰の検体で培養陽性。もし、その結果から診断出来ない時場合、塗抹と培養を繰り返す事を考慮。
または、
(2)少なくとも1回、気管支洗浄液の検体で培養陽性。
または、
(3)経気管支的、または他の方法で採取した肺生検検体で抗酸菌の組織学的特徴(肉芽腫性炎症、あるいは抗酸菌)を有し、かつ、非結核性抗酸菌の培養陽性、または、抗酸菌の組織学的特徴(肉芽腫性炎症、あるいは抗酸菌)を有する生検検体と一つ以上の喀痰あるいは気管支洗浄液で非結核性抗酸菌の培養陽性。
(4)頻回の培養検査で診断できない、または、環境の汚染によるものと考えられる場合は、専門医にコンサルトする。
(5)非結核性抗酸菌症と疑われるが、診断基準を満たさない患者は、診断が確定するか否定されるまでフォローされるべきである。
(6)非結核性抗酸菌症と診断されても治療開始を必要としないこともある。それは、患者個々の治療に対するリスクと有益性に基づいて決定されるものである。

【開催日】
2010年12月1日(水)

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