多疾患併存のある中年者の日常生活:混合法システマテックレビュー

-文献名-
González-González, Ana Isabel, et al. “Everyday Lives of Middle-Aged Persons with Multimorbidity: A Mixed Methods Systematic Review.” International journal of environmental research and public health 19.1 (2022): 6

-要約-
要約に本文の内容を佐藤が補足して記載。
多疾患併存患者の健康管理に伴う負荷(定期内服の徹底、病状の自分での把握、食事療法、体重管理、規則正しい生活、身体活動の維持など)は、家族生活、余暇時間、就業に対して、否定的に影響しうる。この混合法システマテックレビューは、中年者(30-60歳)の日常生活に多疾患併存がどのように影響するか評価した研究を統合し、中年者が健康管理に伴う負荷を乗り越える助けとなるスキルや資源を同定する。2人の独立した研究者が、タイトル/要約/全文を7つのデータベースから調査し、データを抽出し、the Mixed Methods Appraisal Tool(MMAT)を用いてバイアスを評価した。我々は、44研究(49,519人)から知見を質的または量的に合成した。
半分以上の研究においては、対象者の代表性や反応バイアス*の評価についての情報は不十分であった。
*質問に対して回答者が不正確な回答や虚偽の回答をしてしまう幅広い傾向
2つの研究が全体的な機能を評価していた(15の調査された身体機能、18の心理社会的機能、28の仕事機能)。19の研究が多疾患併存に対処するためのスキルや資源を探索していた。多疾患併存のある中年は、ない人たちと比べて、全体的にも、身体的にもADL(歩行、入浴、食事、更衣、ベットからの起き上がり)の制限、IADL(家事困難48% 移動困難36% 内服困難5%)心理社会的にもより大きな障害を負っており(心理面:抑うつ、不安、怒り、苛立ち、不全感、恨み、孤独感、屈辱感。社会面:社会活動や余暇活動への参加や楽しむこと、家族関係や婚姻関係の解消)、さらに就業率(正規雇用率44%)と仕事の生産性もより低かった。
ある種のスキルや資源が、彼らの日常生活への対処を助けていた。
(スキル:ユーモアの維持、活動的であり自分のケアに責任を持つこと、社会支援を当てにすること、自分自身のためよりも家族のためにという認識で自らの健康管理をすること、仕事に取り組むことや日々のルーチンワークが正常であること感覚を保つのに寄与すること、意識として「自分をケアすること、医師の助言に従うこと、それを受け入れ、家族や友人を信頼すること」)スキルのタイプは、治療様式、診断からの期間、他の併存疾患、自己認識されている限界に影響を受けていた。
中年者のニーズにあった全体観的で機能的なヘルスケア計画が提供されるために、医療専門職は多疾患併存の対処の経験や関連する健康管理の負荷についてより深い理解が必要である。
(多疾患併存を抱えながら生活する経験とは、正しくない事を認識し、悪いことを行い、その後に自己管理下で行うことができ、生活とうまく折り合いをつけるというプロセスを経る。)

【開催日】
2022年2月2日(水)

高齢者の社会的孤立と患者体験

―文献名―
Takuya Aoki, Yosuke Yamamoto, et al. Social Isolation and Patient Experience in Older Adults. Ann Fam Med.2018;16(5):393-398.

―要約―
【背景】
社会的孤立とは、個人が社会的な帰属意識を持たず、他者との関わりを持たず、社会的な接点が少なく、質の高い人間関係を築けていない状態と定義されている。社会的孤立は,特に高齢者において大きな健康問題として認識されている。また社会的孤立は、全死亡、冠状動脈性心臓病や脳卒中による死亡、再入院、転倒、認知機能の低下、自殺による死亡のリスクを高めることがわかっている。一方で、患者経験は、治療へのアドヒアランスや医療資源の使用など患者の行動を通じて健康アウトカムに影響を与えることが知られており、これまでの研究で患者の経験には社会経済的な差異があることが報告されている。

【目的】
本研究では,高齢者のプライマリ・ケア患者における社会的孤立と患者経験との関連を検討した。

【方法】
2015年10月から2016年2月にかけて日本のプライマリ・ケア診療所ネットワーク(28診療所)を対象とした横断的研究である。社会的孤立については,Lubben Social Network Scale(略式)を用いて評価し,スコアが12点未満の患者を社会的に孤立していると分類した。またプライマリ・ケアに関する患者の経験については,プライマリ・ケア評価ツール(JPCAT)日本語版を用いて評価した。JPCATは,近接性,継続性,協調性,包括性(受けられるサービス),包括性(実際に受けたことがあるサービス),地域志向の6つの領域から構成されている。線形混合効果モデルを用いて,診療所内でのクラスタリングと個々の共変量を調整した。

【結果】
1939名の成人患者の中で調査に回答した644名のうち、65歳以上のプライマリ・ケアを受けている高齢患者465名のデータを解析した。表1は会的に孤立している参加者とそうでない参加者の特徴を比較している。研究参加者の特徴としては、女性(54.4%)、70歳以上(71.8%)、大学以下の学歴(79.3%)、複数の疾患を持つ患者(74.8%)が大半を占めた。また、社会的に孤立している患者の割合は27.3%であった。JPCAT100点満点中、最も得点の高かった領域は「継続性」で81.2点、最も得点の低かった領域は「包括性(実際に受けたことがあるサービス)」で45.8点だった。また社会的に孤立している参加者は、JPCATスコアとSF-36のMental Health Indexスコアが低いことを示唆する傾向が見られた。表2は社会的孤立と,プライマリ・ケアにおける患者体験の指標であるJPCATスコアとの関連を調べた線形混合効果モデルの結果である。交絡因子と診療所内のクラスタリングを調整した結果,社会的孤立はJPCATの総合スコアと負の関係にあった(平均差=-3.67;95%CI,-7.00~-0.38)。JPCATのドメインスコアのうち、社会的孤立は、継続性、包括性(実際に受けたことがあるサービス)、地域志向性のスコアと有意に関連していた。特に「包括性(実際に受けたことがあるサービス)」は社会的孤立と最も強い関連を示した(平均差=-7.58;95%CI、-14.28~-0.88)。

【研究の限界】
患者体験や社会的ネットワークの質が低い患者は、本研究の調査に回答する可能性が低かったと考えられ、もしそうであれば本研究における社会的孤立と患者体験との関連性が過小評価される原因となる可能性がある。

【結論】
社会的孤立は,高齢者のプライマリ・ケア患者のネガティブな患者体験と関連していた。プライマリ・ケア提供者の患者のソーシャル・ネットワークに関する意識を高め,社会的に孤立した高齢患者に対して,プライマリ・ケアの経験,特に継続性,包括性,地域志向に関する経験を改善することを目的とした介入を行うことが望まれる。

【開催日】
2021年10月13日(水)

目標設定という「未知の領域」:プライマリ・ケア診療における多疾患併存患者との新たな相互交流活動を調整する

-文献名-
J Murdoch et al. The “unknown territory” of goal-setting: Negotiating a novel interactional activity within primary care doctor-patient consultations for patients with multiple chronic conditions. Social Science & Medicine. 2020

-要約-
背景:
目標設定は、複数の慢性疾患を持つ患者を支援するにあたって広く推奨されている。その実践のためには、診療においてこれまでとは異なる’proactive approach’を用いる必要がある。その中では医師と患者が共同作業を行い、患者の中での優先順位・価値・望むアウトカムを目標設定の材料として確認しなければならない。そうなった時に、医師と患者は共に、例えば様々な情報からの目標抽出(elicitation)、目標設定、行動計画、などのような古典的な診療におけるやり取りとは大きく離れた活動を行う必要が出てくる。
つまり、目標設定(という出来事)は、診療の中に、不平等が引き起こされうる、不確実な相互交流の場を作り出すとみなすことができる。例えば、どんな種類の会話が起こっているのか、医師と患者の役割、患者の目標設定に際しての優先事項が実際にどう目標に組み込まれうるのかについての目線や期待についての不平等が起こりうる。そのような場を分析することによって、目標設定という原則論が診療の中でどのように実現されているのかを明らかにできる可能性がある。
方法:
 Goffmanが提唱した”フレーム”(注1)という概念に着目して、医師と患者が元々もっている目標設定に対する意味付けが、診療中のやり取りをどのように引き起こすのかを調査した。別のクラスターランダム化比較試験 (https://bmjopen.bmj.com/content/9/6/e025332:複数疾患合併患者における目標設定を重視した診療の実行可能性を検討した研究)に参加した診療所のうち、3つの診療所において、介入群となった22の複数の慢性疾患を抱える患者とGPの診療をビデオにて撮影し、Interactional sociolinguistics(相互作用社会言語学?)を踏まえた会話分析を用いて分析した。
(元の研究は、UKにおける6つのGP診療所で、対象患者はその診療所に通院している患者のうち入院リスクが上位2%に入る者で、かつ認知症や急性の精神病などの理由で目標設定の会話が困難だとGPが判断した場合は除外された。また、介入にあたって、GPは目標設定について3時間の患者中心アプローチの面接技法について訓練を受け、SMARTゴールなどの考え方を教育されていた。更には患者側もA4 3ページの目標設定シートを渡され、診療前に自分なりに目標を3つ考えて来るよう説明を受けた上で診察を開始している。参加した患者は平均して5つの慢性の健康問題を持っており、診療は概ね20分程度だった。)
分析は、録画した映像をJeffersonの会話分析の体型に基づいて非言語も含めて逐語録を作成し、診療中の言語・非言語的な行動から、GPおよび患者が診療中の活動に対して持っているFrameの顕れ(Evidence)を探索し、それがその後の目標設定にどのようにつながっていくのかに焦点を当てて行った。(注2) まずは診療全体の大まかな構造を記述し、そこから逸脱した事例を分析することでコミュニケーションの複雑さを探索した。
結果
以下の3つの大きなパターンが見出された。
1.GPによる患者による診療へのフレームの確認および診療が目標設定をする場であるというフレームに近づけようとする試み
1.1患者が既に明確な目標を持って診察に入った場合:タスクが順序よく行われていく、というストレートなものだった。
1.2患者が事前に明確な目標を準備していなかった場合:患者が目標を設定していないあるいは診療がそういう場であるという理解を持っていない場合に、GPはそもそもの診療を行う理由や個別性の高いケア、なぜ目標設定をするのか、そしてそのためにはどのようなコミュニケーションが必要なのか、ということそのものを診療が始まる前に様々な方法で働きかけていた。

2.目標というものに対する患者のフレームに対するGPの積極的なすり合わせ(aligning)
2.1患者が設定した目標にGPが合わせる:診療の中でGPがwhat matters to youと尋ねること自体が、どの問題や目標が診療の中で扱われるのが正当なのか、に干渉する強力な影響を持っていた。しかし、その後のGPの反応は、患者がどんな問題や目標を持ち出すかや、その後に続く相互作用に依存していた。
2.2患者が設定した目標にGPが、医学の権威を用いてnegotiateする
 例えば、患者が設定した目標について、GPは単純に従うというやり方を取らない例もあった。その際に、診療の場にいない第三者の医学の権威やGP自身の臨床判断に見合ったものなのかを確認するようなやり取りを控えめに挟み込むことによって、(患者が持っている目標を提示してGPがそれに合わせるというlinearなプロセスから、より双方向的に調整が必要な場であるというフレームへ)診療という場に対するフレームの調整が行われていた。その挟み込みのやり方は、「患者に伺いを立てる(do you mindのように)」形態を取っていた。この背景には、潜在的に患者が持ち込んだアジェンダを却下しうる行いを始める時には、患者の許可を取らなければならないというフレームがあると見て取れた。この例では、医師が、診療における患者主導・患者中心、というフレームに合わせるのは、患者が設定した目標が医学的に許容範囲の中にあると判断してからであった。

3.GPによる患者の優先事項を測定可能な目標に落とし込もうとする試みに対する患者の受動的・積極的抵抗
 GPが患者の優先事項とのすり合わせに難渋し、患者が医師による目標設定のフレームに抵抗する事例も見られた。
3.1GPによる患者の目標のFramingに対する受動的抵抗:患者による抵抗は、”mm”や”yeah”を弱い調子で話すという「受動的抵抗」の形で表されていた。
3.2GPによる目標設定に対する患者の能動的抵抗から受動的抵抗への移行:時に患者は明確な提案や代替案を示すという「能動的な抵抗」を表現していた。GPはそうした状況では、かたや患者主導・患者中心であるべきという目標設定の原則、もう一方は臨床のエビデンスが決断に反映させられるべきという原則の間でジレンマに陥っていた。そうしたジレンマを表現しつつ、患者を(やや臨床側に)引き寄せようとするが、そこには受動的抵抗が続くという構図が見られた。

Discussion:今回の研究の限界、残された課題などを記載する。
・目標設定というタスクが診察の会話に織り込まれることで、既存のGPの診療中に行われる活動に対する慣習が保留され、どのような規則に則って振る舞えばよいのかがわからない”未知の領域”がたちあらわれていた。
・その結果、医師・患者間での目標設定に関するやり取りは、今何が行われているか?についての理解のすれ違いにさらされやすくなっていた。例えば、目標設定とは何について行うのか、どのような目標が正当なものなのか、目標は測定されるべきか、どうやって測定するべきか、そして診療中においてどんな医師・患者の言動がより正当なのか、といったことに対するスタンスの違いが見えやすくなっていた。
こうした難しさは、既存の研究で指摘されている他の診療領域における困難さ(患者が設定した目標よりも臨床上推奨される目標を優先してしまう、つまり、患者中心の原則を残ってしまう)と合致していた。
本研究は、生物医学的な効果的な慢性疾患の管理と予防、慣習的な医師患者関係、そして患者主導であるべきという目標設定という考え方の三つの間の緊張関係を具体的に示した典型例だと言える。この緊張関係の結果として、GPと患者には、相手の診療のフレームとの間での調整だけでなく、それより広いヘルスケアにおける言説との間での調整が求められていた。

このデータからは、目標設定の原則である、患者主導、患者中心、GPが協働スタンスを取る、という特徴を診療現場に落とし込むのは時に難しいことを示している。例えば、患者が診察が目標設定の場だという目線を持っていない場合は、GPがそういう目線に患者が合わせるように積極的に促したり、患者にとって切実かつGPが支援できそうな目標をGPが診療中に探し回るという試みを誘発する。
 患者が診療は目標設定の場だという目線を持っている場合であっても、GPの持つ目標とすり合わせできない、あるいは、臨床的に他の疾患の経過に悪影響を与える場合、GPは目標を患者主導・患者中心にするという原則を守るか、代替の目標を提示するかの間の岐路に立たされ、通常は後者を選択していた。また、患者が目標というよりは優先事項(元気でいる、などのように)しか準備していない場合は、GPはこの「診察の場は目標設定のためにある」というフレームで続けるのか、目標設定のフレームをやめて患者の相談に乗るだけにするのかを決める必要が出ていた。

目標設定という活動を診療の中に取り入れた場合、「患者の目標を達成する方略は、生物医学における個々の疾患への治療の視点の中で許容できるものでなければならない」という暗黙のルールが課されていた。この暗黙のルールを明示した上での調整や合意点の探索がなければ、目標設定という活動は難航し、患者の抵抗を生むといえる。
こうした抵抗は、古典的な医師患者関係における分断を反映している。(患者の目標とエビデンス/許容される医療実践/医師自身の経験の間に本質的にある緊張、さらにはより広いレベルで存在する「人口レベルのエビデンスを個別の患者に適用してよいのか」という倫理的な論争が医師患者の交流に持ち込まれている)
この分断の裏には、目標設定や患者中心性という理念の背景にある二元論が影響していると言えよう。つまり、患者に目標を選んでもらうためには、患者の価値観を確認するという行いが、ケアを実施するよりも「手前に」かつ「独立して」行われなければならない、という前提である。その結果、ケアを提供するとは全く異なる活動である、「目標設定」というものが診療から切り離されて、先行するものとして形作られ、人工的な順序関係を作ってしまうため、確認した価値を慢性疾患における治療を決める議論の中に埋め込むという難しいタスクに医師も患者も巻き込まれることになる。

強みと結論
・この研究によって、目標設定という原則を診療の中に埋め込もうとした時に、どのような難しさが生じるのかを示すことができた。
・今回の研究はRCTという人工的なセッティングの中ではあるが、中で起きたことは、医学の世界と生活世界が、目標設定という新たな活動の中でどのように関わり合うのかを示していると考える。
・目標設定において最終的に至った目標は、権力がどこにあるか、患者の優先事項はどのように理解されたか?についての調整を通り抜けた産物であるとみなすことができる。患者の優先順位がどう扱われるかは重要な鍵だが、そもそも患者は目標設定という活動に対してどんな理解を持っているのかを分析する必要がある。この研究では目標設定慣れしていない患者は、目標設定を診療の中で行おうとしても生活にとって意味のある目標は設定されにくいことを示していた。
 より根本的な懸念は、目標設定と患者中心性という理念の根幹にあるジレンマである。GPはどんな時に、患者の目標や優先事項を追求するというやり方をやめるのか、そして、ただ患者の懸念について、介入を行わず聞き続ける医師の価値は何か、そして、こういった視点はどうすれば、GPの技術と知識を慢性複数疾患の治療に展開する効率的なやり方を目指すというあり方と両立可能なのだろうか?

【開催日】2020年7月1日(水)

マルチモビディティ診療モデルの試作「アリアドネ プリンシパル」

-文献名-
Christiane Muth. The Ariadne principles: how to handle multimorbidity in primary care consultations.
BMC Medicine 2014, 12:223

マルチモビディティは主にプライマリケア診療で扱う健康問題である。包括性、患者中心のアプローチ、患者との長期的な関係性、そしてケアの継続性と協調性に対する責任の結果として家庭医はマルチモビディティの患者を特に上手く管理出来る。しかし疾患志向のガイドラインは複数疾患の相互作用を捉えていないため、ガイドラインを遵守しその治療の負担から生じる衝突はしばしば物議をかもす。マルチモビティティにおける意思決定の道標を提供する為に、指針原則を作成しギリシャ神話の登場人物アリアドネ(迷宮から脱出する道標を担った王女)を引用しアリアドネ プリンシパルと名付けた。この目的のために、2012年10月にドイツ・フランクフルトで国際シンポジウムを2日間にわたって開催した。発表され、議論されている現状の知識背景に照らして、北米、ヨーロッパ、オーストラリアの19人の専門家がパネルディスカッションや小グループ会議でプライマリケアのマルチモビディティ管理における懸案事項を確認し、公式および非公式のコンセンサス方法で合意した。プリンシパルは、多段階フィードバックプロセスが用いられ、事例を用いて議論された。

医師と患者による現実的な治療目標の共有は、アリアドネの原則の中核であり、以下の3つから成り立つ。(図1参考)
(1) 患者の状態、治療、性格、背景の相互作用評価:
• すべての現在の状態のプロブレムリストを保持し、その重症度と影響を評価し、投薬を見直す。
• 依存や睡眠障害、食欲不振、脱水などの非特異的な兆候や症状を含む認知機能の問題、不安、苦痛および抑うつの徴候を積極的にモニタリングする。
• 社会的状況、経済的制約、生活環境および社会的支援、健康リテラシー、機能自律性、対処方法を引き出し、考慮する。
• 患者のケアに関わる他の医師やセラピストをリスト化し、全体の治療負担を評価する。

(2)患者の嗜好を考慮に入れた健康問題の優先順位付け
• 生存、自立、痛み、緩和ケアの必要性を含む症状緩和などのgeneric health outcomeに対する嗜好を引き出し、患者の嗜好と同じでない可能性があるため、自身の(暗黙の)嗜好を自覚する。
• 該当する場合は、非公式の介護者や家族の好みを考慮する。
• 患者(および必要に応じて患者の介護者)との現実的な治療目標に同意する。

(3)診断、治療、予防におけるケアの最善の選択肢を実現するための個別化されたマネジメント
介入(診断、治療、予防)よって期待される利益が患者個別の不利益や害を上回るかどうかが重要である
• 個々の患者のリスクレベルと好みを考慮して、治療(および予防)の期待される利益が起こりうる不利益や有害性を上回るかどうかを吟味する。
• 患者(および必要に応じて介護者)の漸増および複合治療の負担を評価する。
• 患者のニーズと能力に応じて自己管理を検討する。
• 副作用の徴候や適切な管理に関する推奨などのセーフティネットの指示を提供する。
• 目標到達度を評価し、相互作用を再評価するためにフォローアップ受診のスケジュールを患者と同意する。
• 患者に関わる他の医療従事者や非公式介護者に相談する。 理想的には、関係するすべてのヘルスケア提供者は治療決定についての情報を受けたり、情報にアクセスすることができる。

JC20180523村井1

【開催日】2018年5月23日(水)

社会的処方の実際〜システマティックレビューから

-文献名-
Social prescribing: less rhetoric and more reality. A systematic review of the evidence
Bickerdike L, et al. BMJ Open 2017;7:e013384. doi:10.1136/bmjopen-2016-013384

-要約-
【目的】社会的処方は、プライマリケア現場の患者とコミュニティ内の支援リソースを繋げる方法である。これは彼らの健康や幸福の改善を助ける目的で行われる。社会的処方プログラムはUK National Health Service内で広く普及、採用されており、私たちはその効果を評価すべくシステマティックレビューを行った。

【セッティングとデータ元】2000年から2016年1月までUK 内で実施された研究を9つのデーターベースで検索した。関連ある報告書やガイドライン、ウェブサイトや検索された文献の孫引き文献も検索をした。全ての検索は英語に限定された。

【対象】システマテックレビューとプライマリケア現場からリンクワーカー(又は社会的処方のファシリテーター)へ患者を紹介したプログラムの評価報告がinclusionされた。Inclusionする研究の選択バイアスは2名の独立した評価者により保証され、
narrative synthesisが行われた。
やり方:http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.178.3100&rep=rep1&type=pdf
透明性への批判:http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)32270-X/abstract

【一次アウトカム、二次アウトカムの測定】一次アウトカムは、健康や幸福またはヘルスサービス利用量の測定結果とした。

【結果】15の社会的処方のプログラムの評価があった。大部分は小規模で不適切なデザインや報告のため限定されたものであった。又すべてで、バイアスが高いという評価であった。よく見られた研究デザインの問題点は、比較群がないこと、フォローアップ期間が短いこと、標準化され確立された測定尺度ではないこと、欠損値や潜在的な交絡因子への不十分な配慮といったものであった。このような明確な方法論の欠点があるにもかかわらず、ほとんどの評価は肯定的な結論を示していた。

【結論】社会的処方は、広くて提唱され実施されているが、現在のところ、成功したかどうか、対価に見合うかの判断をするための十分かつ詳細なエビデンスはない。もし社会的処方がその可能性を示すのであれば、今後の評価は、研究デザインとして比較群をもうけるべきである。そして、いつ、誰によって、誰に対して、どのように、いくらかかるかも考慮するべきである。

【開催日】2018年3月7日(水)

包括性と医療費

―文献名―
Andrew Bazemore, et al. More comprehensive care among family physician is associated with lower costs and fewer hospitalizations. Annals of family medicine. 2015; 3(13):p.206-213.

―要約―
【目的】
 包括性は、プライマリ・ケアの5つのコアな要素のうちの1つとして評価されているが、包括性とアウトカムとの関係はまだわかっていない。我々は、家庭医の診療における包括性を構成する要素と、医療費との関連を調査した。

【方法】
 患者の診療に従事している家庭医のサンプルと、彼らが診療したメディケア受給者全員分を含む、2011年以降のメディケア・パートA、パートBの請求書、そしてサンプルの家庭医のうち2007年から2011年までの間に専門医更新を申請した医師から得られたデータを統合した。包括性の測定のため、自記式調査票を作成し、専門医更新時に提出必須とした。またメディケアのBerenson-Eggers Type of Service(BETOS)からも指標を作り、比較した。その後、2つの包括性指標と入院、パートB単独、パートAとBの合計の医療費の関係を調査した。

【結果】
 サンプルとした家庭医数は3,652人で、メディケアの受給者555,165人のうちの大部分の診療を担っていた。そのうち、2007年から2011年の間に専門医更新を行ったのは1,133人であり、185,044人の診療にあたっていた。BETOSと自己評価による包括性は中等度の相関(0.30)を示した。受給者と家庭医の特性を調整すると、包括性はメディケア・パートAとパートBの合計およびパートB単独のコスト削減と関連していた。しかし入院との関連はみられなかった。医療費の支払いとの関連はBETOSのほうが自己評価による包括性よりも強かった。BETOSが高いほど、入院の可能性は低くなった。

【結論】
 家庭医のケアの包括性(特に請求書に記載される項目から測定した包括性)が増すと、メディケアの医療費、入院は減少した。プライマリ・ケアの包括性へ報酬を与えることや、診療方針とすることが、費用曲線を変化させうる。

【開催日】
 2015年11月18日(水)

日常病・日常的健康問題

【文献名】

山田隆司、吉村学、名郷直樹ら:日常病・日常的健康問題とは–ICPC(プライマリ・ケア国際分類)を用いた診療統計から(第1報)–.プライマリ・ケア:P80−89, Vol.23 No.1 2000

【要約】

<はじめに>
プライマリ・ケアの現場である地域の第一線の医療機関には、様々な健康問題を持った患者が日々訪れる。そこでは患者の医療ニーズに沿った医療の提供が望まれる。プライマリ・ケアの現場では、極めて病初期の患者や多臓器にわたる疾病を同時に抱える患者、病因となる臓器を特定しかねる患者等、一概に臓器別の診療の提供をすれば事が済む患者はむしろ例外的で患者に身近な設定であればあるほど幅広い臨床能力が求められる。最も身近な家庭医、プライマリ・ケア医に地域住民は何を求めているのか、いわゆる地域住民の日常的健康問題、日常病を知る事がプライマリ・ケアを論ずる上での出発点と言える。今回、我々は、地域に単独で存在する、いわゆる僻地診療所の受診患者および往診の要請があった患者、すべての受診理由、診断病名、診療行為等をICPC(プライマリ・ケア国際分類)に則り分類し、1年間にわたって記録、統計解析したので報告する。

<方法>
今回の調査に参加した医療機関は岐阜県久瀬村診療所、春日村診療所、藤橋村診療所、愛知県作手村診療所、愛媛県二名津診療所の5診療所で、いずれも僻地に存在し、地域の唯一の医療機関としてプライマリ・ケア機能を担っている。
  調査研究に参加した7人の医師は、あらかじめICPCに関する勉強会、研修会に参加し、医師間での誤差をなくすように検討した。
  5診療所にあらかじめ、アムステルダム大学家庭医療学講座が開発し、自治医大地域医療学講座が一部修正を加えたコンピューターソフトを導入し、1年間のすべての外来受診患者について、その受診理由、診断病名、診療行為を記録した。
  記録した事項は(1)受診理由:症状や愁訴等、患者が自発的に述べた健康問題をコード分類化し2項目記録、統計資料として保存する受診理由は1番目の愁訴、症状を主訴として記録、(2)診療要求:再診時等で症状や愁訴が特にない場合は何を求めて来院したかを記録、(3)病歴、(4)診断前介入行為、(5)診断病名:当日診断した健康問題の診断病名、診断不可能な場合は主訴、(6)健康問題の新旧の区別:受診当日の新しい健康問題か、以前から継続した健康問題か、(7)旧診断病名:同一の健康問題でその病名が変更された場合の以前の病名、(8)確定診断か否か、(9)診断後介入行為、(10)紹介の有無
  上記の項目を1回の受診につき、健康問題毎に記録した。

<ICPC>
プライマリ・ケアの現場での有効で利便性の高いデータ収集を目的にWONCA分類委員会が開発したもの。特徴は病名分類の項目をプライマリ・ケアの現場で遭遇する頻度に沿って少なくした事、診断病名がつかない時は、症状、愁訴で病名として扱う事、必要に応じて国際疾病分類(ICD)に変換できるよう対比表を完備したこと、国際比較が可能なこと。

<結果>
1.受診回数
 1997年4月1日から1998年3月31日の1年間に、5診療所を少なくとも1回受診または往診した患者は全部で4495人。5診療所の対象人口は住民登録上8116人。およそ55%の人が1年に少なくとも1回は地元の医療機関を受診していることになる。各年齢層毎の受診状況は幼小児、高齢者に高い受診率が見られた(図1)
 全受診回数は総数43137回、受診者一人当たりの平均受診回数は1年間で9.6回。

2.健康問題
 延べ健康問題数は67499件で、1受診あたりの平均はおよそ1.6件。新しく記録された健康問題は10570件、既に有していた健康問題は3971件。初診といえる健康問題が10570件(延べ健康問題数の15.7%)、再診が56929件。
a)すでに有していた健康問題
内訳は表1。いわゆる慢性疾患がほとんどで、対象人口を母数にすると、おおよその有病率を推測できる。
b)新しく記録された健康問題
内訳は表2。年間の発症率を推測することができる。これらはいわゆる日常病と言われる発症頻度の高い疾病群である。
c.臓器別健康問題
内訳は図3。継続的な健康問題、新しい健康問題のいずれも幅広い臓器にわたって健康問題が日常的に見られている。

3.受診理由
 初診時の受診理由(表3)はそれぞれの健康問題のきっかけになるで日常的健康問題といわれるものである。多くの臓器に関与する症状であり、病初期に関与するプライマリ・ケア医にとって、最も重要な情報であり、適切に介入していくことが要求される。

<考察>
今回の調査で地域の第一線の医療機関に従事するプライマリ・ケア医の診療の概略を把握できた。プライマリ・ケア医の労力の多くは慢性疾患の管理に充てられ、内科的な疾患だけでなく老化と関連した多科の疾患、生活習慣病が多く、患者を取り巻く心理社会的背景を適切に理解しないと患者のQOL向上につながらない事が多く、患者に身近なプライマリ・ケア医がこれらを管理する事は意義深い。
  受診理由から、極めて多臓器に渡る愁訴で受診する患者が多く、これらに対して適切な診断技能、治療手技を身につけておく必要性が推測された。

【開催日】
2012年3月28日

ICUにおいてチームワークと患者アウトカムは相関する

【文献名】

Susan A Wheelan, Christian N. Burchill and Felice Tilin : The Link Between Teamwork and Patients’ Outcomes in Intensive Care Units AJCC 2003;12:527-534

【要約】

ABSTRACT

<Background>
Links between teamwork and outcomes have been established in a number of fields.
Investigations into this link in healthcare have yielded equivocal results.

<Theoretical perspectives>
In the context of social science literature, levels of teamwork and productivity have been linked to the concept of group development. The accumulated research evidence supports the general conclusion that groups move through 5 stepwise stages of development. Groups functioning at higher stages of development are more productive and more effective than groups at lower stages in accomplishing group goals.
The initial stage of development focuses on issues of inclusion and dependency; during this stage, members attempt to identify behavior acceptable to the leader and other group members.
The second stage described as a period of counterdependency and conflict. During the second stage, issues of power, authority, and competition are debated. Conflict with the leader and adequate resolution establish connection and openness among members. This stage also provides the opportunity to clarify areas of common values.
The third stage is devoted to the development of trust, increased collaboration and teamwork, and
more mature and open negotiation about goals, roles, group structure, and division of labor. 
The fourth, or work, stage is characterized by increases in group effectiveness and productivity. 
Groups that have a distinct ending point experience a fifth stage. Impending termination may cause disruption and conflict. Increased expression of positive feelings also may occur, and separation issues are discussed.

<Objective>
To examine the relationship between the level of self-identified teamwork in the intensive
care unit and patients’ outcomes.

<Design> 
Cohort study with questionnaire.

<Method>
A total of 394 staff members of 17 intensive care units completed the Group Development
Questionnaire and a demographic survey. The questionnaire is a reliable and valid measure of team
development and effectiveness. Each unit’s predicted(from APACHE III system) and actual mortality rates for the month in which data were collected were obtained. Pearson product moment correlations and analyses of variance were used to analyze the data.

<Results>
Staff members of units with mortality rates that were lower than predicted perceived their
teams as functioning at higher stages of group development(Table 6). They perceived their team members as less dependent and more trusting than did staff members of units with mortality rates that were higher than
predicted. Staff members of high-performing units also perceived their teams as more structured and
organized than did staff members of lower-performing units.

<Conclusion>
The results of this study and others establish a link between teamwork and patients’
outcomes in intensive care units. The evidence is sufficient to warrant the implementation of strategies
designed to improve the level of teamwork and collaboration among staff members in intensive care
units.

【ディスカッション】

I think this article is very important because it presented the direct association between teamwork and the patients’ outcome. We must pay attention to the deference of the setting, but the outcome to educate the co-ordination competency is indirectly shown.

【開催日】
2012年3月20日

糖尿病とうつ病に対する医療へのコンプライアンス向上を目指した統合マネジメント

【文献名】

Bogner HR, et al. Integrated Management of Type2 Diabetes Mellitus and Depression Treatment to Improve Medication Adherence: A Randomized Controlled Trial. Ann Fam Med. 2012;10(1):15-22.

【この文献を選んだ背景】

 日常診療でもうつ病とDMを併発するケースは時折遭遇し、相互に影響することで治療に難渋することが少なくない。今回、統合ケアをテーマに日常良く遭遇するDM/うつ病に取り組んだRCTということで、日常診療に活かせる印象が強いと同時に、今後取り組みたい臨床研究の枠組みとしても関心があったので選択した。

【要約】

<目的>
 うつ病は糖尿病と併発することが多く、内服治療へのコンプライアンスが低下し、罹患や死亡のリスクも上昇する。この研究では、うつ病と2型糖尿病に対する単純で簡潔な統合アプローチによって、経口血糖降下薬や抗うつ薬へのコンプライアンス改善、更には、血糖コントロール改善、プライマリ・ケア患者におけるうつ病の改善がもたらされるかどうかを検証した。

<セッティング>
3つの家庭医療クリニック

<方法>
 プライマリ・ケアの現場で2型糖尿病とうつ病に対して薬物治療を実施している180名の患者に対し、2010年4月から2011年4月にかけてRCTを実施した。患者は統合ケア介入群と通常ケア群に無作為に割り付けられた。統合ケアマネジャーは主治医と協働して教育、ガイドラインに基づく治療推奨を提供し、それに対する順守状況や臨床状態をモニターした。コンプライアンスはMedication Event Monitoring System(MEMS)によって評価された。血糖コントロールはHbA1c、うつ病はPHQ-9(the 9-item Patient Health Questionnaire)で評価した。

<結果>
 統合ケア介入群と通常ケア群は基本情報では統計学的な相違はなかった。12週間経過した段階で、統合ケア介入群は通常ケア群と比較して、7%以下のHA1cレベルを有意に達成し(統合ケア群 60.9% vs 通常群 35.7%:p<0.001)、うつ病の緩解率も有意に改善した(PHQ-9<5の群:統合ケア群 58.7% vs 通常ケア群 30.7%:p<0.001)

<結論>
 2型糖尿病とうつ病に対する単純で簡潔な統合ケア介入に対するRCTは、プライマリ・ケアにおけるアウトカム改善に対して問題なく適切に実施された。うつ病と2型糖尿病に対する統合ケアアプローチは、限られたリソースの配分に苦慮する現実世界の臨床において有効に利用されるだろう。

【考察とディスカッション】

・ 方法については追跡率も高く、ITT分析もされており、こうしたタイプの介入研究としては最大限の配慮ができていると考える。HCFMでの研究でも「家族志向型ケア」などを定義して、臨床研究する上で有効な枠組みである。

・ 結果は非常に明確で、薬物コンプライアンスの向上も合わせると、統合ケアが臨床上に有効であることを強く示唆するものとなっている。アウトカムも我々の日常診療と比較しても関連性が強く、適用しやすい。

・ 統合ケアモデルで示された30分×3回の専任担当者による面接、15分×2回の電話フォローアップをいかにして実現していくかがポイント。「生活習慣病指導管理料」によって得られた収入を当てればある程度現実的かもしれない。そのためには、対象者をうつ病罹患者以外にも拡大することが重要とはなるが。今後、診療報酬面でのサポートが重要であり、日本でも同様の研究を実施してデータを示したい。

・ 本日(2012年1月18日)では奇しくもうつ病と生活習慣病を抱えた患者に対する統合ケアという家庭医を特徴付けるアプローチに関する研究であった。以前取り扱った、患者-医師関係の深まり、今回の統合ケアとあわせて家庭医のとるアプローチに関するエビデンスが明らかになっていくことが期待される。

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【開催日】
2012年1月18日

うつ病患者の生活習慣病の管理

【文献名】

Treatment Adjustment and Medication Adherence for Complex Patients With Diabetes, Heart Disease, and Depression: A Randomized Controlled Trial. Ann Fam Med 2012;10:6-14.

【要約】

<PURPOSE>
 Medication nonadherence, inconsistent patient self-monitoring, and inadequate treatment adjustment exacerbate poor disease control. In a collaborative, team-based, care management program for complex patients (TEAMcare), we assessed patient and physician behaviors (medication adherence, self-monitoring, and treatment adjustment) in achieving better outcomes for diabetes, coronary heart disease, and depression.

<METHODS>
 A randomized controlled trial was conducted (2007-2009) in 14 primary care clinics among 214 patients with poorly controlled diabetes (glycated hemoglobin [HbA1c] ≥8.5%) or coronary heart disease (blood pressure >140/90 mm Hg or low-density lipoprotein cholesterol >130 mg/dL) with coexisting depression (Patient Health Questionnaire-9 score ≥10). In the TEAMcare program, a nurse care manager collaborated closely with primary care physicians, patients, and consultants to deliver a treat-to-target approach across multiple conditions. Measures included medication initiation, adjustment, adherence, and disease self-monitoring.

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<RESULTS>
 Pharmacotherapy initiation and adjustment rates were sixfold higher for antidepressants (relative rate RR=6.20; P<.001), threefold higher for insulin (RR = 2.97; P <.001), and nearly twofold higher for antihypertensive medications (RR=1.86, P<.001) among TEAMcare relative to usual care patients. Medication adherence did not differ between the 2 groups in any of the 5 therapeutic classes examined at 12 months. TEAMcare patients monitored blood pressure (RR = 3.20; P <.001) and glucose more frequently (RR = 1.28; P = .006). 120122_2

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<CONCLUSIONS>
 Frequent and timely treatment adjustment by primary care physicians, along with increased patient self-monitoring, improved control of diabetes, depression, and heart disease, with no change in medication adherence rates. High baseline adherence rates may have exerted a ceiling effect on potential improvements in medication adherence.

【開催日】

2012年1月18日