胃潰瘍からの出血後、元々使用していた低容量アスピリンはすぐに再開すべきか?

【文献名】

Joseph J. Y. Sung, et.al: Continuation of Low-Dose Aspirin Therapy in Peptic Ulcer Bleeding: A Randomized Trial. Annals of Internal Medicine: 152:1-9, 2010




【要約】
Background: It is uncertain whether aspirin therapy should be continued after endoscopic hemostatic therapy in patients who develop peptic ulcer bleeding while receiving low-dose aspirin.

Objective: To test that continuing aspirin therapy with proton-pump inhibitors after endoscopic control of ulcer bleeding was not inferior to stopping aspirin therapy, in terms of recurrent ulcer bleeding in adults with cardiovascular or cerebrovascular diseases.

Design: A parallel randomized, placebo-controlled noninferiority trial, in which both patients and clinicians were blinded to treatment assignment, was conducted from 2003 to 2006 by using computer-generated numbers in concealed envelopes. (ClinicalTrials.gov registration number: NCT00153725)
Setting: A tertiary endoscopy center.

Patients: Low-dose aspirin recipients with peptic ulcer bleeding.
Their indication for aspirin is cardiovascular diseases or/and cerebrovascular diseases.

Intervention: 78 patients received aspirin, 80 mg/d, and 78 received placebo for 8 weeks immediately after endoscopic therapy. All patients received a 72-hour infusion of pantoprazole followed by oral pantoprazole. All patients completed follow-up.

Measurements: The primary end point was recurrent ulcer bleeding within 30 days confirmed by endoscopy. Secondary end points were all-cause and specific-cause mortality in 8 weeks.

Results: 156 patients were included in an intention-to-treat analysis. Three patients withdrew from the trial before finishing follow-up. Recurrent ulcer bleeding within 30 days was 10.3% in the aspirin group and 5.4% in the placebo group (difference, 4.9 percentage points [95% CI, −3.6 to 13.4 percentage points]). Patients who received aspirin had lower all-cause mortality rates than patients who received placebo (1.3% vs. 12.9%; difference, 11.6 percentage points [CI, 3.7 to 19.5 percentage points]). Patients in the aspirin group had lower mortality rates attributable to cardiovascular, cerebrovascular, or gastrointestinal complications than patients in the placebo group (1.3% vs. 10.3%; difference, 9 percentage points [CI, 1.7 to 16.3 percentage points]).

Limitations: The sample size is relatively small, and only low-dose aspirin, 80 mg, was used. Two patients with recurrent bleeding in the placebo group did not have further endoscopy.

Conclusion: Among low-dose aspirin recipients who had peptic ulcer bleeding, continuous aspirin therapy may increase the risk for recurrent bleeding but potentially reduces mortality rates. Larger trials are needed to confirm these findings.



【考察とディスカッション】
胃潰瘍からの出血直後からのアスピリンの再開・継続により再出血のリスクが高まる可能性があるが、95%信頼区間は-3.6--13.4であり、この結果はよりサンプルサイズの大きな同様の研究を待たなくてはならない。
2次アウトカムではあるが、内視鏡直後からアスピリンを再開したグループの方が有意に死亡率が低いことは8週間と非常に短い期間であることも含めて注目すべき結果と考える。


【開催日】
2011年1月26日(水)

HPVワクチンの有効性と費用対効果

【文献名】
Philip Castle: Recommendations for the use of human papillomavirus vaccines. UpToDate ONLINE 18.3: 2010. 
今野良:HPVワクチンによる子宮頚がん予防.JIM:p258、vol.20 No.4 2010
井上正樹:HPVワクチンの接種時期・抗体価・筋肉内注射の理由.日本医事新報.p81、2010年4月3日
神谷斎(ひとし):HPVワクチン.小児科診療:p2345、2009年12月号.



【要約】
【Up to Date】より
初交以前のワクチン接種- 臨床試験の結果から、HPVワクチンはHPV未感染の人たちに最も有効である。(初交以前など) なぜならHPVワクチンは予防であり、治療ではないので、すでに感染している16型または18型のHPVが発症することを防ぐことは出来ない。ワクチンを行えば、これらのタイプのHPVに対する保護的な免疫ができる。アメリカ合衆国では9歳から26歳の間の全ての女性にHPVワクチンが推奨されている。

費用対効果 ― HPVワクチンの費用対効果が複数の研究において数学的に検証された。ある研究では、米国12歳の女児全員に接種することで、20万以上のHPVの感染を予防し、10万以上の頸部細胞診の異常を予防し、近年の推奨通りに頸部がん検診を継続すれば3300例の子宮頸癌を予防すると示している。ワクチン接種年齢が増すにつれ費用対効果は低下していく。HPVワクチンが終生免疫と仮定すると、12歳の少女にワクチン接種した場合、費用対効果は1QALY(quality-adjusted life-year)あたり$43,600という報告がある一方、別の報告では26歳まで範囲を拡大して予防接種を行った場合は1QALYあたり$152,700まで上昇する。



【JIM】より

性交経験のある女性の役50~80%は、一生に一度は発がん性HPVに感染するという報告もある。しかしながら、通常、子宮頸部上皮に感染したHPVは、細胞性免疫によって死滅させられ、排除されるが、この場合には液性免疫の関与がほとんど無く、感染予防に効果的な抗体は産生されない。したがって、同一の型のHPVの再度の感染を防ぐことができず、繰り返し感染を引き起こす。ウイルスが排除されずに長期間感染が続くと、ごく一部のケースで数年~数十年間の前がん病変を経て子宮頚がんを発症する。
感染のピークは20歳代前半にあることが報告されている。日本でも同様な傾向がみられており、初交年齢の低下に伴って、子宮頚がんの発症率、死亡率ともに20~30歳代の若年層で増加傾向にある。
また、成人女性においてHPV16型、18型が子宮頸部で検出される頻度はそれぞれ6%、4%なので、これらのHPVに感染していない女性では有効性が期待できる。

【日本医事新報】より

感染者の90%はHPVは2年以内に消失している。日本においては、10代後半や20代前半では50%の感染率であるが、40歳代 以降になると5~10%である。



【小児科診療】より

女性(16~26歳)を対象とした4価HPVワクチンの第ⅡおよびⅢ相試験の統合解析結果では、ワクチン含有のHPV16および18型に未感染だった場合、これらに関連した子宮頸部前がん病変の予防に関して99%の予防有効率が示されている。2価HPVワクチンでも16型および18型による前がん病変に対して90%を超える高い予防効果が示されている。
 すでに性交経験がある女性に対しても接種を奨励しており、13~26歳の女性をキャッチアップ接種の対象としている。4価ワクチンでの臨床試験で、HPV既感染者も含む最低1回のワクチン接種を受けたITT(intension-to-treat)群を解析した結果では44%の予防効果が認められたことから、キャッチアップ群での有用性もあるものと考えられる。



【考察とディスカッション】
 当初、27歳以降の性交経験のある女性に対するHPVワクチン接種の有効性について調べたかったが、有用な情報は得られなかった。
 しかし接種年齢を拡大して行くに連れて費用対効果は下がっていく(コストが上昇していく)ことを考えると、接種を推奨する年齢には一定の線引きが必要であろう。
 27歳以上の性交経験のある女性個人のレベルで考えると、HPVの自然感染では免疫は得られず繰り返し感染するため、推奨年齢を過ぎてもHPVワクチンを接種して免疫を得ることの意義がないとはいえない一方で性交のパートナーがお互いに固定されている場合、再感染のリスクは少ない。
基本的には健診を定期的に受けることを推奨し、ワクチン接種については個別によく検討する必要がある。


【開催日】
2011年1月26日(水)

~Effectiveness of screening for CKD(CKDのスクリーニングの有効性)~

【文献名】

Braden Manns, et.al.:  Population based screening for chronic kidney disease: cost effectiveness study.BMJ 341:5869,2010.



【要約】
【Objective】

To determine the cost effectiveness of one-off population based screening for chronic kidney disease based on e-GFR. 

【Design】

Cost utility analysis of screening with e-GFR alone compared with no screening. Analyses were stratified by age, diabetes, and the presence or absence of proteinuria. 
Scenario and sensitivity analyses, including probabilistic sensitivity analysis, were performed. Costs were estimated in all adults and in subgroups defined by age, diabetes, and hypertension. 

【Setting】

Publicly funded Canadian healthcare system. 

【Participants】

Large population based laboratory cohort used to estimate mortality rates and incidence of end stage renal disease for patients with chronic kidney disease over a five year follow-up period. Patients had not previously undergone assessment of GFR. 

【Main outcome measures】

Lifetime costs, end stage renal disease, quality adjusted life years (QALYs) gained, and incremental cost per QALY gained. 

【Results】

Compared with no screening, population based screening for chronic kidney disease was associated with an incremental cost of $C463 (Canadian dollars in 2009; equivalent to about £275, €308, US $382) and a gain of 0.0044 QALYs per patient overall, representing a cost per QALY gained of $C104 900. 
In a cohort of 100 000 people, screening for chronic kidney disease would be expected to reduce the number of people who develop end stage renal disease over their lifetime from 675 to 657.
In subgroups of people with and without diabetes, the cost per QALY gained was $C22 600 and $C572 000, respectively. In a cohort of 100 000 people with diabetes, screening would be expected to reduce the number of people who develop end stage renal disease over their lifetime from 1796 to 1741. 
In people without diabetes with and without hypertension, the cost per QALY gained was $C334 000 and $C1 411 100, respectively.

【Conclusions】

Population based screening for chronic kidney disease with assessment of e-GRF is not cost effective overall or in subgroups of people with hypertension or older people.
 Targeted screening of people with diabetes is associated with a cost per QALY that is similar to that accepted in other interventions funded by public healthcare systems.



【開催日】
2011年1月19日(水)

~影響力の原理~

【文献名】

Donald A. Redelmeier, Robert B. Cialdini. Problems for clinical judgement: 5. Principles of influence in medical practice. CMAJ 2002;166(13):1680-1684

医療における「影響力」の7要素-人はなぜ動かされるのか?- 広島大学病院 佐伯俊成




【要約】

心理学における基礎科学は特異的な自動反応(ingrained responses=しみついた反応)を同定した。その反応というのは人の性質の根本的な要素であり、一般的な影響の戦略(influence strategies)を裏打ちするもので、医療の現場において適応できるかもしれない。・人は受けた恩義にこたえようとする義務感を感じる。・少しばかり受け入れがたいお願いを先にすると、(それより条件の良い)要求はより魅力的になる。・一貫性のある活動への意欲というのはたとえ要求が過剰になっても続く。・人は不確実な状態に直面した時、周囲からの圧力(Peer Pressure)は極めて強いものとなる。・要求する人のイメージが要求それ自体の魅力に影響を与える。・権威は専門家としての力量以上の力を持っている。・機会はそれらが得られにくように見える時ほど、より価値あるように見える。これらの7つの反応は何十年も前に心理学の研究により発見され、ビジネスの世界で直観的に理解されているようであるが、医療の文脈ではめったに議論がされていない。臨床家はこれらの原理を意識することで、患者が自分の行動を変える手助けをし、社会における他の人々が時に患者の選択をどの様に変えるのかということを理解するための、一つのフレームワークを提供することが出来る。

【Basic theory:基本的原理】

患者は圧倒的な情報の中で生活しているので、たとえ関係のある出来ごとでも「思慮深い決断」を下すことはほぼ不可能である。これらをうまく処理するためには、患者は自動反応(ingrained responses)と呼ばれる理にかなった近道が頼りになる。人の論理的思考過程において、自動反応というのは大半の影響の戦略の根底にある基本的な経路である。これらの経路を意識することが、患者が習慣を変える手助けを試みるためのフレームワークを臨床家に提供する。(Table1)

【Reciprocation:返報】

他人がその人に提供したものと同様のやり方で報いようとすることである。

<医療における返報性>

患者を心地よくさせることのできる臨床家は、アドバイスをした際により真摯に受け止められる傾向があるようである。これはただ単に医者がより熱心に見えるだけでなく、患者が感謝されているように感じるからだと言われている。患者の都合による突然の予約のリクエストに同意したり、小さな町において有名な地域社会の指導者をサポートしたりするといったような、ちょっとした頼みに便宜を図る臨床家は、生活習慣の変化を提案する際に何らかの優位性を有している。たとえ救急という匿名の状況においてさえ、わずかな思いやりでホームレスが少し違った(好ましい)振る舞いをする原因となり得る。

【Concession:譲歩】

返報の特殊な形で、他の誰かが歩み寄りを申し出ると、その後に譲歩する義務を感じるというものである。

<医療における譲歩>

血圧コントロールに乗り気でない患者に対して、まず追加の物事を提案した後に、最初に血圧に集中すると同意が得られるかもしれない。大腸内視鏡のスクリーニングを拒否している患者はバリウム造影検査については議論してくれるかもしれない。ただし、患者の行動変容の段階に応じてカウンセリングをすることが必要不可欠である。

【Consistency:一貫性】

人はひとたび選び取ると、その制約を維持し続けようとする強い傾向を持つ。
一貫性とみなされる欲求はとても強い力をもっており、自分自身の興味に反しても行動し続ける結果となりうる。

<医療における一貫性>

臨床家は健康の選択を強化するため一貫性に関する患者の欲求をガイドすることが出来るかもしれない。強情な喫煙者に煙草の欠点を2つリストアップしてもらうよう頼むことが出来る。この小さな課題であれば受け入れてくれるだろう。リストを作ってしまうと、患者は次の受診までのもっとそのことについて話したくなっているかもしれない。そののちの受診では、患者は(喫煙を)止める議論をしたくなるかもしれない。

【Endorsement:保証、承認】

自分に関係している他人を真似することによって何が正しいかということを決める。何が正常な習慣を構成しているか決めようと試みている際には、順応に対する圧力というのは特に強く働く。

<医療における保証>

難しい医学的判断というのはしばしば規範へのアピールにより決められる、その中で患者は他人のあいだで何に人気があるかに注意がはらわれる。手術か放射線治療科を選ばなければならない肺癌の男性は、単純な「多くの患者が手術を受けます」という言葉がどんな医学的なデータよりも説得力があるかもしれない。新しい社会的な基盤を打ち立てることが出来るので、それゆえ臨床家は影響力をもっている。先手を打って思いやりを示すと、患者は気恥ずかしい情報を公開することに拍車がかかるのはなぜかということを、この「保証」が説明している。「多くの糖尿病の患者さんは性的不能になるのです、もしかしてあなたもそうじゃないですか?」

【Liking:好意】

自分が好意を持っている人から頼まれると人は了承しやすい。(ハロー効果)

<医療における好意>
 
開業医は尊敬される専門家のイメージがあるので、潜在的にビジネスマンより説得力がある存在になり得る。泣いている患者にティッシュを渡す開業医は人間味のある人に見えるだろう。親切で気さくな臨床家はより多くの患者の心遣いを扱うことが出来るかもしれない。血圧がよくなったことを褒める臨床家は患者がさらなる同意を得るのを力づけ、動機づけるだろう。人に好かれる臨床家は標準化された教材よりも同僚をより効果的に揺り動かすことができる。もちろん専門家は自身の魅力的なイメージを、患者の悪口を言うというような、間違った使用をしないようにしなければならない。

【Authority:権威】

人は権威者の命令に従うという深い義務感を持っている。

<医療における権威>

臨床家は権威であり、それにより権力を持っている。あるケースにおいては、その他の医者以外にはだれもその医者の判断を却下することはできない。アシスタントによるよりも医者によりアドバイスされた方がコンプライアンスは上昇する。具体的に患者の心配を尋ねることで、直接誤解を解消することが出来る。医者による一回の忠告だけで時に患者は禁煙をすることが出来ることがある。この権威への服従はエラーにつながる。たとえば看護師が医師の不適切なオーダーに疑問をさしはさまなかったり、政治的な力を持っている患者を不公平に優先したりする場合である。

【Scarcity:希少性】

まれという理由で機会が価値あるものと思える。

<医療における希少性>

臨床家は助言をより強力な物にするため希少性を思い起こさせるかもしれない。前置きのアドバイスにて「今日見た全ての患者の中であなたが一番心に残っています、なぜなら…」 このような差別化は、この後にどの様なアドバイスが来たとしても重みを与え、彼らの習慣を変えるよう動機づけられるかもしれない。色々な代替案を示されるより、一つの選択肢をしめされたとき、そのままの状態を差し控え、新たな選択を受け入れる傾向になぜあるかということを、この希少性の原理は説明する助けになる。特別な治療を受けているという認識が、なぜ心移植患者が従順であり続けるかということを説明しているかもしれない。

【まとめ】

自由社会において有能な大人の習慣を変えるにはコントロールするのではなく影響力を行使することが必要である。医学の全ての側面にいえることだが、影響力の戦略は狙ったケアによって良いものにも害にもなり得る。社会における力(forces in society)が既にこれらのテクニックを患者に対して使用しているのが現実である。患者が有益な選択をする手助けをするにはどのようにするかを意識することが、効果的なケアを提供するために臨床家に必要なスキルである。



【開催日】
2011年1月19日(水)

~重症認知症患者の肺炎治療の意義~

【文献名】

Givens JL, Jones RN, et al. Survival and Comfort After Treatment of Pneumonia in Advanced Dementia. Arch Intern Med 170 (13), 1107-9.





【要約】

[目的]
重度認知症や老年期の患者において、肺炎の抗菌薬治療が「生命予後」や「生活の快適さ・安楽さ」を改善しうるかどうか明らかにする。



[研究デザイン]

前向きコホート研究(CASCADE)
(最大で18か月又は亡くなるまで追った。)



[セッティング]

2003~2009年のボストン、マサチューセッツの22ナーシングホーム入居者323人



[対象集団]

重度認知症の入居者で肺炎と確定診断された患者 Table1参照。

※これはCASCADEのベースラインと似通っている★代表的な集団が選ばれているか?

・60歳以上

・いずれのtypeの認知症と診断された

・Cognitive Performance Score 5^6点(重度の認知能低下)

・Global Deterioration Scale 7点(家族がわからない、最低限の会話、ADL全介助、便尿失禁)



[介入/要因]

抗菌薬治療を、しない群・経口治療のみ・筋注治療のみ・点滴治療(入院も含む)で分類。



[主要アウトカム]

生命予後:肺炎発症後~亡くなるまでの日数

快適さ(scored according to the Symptom Management at End-of-Life in Dementia scale:SM-EOLD)

測定前90日間の痛み・呼吸苦・抑うつ・恐れ・心配・いらいら・落ち着き・皮膚の損傷・介護への抵抗の項目に対して頻度(なし、月1回、月数回、週1回、週数回、毎日)を介護士?nursing caringが記載。点数が高いほど、快適度が高いスコア。

※90以内に亡くなった方は除外されるが、Comfort Assessment in Dying with Dementia scaleが死亡後2週間以内に測定された。



[統計手法]

生命予後:コックス比例ハザードモデル

快適さ:線形回帰モデル

多変数モデルを各治療群の差を調整するのに使用



[結果]

225の肺炎のエピソード(133人41%)があり、治療なし8.9%、経口治療のみ55.1%、筋注治療のみ15.6%、点滴・入院治療20.4%であった。

生命予後Table3/Figureは、治療しない人と比べて、すべての治療あり群は改善(経口群リスク比0.2 95%CI 0.10‐0.37)(筋注群リスク比0.26 95%CI 0.12‐0.57)(点滴・入院群リスク比0.2 95%CI 0.09‐0.42)であった。

快適さはTable4、治療前のSM-EOLDと比べ、いずれの抗菌薬治療をえた群でもscored according to the Symptom Management at End-of-Life in Dementia scaleは低かった。



[結論]

ナーシングホーム入居中の重度認知症の方において、肺炎の抗菌薬治療は、生命予後は改善するが、快適さは改善しない。





【開催日】

2011年1月12日(水)