マルチモビディティ診療モデルの試作「アリアドネ プリンシパル」

-文献名-
Christiane Muth. The Ariadne principles: how to handle multimorbidity in primary care consultations.
BMC Medicine 2014, 12:223

マルチモビディティは主にプライマリケア診療で扱う健康問題である。包括性、患者中心のアプローチ、患者との長期的な関係性、そしてケアの継続性と協調性に対する責任の結果として家庭医はマルチモビディティの患者を特に上手く管理出来る。しかし疾患志向のガイドラインは複数疾患の相互作用を捉えていないため、ガイドラインを遵守しその治療の負担から生じる衝突はしばしば物議をかもす。マルチモビティティにおける意思決定の道標を提供する為に、指針原則を作成しギリシャ神話の登場人物アリアドネ(迷宮から脱出する道標を担った王女)を引用しアリアドネ プリンシパルと名付けた。この目的のために、2012年10月にドイツ・フランクフルトで国際シンポジウムを2日間にわたって開催した。発表され、議論されている現状の知識背景に照らして、北米、ヨーロッパ、オーストラリアの19人の専門家がパネルディスカッションや小グループ会議でプライマリケアのマルチモビディティ管理における懸案事項を確認し、公式および非公式のコンセンサス方法で合意した。プリンシパルは、多段階フィードバックプロセスが用いられ、事例を用いて議論された。

医師と患者による現実的な治療目標の共有は、アリアドネの原則の中核であり、以下の3つから成り立つ。(図1参考)
(1) 患者の状態、治療、性格、背景の相互作用評価:
• すべての現在の状態のプロブレムリストを保持し、その重症度と影響を評価し、投薬を見直す。
• 依存や睡眠障害、食欲不振、脱水などの非特異的な兆候や症状を含む認知機能の問題、不安、苦痛および抑うつの徴候を積極的にモニタリングする。
• 社会的状況、経済的制約、生活環境および社会的支援、健康リテラシー、機能自律性、対処方法を引き出し、考慮する。
• 患者のケアに関わる他の医師やセラピストをリスト化し、全体の治療負担を評価する。

(2)患者の嗜好を考慮に入れた健康問題の優先順位付け
• 生存、自立、痛み、緩和ケアの必要性を含む症状緩和などのgeneric health outcomeに対する嗜好を引き出し、患者の嗜好と同じでない可能性があるため、自身の(暗黙の)嗜好を自覚する。
• 該当する場合は、非公式の介護者や家族の好みを考慮する。
• 患者(および必要に応じて患者の介護者)との現実的な治療目標に同意する。

(3)診断、治療、予防におけるケアの最善の選択肢を実現するための個別化されたマネジメント
介入(診断、治療、予防)よって期待される利益が患者個別の不利益や害を上回るかどうかが重要である
• 個々の患者のリスクレベルと好みを考慮して、治療(および予防)の期待される利益が起こりうる不利益や有害性を上回るかどうかを吟味する。
• 患者(および必要に応じて介護者)の漸増および複合治療の負担を評価する。
• 患者のニーズと能力に応じて自己管理を検討する。
• 副作用の徴候や適切な管理に関する推奨などのセーフティネットの指示を提供する。
• 目標到達度を評価し、相互作用を再評価するためにフォローアップ受診のスケジュールを患者と同意する。
• 患者に関わる他の医療従事者や非公式介護者に相談する。 理想的には、関係するすべてのヘルスケア提供者は治療決定についての情報を受けたり、情報にアクセスすることができる。

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【開催日】2018年5月23日(水)

社会的処方の実際〜システマティックレビューから

-文献名-
Social prescribing: less rhetoric and more reality. A systematic review of the evidence
Bickerdike L, et al. BMJ Open 2017;7:e013384. doi:10.1136/bmjopen-2016-013384

-要約-
【目的】社会的処方は、プライマリケア現場の患者とコミュニティ内の支援リソースを繋げる方法である。これは彼らの健康や幸福の改善を助ける目的で行われる。社会的処方プログラムはUK National Health Service内で広く普及、採用されており、私たちはその効果を評価すべくシステマティックレビューを行った。

【セッティングとデータ元】2000年から2016年1月までUK 内で実施された研究を9つのデーターベースで検索した。関連ある報告書やガイドライン、ウェブサイトや検索された文献の孫引き文献も検索をした。全ての検索は英語に限定された。

【対象】システマテックレビューとプライマリケア現場からリンクワーカー(又は社会的処方のファシリテーター)へ患者を紹介したプログラムの評価報告がinclusionされた。Inclusionする研究の選択バイアスは2名の独立した評価者により保証され、
narrative synthesisが行われた。
やり方:http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.178.3100&rep=rep1&type=pdf
透明性への批判:http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32270-X/abstract

【一次アウトカム、二次アウトカムの測定】一次アウトカムは、健康や幸福またはヘルスサービス利用量の測定結果とした。

【結果】15の社会的処方のプログラムの評価があった。大部分は小規模で不適切なデザインや報告のため限定されたものであった。又すべてで、バイアスが高いという評価であった。よく見られた研究デザインの問題点は、比較群がないこと、フォローアップ期間が短いこと、標準化され確立された測定尺度ではないこと、欠損値や潜在的な交絡因子への不十分な配慮といったものであった。このような明確な方法論の欠点があるにもかかわらず、ほとんどの評価は肯定的な結論を示していた。

【結論】社会的処方は、広くて提唱され実施されているが、現在のところ、成功したかどうか、対価に見合うかの判断をするための十分かつ詳細なエビデンスはない。もし社会的処方がその可能性を示すのであれば、今後の評価は、研究デザインとして比較群をもうけるべきである。そして、いつ、誰によって、誰に対して、どのように、いくらかかるかも考慮するべきである。

【開催日】2018年3月7日(水)

包括性と医療費

―文献名―
Andrew Bazemore, et al. More comprehensive care among family physician is associated with lower costs and fewer hospitalizations. Annals of family medicine. 2015; 3(13):p.206-213.

―要約―
【目的】
 包括性は、プライマリ・ケアの5つのコアな要素のうちの1つとして評価されているが、包括性とアウトカムとの関係はまだわかっていない。我々は、家庭医の診療における包括性を構成する要素と、医療費との関連を調査した。

【方法】
 患者の診療に従事している家庭医のサンプルと、彼らが診療したメディケア受給者全員分を含む、2011年以降のメディケア・パートA、パートBの請求書、そしてサンプルの家庭医のうち2007年から2011年までの間に専門医更新を申請した医師から得られたデータを統合した。包括性の測定のため、自記式調査票を作成し、専門医更新時に提出必須とした。またメディケアのBerenson-Eggers Type of Service(BETOS)からも指標を作り、比較した。その後、2つの包括性指標と入院、パートB単独、パートAとBの合計の医療費の関係を調査した。

【結果】
 サンプルとした家庭医数は3,652人で、メディケアの受給者555,165人のうちの大部分の診療を担っていた。そのうち、2007年から2011年の間に専門医更新を行ったのは1,133人であり、185,044人の診療にあたっていた。BETOSと自己評価による包括性は中等度の相関(0.30)を示した。受給者と家庭医の特性を調整すると、包括性はメディケア・パートAとパートBの合計およびパートB単独のコスト削減と関連していた。しかし入院との関連はみられなかった。医療費の支払いとの関連はBETOSのほうが自己評価による包括性よりも強かった。BETOSが高いほど、入院の可能性は低くなった。

【結論】
 家庭医のケアの包括性(特に請求書に記載される項目から測定した包括性)が増すと、メディケアの医療費、入院は減少した。プライマリ・ケアの包括性へ報酬を与えることや、診療方針とすることが、費用曲線を変化させうる。

【開催日】
 2015年11月18日(水)

日常病・日常的健康問題

【文献名】

山田隆司、吉村学、名郷直樹ら:日常病・日常的健康問題とは–ICPC(プライマリ・ケア国際分類)を用いた診療統計から(第1報)–.プライマリ・ケア:P80−89, Vol.23 No.1 2000

【要約】

<はじめに>
プライマリ・ケアの現場である地域の第一線の医療機関には、様々な健康問題を持った患者が日々訪れる。そこでは患者の医療ニーズに沿った医療の提供が望まれる。プライマリ・ケアの現場では、極めて病初期の患者や多臓器にわたる疾病を同時に抱える患者、病因となる臓器を特定しかねる患者等、一概に臓器別の診療の提供をすれば事が済む患者はむしろ例外的で患者に身近な設定であればあるほど幅広い臨床能力が求められる。最も身近な家庭医、プライマリ・ケア医に地域住民は何を求めているのか、いわゆる地域住民の日常的健康問題、日常病を知る事がプライマリ・ケアを論ずる上での出発点と言える。今回、我々は、地域に単独で存在する、いわゆる僻地診療所の受診患者および往診の要請があった患者、すべての受診理由、診断病名、診療行為等をICPC(プライマリ・ケア国際分類)に則り分類し、1年間にわたって記録、統計解析したので報告する。

<方法>
今回の調査に参加した医療機関は岐阜県久瀬村診療所、春日村診療所、藤橋村診療所、愛知県作手村診療所、愛媛県二名津診療所の5診療所で、いずれも僻地に存在し、地域の唯一の医療機関としてプライマリ・ケア機能を担っている。
  調査研究に参加した7人の医師は、あらかじめICPCに関する勉強会、研修会に参加し、医師間での誤差をなくすように検討した。
  5診療所にあらかじめ、アムステルダム大学家庭医療学講座が開発し、自治医大地域医療学講座が一部修正を加えたコンピューターソフトを導入し、1年間のすべての外来受診患者について、その受診理由、診断病名、診療行為を記録した。
  記録した事項は(1)受診理由:症状や愁訴等、患者が自発的に述べた健康問題をコード分類化し2項目記録、統計資料として保存する受診理由は1番目の愁訴、症状を主訴として記録、(2)診療要求:再診時等で症状や愁訴が特にない場合は何を求めて来院したかを記録、(3)病歴、(4)診断前介入行為、(5)診断病名:当日診断した健康問題の診断病名、診断不可能な場合は主訴、(6)健康問題の新旧の区別:受診当日の新しい健康問題か、以前から継続した健康問題か、(7)旧診断病名:同一の健康問題でその病名が変更された場合の以前の病名、(8)確定診断か否か、(9)診断後介入行為、(10)紹介の有無
  上記の項目を1回の受診につき、健康問題毎に記録した。

<ICPC>
プライマリ・ケアの現場での有効で利便性の高いデータ収集を目的にWONCA分類委員会が開発したもの。特徴は病名分類の項目をプライマリ・ケアの現場で遭遇する頻度に沿って少なくした事、診断病名がつかない時は、症状、愁訴で病名として扱う事、必要に応じて国際疾病分類(ICD)に変換できるよう対比表を完備したこと、国際比較が可能なこと。

<結果>
1.受診回数
 1997年4月1日から1998年3月31日の1年間に、5診療所を少なくとも1回受診または往診した患者は全部で4495人。5診療所の対象人口は住民登録上8116人。およそ55%の人が1年に少なくとも1回は地元の医療機関を受診していることになる。各年齢層毎の受診状況は幼小児、高齢者に高い受診率が見られた(図1)
 全受診回数は総数43137回、受診者一人当たりの平均受診回数は1年間で9.6回。

2.健康問題
 延べ健康問題数は67499件で、1受診あたりの平均はおよそ1.6件。新しく記録された健康問題は10570件、既に有していた健康問題は3971件。初診といえる健康問題が10570件(延べ健康問題数の15.7%)、再診が56929件。
a)すでに有していた健康問題
内訳は表1。いわゆる慢性疾患がほとんどで、対象人口を母数にすると、おおよその有病率を推測できる。
b)新しく記録された健康問題
内訳は表2。年間の発症率を推測することができる。これらはいわゆる日常病と言われる発症頻度の高い疾病群である。
c.臓器別健康問題
内訳は図3。継続的な健康問題、新しい健康問題のいずれも幅広い臓器にわたって健康問題が日常的に見られている。

3.受診理由
 初診時の受診理由(表3)はそれぞれの健康問題のきっかけになるで日常的健康問題といわれるものである。多くの臓器に関与する症状であり、病初期に関与するプライマリ・ケア医にとって、最も重要な情報であり、適切に介入していくことが要求される。

<考察>
今回の調査で地域の第一線の医療機関に従事するプライマリ・ケア医の診療の概略を把握できた。プライマリ・ケア医の労力の多くは慢性疾患の管理に充てられ、内科的な疾患だけでなく老化と関連した多科の疾患、生活習慣病が多く、患者を取り巻く心理社会的背景を適切に理解しないと患者のQOL向上につながらない事が多く、患者に身近なプライマリ・ケア医がこれらを管理する事は意義深い。
  受診理由から、極めて多臓器に渡る愁訴で受診する患者が多く、これらに対して適切な診断技能、治療手技を身につけておく必要性が推測された。

【開催日】
2012年3月28日

ICUにおいてチームワークと患者アウトカムは相関する

【文献名】

Susan A Wheelan, Christian N. Burchill and Felice Tilin : The Link Between Teamwork and Patients’ Outcomes in Intensive Care Units AJCC 2003;12:527-534

【要約】

ABSTRACT

<Background>
Links between teamwork and outcomes have been established in a number of fields.
Investigations into this link in healthcare have yielded equivocal results.

<Theoretical perspectives>
In the context of social science literature, levels of teamwork and productivity have been linked to the concept of group development. The accumulated research evidence supports the general conclusion that groups move through 5 stepwise stages of development. Groups functioning at higher stages of development are more productive and more effective than groups at lower stages in accomplishing group goals.
The initial stage of development focuses on issues of inclusion and dependency; during this stage, members attempt to identify behavior acceptable to the leader and other group members.
The second stage described as a period of counterdependency and conflict. During the second stage, issues of power, authority, and competition are debated. Conflict with the leader and adequate resolution establish connection and openness among members. This stage also provides the opportunity to clarify areas of common values.
The third stage is devoted to the development of trust, increased collaboration and teamwork, and
more mature and open negotiation about goals, roles, group structure, and division of labor. 
The fourth, or work, stage is characterized by increases in group effectiveness and productivity. 
Groups that have a distinct ending point experience a fifth stage. Impending termination may cause disruption and conflict. Increased expression of positive feelings also may occur, and separation issues are discussed.

<Objective>
To examine the relationship between the level of self-identified teamwork in the intensive
care unit and patients’ outcomes.

<Design> 
Cohort study with questionnaire.

<Method>
A total of 394 staff members of 17 intensive care units completed the Group Development
Questionnaire and a demographic survey. The questionnaire is a reliable and valid measure of team
development and effectiveness. Each unit’s predicted(from APACHE III system) and actual mortality rates for the month in which data were collected were obtained. Pearson product moment correlations and analyses of variance were used to analyze the data.

<Results>
Staff members of units with mortality rates that were lower than predicted perceived their
teams as functioning at higher stages of group development(Table 6). They perceived their team members as less dependent and more trusting than did staff members of units with mortality rates that were higher than
predicted. Staff members of high-performing units also perceived their teams as more structured and
organized than did staff members of lower-performing units.

<Conclusion>
The results of this study and others establish a link between teamwork and patients’
outcomes in intensive care units. The evidence is sufficient to warrant the implementation of strategies
designed to improve the level of teamwork and collaboration among staff members in intensive care
units.

【ディスカッション】

I think this article is very important because it presented the direct association between teamwork and the patients’ outcome. We must pay attention to the deference of the setting, but the outcome to educate the co-ordination competency is indirectly shown.

【開催日】
2012年3月20日

糖尿病とうつ病に対する医療へのコンプライアンス向上を目指した統合マネジメント

【文献名】

Bogner HR, et al. Integrated Management of Type2 Diabetes Mellitus and Depression Treatment to Improve Medication Adherence: A Randomized Controlled Trial. Ann Fam Med. 2012;10(1):15-22.

【この文献を選んだ背景】

 日常診療でもうつ病とDMを併発するケースは時折遭遇し、相互に影響することで治療に難渋することが少なくない。今回、統合ケアをテーマに日常良く遭遇するDM/うつ病に取り組んだRCTということで、日常診療に活かせる印象が強いと同時に、今後取り組みたい臨床研究の枠組みとしても関心があったので選択した。

【要約】

<目的>
 うつ病は糖尿病と併発することが多く、内服治療へのコンプライアンスが低下し、罹患や死亡のリスクも上昇する。この研究では、うつ病と2型糖尿病に対する単純で簡潔な統合アプローチによって、経口血糖降下薬や抗うつ薬へのコンプライアンス改善、更には、血糖コントロール改善、プライマリ・ケア患者におけるうつ病の改善がもたらされるかどうかを検証した。

<セッティング>
3つの家庭医療クリニック

<方法>
 プライマリ・ケアの現場で2型糖尿病とうつ病に対して薬物治療を実施している180名の患者に対し、2010年4月から2011年4月にかけてRCTを実施した。患者は統合ケア介入群と通常ケア群に無作為に割り付けられた。統合ケアマネジャーは主治医と協働して教育、ガイドラインに基づく治療推奨を提供し、それに対する順守状況や臨床状態をモニターした。コンプライアンスはMedication Event Monitoring System(MEMS)によって評価された。血糖コントロールはHbA1c、うつ病はPHQ-9(the 9-item Patient Health Questionnaire)で評価した。

<結果>
 統合ケア介入群と通常ケア群は基本情報では統計学的な相違はなかった。12週間経過した段階で、統合ケア介入群は通常ケア群と比較して、7%以下のHA1cレベルを有意に達成し(統合ケア群 60.9% vs 通常群 35.7%:p<0.001)、うつ病の緩解率も有意に改善した(PHQ-9<5の群:統合ケア群 58.7% vs 通常ケア群 30.7%:p<0.001)

<結論>
 2型糖尿病とうつ病に対する単純で簡潔な統合ケア介入に対するRCTは、プライマリ・ケアにおけるアウトカム改善に対して問題なく適切に実施された。うつ病と2型糖尿病に対する統合ケアアプローチは、限られたリソースの配分に苦慮する現実世界の臨床において有効に利用されるだろう。

【考察とディスカッション】

・ 方法については追跡率も高く、ITT分析もされており、こうしたタイプの介入研究としては最大限の配慮ができていると考える。HCFMでの研究でも「家族志向型ケア」などを定義して、臨床研究する上で有効な枠組みである。

・ 結果は非常に明確で、薬物コンプライアンスの向上も合わせると、統合ケアが臨床上に有効であることを強く示唆するものとなっている。アウトカムも我々の日常診療と比較しても関連性が強く、適用しやすい。

・ 統合ケアモデルで示された30分×3回の専任担当者による面接、15分×2回の電話フォローアップをいかにして実現していくかがポイント。「生活習慣病指導管理料」によって得られた収入を当てればある程度現実的かもしれない。そのためには、対象者をうつ病罹患者以外にも拡大することが重要とはなるが。今後、診療報酬面でのサポートが重要であり、日本でも同様の研究を実施してデータを示したい。

・ 本日(2012年1月18日)では奇しくもうつ病と生活習慣病を抱えた患者に対する統合ケアという家庭医を特徴付けるアプローチに関する研究であった。以前取り扱った、患者-医師関係の深まり、今回の統合ケアとあわせて家庭医のとるアプローチに関するエビデンスが明らかになっていくことが期待される。

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【開催日】
2012年1月18日

うつ病患者の生活習慣病の管理

【文献名】

Treatment Adjustment and Medication Adherence for Complex Patients With Diabetes, Heart Disease, and Depression: A Randomized Controlled Trial. Ann Fam Med 2012;10:6-14.

【要約】

<PURPOSE>
 Medication nonadherence, inconsistent patient self-monitoring, and inadequate treatment adjustment exacerbate poor disease control. In a collaborative, team-based, care management program for complex patients (TEAMcare), we assessed patient and physician behaviors (medication adherence, self-monitoring, and treatment adjustment) in achieving better outcomes for diabetes, coronary heart disease, and depression.

<METHODS>
 A randomized controlled trial was conducted (2007-2009) in 14 primary care clinics among 214 patients with poorly controlled diabetes (glycated hemoglobin [HbA1c] ≥8.5%) or coronary heart disease (blood pressure >140/90 mm Hg or low-density lipoprotein cholesterol >130 mg/dL) with coexisting depression (Patient Health Questionnaire-9 score ≥10). In the TEAMcare program, a nurse care manager collaborated closely with primary care physicians, patients, and consultants to deliver a treat-to-target approach across multiple conditions. Measures included medication initiation, adjustment, adherence, and disease self-monitoring.

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<RESULTS>
 Pharmacotherapy initiation and adjustment rates were sixfold higher for antidepressants (relative rate RR=6.20; P<.001), threefold higher for insulin (RR = 2.97; P <.001), and nearly twofold higher for antihypertensive medications (RR=1.86, P<.001) among TEAMcare relative to usual care patients. Medication adherence did not differ between the 2 groups in any of the 5 therapeutic classes examined at 12 months. TEAMcare patients monitored blood pressure (RR = 3.20; P <.001) and glucose more frequently (RR = 1.28; P = .006). 120122_2

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<CONCLUSIONS>
 Frequent and timely treatment adjustment by primary care physicians, along with increased patient self-monitoring, improved control of diabetes, depression, and heart disease, with no change in medication adherence rates. High baseline adherence rates may have exerted a ceiling effect on potential improvements in medication adherence.

【開催日】

2012年1月18日

~患者が考えるプライマリケアの近接性、継続性、協調性の特徴とは?~

【文献名】

Jeannie L. Haggerty, et al. Practice Features Associated With Patient-Reported Accessibility, Continuity, and Coordination of Primary Health Care. Ann Fam Med. 2008 March; 6(2): 116-123.


【要約】

(目的)

プライマリヘルスケアのリフォームが行われる前に、患者にとっての近接性、継続性、協調性を左右する診療組織、医師の診療に寄与しているものを同定するためのプライマリヘルスケアの多角的調査を行った。



(方法)

・プライマリヘルスケアクリニックをカナダケベック州において都市部、準都市部、へき地、remort locationにおいてそれぞれランダムに選んだ。

・それぞれのクリニックで4人までの家庭医、総合医を選び、研究者が4つのクリニックの待合室に詰め、20人の患者を連続サンプリングし、PCAT(Primary Care Assessment Tool;http://www.jhsph.edu/pcpc/pca_tools.html)を用いて、以下について調査した。



*first-contact accessibility: 初診の近接性(突然の発症に対して迅速にケアが得られているか)

*relational continuity: 関係性における継続性(患者それぞれの特徴を知っている医師との継続した関係性)

*coordination continuity: 協調性の継続(医師と専門医との間の協調性)

・医師は診療の側面を報告し、秘書やディレクターはクリニックの組織的な特徴について報告した。

・Hierarchical regression modelを用い、クリニックにおいて定期通院している患者の二次解析を行った。



(結果)

100か所のクリニックが参加し(61%の回答率)、221人の医師、2725人の患者(87%の回答、追跡終了率)に対して実施した。

PCAT score 1点:definitely not、2点:probably not、3点:probably(最低ラインと設定)、4点:delinitely
first-contact accessibility:初診の近接性…平均2.30(施設側の問題20.3%、医師側の問題3.2%)

これがもっとも問題があった。
急病に対して1日以内に診療を行うか、助言を行ったのは、たった10%であった。

平均24日(中央値19日)であった。

近接性は10人以下の医師(10人以上いると-0.21点)、看護師のいるクリニックで(+0.12点)、24時間毎日電話対応に応じるクリニック(+0.30点)、他のヘルスケア組織と正式な運営上の連携を得られている場合(+0.03点)、夕方の診療を行っていること(+0.07点)が良い結果となった。



relational continuity: 関係性における継続性…平均3.35(施設側の問題8.8%、医師側の問題6.7%)
他のヘルスケア組織と正式な運営上の連携を得られている場合(+0.03点)や夕方診療(+0.05点)がこられにも有利に作用していた。継続性に価値を見出し(+0.09点)、コミュニティに対して親和性を感じている(+0.05点)医師はよりよい関係性の継続性を育んでいた。それゆえにaccessibility-oriented style(ウォークインが多く(ウォークインが50%未満に比較して70%以上だと-0.14点)、患者数が多くなる(1時間当たりの平均診察患者数が3.4人以上になると-0.03点))が継続性を妨げる要因にもなっていた。

coordination continuity協調性の継続…平均3.30(施設側の問題2.4%、医師側の問題6.3%)
これはさらに他のヘルスケア組織と正式な運営上の連携を得られている場合(+0.04点)や継続した電話対応(+0.16点)やPT/OTの存在(+0.12点)との関連があった。また、医師が病院にパートタイムで診療に行っている場合で50-70%程度を自クリニックにて診療を行っているケース(+0.09点)やクリニックにおいて幅広い手技(+0.02点)を実施している場合により良い結果となっていた。



(まとめ)

クリニックがどのように組織されるかで医師が近接性、継続性を達成できるかが決まってくる。両方を手にする特徴は夕方診療と電話対応、他のヘルスケア機関と正式な運営上の連携を得られていることであった。

(DISCUSSION)
理想的なfamily medicine groups(FMGs)モデルの特徴は、8~10人の医師がいて、看護師がいて、夕方診療を行い、nurse help lineとつながる情報リンク(電話対応可能という意味か?)があり、他の施設とのケアを正式な形態でシェアしていることである。
医師が一か所以上の施設で働くと、専門家との個人的な関係性強化につながるということも分かった。



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【開催日】
2010年12月22日(水)

~ジェネラリストの重要な役割であるコーディネーションの今後を考える~

【文献】
Stille CJ: Coordinating Care across Diseases, Settings, and Clinicians: A Key
Role for the Generalist in Practice. Ann Intern Med. 2005 Apr 19;142(8):700-8.

【要約】
《背景として》
コー ディネーションはプライマリケアの原則の一つであるが、アメリカにおける医療システムでは徐々に複雑化する医療の中で提供するのが難しくなってきている。 研究や臨床においてそれを推進していくためには、さらなるエビデンスが必要である。ジェネラリストはケアをコーディネートし、ほとんどの患者に対してのケ アのハブとして機能し、臨床医同士のコミュニケーションを改善し、チームアプローチを実施し、患者と家族の関係性を統合し、医療情報を統合するために診療 すべきである。ジェネラリストの診療において中心的要素であるが労力を要する。今後、コーディネーションの本質的要素を同定し、健康度を改善する上で有効 であることを示していく必要がある。
《方法》
5人の臨床医(総合内科医3名、家庭医1名、小児科医1名)によるボランティアグループを作り、コーディネーションについての文献をレビューし、recommendationを作成した。5度の電話会議と頻回のe-mailのやり取りを6カ月にわたり実施した。
その結果、ジェネラリスト診療の観点から以下の問いに対しての研究が選ばれた。
1.コーディネーションがヘルスケアを改善するエビデンスにはどのようなものがあるのか?
2.コーディネーションする際にジェネラリストの診療はどのような役割を果たすべきか?
3.ジェネラリストとスペシャリスト間の協働においてどのような改善をすればよいか?
4.最良のコーディネーションを提供するためにはどのようにチームを構成すればよいか?
5.コーディネーションにおいて患者とその家族はどのような役割を担うべきか?
6.医療情報はコーディネーションにおいてどのように役立つのか?
彼 らはレビュー後にrecommendationとさらなる研究の必要性を指摘した。その後2003年national grantees’ meentingにて100人以上のscholars,mentors,nationally achnowledged expertによって議論され、その内容も結果には盛り込んだ。
《結果》
Consensus Recommendations
1.健康を改善するためのコーディネーションは価値があるということを証明し、コーディネーションモデルにおいて最も有用な要素は何かを同定するために更なる研究が必要である。
2.ジェネラリストはほとんどの患者に対してコーディネーションの医療的側面から適切なハブとなる必要がある。
3.ジェネラリストとスペシャリストは適切なタイミングで、しっかりと計画立てられたケアを保証するためにより密接に協力しあい、コミュニケーションをとらなければならない。
4.ジェネラリストは患者やコミュニティに対して適切で見えやすいチームを構築しなければならない。そしてそのチームを維持しなければならない。
5.コーディネーションにおいて患者と家族の役割はヘルスケアシステムによって育て、盛り上げられなくてはならない。
6.ジェネラリストは知識量を増やすためのコミュニケーションとアクセスを良くするために合理的な情報活用システムを構築すべきである。

【開催日】
2010年9月15日(水)

~スティグマ 慢性疾患に対して個人や社会が与えるインパクト~

【文献】
アイリーン・モロフ・ラブキンら著.”第三章:スティグマ”.クロニックイルネス.医学書院,2007,p43-64

【要約】
《イントロダクション》
スティグマは社会的な”烙印”であり、負の価値判断を与え社会的アイデンテンティを損なわせるものである。
この概念に関して、私たち一人一人が自分の思いと行動を注意深く検討する必要がある
「正常な人々」は誰でも、故意にまたは別の方法で異なる人々をスティグマ化し、社会の中での自分の安定感を最大限に確保しながら自分たちの不安を最小限にする傾向を持つ
<社会的アイデンティティ>
社会的アイデンティティは以下の3つを含む ①身体活動②仕事上の役割③自己の概念
これらのどれかを変化させるものが個人のアイデンティティを変化させ、スティグマが生じる
<乖離としてのスティグマ>
期待される社会的アイデンティティと、現実の社会的アイデンティティの乖離や差異がスティグマとして定義される
  ・損なわれたアイデンティティ
   病気だけでなく、その病気が与える脅威、それに伴う罪や恥の意識がスティグマとなる
    例:アルコール依存症、AIDS患者、てんかん、ダウン症、高齢者でさえも
スティグマの存在下では個人の価値がスティグマの影響を強く受けるため、その疾患の持つ多様性も無視されてしまい、またその他の個人的な特徴も覆い隠されてしまう
  ・顕在型と潜在型
顕在型は目に見える手掛かりを伴う 潜在型ははっきりと欠陥が見えない
 <スティグマの類型>
① 身体的相違(身体障害者、高齢者など) ・・・期待と現実の身体的状態の差異
② 特徴的な欠点(AIDS、同性愛など)・・・社会的認識や文化からの派生
③ 偏見(女性、国籍など)・・・別カテゴリー・グループの特徴への歪んだ認識
これら3つは重複し、それぞれが強化される。また一度スティグマが付与されると、その原因が取り除かれたとしても、その歴史のみで永久にアイデンティティが損なわれる。
<スティグマとしての慢性疾患>
スティグマは社会の価値観と慢性疾患の現実の衝突から生じる。
また病因を特定できないという特徴は、多くの慢性疾患においてスティグマの一因になる。
スティグマは本人とその家族の不公平な治療に結びつく可能性がある。
《スティグマのインパクト》
<スティグマを付与されている人による他者への反応>
  無視、孤立、二次的利得、抵抗、素通り、偽装工作
<スティグマを付与されていない人々への、スティグマを付与されれている人々への反応>
  価値の値引き、ステレオタイプ、レッテル貼り
<保健医療職者のスティグマへの反応と態度>
  スティグマは学生時代の教員やスタッフに感化されやすく、また実際に出会ったクライエント
との出会いや相互作用で変化する
また医学生は自分の健康問題に付与される社会的スティグマを過度に認知し、それを開示する
ことで自分の専門職としての立場が危ぶまれるのではという深い懸念を持つ

《スティグマを付与された人へのインタベンション》
 <自己への反応:態度を変えること>新たなイデオロギーで認識信念パターンを変化させる
 <スティグマとサポートグループ>”同類”の人々に生き方とコミュニティを提供する
 <支援者グループの創出>”事情通”による繊細な理解と、恥を感じさせられることのない関係
 <アドボカシイ>権利擁護によるサポートと代理人機能はスティグマ払しょくの手段となる
 <障害の定義の変化>かけがえのない人として対応されたり、重要他者によって受け入れられたりすることで、スティグマを付与された人が自分の価値について認識を変える
 <専門職者の姿勢:治療とケア> スティグマの管理において①能動受動モデル、②指導協力モデル、③相互参加モデルのどれが適切かを決定することが重要。また医療職者に意識化されていないカテゴリー化やステレオタイプを明確にして修正するプログラムが必要。
  公衆の意識を高めるために”こんなことにならないように”というメッセージはスティグマを増強する作用を持つことを認識する
《スティグマに関するクライエントの望ましいアウトカム》
 心理社会的影響(例:孤立、自尊心の低下、関係の低下、落ち込み・引き籠り)を被らないこと

【開催日】
2010年9月8日(水)

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