社会的処方の実際〜システマティックレビューから

-文献名-
Social prescribing: less rhetoric and more reality. A systematic review of the evidence
Bickerdike L, et al. BMJ Open 2017;7:e013384. doi:10.1136/bmjopen-2016-013384

-要約-
【目的】社会的処方は、プライマリケア現場の患者とコミュニティ内の支援リソースを繋げる方法である。これは彼らの健康や幸福の改善を助ける目的で行われる。社会的処方プログラムはUK National Health Service内で広く普及、採用されており、私たちはその効果を評価すべくシステマティックレビューを行った。

【セッティングとデータ元】2000年から2016年1月までUK 内で実施された研究を9つのデーターベースで検索した。関連ある報告書やガイドライン、ウェブサイトや検索された文献の孫引き文献も検索をした。全ての検索は英語に限定された。

【対象】システマテックレビューとプライマリケア現場からリンクワーカー(又は社会的処方のファシリテーター)へ患者を紹介したプログラムの評価報告がinclusionされた。Inclusionする研究の選択バイアスは2名の独立した評価者により保証され、
narrative synthesisが行われた。
やり方:http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.178.3100&rep=rep1&type=pdf
透明性への批判:http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32270-X/abstract

【一次アウトカム、二次アウトカムの測定】一次アウトカムは、健康や幸福またはヘルスサービス利用量の測定結果とした。

【結果】15の社会的処方のプログラムの評価があった。大部分は小規模で不適切なデザインや報告のため限定されたものであった。又すべてで、バイアスが高いという評価であった。よく見られた研究デザインの問題点は、比較群がないこと、フォローアップ期間が短いこと、標準化され確立された測定尺度ではないこと、欠損値や潜在的な交絡因子への不十分な配慮といったものであった。このような明確な方法論の欠点があるにもかかわらず、ほとんどの評価は肯定的な結論を示していた。

【結論】社会的処方は、広くて提唱され実施されているが、現在のところ、成功したかどうか、対価に見合うかの判断をするための十分かつ詳細なエビデンスはない。もし社会的処方がその可能性を示すのであれば、今後の評価は、研究デザインとして比較群をもうけるべきである。そして、いつ、誰によって、誰に対して、どのように、いくらかかるかも考慮するべきである。

【開催日】2018年3月7日(水)

健康の社会的決定要因に取り組むためのプライマリ・ケア能力を育てるフレームワーク

-文献名-
Andrew D. Pinto and Gary Bloch. Canadian Family Physician November 2017, 63 (11) e476-e482;

-要約-
<背景>
家庭医は個人や地域の健康に影響する社会的な要因についての理解を持っている。
しかし多くのプライマリ・ケア組織はそれらのSDOHへの取り組む能力を開発できないままでいる。

<プログラムの目的>
質の高いプライマリ・ケアの一部としてSDOHに取り組むための介入を支援し、組織文化を強化する。

<プログラムの詳細>
トロントの聖ミカエル病院(関連グループで4万5千人の患者;貧困が多くホームレスやホームレスリスクの患者を抱え、六つのクリニックを持つ)の学術家庭健康チーム;FHT(75名の医師と100名以上の多職種ですべてのプライマリ・ケアを提供している組織)がSDOHに焦点を当てた多職種チーム(医師8名、地域デザインの専門家1名、ナースプラクティショナー2名、看護師1名、ソーシャルワーカー1名、法律家1名などなど、レジデントや医学生も参加)と委員会活動(年9回の会議と年1回のリトリート)を立ち上げた。活動目標はBox1。委員会では患者への社会因子の影響を調査し、五つの介入についてそのアイディアからプログラムの計画と開発(実施プログラム、その研究費の確保、人材の採用、寄付の募集まで)を行った。

■健康格差についての詳細な社会地理的なデータの収集と分析
・FHTを受診する患者の収入、住宅環境、ジェンダー、その他の鍵となるSDOHを収集し電子カルテに記入
・これらのデータベースを活動と計画のもとにした
■収入保障と健康増進サービスの試験的取り組み
・FHTの中に2名の収入保障・健康増進の専門家を置く
・収入を増やすため、浪費を減らすため、家計のリテラシーを高めるためのプログラムを実施
・実施した内容のカルテレビューや当事者のインタビューから質的研究を実施し、プログラムを改善
■医学と法律の連携の確立
・数年来の取り組みから、常勤の法律家を配置し、三つの活動目標を設定
・一つは社会的危機の予防や、危機による被害への早期介入のための法的な助言
・もう一つは医療システムを扱う力の改善と、弁護士の介入を受けずに法的な問題を同定し対応する
・そして全体的な法的な問題を同定し、SDOHに取り組むための法律の改定や代弁の強化
■診療所単位での子供の健康リテラシー向上プログラム
・アメリカで始まった小児への早期の健康リテラシー向上の取り組み(Reach Out and Read);クリニックの待合室をリテラシー・リッチ(具体的な記述なし)にする、受診毎の助言や本のプレゼント、をもとにした
・トロントの公立図書館への支援、子供への図書バンク、ファーストブックの活動を行なった。
■正規職への就労支援
・診療所と就労支援センターとの連携で開始
これらの介入は厳格な評価計画と実施や効果の測定を含み、次の段階としては開発された方法を社会格差の是正のための社会的に上方の活動に持っていくことである。

<フレームワークの紹介>
Figure1に紹介、このフレームワークはcommunity-oriented primary careの考え方と、Devoeのフレームを組み合わせて開発した。まず四つの視点での情報収集、そしてそれに取り組むための組織開発や五つのStepが述べられている。

【開催日】2017年12月20日(水)

1世代のうちに格差をなくそう:健康の社会的決定要因に対する取り組みを通じた健康の公平性

―文献名―
Commission on Social Determinants of Health. Closing the gap in a generation: health equity through action on the social determinants of health. Geneva: World Health Organization, 2008.

―要約―
委員会は、一世代のうちに健康格差をなくすことを求める
社会正義は生と死に関わることである。それは人々の生き方や、それに伴って生じる病に かかる可能性や、早世の危険に影響するものである。私たちは、一方では世界の特定の地域で平均余命と健康状態が改善し続ける様子に感嘆し、他方では、別の地域でそうした改 善が見られないことに懸念を抱く。今日生まれた女の子がある国では 80 歳以上まで生きる と期待できるのに、別の国では45歳まで生きられないと予測される。同じ国の中であっても、社会的不遇の程度と密接に関係した劇的な健康格差が存在する。同じ国内であれ、異 なる国の間であれ、このような格差は決して起こるべきではない。
これらの健康の不公平、つまり避けることが可能な健康の格差は、人々が成長し、生活し、 労働し、老いていく環境と、既存の保健医療システムが原因となって生じる。人々が生まれ、死にゆく環境条件を形成するのは、政治的、社会的、経済的な諸力である。政治政策および経済政策は、子どもが成長して潜在能力を全開させ、生き生きした生活を送ることができるか、それとも荒廃した生活を送ることになってしまうかを左右する。豊かな国でも貧しい国でも、解決すべき健康問題の本質は収束する傾向にある。ある社会の発展の水準は、その社会の貧富の程度にかかわらず、そこに暮らす人々の健康状態や、健康がいかに公平に社会階層の別なく保障されているか、そして健康障害による不遇から人々が保護されているかによって判定できる。「健康の社会的決定要因に関する委員会」は、2005年WHOにより、社会正義の精神にもとづいて、健康の公平性を促進するために必要な証拠(エビデンス)を揃え、健康の公平性の達成に向けた世界的な運動を前進させるために設置された。
本委員会は、WHOおよびすべての政府に対して、健康の公平性を達成するために、健康の社会的決定要因に関して国際的な取り組みを先導することを求める。いまこそ各国政府や市民社会、WHO、そしてそのほかの国際機関が、世界の人々の生活を改善するために連帯して行動を起こすことが不可欠である。一世代で健康の公平性を達成することは、可能であり、正義であり、いまこそそれをなすべき時である。

<委員会の主要な勧告>
1. 日常生活状況を改善する
・初め(幼年期)から公平性を保証する
健康な場所でこそ人々は健康になる
・公正な雇用と適切な労働
・ライフコースを通じた社会保障
国民皆健康保険
2. 権力、資金、リソースのし不公平な分配に対処する
・全ての政策、システム、事業において健康の公平性を考慮する
・公正な資金供給
・市場の責任
・ジェンダーの公平
政治的エンパワメント〜包摂(Inclusion様々な集団を含む)と発言権
・良好なグローバル・ガバナンス
3. 問題を測定して理解し、対策の影響を評価する
・健康の社会的決定要因:モニタリング、研究、そして訓練

<実践者>
・多国間機関
・WHO
・国と地方自治体
市民社会:政策、計画、事業及び評価への参加
:業績の監視
・民間部門
・研究機関

【開催日】
2017年10月4日(水)

Healthy Communities 総論

―文献名-
Frumkin, Howard. Environmental Health, edited by Howard Frumkin, John Wiley & Sons, Incorporated, 2016. Chapter 15

-要約-
【Key Concepts】
 ご近所、町、都市の設計は、人々の健康に影響を与える。近代の公衆衛生は都市計画や土地利用施策と歴史的に結びついている(表15.1)。土地利用(図15.4)や交通手段の決定は、日頃の身体活動、空気のきれいさ、安全、人付き合い、精神的な健康、社会的な公平、他の健康を規定する要因を支持したり、阻んだりする。
“Smart growth principles(テクスト図15.6)” は人々の健康に恩恵をもたらし、環境の持続可能性や回復力を支える。”Health impact assessment”は提案した企画やプロジェクト、政策の潜在的な影響を熟慮した上での意思決定を助けるツールである。地域作りや公衆衛生の新しい研究や流行として、土地利用計画者と公衆衛生の専門家の間で協同が増えてきている。

佐藤先生図1

佐藤先生図2

佐藤先生図3

 上の文章はHealth impact assessmentのステップについて言及部分

佐藤先生図4

【開催日】
 2017年3月15日(水)

ソーシャルキャピタルとは

―文献名―
イチロー・カワチ 「命の格差は止められるか ハーバード日本人教授の世界が注目する授業」小学館 2013年8月

―この文献を選んだ背景―
地域包括ケアは、介護・医療・福祉レベルで、診療所が主語の場合考えられることが多い。ただ民の生活や暮らしを考えると、コミュニティにおける「社会関係資本=ソーシャルキャピタル」が重要となる。また家族という形式が、今後多様になるにつれて、地域のネットワークとしてのーシャルキャピタルも鍵を握ることが考えられ、一度、ソーシャルキャピタルについての自分の立ち位置を整理したく本テキストを読んでみた。

―要約―
ソーシャルキャピタル=社会関係資本
平たく言うと、「社会における人々の結束により得られるもの」のこと。例えば「人々の絆」「お互い様の文化」「地域の結束力」「情けは人のためならず」「遠くの親戚より近くの他人」により皆さんが生活の中で得ているもの。
地域や人との信頼感をもとに、ひとが他人を思いやる協調的な行動をとり、それが地域全体や自分の財産になるという考え方に根ざしている。

第4章 健康に欠かせない「人間関係」の話
 アメリカにおける自殺、他殺、事故で亡くなる可能性をみてみると、人との繋がりが薄い人–つまり、
結婚していなかったり、親族がいなかったり、教会に通っていなかったりすると、死亡リスクが2倍以上になることが分かった。なぜ人との繋がりが強いと、健康になるのか?
メカニズム①:人とのつながりが、その人の行動を決める
   ・毎週たべる野菜の量は、男女ともに結婚すると増え、離婚もしくは伴侶が死別すると減る。
   ・飲酒:男性は離婚や死別による飲酒量が増える、女性は飲酒量が減る。
メカニズム②:人と交わるだけで健康になる
   ・人との交わりで保たれる身体の能力や機能があり、健康でいられる(DSへ通い出した方)
   ・家に閉じこもりの高齢者は、ADL低下や認知機能低下を来しやすい。
メカニズム③:つながりから生まれる支援の力
   ・家族、親戚、友人、同僚、上司、遊び仲間、サークルなどの組織からのサポートのこと。
     「もの」お金や本の貸し借り、直接的、物理的な支援
     「情報」口コミでよい病院を知る、おいしいパン屋、運動できる場所、サークル
     「感情的サポート」慰めたり、励ましたり
マイナスの影響もある:肥満の友人は肥満などの研究あり

ソーシャルキャピタルの測定方法:周りの人への信頼感についての質問を行う(以下が例)
   ・この地域の人を信頼できますか
   ・近所の人が困っていた時、手伝いますか
   ・ここは周りの人とのつながりが密な地域ですか
   ・近所同士は仲がよいですか
   ・たいていの人はチャンスがあれば、つけ込もうとすると思いますか   
これらを踏まえた取り組み
 人との繋がりを人工的につくっても結果はでない(医療者による定期訪問やグループセラピー)
 人間関係のつながりは長い時間をかけて自然につくられるものである。
 入院後のサポートというよりは、入院前からの人とのつながりが大事なのではないか
まとめ
 資本主義社会において、格差をゼロにすることは不可能。しかしソーシャルキャピタルは、地域の結束力や人との絆を高める事で、自然災害や貧困など不利な状況にもかかわらず、住民の安全と健康を保てる可能性を示している。

―考察とディスカッション―
上記下線部についての、自然と納得する感覚は、日本人の間でも大小はあると思われるが、他国からみるとそのような考え方に対して「わかるわかる」というような感覚が特殊にうつるのであろうと感じた(この理由は稲作などの関連して本文内で考察しているが)。

SCが豊かな人は、更に多くの選択肢が広がる一方、SCが乏しい人は、更に孤立化していく・・・というSCの格差もあり、カルテのPL内に#独居➡ではなく#乏しいソーシャルキャピタル、などと記載していくのがよいかと感じた。更にそこから、地域・コミュニティ志向型ケアの考え方で、上記患者さんの乏しいSCをどう開発できるか、どのような繋がりが地域にあれば、乏しいソーシャルキャピタルは解決されるのか・・・という発想で、地域作りの視点をもっていくこともよいだろう。
また地域で家庭医として「暮らす」中で、自分自身が、趣味活動や子ども繋がりPTA、近所同士のやりとり、雪かき、地域のお祭りなど積極的にソーシャルキャピタルを豊かにしていく中で、患者さんに対しても選択肢を提示したり、ソーシャルキャピタルのハブとして機能できる可能性を感じた。
身近な行動としては、徒歩通勤中の、すれ違う人たちへの挨拶から・・・ですかね。

サイト単位の考察としては、栄町のコミュニティルームなど、診療所自体がソーシャルキャピタルの場を提供していくこと、夜カフェなどのアウトリーチ、地域アセッツとの共同による活動、祭りの参加など診療所自体がSCとして機能するような戦略もありだと思う。

【開催日】
2014年8月6日(水)

小児に対する地域・コミュニティケアに求められるものとは?

―文献名―
平林優子ら.保育園児の家族が子供の健康に関して利用する社会資源と要望-首都圏1地区の調査より-.2009

―この文献を選んだ背景―
ここ最近、ケアcaféや地域包括ケアシステムなど、地域・コミュニティケアについて重要視され活動も活発になってきているが、対象が高齢者であることが多い。小児に対してはどうなのか、どのようなことが必要とされているのかなど、今後の活動に参考にしたかったため調べてみた。

―要約―
目的
・首都圏の1地区の公立保育園に通院する家族を対象に、子供の健康に関する社会資源の利用状況や要望を明らかにし、地域の支援のあり方を検討する

方法
・対象:首都圏の1地区の公立保育園に通院する1,217家族のうち回答された652件(回収率53.6%)のうち、有効回答649件を分析対象

・調査:調査用紙は2部構成。第1部は全員に回答を依頼し、子供の健康状態、地区の社会資源の利用の実態と要望などを内容とした。第2部は、特に継続支援を必要とする慢性疾患を持つ保護者に回答を依頼し、子供の健康状態、保育園での健康管理と支援の状況、社会資源の利用と利用の困難や要望を内容とした。

・分析:数値や名義尺度に関しては記述統計、記述項目については質問の目的に沿って回答を分類する内容分析を行った。子供の健康問題、社会資源の利用についてはχ2乗検定により慢性疾患の有無で回答の違いを確認した。

結果
・調査対象:回答は母親がほとんど。第2部まで回答した割合は94件(14.4%)。子供の月齢は42.1ヶ月で、2-5歳が77%。男女はほぼ半数ずつ。3-4名の核家族がほとんどを占めた。

・子供の健康問題(表2):全体では「風邪をひきやすい(32.6%)」が最も多く、次に「アレルギー(27.4%)」が多く、慢性疾患を持つ子供については「気管支ぜんそく(42.6%)」、「食物アレルギー(41.5%)」、「アトピー性皮膚炎(36.2%)」とアレルギー疾患が多かった。

・慢性疾患を持つ子供に必要なケアと保育園での支援の現状(表3):必要なケアについては「毎日の服薬(52.1%)」が最も必要とされていたが、保育園において保育士の支援は行われておらず、毎日服薬が必要な子供の86%が1日2回の服用方法になっていた。外用薬は30%が必要とされていたが、保育士の支援が行われていた。また、支援の現状に関しては「子供の体の状態を観察する(80.0%)」と保育士・看護師からの支援があるとの回答が高かったが、「体の状態に合わせ活動し必要時休息をとらせていない(33.0%)」、「子供のコミュニケーションを助けていない(56%)」という結果であった。

・子供の健康に関連して利用している社会資源と要望
①利用している社会資源(表4):対象の特性から「保育園(80.9%)」は高く、「親族(56.9%)」、「近隣者・友人(52.5%)」、「近所の開業医(53.8%)」、「病院(43.3%)」であり、「インターネット(26.9%)」、「保健センター(19.4%)」と少なかった。また、慢性疾患を持つ子供については「近隣者・友人」の項目のみ有意な差を認め、慢性疾患を持つ子供は「近隣者・友人」を利用する割合が少なかった。また、慢性疾患のみの質問紙の回答では半数近くが「保健師」「保育園看護師」を利用していたが医療者の回答はなく、「医師」についても25%、「病棟や外来看護師」はほとんど回答がなかった。「栄養士(19%)」は比較的高かったが、アレルギー疾患の子供が多いことが関与していると考えられた。

②利用するのに困難がある、あるいはもっと支援を期待したい社会資源:全体的に回答が少なかったが、「保健センター(13.7%)」、「病院(7.7%)」、「近所の開業医(5.4%)」であった。

③子供の健康を守るうえで支援の改善への要望(表5):全334件のうち、種々の社会資源への要望としては「病院・診療所(121件)」が最も多く、診療時間の拡大・小児に対応可能な診療施設の増加が多かった。診療体制に関しては診療内容や対応の改善、待ち時間改善を望んでいた。次に多かったのは「病児・病後児保育や病児がいる際のサポート(80件)」であり、病児保育などを望む声が多かった。「保育園(28件)」については、健康管理機能の充実・健康教育の場・服薬管理という声があり、「保健センター」では対応時間の柔軟性が求められていた。また、「相談システム」については子供の急な病気への相談・気軽に相談できる窓口が求められていた。「予防接種」に関しては予防接種の情報や健診の充実・時間や日程の拡大などが挙げられた。慢性疾患の子供の家族では特に「病児保育の充実」「病院の対応の改善や小児診療の向上」「療養方法の情報提供」などが挙げられた。

―考察とディスカッション―
今回、小児に対する地域・コミュニティケアのきっかけとして上記を調べてみたが、キーとしては「アレルギー疾患」、「慢性疾患の子供を持つ家族」ではないかと感じた。慢性疾患の子供を持つ家族は慢性疾患のない子供を持つ家族に比べ「隣人・友人」を利用する機会が少なくなっているが、「近所の開業医」を利用する人は同等であるということもあり、医療機関としてアプローチできる印象がある。また、その家族を対象としたアプローチや保育園だけではなく、栄養士との連携などもさらにアプローチが広がるのではないかと感じた。皆さんの地域では小児に対する地域・コミュニティケアはどのようにしているでしょうか?

【開催日】
2014年5月14日(水)

地域コミュニティケア研究の一例(抗生剤処方に関して低コストキャンペーンの実現性と効果について)

― 文献名 ―
 Giulio Formoso et al: Feasibility and effectiveness of a low cost campaign on antibiotic prescribing in Italy: community level, controlled, non-randomised trial.BMJ 2013;347:f5391

 ― 要約 ―
【Objectives】 
To test the hypothesis that a multifaceted, local public campaign could be feasible and influence antibiotic prescribing for outpatients.

【Design】 
Community level, controlled, non-randomised trial.

【Setting】 
Provinces of Modena and Parma in Emilia-Romagna, northern Italy, November 2011 to February 2012.

【Population】 
1 150 000 residents of Modena and Parma (intervention group) and 3 250 000 residents in provinces in the same region but where no campaign had been implemented (control group).

【Interventions】 
Campaign materials (mainly posters, brochures, and advertisements on local media, plus a newsletter on local antibiotic resistance targeted at doctors and pharmacists). General practitioners and paediatricians in the intervention area participated in designing the campaign messages.

【Main outcomes measures】
Primary outcome was the average change in prescribing rates of antibiotics for outpatient in five months, measured as defined daily doses per 1000 inhabitants/day, using health districts as the unit of analysis.

【Results】
Antibiotic prescribing was reduced in the intervention area compared with control area (−4.3%, 95% confidence interval −7.1% to −1.5%). This result was robust to “sensitivity analysis” modifying the baseline period from two months (main analysis) to one month. A higher decrease was observed for penicillins resistant to β lactamase and a lower decrease for penicillins susceptible to β lactamase, consistent with the content of the newsletter on antibiotic resistance directed at health professionals. The decrease in expenditure on antibiotics was not statistically significant in a district level analysis with a two month baseline period (main analysis), but was statistically significant in sensitivity analyses using either a one month baseline period or a more powered doctor level analysis. Knowledge and attitudes of the target population about the correct use of antibiotics did not differ between the intervention and control areas.

【Conclusions】
A local low cost information campaign targeted at citizens, combined with a newsletter on local antibiotic resistance targeted at doctors and pharmacists, was associated with significantly decreased total rates of antibiotic prescribing but did not affect the population’s knowledge and attitudes about antibiotic resistance.

開催日:平成25年10月23日

プライマリ・ケアは死亡率低下に寄与するか?

【文献名】
著者名:Anthony Jerant et al.
文献タイトル:Primary Care Attributes and Mortality: A National Person-Level Study. 
雑誌名・書籍名:Ann Fam Med.
発行年:January/February 2012 vol. 10 no. 1 34-41

【要約】
<PURPOSE>
Research demonstrates an association between the geographic concentration of primary care clinicians and mortality in the area, but there is limited evidence of a mortality benefit of primary care at the individual patient level. We examined whether patient-reported access to selected primary care attributes, including some emphasized in the medical home literature, is associated with lower individual mortality risk.

<METHODS>
We analyzed data from 2000?2005 Medical Expenditure Panel Survey respondents aged 18 to 90 years (N = 52,241), linked to the National Death Index through 2006. A score was constructed from 5 yes/no items assessing whether the respondent’s usual source of care had 3 attributes: comprehensiveness, patient-centeredness, and enhanced access. Scores ranged from 0 to 1 (higher scores = more attributes). We examined the association between the primary care attributes score and mortality during up to 6 years of follow-up using Cox survival analysis, adjusted for social, demographic, and health-related characteristics.

<RESULTS>
Racial/ethnic minorities, poorer and less educated persons, individuals without private insurance, healthier persons, and residents of regions other than the Northeast reported less access to primary care attributes than others. The primary care attributes score was inversely associated with mortality (adjusted hazard ratio = 0.79; 95% confidence interval, 0.64?0.98; P = .03); supplementary analyses showed mortality decreased linearly with increasing score.

<CONCLUSIONS>
Greater reported patient access to selected primary care attributes was associated with lower mortality. The findings support the current interest in ensuring that patients have access to a medical home encompassing these attributes.

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【開催日】
2012年6月27日

COPC、地域コミュニティケアの研修プログラムをしっかり評価していきましょう!

【文献】

著者名:Alison Dobbie,MD.et al.
文献タイトル:Evaluating Family Medicine Residency COPC programs Meeting the challenge.
雑誌名・書籍名:Fam Med 2006
発行年:38(6):399-407.

【要約】

<Background and Objectives>
We conducted a review of the evaluation literature and outcomes from community-oriented primary care (COPC) programs in US family medicine residencies since 1969.

<Methods>
We used a Medline and ERIC search for “community-oriented primary care” in English from 1969-2005. 

<Results>
Twenty-two articles were found that concerned US family medicine residency COPC. Selection process describes in table1.Finnaly, Eight descriptive and eight evaluative papers described 14 residency COPC programs. Teaching and learning methods included block and longitudinal rotations and COPC projects. Evaluation methodologies included one quasi-experimental control group study, pretests and posttests of knowledge and attitudes, focus groups, and semi-structured interviews. Reported outcomes included changes in residents’ knowledge, attitudes, and behaviors; effect on graduates’ career choice and future practice; and impact on patient care and community health. 

<Conclusions>
 Few studies have evaluated residency COPC programs. Evaluation has been less than rigorous, with variable results, but at least one study indicates positive outcomes at each evaluation level. More residency programs must evaluate and disseminate outcomes from their COPC projects to determine the value of COPC to residents, colleagues, community partners, and funding agencies.

<Recommendations–Designing a COPC Evaluation Plan>
We recommend that faculty design their evaluation plan before implementing any residency COPC project, because data are more difficult to gather after the event, and the opportunity to gather baseline data is lost. We recommend that faculty design a plan addressing all four of Kirkpatrick’s levels of evaluation, as demonstrated in Table 2.

Level 1 data (reaction) measure course process outcomes, such as whether residents enjoy the learning experience, believe the content and teaching methods to be appropriate and well taught, report the program to be well organized and efficient, and consider it a useful contribution to their training. 

Level 2 data (learning) describe changes in residents’ COPC knowledge and attitudes. In 1999, Oandesan validated a 20-item survey that can serve as a pretest and posttest of residents’ attitudes to COPC. Donsky published a COPC questionnaire in 1998 that can be used as a pretest and posttest of knowledge and attitudes, although this instrument has not yet been validated. Qualitative methods for evaluating learning include focus groups, semi-structured interviews, written case exercises, and reflective essays and journals.

Level 3 data (transfer) concern changes in residents’ behavior and/or clinical practice. Behavior change can be measured through direct observational studies, chart reviews, electronic health record searches, and/or selfreports in written or electronic surveys. Self-reported changes in behavior represent much weaker types of Level 3 data than objective measures such as direct observation or chart review. 

Examples of Level 4 data (results and outcomes) include changes in graduates’ clinical practice resulting from the COPC projects, permanent adoption of the COPC program into the residency curriculum, and measurable effects on community agencies or practice populations. The effect of the COPC program on graduates’ practice behavior can be measured by telephone, electronic, or mailed surveys 1 to 2 years
after residency. Effects on community agencies can be measured by semi-structured interviews or focused group.

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【開催日】
2012年4月26日

中等症?重症の認知症に対するドネペジルとメマンチンの効果

【文献名】
Robert Howard, M.D.  Donepezil and Memantine for Moderate-to-Severe Alzheimer’s Disease : NEJM 2012 ;366:10 893-903

【要約】

<Background>
Clinical trials have shown the benefits of cholinesterase inhibitors for the treatment of mild-to-moderate Alzheimer’s disease. It is not known whether treatment benefits continue after the progression to moderate(MMSE5~9)-to-severe(MMSE10~13) disease.

<Methods>
Design was multicenter, double-blind, placebo-controlled, clinical trial with two-by-two factorial design. The researchers assigned 295 community-dwelling patients who had been treated with donepezil for at least 3 months and who had moderate or severe Alzheimer’s disease (a score of 5 to 13 on the Standardized Mini?Mental State Examination [SMMSE, on which scores range from 0 to 30, with higher scores indicating better cognitive function]) to continue donepezil, discontinue donepezil, discontinue donepezil and start memantine, or continue donepezil and start memantine. Patients received the study treatment for 52 weeks. The coprimary outcomes were scores on the SMMSE and on the Bristol Activities of Daily Living Scale (BADLS, on which scores range from 0 to 60, with higher scores indicating greater impairment). The minimum clinically important differences were 1.4 points on the SMMSE and 3.5 points on the BADLS.

実際
①D○ M×  = D10mg                               +  placebo M
②D×  M×  = D5mg(week1?4) → placebo D(week5?) +  placebo M
③D× M○  = D5mg(week1?4) → placebo D(week5?) +  M5mg→5mg up/wk →20mg max
④D○ M○  = D10 mg               +  M5mg→5mg up/wk →20mg max

<Results>
The baseline characteristics of the participants in four treatment groups were broadly similar.
Patients assigned to continue donepezil, as compared with those assigned to discontinue donepezil, had a score on the SMMSE that was higher by an average of 1.9 points (95% confidence interval [CI], 1.3 to 2.5) and a score on the BADLS that was lower (indicating less impairment) by 3.0 points (95% CI, 1.8 to 4.3) (P<0.001 for both comparisons). Patients assigned to receive memantine, as compared with those assigned to receive memantine placebo, had a score on the SMMSE that was an average of 1.2 points higher (95% CI, 0.6 to 1.8; P<0.001) and a score on the BADLS that was 1.5 points lower (95% CI, 0.3 to 2.8; P=0.02). The efficacy of donepezil and of memantine did not differ significantly in the presence or absence of the other. There were no significant benefits of the combination of donepezil and memantine over donepezil alone.  ※The minimum clinically important difference in scores on the SMMSE was 1.4 points, on the BADLS was 3.5 points. <Conclusions> In patients with moderate or severe Alzheimer’s disease, continued treatment with donepezil was associated with cognitive benefits that exceeded the minimum clinically important difference and with significant functional benefits over the course of 12 months. 【開催日】 2012年3月14日

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