患者と家族からみたケアの移行,受け渡し(退院支援)

-文献名-
Suzanne E M et.al. Care Transitions From Patient and Caregiver Perspectives. Ann Fam Med 2018; 16: 225-231.

-要約-
<目的】> ケアの移行/受け渡し(退院支援)を効率的に行うために協調的な対策がとられているにも関わらず,病院から自宅(home)への行程/道のりは患者と介護者にとって危険に満ちたものである.患者と介護者がケアの移行/受け渡し(退院支援)の経験や彼らが望むサービス,彼らにとって価値あるアウトカムについてはほとんど知られていない.この研究の目的は(1)ケアの移行/受け渡し(退院支援)における患者と介護者の経験を描写すること,(2)患者と介護者にとって望ましいケアの移行/受け渡し(退院支援)のアウトカムやそれに関連する健康関連サービスの特徴を明らかにすることである.

<方法>
米国内の6つの健康ネットワークから採用された138名の患者と110名の家族介護者にインタビューを行った.34の同質なフォーカスグループ(103名の患者と65名の介護者)と80のkey informant interview(質的研究において「核となる情報提供者」から問題に関する情報を収集するときに行う方法)実施した.録音された記録を文字起こしし,グラウンデッド・セオリーの手法を用いて分析し,複数のテーマとそれらの関係性を明らかにした.

<結果>
患者と介護者によりケアの移行/受け渡し(退院支援)について望まれるアウトカム3つが示された.
(1) 医療職に「Cared for:世話をされた」「Care about:かまってもらった」と感じること
(2) ヘルスケアシステムによる明解で責任ある説明をうけること
(3) ケアプランを実行する上で「準備ができて」「実行可能である」と感じること
5つのケアの移行/受け渡し(退院支援)や医療提供者の行動がこれらのアウトカム実現に関連していた.
(1) 共感的な言葉とジェスチャーを用いること
(2) 自宅(home)におけるセルフケアを支援するために患者のニーズを先読みして手を打つこと
(3) 退院計画を協同で建てること
(4) 実行可能な情報を提供すること
(5) 最小限の受け渡しにより切れ目のないケアを提供すること

<結論>
連続するケアを通じた明解な説明責任,ケアの継続性,ケアの態度が,患者と介護者にとって重要なアウトカムであった.これらのアウトカムが達成されたとき,ケアは素晴らしい,とか信頼に足ると受け止められる.一方,ケアの移行/受け渡し(退院支援)が業務的で安全でないと経験され,患者や家族にヘルスケアシステムから見放されたと感じさせていることも示された.

【開催日】2018年10月17日(水)

Ambulatory care sensitive conditions(プライマリ・ケアの現場で適切にマネジメントすれば不要な入院を避けられる可能性のある状態)による入院と家庭医による継続性の関係

―文献名―
Isaac B, Adam S et al. Association between continuity of care in general practice and hospital admissions for ambulatory care sensitive conditions: cross sectional study of routinely collected, person level data. BMJ. 2016;356:j84.

―要約―
【目的】
 家庭医によるケアの継続性がambulatory care sensitive conditions(※1;プライマリ・ケアの現場で適切にマネジメントすれば不要な入院を避けられる可能性のある状態)による入院と関連があるかを評価するため。

【デザイン】
 横断研究

【セッティング】
 英国Clinical Practice Research Datalinkに参加し接続しているプライマリ・ケアまたはセカンダリ・ケアの200の家庭医療の医療機関。

【参加者】
 2011年4月から2013年3月までの間に少なくとも2回家庭医を受診した62歳から82歳の人230,472名。

【主要評価項目】
 2011年4月から2013年3月までの期間の患者1人あたりのambulatory care sensitive conditions(家庭医が外来でマネジメント可能であると考えられる)による入院数。

【結果】
 usual provider of care index(UPC; ※2)を用いてケアの継続性を評価した。
 平均のUPCは0.61。ケアの継続性の高さによる3グループに分けても年齢・性別・社会経済的状態に違いはなかったが、ケアの継続性の低いグループではより頻回に受診する傾向が見られた(Table1)。また、医師数の多い医療機関ほどUPCは低い傾向にあった(大きな医療機関で0.59,小さな医療機関で0.70)(Table2)。
 平均すると研究機関において患者1人あたり0.16回のambulatory care sensitive conditionsによる入院を経験していた(Table1)。
山田先生図①

山田先生図②

 高齢なほど、専門医への紹介が多いほど、慢性疾患が多いほど、家庭医への受診が頻回なほどambulatory care sensitive conditionsによる入院は多い傾向にあった(Table3)。
山田先生図③

 こういった共変量を調整すると、UPCが高い患者ほどambulatory care sensitive conditionsによる入院は減る傾向にあった(Table4)。
山田先生図④

 モデル化し人口統計的・患者の臨床状況を調整した場合。全ての患者のUPCが0.2上昇すると入院は6.22%減少する(95%CI 4.87%-7.55%,Table5)。
 サブグループ解析ではプライマリ・ケアの頻回利用患者においてその関連性はより強固に現れた。頻回利用者程ambulatory care sensitive conditionsによる入院が増える傾向にあり(家庭医を研究期間に18回以上受診した患者1人あたり0.36回の入院、2-4回の患者1人あたり0.04回の入院)、UPCが0.2上昇するとambulatory care sensitive conditionsによる入院が有意に減少することが示された(Table5)。
山田先生図⑤

【結論】
 家庭医療におけるケアの継続性(この文献ではUPC)を改善すると2次医療のコストを削減できる可能性がある。とくに医療を頻回に利用する患者においてはそうである。
 ケアの継続性を促進することによって患者や家庭医療の現場で働くものの経験も改善する可能性がある。

【What is already known on this topic】
 予期せぬ入院を減らすために多くのヘルスケアシステムはプライマリ・ケアへのアクセスの迅速さと平等性に焦点を当ててきた。英国においてケアの継続性は低下の傾向にあり、それはおそらくアクセスの改善・促進と継続性の間にトレードオフがあるためであろう。ケアの継続性は患者と医師の満足度に関連しているが、入院との関連は明らかにされていなかった。

【What this study adds】
 ケアの継続性はプライマリ・ケアでマネジメント可能なAmbulatory care-sensitive conditionsによる入院を低下させる。家庭医の頻繁な利用者においてはケアの継続性とAmbulatory care-sensitive conditionsによる入院の関連が最も強く認められた。ケアの継続性を改善させる戦略はケアの質とコストを同時に改善させる可能性があるが、その方法については評価が必要である。

※1 Ambulatory care-sensitive conditions (ACSCs)
 以下のリンクを参照して下さい.
 http://fujinumayasuki.hatenablog.com/entry/2013/10/08/162442

※2 Usual provider of care index(UPC)
 UPC=numbers of visits with assigned provider/total visits
山田先生図⑥

【開催日】
2017年3月1日(水)

継続性の効果

―文献名―
Dong Wook Shin, et al. Impact of continuity of care on mortality and health care costs; a nationwide cohort study in Korea. Annals of family medicine. 2014, vol. 12, no. 6, p. 534-541.

―要約―
【目的】
 ケアの継続性は、質の高いプライマリ・ケアの中核要素と考えられているが、死亡率と医療費に及ぼす影響についてはまだ明らかになっていない。そこで、新たに心血管リスクとなる疾患と診断された患者の死亡率、医療費、健康アウトカムに対するケアの継続性の影響を調べることを目的とした。

【方法】
 韓国の国民健康保険加入者のうち3%を無作為に抽出し、コホート研究を行った。 2003~2004年に高血圧、糖尿病、高コレステロール血症あるいはその合併症と新たに診断された、合計47,433人の患者がエントリーされた。ケアの継続性の指標としてmost frequent provider continuity(MFPC)、modified, modified continuity index(MMCI)、continuity of care index(COC)を設定し、これらの指標と5年以上のフォローアップで起こったアウトカムとの関連を評価した。アウトカムの評価には全死亡率、心血管死亡率、心血管イベントおよび医療費が含まれた。

【結果】
 COCの中央値以下の群と中央値以上の群に分けて比較したところ、多変量調整済ハザード比は、全死亡率1.12(95%Cl, 1.04-1.21)、心血管死亡率1.30(1.13-1.50)、心筋梗塞の発症1.57(1.28-1.95)、脳梗塞の発症1.33(1.27-1.63)であった。他の継続性の指標からも同様の結果が得られた。ケアの継続性の低さは入院患者と外来患者の入院・通院期間と医療費の増加とも関連していた。

【結論】
 新たに高血圧、糖尿病、高コレステロール血症と診断された患者において、ケアの継続性の低さは、全死亡率、心血管死亡率、心血管イベントおよび医療費の高さと関連していた。そのため長期にわたる患者-医師間の信頼関係をサポートするように医療制度をデザインしていく必要がある。

Appendix1. Continuity of care indices
ex) patient 1 visited 3 providers (ABAACAAA), patient 2 visited 4 providers (ABCBADEA)
1) most frequent provider continuity(MFPC):もっとも受診頻度の高い医師への受診密度 
ex) patient 1: 6/8, patient 2: 3/8
2) modified, modified continuity index(MMCI):医師のバラつき具合
ex) patient 1: (1-3/8.1)/(1-1/8.1), patient 2 (1-5/8.1)/(1-1/8.1) 
3) continuity of care index(COC):それぞれの医師への受診頻度と医師のバラつき具合を併せたもの
ex) patient 1: [(62+12+12)-8]/[8*(8-1)], patient 2: [(32+22+12+12+12)-8]/[8*(8-1)]

【開催日】
2014年12月10日(水)

複数の医師を受診する患者のケアの継続性

 - 文献名 -
 Experienced Continuity of Care When Patients See Multiple Clinicians: A Qualitative Metasummary Ann Fam Med May/June 2013 vol. 11 no. 3 262-271(http://www.annfammed.org/content/11/3/262.full)

 - 要約 -
PURPOSE 
Continuity of care among different clinicians refers to consistent and coherent care management and good measures are needed. We conducted a metasummary of qualitative studies of patients’ experience with care to identify measurable elements that recur over a variety of contexts and health conditions as the basis for a generic measure of management continuity.
METHODS 
From an initial list of 514 potential studies (1997-2007), 33 met our criteria of using qualitative methods and exploring patients’ experiences of health care from various clinicians over time. They were coded independently. Consensus meetings minimized conceptual overlap between codes.
RESULTS
For patients, continuity of care is experienced as security and confidence rather than seamlessness. Coordination and information transfer between professionals are assumed until proven otherwise. Care plans help clinician coordination but are rarely discerned as such by patients. Knowing what to expect and having contingency plans provides security. Information transfer includes information given to the patient, especially to support an active role in giving and receiving information, monitoring, and self-management. Having a single trusted clinician who helps navigate the system and sees the patient as a partner undergirds the experience of continuity between clinicians.
CONCLUSION
Some dimensions of continuity, such as coordination and communication among clinicians, are perceived and best assessed indirectly by patients through failures and gaps (discontinuity). Patients experience continuity directly through receiving information, having confidence and security on the care pathway, and having a relationship with a trusted clinician who anchors continuity.

 開催日:平成25年6月19日

国民皆保険、フリーアクセスという医療制度下においてもケアの継続性を保つことは「避けられる」入院を減らす

【文献名】
Shou-Hsia Cheng, et al. : A longitudinal examination of continuity of care and avoidable hospitalization. Evidence from universal coverage health care system. Arch Intern Med: 170(18): 1671-1677.
 
【要約】
<背景と目的>
台湾は1995年に皆保険制度を導入し、99%の国民が加入している。家庭医療科は23ある専門診療科の1つと位置づけられ、国民は自分の症状に合わせて自由に診療科を選び紹介状なしで受診することができる。国民1人あたりの受診頻度は15回/年と世界で最も高い国の一つであり、台湾国民の受療行動は「ドクターショッピング」と批判を受けることもある。このような環境は患者と医師のコミュニケーションや信頼関係やケアの継続性を損ないやすい。先行研究ではケアの継続性を高めることがERの受診を減らすこと、疾病の予防が進められること、入院を減らすこと、慢性疾患のコントロールが改善すること、ICUの利用が減ることが示されているが「避けられる入院」については研究されていない。一方で「避けられる入院」とプライマリ・ケアとの関連は研究されているが、ケアの継続性との関連を研究したものは少なく、十分な結果は得られていない。この研究では台湾の医療環境におけるケアの継続性の「避けられる入院」に対する影響を知ることを目的としている。

<方法>
2000年1月1日から2006年12月31日の期間、健康保険への請求データから医療サービスの利用状況を調査した。この期間に3名以上の医師を利用した30830人の患者がランダムに選択され、3つの年齢層に分けて解析した。主要アウトカムは避けられる入院と全ての入院とした。年齢、性別、低所得かどうか、ベースラインの健康状態、time effect、random subject effectを調整するためにrandom intercept logistic regression modelを利用した。
ケアの継続性の指標はContinuity of care index (COCI)を用いた。
COCIは患者がかかった医師の数とそれぞれの医師に受診した数からなる式で示される。
COCI=(Σnj2-N)/N(N-1)(Σの下にj=1,上にM)
Nは医師に受診した総回数、njは1人の医師を受診した回数、jは医師の番号、Mは医師の数。
COCIは0-1の間の数値で表され、1に近いほどケアの継続性が高い、とされる。
COCI自身に本来的な意味はないため、この研究では対象となった患者のCOCI値の分布を元に0.00-0.16をlow、0.17-0.33をmedium、0.34-1.00をhighとした。
「避けられる入院」はIOM(institute of medicine)による定義を用いた。

<結果>
3つ全ての年齢層においてCOCIが高ければ避けられる入院が発生する可能性は低かった。
全ての入院においても同様であった。

Table3 より抜粋 避けられる入院とCOCIの関連
 
110316_1

Table4 より抜粋 入院全体とCOCIの関連
 
110316_2

<結論>
フリーアクセス(この論文ではeasy access to careと記載)の環境下においてもケアの継続性を良好に保つことは避けられる入院、入院全体を減らすことにつながる。ケアの継続性を改善することが皆保険制度の中に置いても有効な戦略といえる。
 
【考察・ディスカッション】
台湾と同様に皆保険制度・フリーアクセスのシステムを取る日本においても、ケアの継続性(COCI)を高く保つ(多診療科受診を控えること、と言いかえてもいいだろうか)ことは避けられる入院、入院数全体を減らすことにつながる、と言え、日本の医療費高騰の解決策の一つとして家庭医療科の設置が有力であることのエビデンスになるのではないだろうか?
この研究の限界は自費診療を含んでいないこと(非常に少なくはあるが),患者の教育レベルなどの情報を加味して調整していないこと、結果を家庭医からの紹介を原則とする国には適用しにくいことであろう。
 
【開催日】
2011年3月16日

ケアの継続性 ~どう学び、どう教えるか?~

【文献】
Karen Schultz:Strategies to enhance teaching about continuity of care.
Can Fam Physician Vol. 55, No. 6, June 2009, pp.666 – 668

【要約】
 ケアの継続性の教育においてはその重要性や長所と共に、長期的な治療関係における困難な側面と、それを扱うための対処についての教育も重要である。
以下は、ケアの継続性の多面的な要素について教育するための方法である。
ケアの継続性の6つのコンポーネントの教育方略
1.長期的な継続性 :時間経過のある診療の経験
《長所》
やったことの結果をみることができる、先送りせず困難な状況を扱うことを学ぶ
《実施計画》
(1)自分で同じ患者さんをフォローアップするための方法を伝える。
(2)受付にそのレジデントがいないときに予約しないように頼む。
(3)ローテーションの中間の振り返りで、一連の受診についてFeedbackを与える。

2.情報の継続性 :過去のケアの情報へのアクセス
《長所》
患者ケアの効率と安全性が向上する
レジデントが患者の経緯を知っていることで患者の満足度が向上する
《リスク》
記録が不完全(特に今後のプランに関して)
《実施計画》
(1)最初の診療計画を立てるために検査室(電子カルテの前)での仕事を指示する
(2)もし可能で適切であれば、特に複雑な患者についての知識をローテの初期に伝え、総合的なアセスメントを立てておく
(3)初回の診療時にレジデントに患者の背景情報を伝える
(4)引き継ぎのサマリー記載を依頼する(書く方、受け取る方双方にメリットあり)

3.地理的な継続性 :多様なセッティングでのケアの経験
《長所》
環境を手掛かりに患者を理解するための洞察が増える
治療的関係が強化される
《リスク》
時間、安全性
《実施計画》
(1)レジデントに往診や施設訪問の要請に応えてもらう
(2)病棟訪問を担当してもらう
(3)来診の度に患者についてもらう(リハビリや検査などにも)

4.多職種間の継続性 :ケアが多職種で提供され、調整されていることを知る
《実施計画》
(1)診療の一連の行為/診療に携わったり手伝ったりする
(2)患者についての全ての紹介状を見せる

5.家族・地域の継続性 :様々な家族、コミュニティにケアが提供されていることを知る
《長所》
患者について更なる洞察を提供する
《リスク》
秘密保持、家族・コミュニティに吸収される?
《実施計画》
(1)長期的な診療をしている患者リストを作成し、その家族のメンバーをみる
(2)夫婦や育児などについての外来予約を取る

6.関係性の継続性 :医師患者関係を確立する
《長所》
仕事のやりがいの増加、仕事の満足度の増加、患者ケアのアウトカムの向上、訴訟リスクの軽減、自信が生じ医師自身の効果を実感する
《リスク》
い つもの決まったやり方で自己満足になる、患者の健康・マネージメント・仕事と生活のバランスの摩擦についての心配や不安が高まる、(運転、犯罪、児童保護 などで)伝えるべきことへの葛藤が生じる、患者が亡くなったり障害を負ったときに医師にも悲嘆反応が生じる、患者の依存が生じる、境界についての問題が生 じる
《実施計画》
(1)意識的に、継続性が鍵となる(治療的関係性を必要とする)患者を担当してもらう
(2)自身が(継続性の長所短所・短所への対応を見せる)ロールモデルとなる
(3)困難な患者のケアを支援・促進する

【開催日】
2010年11月10日(水)

~「ケアの継続性」はアウトカムとコストに貢献するのか?(批判的総説)~

【文献名】
John Saults, Jenifer Lochner: Interpersonal Continuity of Care and Care Outcomes: A critical Review. Annals of Family Medicine: 159-166, 2005.

【この文献を選んだ背景】
家庭医療関連の執筆のために「継続性」で文献検索して見つけ、これはMustの文献だと思ったから。

【要約】
目的
個人間のケアの継続性(1人の医師との継続性)と診療のアウトカムとコストとの関連について調べる。

方法
MEDLINE を使用して表題または副題に「ケアの継続性」で検索。2424の論文を抽出し医学に限ったり英文論文のみなどの除外規定で379となり、そこから全文読め る142本から継続性の定義や測定を行っている41本をreviewした。内ケアのコストについて調べた20本もreviewした。
Reviewは独立した二人の医師で行い、アウトカムと医療費についてそれぞれ5つのcheck項目を設定し0点-2点で評価し、その合計点で論文一覧についてのエビデンスシートを作成し分析した。
分析の中で「入院率」はアウトカムとコストの両方を測定する特有のアウトカムとして設けられると発見した。一方で「予約患者の未受診」「救急外来の受診」「頻回の受診」はコストを測定するものの、アウトカムの質を測定していないとみなした。

結果
ケアの継続性と診療のアウトカムとの関連(Table1)
・40の研究の41本の論文が評価された。介入試験7、コホート研究14、比較研究17、症例対症研究2。
・その中では81項目の診療のアウトカムが報告された。
・51のアウトカムは著しい改善との関連を認め、扁桃摘出の紹介基準と産婦人科医との併診でHRTを受けた2つの研究では寧ろアウトカムが低下するという結果であった。28のアウトカムが著しい関連がない、もしくはmixed associationであった。
・ケアの継続性とアウトカムとの関連を多く認めたものは、予防医療の提供(12の研究で22のアウトカム)・入院率(9の11)・医師患者関係の質(5の5)、慢性疾患管理の指標(4の8)、産科ケア(4の16)であった。
・ また、継続性を測定する方法は10通りあった。主なものは患者のサーベイ(10の研究)、usual provider continuity:UPC(6)、Index provider index(5),continuity of care index:COC(5)などであった。
・介入研究ではいずれも継続性を提供できる診療所と継続性のない診療所に割り付けた研究であったが、継続性の測定方法の信頼性が低く、そのエビデンスの質は危ういものであった。

ケアの継続性とケアのコストとの関連(Table2)
・20の研究の22本の論文が評価された。何れも医療費の低下との関連を認めていた。
・内訳は、介入試験5、比較研究3、症例対症研究2、コホート10であった。
・ケアの総医療費を調べたもの、メディケアの総医療費を調べたものはそれぞれ一つだけで、その他の研究では別の変数となっていた。入院率(10の研究)、受診回数(4)、救急外来受診(4)、予約したが受診しなかった率(4)、検査の使用(4)。
・20の研究で継続性が8通りの方法で測定されていたが、3つの研究では継続性そのものの測定がなく、4つの介入試験のうちの3つでは、継続性の有り無しの診療所に割り付けられたにも関わらず、その継続性の測定が行われていなかった。
・一つの研究では、継続性が増すほど、「処方箋の発行」と「専門科への紹介」の増加に著しく関連していた。

結論
・継続性はいくつかのアウトカムの改善と関連していた。
・特に、予防医療の提供のアウトカムと入院率の低下とは関連を認めていた。
・継続性と慢性疾患管理のアウトカム質との関連ははっきりしなかった。
・継続性の研究は、継続性をどのように定義し測定するかという不一致の限界がありながら、継続して行われているが、近年の研究ではコンセンサスが出来つつある。

【考察とディスカッション】
・「継続性」は家庭医療のコアプリンシプルでありながら、先人達がその定義や測定に苦労しながら研究していたことに共感を覚えた。
・また5年前にこの様な論文が出ていることで「継続性」は古典のような概念ではなく、今でも十分にHotなテーマでずっと研究が続いているテーマであることを知ることができた。
・入院率という測定しやすいアウトカム、している・していないで測定する予防医学の提供で継続性との関連が出やすく、これは家庭医の強みとして強調できる点だと感じた。
・関連でなく因果を調べるための介入研究で、継続性の測定がなく論文のエビデンスが低めてしまったことが残念であった。
・今後は言及のあった慢性疾患の管理でよりよりアウトカムが集積されるほうが健康政策や専門医志向と言われている国民性に対しては影響力を持つと感じたが、指摘の限界をどう乗り越えるかが今後の世代の宿題となった。
・インデックスなどの測定可能な指標を作って研究することは非常に重要である。先行研究として取り上げられることになる。

【担当者】
松井善典(更別村国保診療所)

【開催日】
2010年6月16日












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