マダニ刺咬症によるライム病の予防

―文献名―
橋本 喜夫, 宮本 健司, 飯塚 一.北海道のマダニ刺咬症とライム病:皮膚病診療:25(8); 926-929, 2003

―要約―
【対象】
1995-2000年に旭川医大および関連施設を受診した全てのマダニ刺咬症患者700名

【方法】
マダニに刺された患者の年齢・刺咬部位・刺咬推定場所・刺咬日付・治療や処置方法を記載
虫体と皮膚を別々に採取し6週間BSKⅡ培地で培養。6週間後にボレリアの有無を同定

【結果】
年間で700例。男女比 1:1.08, 年齢層 3ヶ月~89歳で9歳以下の小児と40-60歳台に好発
 罹患部位:頭頸部 34.8%, 体幹部 34.2%, 上肢 22.5%, 下肢 7.0%。9歳以下の小児は79.3%が頭頸部
 月別:5-7月に多い。特に6月は44.3%
 マダニ虫体:シュルツェマダニ 82.8%
 地理的特徴:シュルツェマダニ(ライン病発症多い) …道央~道北, ヤマトマダニ(ライム病発症少ない)…道南
 レリア陽性:シュルツェマダニ 12.2%, ヤマトマダニ 8.7%
 ライム病発症:700例中56例(8%):Ⅰ期 94.6%, Ⅱ期 3.6%, Ⅲ期 1.8%
 受診までの期間:ライム病発症群 平均20日, ライム病非発症群 平均4日
 処置:マダニ自己抜去群 ライム病発症率 16.1%(53/330)
     マダニ非自己抜去群 ライム病発生率 0.81%(3/370)
    ⇒自己抜去群の非自己抜去群に対するライム病発症の相対危険度 19.81

【考察】
医療圏の人口を50万として試算すると罹患率は1.86。
米国では平均4.0-6.7。発生が多い地域では30を超える。オーストラリアでは300
山野に入る人が増えた・森林再開発でマダニが住宅近くの草木の葉に住み着くことが増えた・皮膚科医のマダニ媒介感染症への関心が高まった、などが増加した原因か。

ダニに刺されたら自己抜去せずに早期に皮膚科専門医のいる医療機関を受診する。

【開催日】
2014年6月18日(水)

新たなコレステロールガイドラインの人口ベース標本への適用

―文献名―
M.J. Pencina and Others, Application of New Cholesterol Guidelines to a Population-Based Sample, NEJM, April 10, 2014; 1422-1431

―要約―

【背景】
米国心臓病学会と米国心臓協会(ACC-AHA)によるコレステロール治療ガイドライン2013では、心血管疾患の予防にスタチン療法の適応が拡大されている。

【方法】
2005~2010年の全米健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて、新たなACC-AHAガイドラインではスタチン療法が推奨される人の数を推定し、危険因子プロファイルを要約して、ATPⅢのガイドラインに基づく場合と比較した。得られた結果を米国の40~75歳の人口1億1540万人に外挿した。

【結果】
ATPⅢガイドラインと比較して、新ガイドラインに基づいた場合には、スタチン療法を受けている人、またはスタチン療法の適応である人数は、4320万人(37.5%)から5600万人(48.6%)に増加する。この増分のほとんど(1280万人中1040万人)は、心血管疾患のない成人が占める。60~75歳の心血管疾患がなくスタチン療法を受けていない成人において、スタチン療法の適応である割合は、男性は30.4%から87.4%に、女性は21.2%から53.6%に上昇する。これは主に、心血管イベントの10年リスクにのみ基づいて分類される成人の数の増加によって生じる。新たにスタチン療法の適応となる人は、女性よりも男性が多く、血圧は高いがLDLコレステロール値が著しく低い人が含まれる。新ガイドラインに基づいた場合には、将来的に心血管イベントが起こることが予測されるより多くの成人にスタチン療法が推奨される(感度が高い)が、将来的にイベントが起こるとは予測されない多くの成人も対象となる(特異度が低い)。
Figure1,2参照.

【結論】
 ACC-AHAによるコレステロール管理に関する新たなガイドラインによって、スタチン療法の適応である成人の数は、1280万人増加する。そして、その大部分は、心血管疾患のない高齢者である。

―考察とディスカッション―
概に日本人に適応できないが、ACC-AHAのガイドラインに準じた治療選択を行うと日本人においてもスタチン療法の適応となる対象が増加することが予想される。特に対象の拡大が予想される60~75歳の高齢者については、日本動脈硬化学会のガイドラインでも薬物療法の妥当性は記載されているが、副作用や薬物相互作用などに留意するように強調されている。
今回の文献で示されたデータも踏まえて、新ガイドラインの日本人への適応について、それぞれの考えや意見を聴取し、さらに理解を深めたいと思う。

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Figure.1

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Figure.2

【開催日】
2014年4月23日

新規2型糖尿病の成人におけるBMIと死亡率

― 文献名 ―
Body-Mass Index and Mortality among Adult with Incident Type 2 Diabetes
N ENGL J MED 370;3 Deirdre K. Tobias JAN.16,2014

― この文献を選んだ背景 ―
 CQIプロジェクトのピアレビューで、上川チームは旭川チームの作成した糖尿病初診のプロダクトの価を担当した。その中でBMIをチェックしているかどうかの項目があったが、自分の診療を振返っみるとあまりBMIに意識を向けていなかった。糖尿病初診でBMIを知る意義がどれくらいあるのか問に思っていたところ、上川で定期購読しているNEJMに上記論文があったため読んだ。

― 要約 ―

【背景】
2型糖尿病患者における体重と死亡率の関係は明らかにされていないが、一部の研究(特に対象が心不全患者、末期腎不全患者など)では、過体重または肥満の患者の死亡率は、標準体重の患者よりも低い(「肥満パラドックス」)が示唆されているが、その研究の質は低い。

【方法】前向きコホート研究
看護師健康調査(NHS1976年~)と医療従事者追跡調査(HPFS1986年~)から、2010.1.1まにで糖尿病と新たに診断され、診断時には心血管疾患や癌などを有していなかった参加者を対象に検討した。(各8790例、2457例)。また35歳までに糖尿病と診断された物は1型糖尿病の可能性が高いため除外した。BMIが18.5以下も除外した。断直前の体重と身長からBMIを算出した。多変量Coxモデルを用いて、BMI区分ごとに死亡のハザード比と95%信頼区間を推定した。

【結果】
平均追跡期間15.8年の間に,3083例が死亡した。BMI区分と全死因死亡率の間にJ字型の関連が認められた。この関連は喫煙歴のない参加者では線形であったが、喫煙歴のある参加者では非線形であった(喫煙はBMIを下げ、死亡率を上げる方向に影響するため分類した)。糖尿病診断時の年齢が65歳未満であった参加者では、直接的な線形傾向が認められたが、65歳以上であった参加者では認められなかった。(早期死亡(フォロー開始から4年以内の死亡)は診断されていない慢性疾患や脆弱性のバイアスを取り除く一般的な方法。)

【結論】
BMIと死亡率の間には、参加者全体および喫煙歴のある参加者ではJ字型の関連が、喫煙歴のない参加者では直接的な線形の関連が認められた。我々は過体重または肥満の糖尿病患者の死亡率が標準体重の患者よりも低いという肥満パラドックスを見いだせなかった(米国国立衛生研究所、米国糖尿病学会から研究助成を受けた)

【限界】
体重は自己計測なので信用性が低いかもしれない他の人種、文化的コミュニティへの一般化には限界がある

― 考察とディスカッション ―
 この論文によって、糖尿病診断時におけるBMIを喫煙歴とともに確認する事で、患者さんにどれだけのリスクがあるかという事を客観的に説明するひとつの材料となるだろう。ただし有病率が異なるので一概には言えない。

<ディスカッションポイント>
皆さんは普段糖尿病と診断した時BMIは意識していましたが?意識していた方はどう意識していましたか?これを読んで診療は変わりますか?

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開催日:平成26年3月5日

レボチロキシン(チラーヂンS)の内服時間

― 文献名 ― 
 Thien-Giang Bach-Huynh, Bindu Nayak, Jennifer Loh, Steven Soldin, and Jacqueline Jonklaas

Timing of Levothyroxine Administration Affects Serum Thyrotropin Concentration
J Clin Endocrinol Metab. 2009 October; 94(10):905-3912.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2758731/

― 要約 ―

Context: レボチロキシンは、食事による吸収阻害を防ぐため朝食前に内服されている。TSH濃度はレボチロキシンの効果の指標である。

Objective: レボチロキシンのTSH濃度に対する効果が、食事摂取と関連した内服のタイミングで変化するかを検討する
Design: 参加者はランダムに6つに振り分けられ、それぞれが8週間のレジメンを3ターム行うクロスオーバーデザインで実施される。3タームのレジメンはそれぞれ朝食前・就寝前・朝食時での内服。TSH・freeT4・freeT3濃度が各レジメンで測定される。
参加者のレボチロキシンの投与量は変更せずに実施された.
Primary outcomeは、他のレジメンと朝食前のレジメンとのTSH濃度の相違。

Setting: academic medical centerで実施された

Participants: 甲状腺機能低下症または甲状腺癌の治療のためレボチロキシンを内服している患者

Results: 65人の患者が参加。朝食前内服の平均TSH濃度は1.06 ± 1.23 mIU/L。朝食時内服の平均TSH濃度は有意に高かった(2.93 ± 3.29 mIU/L). 就寝前内服の平均TSH濃度もまた優位に高かった(2.19 ± 2.66 mIU/L)。

Conclusion: 朝食前以外のレジメンでは、TSH濃度が高く、またばらつきが大きかった。特定のTSHの目標値が望まれ、それにより医原性の潜在性甲状腺疾患を避けるならば、朝食前のレボチロキシン内服により最も狭い目標範囲でのTSH濃度が確保されるだろう。

― 考察とディスカッション ―

この研究では8週間のレジメンなので、長期間の効果は不明であった。
しかし、自分自身では飲みやすさから食後で処方してしまうことが多いので、調整がより困難な患者さんに対しては、朝食前(それが難しければ就寝時)に処方変更することを検討したい。

開催日:平成26年2月19日

運動は下肢の変形性関節症患者の疼痛を軽減する

<文献名>
 Exercise Relieves Pain in Patients with Lower-Extremity Osteoarthritis
    2013 October 24 BMJ

<この文献を選んだ背景>
 
 変形性膝関節症の患者は日々の診療の中で多い。治療や痛みの軽減のための鎮痛剤、膝関節注射、大腿四頭筋訓練、減量という説明を行うが、他に推奨する何かがないかと思っていたため。

<要約>
 運動によって、膝関節や股関節の変形性関節症(osteoarthritis:OA)を有する患者の疼痛が軽減され、身体機能が改善されることを示すエビデンスが増えている。今回のメタアナリシスではランダム化試験60件(参加者8,200人超、フォローアップ期間の中央値15週)を対象として、運動介入が運動しない場合よりも有効であるかどうかが調べた。また、さまざまな運動介入の比較も行われた。
 膝関節のOAを有する患者に関する試験が44件、股関節のOAを有する患者に関する試験が2件、膝関節、股関節、その他の関節のOAを有する患者に関する試験が12件であった。評価の対象とされた運動の種類は、強化運動、柔軟運動、有酸素運動、およびこれらの運動の水中バージョンであった。疼痛の軽減(視覚的な疼痛尺度[visual pain scales])によって測定)については、強化運動、強化運動と柔軟運動の併用、水中バージョン以外の併用(強化運動と柔軟運動と有酸素運動の併用)、水中での強化運動、水中での強化運動と柔軟運動の併用で、運動なしの場合よりも有意に高い効果がみられた。疼痛が軽減する確率がもっとも高かったのは、水中での強化運動と柔軟運動を併用した場合であり、その次に高かったのは、強化運動のみの場合であった。身体機能の改善については、強化運動、強化運動と柔軟運動の併用、水中バージョン以外の各運動の併用で、運動なしの場合よりも有意に高い効果がみられた。

開始日:平成26年1月22日

入院患者の高血糖は治療すべきか?

― 文献名 ―

 Ketan Dhatariya. Uncertainties: Should inpatient hyperglycaemia be treated? BMJ 2013;346:f134 doi: 10.1136/bmj.f134

― この文献を選んだ背景 ―

 Usually, we try to control blood glucose of patients who are admitted with acute illness.
But after reading this article, I found that this is not confirmed with good evidence and realized the importance of knowing that some of our usual care may lack sufficient evidence.

― 要約 ―

   Two large scale randomised controlled trials in the 1990s were the first such trials to show that the control of blood glucose helped to prevent long term complications in people with types 1 and 2 diabetes.1 2 Glucose concentrations can rise not only in people with pre-existing diabetes, but also, for short periods, in people without the condition–in particular, during times of acute illness, when it is called stress hyperglycaemia.3
 Data show that raised blood glucose concentrations in people with and without a previous diagnosis of diabetes are associated with short term harm. However, whereas the benefits of good glycaemic control over a long period in people with diabetes are well established, uncertainty remains about whether treating transient hyperglycaemia, in particular in hospital inpatients, makes any difference to short term outcomes.

What is the evidence of the uncertainty?
   Since the two trials in the 1990s,1 2 other studies have also shown that hyperglycaemia in inpatients with and without pre-existing diabetes is associated with poor outcomes. However, most trials were observational, with only a few randomised controlled trials. A meta-analysis of 34 randomised control trials assessing perioperative insulin infusion in 2192 surgical patients concluded that “perioperative insulin infusion may reduce mortality but increases hypoglycaemia in patients who are undergoing surgery.”5 However, only 14 of these studies included patients with diabetes, with 13 studies
excluding them and the rest not reporting whether patients with diabetes were included.

   Observational data from an unselected cohort of over 1500 acute general medical admissions with and without diabetes showed that length of stay, readmission rates, and 30 day mortality rates rose with higher blood glucose concentrations.6 Other observational evidence from hospital episode statistics based on discharge coding of over four million patients showed that those who also had diabetes stayed in hospital the longest, regardless of the specialty.7

   People with stress hyperglycaemia may be at risk of developing type 2 diabetes in the long term. However, evidence from intervention studies is sparse or conflicting on whether aggressive treatment of the hyperglycaemia during a patient’s hospital stay makes a difference to short or long term outcomes or even affects outcomes related to their cause for admission. Indeed, data from well conducted large randomised controlled trials and observational studies show that the use of glucose lowering agents–in particular, insulin–are associated with increased levels of harm, in the form of severe hypoglycaemia.10 11

   A few randomised controlled trials show that short term, tight glycaemic control using insulin therapy in intensive care seemed to reduce mortality, infection rate, and length of hospital stay.12 13 Other well conducted randomised controlled trials in intensive care patients have been either equivocal14 15 or associated with harm, with the largest such study of over 6000 patients showing that tight glycaemic control was associated with higher incidence of severe hypoglycaemia and increased mortality.16

   There are good theoretical reasons why glucose reduction with insulin should be beneficial, with reductions in endothelial dysfunction, immune dysfunction, and the maintenance of adequate vasodilatation.20 But insulin use in any patient with hyperglycaemia is fraught with problems and is often used incorrectly or ineffectively–the use of subcutaneous “sliding scales” being one such problem.21 Precipitating severe hypoglycaemia by aggressive glucose lowering with insulin is a major concern.
Uncertainty also remains about the glucose targets that should be aimed for and the best agents to achieve these.

   The data presented show that high glucose concentration in people with and without diabetes is associated with poor outcomes. However, as the author found no directly relevant systematic reviews it remains to be determined if the raised blood glucose is the cause of the poor outcomes or if it is just an epiphenomenon.

What should we do in the light of the uncertainty?
   If the patients are found to be hyperglycaemic then efforts should be made to control their glucose concentrations on the basis of pragmatic consensus documents drawing largely on the best available observational data previously described. 

開催日:平成25年10月16日

高尿酸血症と痛風の患者におけるフェブキソスタットとアロプリノールの比較

– 文献名 –

Michael A. Becker, M.D., H. Ralph Schumacher, Jr., M.D., Robert L. Wortmann, M.D., Patricia A. MacDonald, B.S.N., N.P., Denise Eustace, B.A., William A. Palo, M.S., Janet Streit, M.S., and Nancy Joseph-Ridge, M.D., Febuxostat Compared with Allopurinol in Patients with Hyperuricemia and Gout, New England Journal Medicine 2005; 353:2450-2461

– 要約 –

BACKGROUND
Febuxostat, a novel nonpurine selective inhibitor of xanthine oxidase, is a potential alternative to allopurinol for patients with hyperuricemia and gout.

METHODS
We randomly assigned 762 patients with gout and with serum urate concentrations of at least 8.0 mg per deciliter (480 μmol per liter) to receive either febuxostat (80 mg or 120 mg) or allopurinol (300 mg) once daily for 52 weeks; 760 received the study drug. Prophylaxis against gout flares with naproxen or colchicine was provided during weeks 1 through 8. The primary end point was a serum urate concentration of less than 6.0 mg per deciliter (360 μmol per liter) at the last three monthly measurements. The secondary end points included reduction in the incidence of gout flares and in tophus area.

RESULTS
The primary end point was reached in 53 percent of patients receiving 80 mg of febuxostat, 62 percent of those receiving 120 mg of febuxostat, and 21 percent of those receiving allopurinol (P<0.001 for the comparison of each febuxostat group with the allopurinol group). Although the incidence of gout flares diminished with continued treatment, the overall incidence during weeks 9 through 52 was similar in all groups: 64 percent of patients receiving 80 mg of febuxostat, 70 percent of those receiving 120 mg of febuxostat, and 64 percent of those receiving allopurinol (P=0.99 for 80 mg of febuxostat vs. allopurinol; P=0.23 for 120 mg of febuxostat vs. allopurinol). The median reduction in tophus area was 83 percent in patients receiving 80 mg of febuxostat and 66 percent in those receiving 120 mg of febuxostat, as compared with 50 percent in those receiving allopurinol (P=0.08 for 80 mg of febuxostat vs. allopurinol; P=0.16 for 120 mg of febuxostat vs. allopurinol). More patients in the high-dose febuxostat group than in the allopurinol group (P=0.003) or the low-dose febuxostat group discontinued the study. Four of the 507 patients in the two febuxostat groups (0.8 percent) and none of the 253 patients in the allopurinol group died; all deaths were from causes that the investigators (while still blinded to treatment) judged to be unrelated to the study drugs (P=0.31 for the comparison between the combined febuxostat groups and the allopurinol group). CONCLUSIONS Febuxostat, at a daily dose of 80 mg or 120 mg, was more effective than allopurinol at the commonly used fixed daily dose of 300 mg in lowering serum urate. Similar reductions in gout flares and tophus area occurred in all treatment groups. 開催日:平成25年9月4日

咳はどのくらいつづくのか? システマティック・レビューのデータと患者の予測の比較

- 文献名 -

 Mark H. Ebell, MD, MS, Jerold Lundgren, BS and Surasak Youngpairoj, MD, MPH. How long does a cough last? Comparing patients’ expectations with data from a systematic review of the literature. Annals of Family Medicine. 2013 Jan-Feb; 11(1):5-13.

- この文献を選んだ背景 -

 風邪は治ったが咳がつづくので咳止めがほしいという患者に外来でよく遭遇するため、症状持続期間の正常範囲について適切な説明を行えるよう、この文献を選んだ。

- 要約 -
 
【目的】
 acute cough illness(ACI)に対する抗生剤乱用の原因のひとつに、ACIの自然経過と患者の予測との間の相違があるのではないか、と仮説を立て検証した。

【方法】
 ジョージア州在住の成人493人に対してランダムに電話調査を行い、彼らの予想するACIの持続期間について調べた。また、これまでに発表された文献からACIの持続期間を同定するために、観察研究およびランダム化比較研究のプラセボ群・無治療比較群のシステマティック・レビューを行った。この際、原因を特定できないACIで明らかな細菌感染がなく、1回以上の咳症状があり、フォローアップ期間が1週間以上である健常成人の研究を対象とした。
※電話調査について(補足)
  ・2年毎に行われるジョージア州の世論調査(?)の一部として行われた
  ・6つのシナリオからランダムに1つ選んで説明した上で、咳の持続時間を予測してもらい、抗生剤が有効だと思うか聞く。
    「あなたは具合が悪く、主な症状は咳です。薬は飲んでいません。具合が悪くなってから、
     良くなって咳が出なくなるまでどのくらいかかると思いますか?」
    ■咳は3種類(黄色痰、緑色痰、乾性咳) / 発熱ある・なし
  ・ACIに対する抗生剤使用歴、喘息あるいは慢性肺疾患、その他の慢性疾患に罹患しているか

【結果】
 文献によると咳症状の平均持続期間は17.8日間であった。電話調査の回答の中央値は5-7日間、平均持続期間は7.2-9.3日間であった(シナリオによって異なる)。白人、女性、自己申告で喘息あるいは慢性肺疾患に罹患していると答えた人は、症状持続期間を長めに回答する傾向があった。抗生剤が常に有用だと回答した人の独立予測因子は、有色人種(OR = 1.82, 95% CI, 1.14-2.92)、大卒以下(OR = 2.08, 95% CI, 1.26-3.45)、ACIに対する抗生剤使用歴(OR = 2.20, 95% CI, 1.34-3.55)であった。

【結論】
 現段階で最良のエビデンスに基づいて、患者の予測するACIの持続期間と実際の経過にズレがあることがわかった。不適切な抗生剤使用を減らすためには、この相違をターゲットに取り組みを行っていく必要がある。

- 考察とディスカッション -

 今回の研究の対象となった集団は、人種がちがうものの年齢層やセッティングなど現在働いているクリニックに比較的近いのではないかと感じた。患者のもつ風邪の期間に対する考え方も同じような印象をもった(たいてい1週間程経って治らないと受診する傾向にある。)私自身、風邪の治癒までの期間についてpost-infectious coughで長引くことはあるなと思いつつ、2-3週間咳が続く人には、抗生剤の処方こそしないが、結核や肺癌が心配になり、胸部Xpを撮ることがあった。ただ、この研究で咳症状のみを根拠にはしてはいけないと改めて反省した。
 また、家庭医療のコア・コンピテンシーであるPCCMにおいて、患者の持つillness expectationと臨床的事実の間のギャップを埋めるべく共通の理解基盤を構築していく過程があるが、そのバックグラウンドとして今回のようなmassな患者を対象としたillness expectationの調査は有用だと感じた。

 開催日:平成25年6月19日

在宅患者における肺塞栓症の再発予防の治療

<文献名>
 Uptodate [Anticoagulation in acute pulmonary embolism]

<この文献を選んだ背景>
 We
have some patients in home visit who are difficult to do blood test. Because
they have a fragile blood vessels and we can’t find thick and good ones. Some
patients take warfarin to prevent re-attack of pulmonary embolism, so we must
check INR every month.

I
wonder if it is necessary to check INR every month or it is possible to change
a drug except warfarin or stop it.

<要約>
Monitoring — The
laboratory test most commonly used to measure the effects of warfarin is the INR. Warfarin therapy
for acute PE should target an INR of 2.5 (range 2.0 to 3.0) [5,40]. Randomized trials indicate
that less intense anticoagulation (INR <2.0) is associated with an increased
likelihood of recurrent PE or DVT and more intense anticoagulation is
associated with bleeding [40-44].

Following discharge, initial monitoring can be reduced to once every few days until a stable dose has been achieved [40] and then to once every four weeks [45]. INR measurements should return to the more frequent interval any time that adjustments in the dose become necessary and the more frequent interval should be continued until a stable dose is again achieved. (See “Therapeutic use of warfarin“.
 
Long-term therapy — After initial therapy with LMWH, UFH, or subcutaneous fondaparinux, long-term therapy is generally completed with a vitamin K antagonist, such as warfarin. Vitamin K antagonists are preferred over rivaroxaban due to the greater clinical experience with the former [5].
 
Duration — We advocate the following treatment durations for warfarin therapy. Recommendations for indefinite therapy ascribe a higher value to preventing recurrent PE and a lower value to bleeding, cost, and inconvenience.
•    For patients with a first episode of acute PE due to a temporary risk factor (eg, surgery, immobilization, trauma), we recommend warfarin therapy for three months, rather than a shorter or longer duration (Grade 1B). (See ‘Reversible risk factor’ above.)
•    For patients with a first episode of unprovoked acute PE, we recommend warfarin therapy for at least three months, rather than a shorter duration (Grade 1B). The potential benefits and risks of indefinite anticoagulant therapy should be assessed after the three months of anticoagulant therapy (see ‘Unprovoked’ above):
•    For patients who have a low or moderate risk of bleeding, we suggest indefinite warfarin therapy, rather than three months of therapy (Grade 2B).
•    For patients who have a high risk of bleeding, we recommend three months of warfarin therapy, rather than indefinite therapy (Grade 1B).
 
•    For patients with two or more episodes of acute PE, we recommend warfarin therapy for at least three months, rather than a shorter duration (Grade 1B). The potential benefits and risks of indefinite anticoagulant therapy should be assessed after the three months of anticoagulant therapy (see ‘Recurrent PE’ above):
•    For patients who have a low risk of bleeding, we recommend indefinite warfarin therapy, rather than three months of therapy (Grade 1A).
•    For patients who have a moderate risk of bleeding, we suggest indefinite warfarin therapy, rather than three months of therapy (Grade 2B).
•    For patients who have a high risk of bleeding, we suggest three months of warfarin therapy, rather than indefinite therapy (Grade 2B).
Anticoagulant therapy for
patients with an acute PE who are pregnant or have a malignancy is discussed
separately.

 開催日:平成25年5月22日

スタチンで糖尿病発症リスクが上がる?

<文献名>
 Aleesa A Carter, Tara Gomes, Ximena Camacho, et al. Risk of incident diabetes among patients treated with statins: population based study.BMJ 2013; 346.

<要約>
 
目的:異なるHMG-CoA還元酵素阻害薬(=スタチン)で治療されている患者の新規糖尿病発症リスクを調査する。

研究デザイン:特定のスタチンの使用と糖尿病発生の関係を推定する為の時間事象分析を伴う住民ベースのコホート研究。スタチンのタイプ・投与量と糖尿病発症リスクとの関係を究明するためハザード比が算出された。

研究が施行された場所:カナダ、オンタリオ州

対象者:全ての対象者は66歳以上で糖尿病の既往がなく1997年8月1日から2010年3月31日までスタチンによる治療を開始した。解析は少なくともそれ以前に薬物治療を行われていない新規使用者のみに限定した。治療開始以前に糖尿病の診断が確定していた患者は除外された。

介入:スタチンによる治療.

主要転帰尺度:糖尿病発症

結果: プラバスタチン(全ての解析における対照薬剤)と比較して、アトロバスタチン(補整ハザード比 1.22, 95% C.I. 1.15 to 1.29)、ロスバスタチン(1.18, 1.10 to 1.26)、シンバスタチン(1.10, 1.04 to 1.17)では糖尿病の発症リスクが増加した。フルバスタチン(0.95, 0.81 to 1.11)やロバスタチン(0.99, 0.86 to 1.14)を投与された患者群では優位なリスクの増加はなかった。アトロバスタチンとロスバスタチンの糖尿病発症絶対リスクはそれぞれ31、34/1000人年だった。シンバスタチンのリスクはわずかに低く(26 /1000人年)、対照となったプラバスタチンは23/1000人年だった。この結果は、スタチンが心血管疾患の1次予防を目的として投与された場合と2次予防を目的として投与された場合とで変わらなかった。効力によりスタチンを分類した時も同じような結果となったが、投与量も考慮した際にはロスバスタチンによる糖尿病発症リスクは有意なものではなくなった (補整ハザード比 1.01, 0.94 to 1.09) 。

結論:プラバスタチンと比較してストロングスタチン、特にアトロバスタチンとシンバスタチンは、新規糖尿病のリスク増加に関連している可能性がある。

開始日:平成25年6月5日

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