巻き込む技術

―文献名―
「巻き込む技術」  大和出版  2014.2 桑畑幸博

―要約―
①この人の話なら聞いてみよう」と周りとの距離を縮める。
 ・本題に入る前に相手に耳を傾けてもらう環境を作る。(つかみが重要)
 ・計画的に顔をうることが重要。
 単純接触効果:接する回数が多いとその対象に好感をもちやすくなる。(ロバート・ザイアンス 1968)巻き込みたい相手に好感を抱いてもらう。ただし、自分が否定的感情を持たない対象との接触という前提条件あり。(正像と鏡像、本人は見慣れた鏡像のほうが好き。)
 ・第一印象は大事、汚名返上は難しい。
 初頭効果:最初の情報から形成される第一印象が、その後の情報の「受け取り方」に影響を与える。(例:印象形成実験 知的で勤勉で頑固な人 vs 頑固で勤勉で知的な人 印象は?) 
 ・ 自分の個性を知り、相手に頼る。
  いい人そうだと感じてもらえる個性を意識する。
  明るい、真面目そう、優しそう…、寡黙、謙虚なども含まれる。(寡黙だけど聞き上手とか。)
  ハロー効果:役に立ちそうだと感じられる知識やスキル、経験(役職なども)
  返報性:自分を好きな人を好きになる、自分を嫌いな人を嫌いになりやすい。
  まずは相手のどこかよいところを探して自分から好きになることで相手からも好感を抱いてもらう。
  好感を抱く相手に「頼る」傾向がある。頼られて嫌な気分になる人は少ない。(自分から相談を。)
 ・共通点が多いと好感をいだきやすい。
 過去の事実:出身地、過去に参加したイベントや趣味
 その場の振る舞い:ミラーリング、間合い
 考え方のベクトル:共感(共感したふり、共感しずぎも注意)
 ※否定的反応(いや、でも)は耳を傾ける環境が整ってから。
☆参考:ニューカムのABXモデル

②「これは他人事じゃない」と周りに当事者意識を持たせる
 ・当事者意識がない人は巻き込めない、なぜ当事者意識をもてないか?
 代表例は「自分に自信がないため積極的に関わろうとしないタイプ」
 当事者になるのを避けている、役になっている実感がない
 (環境:叱ってばかりで褒めない上司の下で働いていると「どうせ頑張っても」という気になる)
 このタイプは褒められた経験だけでなく感謝された経験も少ない人が多い。
 →ほめる、感謝することで「役になっている実感」が得られれば当事者意識がもてるようになる。
 「失敗を恐れる、守備範囲を決めて積極的に関わらないタイプ。」
 リスク回避思考、手段の目的化に陥っているタイプ
 仕事の意味がわかれば役になっているという実感がわく。
 →意味を示し、様々な立ち場で考えてみること。
  失敗にもメリットがあることを示す。(セーフティーネット:責めない、再チャレンジの機会)
 「関係ないね、という当事者意識ゼロのタイプ。」
 実は関係があることを理解させる方法
 ・因果関係を丹念に追いかける(回り回って関係することは多い)
 ・他人ごとを自分たちに当てはめる
 (明日は我が身、似た立ち場:
  他部門や他業界で起こっていることが自分の立ち場で起こる可能性を考えさせる。)

③「たしかにその通りだ」と周りに理解・納得させる
 ・理屈で納得させる
 伝えるべきことをまとめる。まとめるグルーピング(整理)とラベリング(要約)を繰り返す。
 「論理のピラミッド」 結論を複数の根拠で支え、根拠を示す具体的情報で支える。
  上から下に「なぜならば」、下から上に「したがって」で繋がる。
 ・たとえ話でわかりやすく伝える。
 たとえ話を論理のピラミッドで組み立てる。

④「やるしかないでしょ」と周りをその気にさせる
 ・理屈を心が後押しする
 「ワクワク」という高揚感、「ヤバい」という危機感のような相手の感情を刺激する。
 プラスの感情とマイナスの感情のどちらを刺激するとこの人は動いてくれるのかを考える。
  プラスの感情:喜び、楽しみ、期待感、高揚感、安心感、充実感
   →変革志向:現状に満足しないが飽きっぽい、気が短く忙しくしていないと不安なタイプ
  マイナスの感情:怒り、悲しみ、危機感、挫折感、不信感、焦燥感
   →現状維持志向:我慢強く現状への不満は受け入れる、どちらかといえば面倒くさがり、慎重
 ・因果関係を示す。
 長期的・間接的な影響や結果を丹念に追いかける。
 ・ストーリーテリング:あえてメッセージを明示せず相手に答えてもらう。その答えに「その通り!」
 (例:さて、彼は何に気をつければよかったと思いますか?)

⑤「あ、そうすると…」と周りに気づかせる
 ・閉じた質問で確認する
 抽象的な発言は「たとえば」と具体例を挙げて、具体例だけの発言は「要するに」と要約して言い換える。
 本当ですか?という疑う問いかけ。
 ・開いた質問で考えさせる、気づかせる
 広く考える=たくさんの答えを出す、深く考える=掘り下げる・突き詰める

⑥「これからもこいつと」と上司を継続的に巻き込む
 ・対立する思惑に対して「どちらも間違ってはいない」ことを認める。
 立ち場や価値観に基づく優先順位が違うだけ。両者が合意できる共通点を見つけ提示する。
 (似た者どおしの雰囲気を作る)
 共通点を対立する思惑の「上:共通する目的」と「下:一緒にできること」を見つける。
 ・反感を買わない
 どんな話でも最後まで聞く、聞いている途中で否定的な反応をしないこと。
 批判は冷静に論理的に。
 ※質問の形をとる指示に注意。
 「○○したほうがいいと思うんだけど。君はどう思う?」
 こう聞かれてもまずは否定せず受け止めて、代案など自分の考えを述べる。
 ・非言語情報センサー

☆回りを巻き込むにふさわしい大義はあるのか?を考える。(回りへの影響を考える。)

【開催日】
2014年5月7日(水)

プレゼンスマネジメント

― 文献名 ―
 コーチングのプロが教える プレッゼンスマネジメント 「仕事は外見で決まる!」    日経BP社 2009.06

― この文献を選んだ背景 ― 
 保有している認定コーチングの資格更新のために受けたアドバンストコーチングのテーマの一つに「プレゼンスマネジメント」のセッションがあり、その内容をもう少し深めたいということで手に取った書籍。家庭医の診療やそれ以外の仕事にも役立てられそうなためここで紹介します。

― 要約 ―

 本書でいうプレゼンスマネジメントとは人間としての「ハードウェア(見てくれ、顔の作り、背の高さなど)」ではなく、ノンバーバルと言われる「ソフトウェア(視線、声のトーン、人との距離など)」を指す。よって、当人の努力次第でいくらでも改善できる要素であることが重要である。その外見作りを「プレゼンスマネジメント」とします。例えば、現在のアメリカの多くのビジネスリーダー、政治家などは自分にプレゼンスマネジメント専門のコーチをつけているとされています。彼らはどのように自分をみせるかをトレーニングされています。
 我々には無限の時間があるわけではなく、多くの人に、限られた時間で、信頼を勝ち取りビジョンを示さねばならない、そのためにプレゼンスをマネジメントすることが必要とされます。リーダーは内面だけでなく外見をつくることにも責任をもつべきです。
 本書では全11パートのレッスンから成り立ちますのでその要素を要約して抜粋します。

(1)「あご」の位置をマネジメントする
  × ・・・ あごを挙げて横目でみる(あげる・・・偉そう ずらす ・・・ 隠し事あり の印象)
  ○ ・・・ あごを下げてまっすぐみる

(2)「眼」をコントロールする
ポイントは3つ
 ① 多数が相手なら5秒ずつ眼を合わせていく。
 ② 眼の表情を知る(自身の感情の動きと眼の癖を知り、「優しい眼」を意識的に作れるようにする)
 ③ まばたきを適正化する(多すぎると落ち着きなし、少なすぎると威圧的な印象を与える)
 
(3)声で自分の話をマーキングする
 大事なポイントを声で表現するコツは3つ。淡々とした流暢な話は耳に残らない。
 ① 大きな声のポイント
 ② ゆっくりな声のポイント
 ③ 低い声なポイント

(4)距離を武器にする
 まずは自身のパーソナルスペースを知ること(相手にどこに立っていて欲しいか 癖を読む)
 基本は相手のパーソナルスペースを超えないところで。しかし決定的な緊張をもって話したい時はあえて超えて話す技術もある。

(5)相手の警戒心を緩める
 表情と声と言葉が紹介されています。
 表情:ソフトアイ・・・要は「優しげな顔」を意図的に作る
 声:ペーシング・・・相手と波長を合わせた声のトーンとする
 言葉:前置きして断定表現を避ける ・・・警戒心を緩めるためには有効。

(6)最高の「聞き姿」をつくる
 皆さんは自分の「聞き姿」を意識していますか?ポイントは7つです。
 視線、まばたき、口元、うなづきの頻度、姿勢、足の位置、手足のうごき

(7)最高の「話しかけ方」で相手の心をつかむ
 話しかけ方は「3つの輪」をイメージして話すことが紹介されています。
 第1の輪:自身一人が入っている輪。要は独り言レベル。・・・良くも悪くも注目を浴びます。
 第2の輪:自身と相手が入っている輪。パーソナルな輪・・・「思い」を語る際に有効です
 第3の輪:自身と聴衆皆が入る大きな輪。・・・客観的な情報やルールを多数に伝えるのに有効。
 状況に応じて、この輪を自在に使い分けられるようにするとよい。特に皆さんはきちんと「第2の輪」を使いこなせていますか?

(8)本当に伝えたい「素材」を探してから話す
 相手を引き込む話をしたい場合は、自身が感動したポイントがどこなのかを「探すこと」そして、それをなるべく具体的に「描出」すること、この2点が相手の心を動かすために重要です。
  × ・・・「海がとってもきれい」
  ○ ・・・「海面から30m下の海底がはっきり見えるんです」

(9)相手の存在を承認する「まなざし」を身につける
 「承認」はもちろん大事なのですが、ここでは「まなざし」の作り方として、相手を複眼的にみることを推奨しています(全人的に扱うのは家庭医としては得意技ですよね!)

(10)最高のパフォーマンスを作り出すための「儀式」を用意する
最高の心身状態に入るための儀式は知らずに持っていることも。言語化してみましょう。
例)イチローが打席に入るときの特徴的なバットさばき など。

(11)自分の軸を確立する
 最も難しく最も大切なこと。「リーダーとして(ここは様々に変化)最も大切としたいことは何か?」という質問に答えられるかどうかが指標。これがぶれるとおのずとプレゼンスもぶれてしまうため、常に問いを持ってプレゼンスをつくること。

― 考察とディスカッション ―
 今回はコーチングの一環で読み始めた書籍だが、家庭医のパフォーマンスでも十分応用のきく内容が多く、自身の外来やスタッフへ対し方を振り返るきっかけになった。ビデオレビューではよくノンバーバルのフィードバックがかけられることも多いと思いますが、さらに深いフィードバックとして今回の知識も活かせるのではないでしょうか。
 さて、皆さんは自身のプレゼンスマネジメントで意識していることはありますか?

開催日:平成26年2月12日

ファシリテーターとは?-集団の知的相互作用を促進する−

-文献名-

ファシリテーション入門 日本経済新聞社 2004
ファシリテーター養成講座 ダイヤモンド社 2007

-要約-

 ファシリテーター(促進者)とは、参加者の心の動きや状況を見ながら、実際にプログラムを進行して行く人のこと。ファシリテーターの媒介によって、参加者の本来的な学びが促進され、体験したことを次のステップへと、結びつけることが容易になる。

「グループ・プロセス」

 グループの中で起っていることには、大きく分けて二つの側面がある。一つは「コンテント」。グループの話題や課題、作業や仕事などの内容的な側面で、通常、何をしていたか、何を話していたかと問われて答えるもの。二つ目が「プロセス」。グループの中で起こっている人と人との関係的過程。グループ・メンバー個人の内にある感じ方(感覚)、考え方(価値観)、気持ち(感情)、欲求(意図)、そして外に出る行動と各個人のそれらの相互の影響関係の総体が「グループ・プロセス」という。このグループ・プロセスのデータを収集する作業が「ふりかえり」であり、グループ・メンバーがどのように観察したか、考えたかを提供しあう作業が「分かちあい」である。

【ファシリテーターはプロセスに関わる】

 (1)プロセスを観察すること。グループ内のコミュニケーションのデータ、意思決定のデータ、雰囲気のデータなどを観察して、いまグループはどのような状態であるかを診断する。

 (2)プロセスに介入すること。いまのグループに必要な介入は何かを考えて、グループやメンバーに質問をしたり、明確にしたり、表出されている感情をサポートするなど、グループの状況にかかわりを持つこと。

 (3)プロセスをデザインすること。これはファシリテーターの役割の中で最も難しいもので、介入に際してファシリテーターは何種類かの予測をたてて、その中から介入を選択する。

  ファシリテーターとして求められることとして、「内的動機づけ」を引き出すことがある。そのためには、参加者の主体性を引き出す援助をすること、経験をより大きな気づきへと導くこと、状況を見ながら適切な介入を行うこと、が望まれる。介入するポイントは、たとえば、アクティビティが円滑に進行していない時、実施のルールが守られていない時、グループでの課題達成が難しいと判断された時、ふりかえり・わかちあいが進んでいない時、参加者から質問を受けた時、などがあげられる。ただし、主体的な学びのプロセスを妨げないように配慮が必要。ファシリテーターとしては、何らかの目的や意図をもってかかわっているので、つい自分の思いを達成したいあまりに、気づきを押し付けるような、ある種の”操作”をしがち。介入とは「しなくてはならないこと」ではなくて、「必要があった時にあえて行なうもの」と考えられます。進行が自然であれば「何もしない介入」もあるという認識が大切。例)「このような見方もできますが、どうでしょう?」

【相互作用によって枠組みを打ち破る】

 考え方を変えることは難しい。変える方法として、1つは「内省」。(コーチ、カウンセリング)もう1つが「相互作用を使って自分の枠を打ち破るファシリテーション」。他者とぶつかり、互いの違いを知ることで自分の壁を悟り、新しい自分を発見していく。

【ファシリテーションの4つのスキル】

 1.場のデザインスキル ~場をつくり、つなげる~

  何を目的にして、誰を集めて、どういうやり方で議論していくのか、相互作用がおこる場づくりからファシリテーションは始まる。目標の共有から、協働意欲の醸成まで、チームづくりの成否がその後の活動を左右する。中でも大切なのが活動のプロセス設計。問題解決プロセスをはじめ、基本となるパターンをベースに、活動の目的とチームの状態に応じて段取りを組み立てていかなければならない。

 2. 対人関係スキル ~受け止め、引き出す~

  活動がスタートすれば、自由に思いを語り合い、あらゆる仮説を引き出しながら、チーム意識と相互理解を深めていく。問題解決でいえば、発散のステップ。ファシリテーターは、しっかりとメッセージを受け止め、そこにこめられた意味や思いを引っ張り出していく。具体的には、傾聴、復唱、質問、主張、非言語メッセージの解読など、コミュニケーション系(EQ系)のスキルが求められる。内的動機づけを創りだす。うまいきっかけをつくれても、成果を横取りしてはいけない。(参加者に、やらされ感がでてしまう。)

 3. 構造化スキル ~かみ合わせ、整理する~

  発散が終れば収束。論理的にもしっかりと議論をかみあわせながら、議論の全体像を整理して、論点を絞り込んでいく。図解など使いながら、議論を分かりやすい形にまとめていくことがある。ロジカルシンキングをはじめとする、思考系(IQ系)のスキルが求められる。図解ツールも覚えておくとよい。

 4. 合意形成スキル ~まとめて、分かち合う~

  議論がある程度煮詰まってきたら創造的なコンセンサスに向けて意見をまとめていく。問題解決でいえば、意思決定のステップ。多くの場合には、ここで様々な対立が生まれ、簡単には意見がまとまらない。対立解消のスキルが求められ、ファシリテーターの力量が最も問われるところ。ひとたび合意ができれば、活動を振り返って個人や組織の学びを確認し、次に向けての糧としていきます。

【ハプニングへの心構え】

 ファシリテーターは、体験の場を創出する人。参加者からの台本にない反応を前に、時に「どうしよう」と途方に暮れることもある。操作的でなく進行させた場合、スタッフが意図した通りに進むことは稀。むしろ予想外のハプニングが起こるからこそ”体験”。とにかく、「どこまで参加者を信頼できるか」「参加者自身にどれだけ預けることができるか」など、これまでの”過程”を思い起こしながら、一歩引いた冷静な状況判断が必要となる。ファシリテーターとしては、どれだけ過程が見えているかが問われるところ。ファシリテーターは指導者ではないので、全ての解答を用意している必要はない。「葛藤を誘う場面を用意すること」と、「主体的な発言を促すこと(参加者のやる気)」ができれば、あとは主役の参加者と共にプロセスに参加し、共に育つ『共育者』であることが大切。

開催日:平成25年6月12日

信念対立解明アプローチ

【文献名】
著者名:京極真
文献タイトル:医療関係者のための信念対立解明アプローチ
雑誌名・書籍名:コミュニケーション・スキル入門、誠信書房
発行年:2011年

【要約】
<信念対立とは?>
―事例(1)―
「あいつは何もわかっていない」–次郎(医師、32歳)VS三郎(医師、59歳)
・ 次郎「三郎は『患者は無知だ』という大柄な態度」
・ 三郎「無知でわがままな『患者様』に丁寧に対応していたら、まともな医療は行えない」

―事例(2)―
「楽しいはずの園芸がストレスでいっぱい」−花子(作業療法士、32歳)
・ 施設長が利用者に怒るので、「怒るのはやめて欲しい」と言っても、「キミたち作業療法士は作業療法をわかってない!」逆に怒られてしまう。

―事例(3)―
「チーム医療?うちはチームそのものがありません」–太郎(理学療法士、37歳)
・ 以前の職場は専門職の違いにとらわれず、お互いに協力し合っていたが、新しい職場は連携すらない。現状を変えようとしたら、逆に苦情が入った。

―事例(4)―
「もし、希望がかなっていたら・・・」–梅子(看護師、25歳)
・ 40年以上入院している患者に「家族に会いたい」と言われ、病棟カンファレンスで「家族に合わせてやりたい」と言ったが、主治医や看護師長に許可してもらえず、患者は1年後に自殺した。患者の希望に答えられなかった自分をずっと責め続けている。

 信念対立は(1)のような「衝突」、(2)~(4)のように「徒労感」「ストレス」「後悔」などの苦悩として体験される。梅子は患者の自殺がトラウマになったが、他のスタッフはそうではなかった。信念対立は立ち位置が異なれば、受け取り方が変わる問題。つまり、「それぞれが自分の信念を自覚することなく絶対視することにより起こる根源的な対立」である。

<構造構成学とは何か?>
 ここでは、信念対立解明アプローチの体系化という関心のもと、構造構成学の中核原理である現象、志向相関性、構造、のみに絞り込んで論じる。その関係は「現象は志向相関的に構造化される」と表せる。構造とは、具体的で個別的な体験の内容です。志向相関性は、経験内容を規定する根拠となるものです。現象は、立ち現れたすべての経験です。そして、あらゆる信念は志向相関的に構成された構造なのです。

<信念対立を解明するとはどういうことか>
 解明とは、誰もが丁寧に洞察すれば理解できるような考え方を示すことで、問題を問題でなくしてしまう営みです。すなわち、信念対立の解明とは、信念対立を信念対立でなくしてしまうことだといえます。

 解明術壱号は、信念対立化した人々が信念の契機–志向相関的な側面に気づくよう促すことで、疑義の余地なき信念の相対化を推し進める方法です。
  具体例 医師 「患者にいきなり癌を告知するのはよくない」
      解明師 「それはどういう意図で言っているのですか?」

 解明術弐号は、解明術壱号で相対化できないくらいガチガチに硬直しきった信念の成立根拠を打ち崩すときに用います。 
  具体例 理学療法士「あの介護士はまったく信用できない」
      解明師     「なぜそこまで言い切れるのですか?」

 解明術参号では、解明術壱号と解明術弐号で開かれた人々への多様性への感度を踏まえたうえで、共通了解可能性を担保した状態に至れるよう支援する方法です。
  具体例 介護福祉士「これまでのやりとりから、私には介護の効率性に関心があることがわかりました」
      看護師    「私は安全に病棟生活を送ることに、関心があったと思います」
      作業療法士 「私は患者のADLの自立に関心がありました」
      解明師    「なるほど。皆さんそれぞれ関心が異なるわけですが、互いに相手の関心事のなかで納得できそうなものはありませんか?」

【開催日】
2012年6月6日

交渉における感情の影響

【文献名】
ロジャー・フィッシャー & ダニエル・シャピロ 著、新ハーバード流交渉術‐感情をポジティブに活用する‐、原著名”Beyond Reason -Using Emotions as You Negotiate-“



【要約】

感情は合理的な思考を妨げるものと捉えられがちだが、ポジティブな感情を刺激することができれば交渉が上手く運ぶこともある。ただし、感情そのものではなく、その原因となっている根本的欲求の問題を解決するという考え方が重要である。自分が現在持っている感情とその原因全てを理解しようとするよりも、皆が共有する5つの欲求に焦点を当てる方が現実的である。



1.価値理解

相手の考え方を理解すること、相手が考え、思い、行うことに価値を見出すこと、そして、こうして理解したことを言葉や行動を通して相手に伝えることによって成立する。これは価値を認める行為であり交渉懸案に関する同意でも譲歩ではない。


2.つながり

共同作業にはつながりが重要である。互いを仲間と思えるような構造的なつながりを探索したり、秘密をうちあけるような個人的なつながりを築く。

3.自律性

だれでも自由に意思決定をしたり、他人の意思決定に影響を与えたいという欲求がある。自らの自律性を拡大しつつ、相手の自律性も侵害しないことは可能。「決める前に相談することを考えよ(CCBD:Consider Consulting Before Deciding)」

4.ステータス

見下されてよく思う人はいない。人それぞれが様々な分野でステータスを持ち得ることを認める。

5.役割

不十分な役割しかはたしていないと自分が取るに足りない存在であると思ったり、活力を失ったりする。従来型の役割に満足が得られる活動内容をとり入れて役割をつくりかえることが可能である。また、共同作業が行えるように一時的な役割を自由に選択することもできる。




【開催日】
2011年10月19日

Googleを用いた診断精度

【文献名】

Googling for a diagnosis?use of Google as a diagnostic aid: internet based study
BMJ 333 : 1143 doi: 10.1136/bmj.39003.640567.AE (Published 10 November 2006)




【要約】

<Objective>

To determine how often searching with Google (the most popular search engine on the world wide web) leads doctors to the correct diagnosis.



<Design>

Internet based study using Google to search for diagnoses; researchers were blind to the correct diagnoses.

<Setting>
One year’s (2005) diagnostic cases published in the case records of the New England Journal of Medicine.



<Cases>
26 cases from the New England Journal of Medicine; management cases were excluded.



<Main outcome measure>
Percentage of correct diagnoses from Google searches (compared with the diagnoses as published in the New England Journal of Medicine).



<Results>
Google searches revealed the correct diagnosis in 15 (58%, 95% confidence interval 38% to 77%) cases.



<Conclusion>

As internet access becomes more readily available in outpatient clinics and hospital wards, the web is rapidly becoming an important clinical tool for doctors. The use of web based searching may help doctors to diagnose difficult cases.



<※Method>

We selected a convenient sample of one year’s (2005) diagnostic cases presented in the case records of the New England Journal of Medicine. We excluded management cases. After discussion, we selected three to five search terms from each case record and entered them on a data sheet. We then did a Google search for each case while blind to the correct diagnoses (that is, before reading the differential diagnosis and conclusion of each case record). We selected and recorded the three most prominent diagnoses that seemed to fit the symptoms and signs. We then compared the results with the correct diagnoses as published in the case records.




【開催日】

2011年9月28日

結果を出すチームとは

【文献名】

富永浩義.すごいチーム あさ出版,2010.



【要約】

1.チームメンバーの集め方

・チームでの達成目標の明確な設定

・目標達成のためのメンバーを検討

・個々のメンバーに期待することを明言

※    キックオフミーティングの招待状を個別で作成し郵送



2.自立的な環境の作り方

・参加メンバーが自ら設定する成果を発表

※会議の場では、紙に書いて発表する

→コミュニケーションが早くなり、独自性のある意見が出され、会議が前進する



3.チームのムードの作り方

・うまくいっていることから話す

・聞いている人はほめる, 拍手する



4.言葉の効果的な使い方

・会議での会話は、提案, リクエスト, 質問 のみとする

※チーム内で合意しておくこと

①最終的な意思決定はリーダーが行う

②①の前に、メンバーは自分が最高と思うアイディアを出す

③①がメンバー自身の意見と異なっても、結果的に①が正しくなるように行動する



5.モチベーションの上げ方

・言えない問題をテーブルの上に載せる

・その問題の解決法を探る(「なんで○○できない?」→「どうすれば〇〇できる?」)



6.目標設定の方法

・チームの目標は自分達で作る(トップダウンで与えられた目標は一旦忘れる)

・目標に名前を付ける「○○プロジェクト」
 
→自主性が生まれる



7.役割分担の方法

・担当すると最もうまくいくのは誰かを考える

・責任者を探さない

・責任感を持つことを無理強いしない



8.ゴール設定の方法

・手の届くところに小さなゴール(目標達成に至るまでの目安)を設定

ゴール:一定期間で区切った測定可能な内容とする



9.守られる約束の作り方

・求めている期限, 成果を明確化する

コミットメントリスト:「いつまでに誰がどんな行動を起こしてどんな成果を出すか」

・週1回は進捗会議を設ける



10.チームワークの作り方

・ほめる場を作る(ミーティング終了時や飲み会など)

「誰のどんな言葉・態度が良かったか」

→誰かを悪者にすることが減る



11.問題を引きずり出して叩く方法

・早めに問題を具体化して解決策を考え、実行に移す
 
①問題を具体化「どのようにすれば○○出来るか?」
 
②問題にかかわる事実を多く出す
 
③自由な発想で解決のアイディアを出す
 
④コミットメントリストを作る



12.目標変更の考え方

・目標が達成できそうにない場合、目標変更をすすめられるのは以下の3点

①自分の力の及ばないところで外部環境が変わってしまう(急な円高・法律変更・災害)

②新たな目標設定によってより前進できる

③メンバー全員が100%本気でやったと言い切れる




【考察とディスカッション】

ぼんやりしたプロジェクト内容や問題点を明確にし、それを進めるためによい役割を果たしてくれるメンバーを招集し、目標を具体化してスタートする…ということをきっちり行うことが重要と確認出来た。
診療所・クリニックにおいては、プロジェクトや問題解決を各プロジェクトや各部門に委譲することが多い。そのため、組織全体を見渡すこと、各部門についてリーダーや個々のメンバーの特性を把握すること、必要時に助言する準備・余裕を持っておくことが必要かと思われた。



【開催日】

2011年7月13日

システム思考の実践のコツ

【文献名】
枝廣淳子・小田理一郎.もっと使いこなす!「システム思考」教本.東洋経済新報社.2010

【要約】
<この本の内容>
本書はシステム思考の実践・応用に主眼を置き、序章で視点の変化・メンタルモデルの修正の重要性、Ⅰ章でシステム思考のためのツールの紹介、Ⅱ~V章で個人や組織、事業戦略や社会に関するシステム思考の実践・応用の31事例を紹介している

<共有したい文章>*一部編集しています 
視座の高さ・視野の広さ (p2)
「見る視座によって見える範囲も見える要素も、そして関心ある事項がその周囲とどういった関係にあるかも、まったく違ったレベルで考えることができる」

今という時間の意味 (p5)
「今という時は、さまざまな物事の推移の交差点・・・現在は過去の様々な影響の終結する点であり、現在の行動は未来の様々な時点に影響を与える」

全体の視点で見る~全体最適 (p12)
「全体最適は概して望ましいのですが、全体主義に陥ってしまうことには気をつけなくてはいけません」

視点を変えるツールの特徴 (p23)
「全般に共通して、以下のような基本動作を含んでいます
  ● 現場を徹底的に観察する
    ●時間軸をのばす
    ●全般的な流れ、パターンを把握する
    ●自分の思考や行動を見える化する
    ●ゆっくりと考える
    ●見えていなかったものを探す
    ●前提を見つめ直す
    ●立場を変えて考える
    ●立場を超えて考える
    ●ゆらぎを起こす
    ●問いかける/探求する

学習する組織のための3つのコアコンピタンス (p37)
「1システム思考による複雑性の理解、2メンタルモデルを克服しダイアログを勧める共創的な会話、3志」

<共有したい事例>
Ⅱ-1 成功のための行動習慣が身につかない (p40)
「行動は構造・環境が作り出す。・・・行動を変えるのではなく環境を変える」

Ⅱ-7 仕事がなかなか終わらない (p61)
「システムを上手く動かすには、『自己組織化』『レジリアンス』『階層化』が重要」
「階層化の本来の目的は全体の貢献をなす下部組織の働きを効果的にすることだが、この目的は組織の上部と下部それぞれで忘れられてしまいがち」
「全体の目的に向けての調整と、それぞれの下部組織の自由度とのバランスをとることで階層化は機能する」
「また、時間の変化と共に環境変化の衝撃を吸収する能力(=レジリアンス)、適応して自らを進化させる能力(自己組織化)を兼ね備えたシステムづくりを心がけましょう」

Ⅲ-2 プロジェクトがどんどん遅れていく (p84)
「問題が発生してから生じるコストは、悪循環の他のさまざまな要素・関係者との調整をともない、とても大きなものとなります。事前の調整や段取りをしっかりすることで、はるかに少ない投資で問題が生じた際の大きなコストを回避することができる。」

Ⅲ-4 問題解決が新たな問題をつくる (p99)
「自分たちも問題構造の一部である」

Ⅳ-2 企業成長の罠 (p124)
「事業の成長よりも先に組織の能力を成長させねばならない。それができないのなら事業の成長を緩める。」
「『速いものが遅く、遅いものが速く』と、複雑なシステムの挙動は合理性を超えています。ジレンマの構造に気づき、自らを律して成長を緩めることができて初めて持続的な成長を実現できる。」

Ⅴ-2 対処しても野良犬だらけ (p156)
「潜在的な環境システムを変えない限り、問題への有効な策は打てない」

Ⅴ-4 U理論によるサステナブル・フード・ラボ (p162)
「いかに自分たちの思いこみや固定観念を捨てて変われるかが最大のチャレンジ」

V-5 目に見えない資本がものをいう (p166)
「経済開発では、自国の経済にある自己強化型ループを強めること、またそういった自己強化型ループを多重に埋め込むことが重要なポイント」
「測りにくいからといって重要でないということはなく、人的資本や社会資本など一見わかりにくいが重要な富の源泉となるものがあり、これらの富を将来に渡って枯渇させず、維持または増加させるマネジメントが重要」

【考察とディスカッション】
視点を変えるツールの共通の基本動作のリストは、実践のコツとして個人レベル、組織レベルで役に立つと思った。また、Bio-psycho-social Approachだけでなく、不確実性に耐えて扱う時もこのシステム思考は、家庭医にとって重要な熟達すべきスキルだと感た。

【開催日】
2011年5月18日

~影響力の原理~

【文献名】

Donald A. Redelmeier, Robert B. Cialdini. Problems for clinical judgement: 5. Principles of influence in medical practice. CMAJ 2002;166(13):1680-1684

医療における「影響力」の7要素-人はなぜ動かされるのか?- 広島大学病院 佐伯俊成




【要約】

心理学における基礎科学は特異的な自動反応(ingrained responses=しみついた反応)を同定した。その反応というのは人の性質の根本的な要素であり、一般的な影響の戦略(influence strategies)を裏打ちするもので、医療の現場において適応できるかもしれない。・人は受けた恩義にこたえようとする義務感を感じる。・少しばかり受け入れがたいお願いを先にすると、(それより条件の良い)要求はより魅力的になる。・一貫性のある活動への意欲というのはたとえ要求が過剰になっても続く。・人は不確実な状態に直面した時、周囲からの圧力(Peer Pressure)は極めて強いものとなる。・要求する人のイメージが要求それ自体の魅力に影響を与える。・権威は専門家としての力量以上の力を持っている。・機会はそれらが得られにくように見える時ほど、より価値あるように見える。これらの7つの反応は何十年も前に心理学の研究により発見され、ビジネスの世界で直観的に理解されているようであるが、医療の文脈ではめったに議論がされていない。臨床家はこれらの原理を意識することで、患者が自分の行動を変える手助けをし、社会における他の人々が時に患者の選択をどの様に変えるのかということを理解するための、一つのフレームワークを提供することが出来る。

【Basic theory:基本的原理】

患者は圧倒的な情報の中で生活しているので、たとえ関係のある出来ごとでも「思慮深い決断」を下すことはほぼ不可能である。これらをうまく処理するためには、患者は自動反応(ingrained responses)と呼ばれる理にかなった近道が頼りになる。人の論理的思考過程において、自動反応というのは大半の影響の戦略の根底にある基本的な経路である。これらの経路を意識することが、患者が習慣を変える手助けを試みるためのフレームワークを臨床家に提供する。(Table1)

【Reciprocation:返報】

他人がその人に提供したものと同様のやり方で報いようとすることである。

<医療における返報性>

患者を心地よくさせることのできる臨床家は、アドバイスをした際により真摯に受け止められる傾向があるようである。これはただ単に医者がより熱心に見えるだけでなく、患者が感謝されているように感じるからだと言われている。患者の都合による突然の予約のリクエストに同意したり、小さな町において有名な地域社会の指導者をサポートしたりするといったような、ちょっとした頼みに便宜を図る臨床家は、生活習慣の変化を提案する際に何らかの優位性を有している。たとえ救急という匿名の状況においてさえ、わずかな思いやりでホームレスが少し違った(好ましい)振る舞いをする原因となり得る。

【Concession:譲歩】

返報の特殊な形で、他の誰かが歩み寄りを申し出ると、その後に譲歩する義務を感じるというものである。

<医療における譲歩>

血圧コントロールに乗り気でない患者に対して、まず追加の物事を提案した後に、最初に血圧に集中すると同意が得られるかもしれない。大腸内視鏡のスクリーニングを拒否している患者はバリウム造影検査については議論してくれるかもしれない。ただし、患者の行動変容の段階に応じてカウンセリングをすることが必要不可欠である。

【Consistency:一貫性】

人はひとたび選び取ると、その制約を維持し続けようとする強い傾向を持つ。
一貫性とみなされる欲求はとても強い力をもっており、自分自身の興味に反しても行動し続ける結果となりうる。

<医療における一貫性>

臨床家は健康の選択を強化するため一貫性に関する患者の欲求をガイドすることが出来るかもしれない。強情な喫煙者に煙草の欠点を2つリストアップしてもらうよう頼むことが出来る。この小さな課題であれば受け入れてくれるだろう。リストを作ってしまうと、患者は次の受診までのもっとそのことについて話したくなっているかもしれない。そののちの受診では、患者は(喫煙を)止める議論をしたくなるかもしれない。

【Endorsement:保証、承認】

自分に関係している他人を真似することによって何が正しいかということを決める。何が正常な習慣を構成しているか決めようと試みている際には、順応に対する圧力というのは特に強く働く。

<医療における保証>

難しい医学的判断というのはしばしば規範へのアピールにより決められる、その中で患者は他人のあいだで何に人気があるかに注意がはらわれる。手術か放射線治療科を選ばなければならない肺癌の男性は、単純な「多くの患者が手術を受けます」という言葉がどんな医学的なデータよりも説得力があるかもしれない。新しい社会的な基盤を打ち立てることが出来るので、それゆえ臨床家は影響力をもっている。先手を打って思いやりを示すと、患者は気恥ずかしい情報を公開することに拍車がかかるのはなぜかということを、この「保証」が説明している。「多くの糖尿病の患者さんは性的不能になるのです、もしかしてあなたもそうじゃないですか?」

【Liking:好意】

自分が好意を持っている人から頼まれると人は了承しやすい。(ハロー効果)

<医療における好意>
 
開業医は尊敬される専門家のイメージがあるので、潜在的にビジネスマンより説得力がある存在になり得る。泣いている患者にティッシュを渡す開業医は人間味のある人に見えるだろう。親切で気さくな臨床家はより多くの患者の心遣いを扱うことが出来るかもしれない。血圧がよくなったことを褒める臨床家は患者がさらなる同意を得るのを力づけ、動機づけるだろう。人に好かれる臨床家は標準化された教材よりも同僚をより効果的に揺り動かすことができる。もちろん専門家は自身の魅力的なイメージを、患者の悪口を言うというような、間違った使用をしないようにしなければならない。

【Authority:権威】

人は権威者の命令に従うという深い義務感を持っている。

<医療における権威>

臨床家は権威であり、それにより権力を持っている。あるケースにおいては、その他の医者以外にはだれもその医者の判断を却下することはできない。アシスタントによるよりも医者によりアドバイスされた方がコンプライアンスは上昇する。具体的に患者の心配を尋ねることで、直接誤解を解消することが出来る。医者による一回の忠告だけで時に患者は禁煙をすることが出来ることがある。この権威への服従はエラーにつながる。たとえば看護師が医師の不適切なオーダーに疑問をさしはさまなかったり、政治的な力を持っている患者を不公平に優先したりする場合である。

【Scarcity:希少性】

まれという理由で機会が価値あるものと思える。

<医療における希少性>

臨床家は助言をより強力な物にするため希少性を思い起こさせるかもしれない。前置きのアドバイスにて「今日見た全ての患者の中であなたが一番心に残っています、なぜなら…」 このような差別化は、この後にどの様なアドバイスが来たとしても重みを与え、彼らの習慣を変えるよう動機づけられるかもしれない。色々な代替案を示されるより、一つの選択肢をしめされたとき、そのままの状態を差し控え、新たな選択を受け入れる傾向になぜあるかということを、この希少性の原理は説明する助けになる。特別な治療を受けているという認識が、なぜ心移植患者が従順であり続けるかということを説明しているかもしれない。

【まとめ】

自由社会において有能な大人の習慣を変えるにはコントロールするのではなく影響力を行使することが必要である。医学の全ての側面にいえることだが、影響力の戦略は狙ったケアによって良いものにも害にもなり得る。社会における力(forces in society)が既にこれらのテクニックを患者に対して使用しているのが現実である。患者が有益な選択をする手助けをするにはどのようにするかを意識することが、効果的なケアを提供するために臨床家に必要なスキルである。



【開催日】
2011年1月19日(水)

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