上部消化管内視鏡時における音楽療法の緊張軽減効果について

―文献名―

Rudin D, et al. Music in the endoscopy suite: a meta-analysis of randomized controlled studies. Endoscopy. 2007, June; 39(6):507-510.

―要約―
【背景と研究目的】
 先行研究で音楽療法がストレス軽減と鎮痛を提供することが示唆されている。このメタ解析において我々は上部消化管内視鏡施行中の患者における音楽療法の効果に焦点を当てた。

【資料と方法】
 PubMedとコクラン•ライブラリのデータベースを利用した文献検索と手動検索によって上部消化管内視鏡施工中の患者における音楽療法の効果を調べた6つのランダム化コントロール試験を抽出した。
 データ抽出後にfour separate meta-analysesが実施された。薬物療法を使用しない3つの研究(グループA)において不安レベルが効果の尺度として使われた。薬物療法を使用した3つの研究(グループB)において鎮静剤と鎮痛剤の必要量と内視鏡施行時間が解析された。

【結果】
 合計641名の患者が解析に加えられた。グループAにおいて音楽療法を受けた患者はコントロール群と比較してより低い不安レベル(8.6%の減少、P0.004)を示した。グループBにおいて音楽療法を受けた患者はコントロール群と比較して統計学的に有意な鎮痛薬必要量の減少(29.7%の減少、P0.001)と内視鏡施行時間の減少(21%の減少、P0.002)とほぼ有意に近い鎮静薬必要量の減少(15%の減少、P0.055)を示した。

【結論】
 上部消化管内視鏡を実施する患者において音楽療法はストレスの軽減と鎮痛に効果的なツールである。

【開催日】
2015年3月18日(水)

腰痛に対する多職種による生物心理社会的なリハビリテーション

―文献名―

Steven J Kamper, et al. Multidisciplinary biopsychosocial rehabilitation for chronic low back pain: Cochrane systematic review and meta-analysis. BMJ 2015;350:h444 doi: 10.1136/bmj.h444 (Published 18 February 2015)

―要約―
【目的】
 慢性腰痛の患者に対する多職種による生物心理社会的なリハビリテーションの長期的な効果を評価するため

【デザイン】
 システマチックレビューとメタ解析

【データ源】
 Electronic searches of Cochrane Back Review Group Trials Register, CENTRAL, Medline, Embase, PsycINFO, and CINAHL databases up to February 2014, supplemented by hand searching of reference lists and forward citation tracking of included trials.

【研究選択基準】
・3ヶ月以上の腰痛を患う患者
・多職種によるリハビリテーション:
身体的な側面と心理的な側面か社会的、仕事に関した側面の一つ、あるいは両方に対するリハビリ。少なくとも2つの異なった専門的なバックグラウンドをもつヘルスケアの専門家が提供。非多職種の介入との比較。

【結果】
 41の研究がインクルージョンされ、そこにはトータルで6,858人の患者が含まれていた。しばしば以前の治療では症状が改善せず、平均の疼痛期間が1年以上であった。16の研究では、中等度の質のエビデンスであった。多職種のリハビリテーションによって、通常のケアと比較して、疼痛(標準化平均値差 0.21、95%信頼区間 0.04~0.37 ;10ポイントの疼痛スケールにおいて0.5ポイントに相当)と障害(標準化平均値差 0.23、95%信頼区間 0.06~0.40 ;24ポイントのローランドモリスインデックスにおいて1.5ポイントに相当)を減少させた。19の研究では、低い質のエビデンスであった。多職種のリハビリテーションによって、身体面の治療と比較して、疼痛(標準化平均値差 0.51、95%信頼区間 −0.01~1.04)と障害(標準化平均値差 0.68、95%信頼区間 0.16~1.19)を減少させたが、統計学的に重大な不均質な横断研究があった。8個の研究では、中等度の質のエビデンスであった。多職種のリハビリテーションによって、身体面の治療と比較して、介入後1年間の仕事復帰率を改善させた(オッズ比1.87、95%信頼区間 1.39~2.53)。7個の研究では、中等度の質のエビデンスであった。多職種のリハビリテーションによって、通常のケアと比較して、仕事復帰率を改善させなかった(オッズ比1.04、95%信頼区間 0.73~1.47)。外科的処置との比較をした2個の研究では、アウトカムに違いはほとんどなく、外科的手術に伴う有害事象のリスクが上昇した。

【結論】
 多職種による生物心理社会的なリハビリテーションの介入は慢性腰痛を持つ人々の疼痛と障害を減らすのに、通常のケア(中等度の質のエビデンス)、身体面の治療(低い質のエビデンス)よりも効果的であった。仕事に関するアウトカムは、多職種によるリハビリテーションは身体面の治療よりも効果的だが、通常のケアよりも効果的でないようだ。

【開催日】
2015年3月18日(水)

医療アシスタントによる健康に関するコーチングは低所得層の患者の糖尿病,高血圧,高脂血症を改善する(ランダム化比較試験)

―文献名―

Rachel Willard-Grace, et al. Health Coaching by Medical Assistants to Improve Control of Diabetes, Hypertension, and Hyperlipidemia in Low-Income Patients: A Randomized Controlled Trial.Ann Fam Med. 2015;13:130-138.

―要約―
【目的】
 医療職ではない医療アシスタントによる健康に関するコーチングがもし効果的ならば、プライマリ・ケアの現場におけるセルフケア支援の実現可能なモデルとなり得る。著者らは医療アシスタントがクリニック内で行う健康に関するコーチングが、通常のケアと比較して心血管系または代謝系のリスク因子の改善に寄与するかどうかを調査した。

【方法】
 カリフォルニア州サンフランシスコの2つのセーフティネットプライマリ・ケアクリニックにおいて、441の患者による12か月間のランダム化比較試験を行った。患者は、40時間のトレーニングを受け修了証書を持つ医療アシスタントによる健康に関するコーチングを受ける群:Table 1と、通常ケア(通常の医師の診察、糖尿病教育担当者、管理栄養士によるケア、慢性疾患認定看護師など)を受ける群に分けられた。
 調査開始時に十分コントロールされていなかったヘモグロビンA1c、収縮期血圧、LDLコレステロール値が12か月後に少なくとも3つのうち1つが目標値を達成したか、という複合アウトカムを主要アウトカムとして設定した。データはカイ2乗検定と線形回帰モデルにて解析した。

【結果】
 コーチングをうけたグループは、コントロール群と比較してより多くの患者が主要アウトカムを達成した(46.4% vs 34.3%, p=0.02)。全ての数値が目標値を達成したという2次複合アウトカムも同様の結果であった(34.0% vs 24.7%, p=0.05)。ヘモグロビンA1cは約2倍の目標達成率であった(48.6% vs 27.6%, p=0.01)。規模の大きいクリニックでは、コーチングを受けた患者はLDLの目標達成率が高かった(41.8% vs 25.4%, p=0.04)。収縮期血圧の目標値を達成した患者は、2グループ間では違いは認められなかった。

【結論】
 クリニック内の健康に関するコーチとして務める医療アシスタントは、通常のケアと比較してヘモグロビンA1c、LDLコレステロールを改善するが、血圧は改善しなかった。この結果は患者の臨床的な状態と介入、遂行における背景的な側面のもつ関係性への理解が必要なことを強調している。

【開催日】
2015年3月11日(水)

最適な収縮期血圧目標

―文献名―
Xu W, Goldberg SI, Shubina M, Turchin A.Optimal systolic blood pressure target, time to intensification, and time to follow-up in treatment of hypertension:population based retrospective cohort study.BMJ. 2015 Feb 5;350

―要約―
【目的】
新しい降圧薬を加えるか、既に処方されている薬の量を増やすかについて、最適な収縮期血圧目標を調査することと、治療強化やフォローアップの遅れと心血管イベントあるいは死亡のリスクとの間の関係を明らかにすること。

【デザイン】
後ろ向きコホート研究。

【セッティング】
英国のプライマリ・ケア診療所で、1986年から2010年まで。

【参加者】
健康改善ネットワークの全国のプライマリ・ケア研究データベースから88,756人の高血圧の成人患者。

【主なアウトカム評価】
異なる治療戦略の患者における急性冠動脈疾患イベントの発症率とあらゆる原因の死亡率。治療戦略は10年間の治療評価期間における収縮期の治療強化閾値、強化までに要した時間、フォローアップまでの時間で定義された。年齢、性別、喫煙の状況、社会経済的貧困、糖尿病の病歴、冠動脈疾患もしくは慢性腎臓病、チャールソンの併存疾患指数、BMI、薬物所持率、そして、ベースラインの血圧で調整した。

【結果】
治療戦略評価期間の後、フォローアップの中央値は37.4か月で、その間に9,985人(11.3%)が急性冠動脈イベントを起こしたか、あるいは死亡した。治療強化の閾値が130-150mmHgではアウトカムのリスクに違いはなかった。150mmHg以上では、リスクの増加と関連していた(ハザード比1.21、95%CI 1.13-1.3、160mmHg以上ではp<0.001)。アウトカムのリスクは治療強化までの時間が短い(0-1.4か月)と長いときと比べて1/5になった(ハザード比1.12、95%CI 1.05-1.20、1.4-4.7か月ではp=0.09)。降圧療法を強化して以降、最初に患者が受診するまでの期間が2.7か月を超えると、リスクが上昇することもわかった(ハザード比1.18、 95%CI 1.11-1.25、p<0.001)。 【結論】 心血管イベント・全死亡リスク上昇には、収縮期血圧が150mmHgを超えていること、降圧療法の強化が1.4か月以上遅れること、治療強化後のフォローアップが2.7か月以上遅れることが関連することがわかった。この結果は高血圧の治療でタイムリーな医学管理とフォローアップの重要性を支持するものである。 【開催日】 2015年3月11日(水)

プライマリ・ケアにおける抗うつ薬の効果と耐用性のシステマティック・レビュー

―文献名―
Klaus Linde: Efficacy and Acceptability of Pharmacological Treatments for Depressive Disorders in Primary Care: Systematic Review and Network Meta-Analysis.Annals of Family Medicine  2015 vol. 13 no. 1 69-79

―要約―
目的:
 この研究の目的は、プライマリ・ケアのセッティングにおいて、どの抗うつ薬がプラセボと比較してより効果的なのかを調査し、抗うつ薬の種類によってその効果と耐用性の違いがあるのかを究明することである。

方法:
 私たちは2013年12月までに発表されたMEDLINE, Embase, Cochrane Central of Controlled Trials (CENTRAL), PsycINFOの文献を調査し、プライマリ・ケア医による成人のうつ病治療の無作為試験についてレビューを行った。直接的、あるいは間接的なエビデンスを結合しながら、従来のpairwiseメタ分析と、ネットワークメタ分析の両方を実施した。一次アウトカムは治療への反応(うつ病スケールで50%以上の改善、あるいは症状のスケールでの改善)と、副作用による研究の中断とした。

結果:
 計66個の研究(15161人)がinclusionされた(Figure 1)。ネットワークメタ分析では、TCAs、SSRIs、SNRI(セロトニン-ノルアドレナリン再取込阻害薬)、SARI(低用量セロトニンアゴニスト+再取込阻害薬=トラゾドン、レスリン®)、オトギリソウ抽出物(セント・ジョーンズ・ワート)がプラセボと比較して有意な効果があることが分かった(Table 3)(odds ratio 1.69~2.03)。これらの薬剤間での統計上の差異は見出せなかった。rMAO-As(モノアミン酸化酵素阻害薬)とオトギリソウ抽出物は、副作用による中断という点では、TCAs、SSRIs、SNRI、NRI(ノルアドレナリン再取込阻害薬)、NaSSAs(ノルアドレナリン作動性-特異的セロトニン作動制約)に比べて中断は少なかった(Table 4)。

結論:
 TCAsとSSRIsは他の薬剤に比べて、プライマリ・ケアのセッティングでの効果という点で確固たるエビデンスがある。しかし、プラセボと比較した効果の大きさでは比較的小さい。他の薬剤(オトギリソウ抽出物、rMAO-As、SNRI、NRI、NaSSAs、SARI)はいくつか良好な結果があるものの、それらを明確に推奨するには最近のエビデンスでは限界がある。
 限界として、出版バイアス、ネットワークアナリシスによる限界、プライマリ・ケアのセッティングでの文献が少ないこと、効果判定が平均6週間であることから、プライマリ・ケアのセッティングにおける長期的な効果と耐用性については今後さらなる研究が必要。

【開催日】
2015年3月4日(水)

市中肺炎におけるプレドニゾンの追加治療は有効か?

―文献名―

①Djillali Annane: Corticosteroids and pneumonia: time to change practice.The Lancet,Published online: January 18, 2015
②Claudine Angela Blum: Adjunct prednisone therapy for patients with community-acquired pneumonia: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled trial.The Lancet,January 18, 2015

―要約―
Background:
 全身性ステロイドを市中肺炎の治療に追加することについては、未だ議論がある。今回入院市中肺炎の患者に対し、短期ステロイド治療が臨床的安定に至るまでの期間を短縮するかの検討を行った。

Methods:
 この二重盲検多施設共同ランダム化プラセボ対照試験において、18歳以上の支柱肺炎の患者をスイスの7つの3次医業機関から登録した。患者はランダムに1:1にプレドニゾン 50mg/日あるいはプラセボを7日間投与する群に割り付けられた。プライマリエンドポイントとして臨床的な安定(バイタルサインが少なくとも24時間安定)までの日数とした。

Findings:
 2009年12月1日から2014年5月21日までの間、2911人の患者が登録され、785人がランダム化された。392人がプレドニゾン群、393人がプラセボ群。臨床的に安定するまでの期間の中央値はプレドニゾン群の方が有意にに短かった(プレドニゾン群 3.0 days, IQR 2.5-3.4、プラセボ群 4.4 days, 4.0-5.0; hazard ratio[HR] 1.33, 95% CI 1.15-1.50, p<0.0001)(Table 2)。  30日目までの肺炎関連合併症については両群とも差はみられなかった(11 [3%] in the prednisone group and 22 [6%] in the placebo group; odds ratio [OR] 0.49 [95% CI 0.23-1.02]; p=0.056)(Table 3)。  プレドニゾン群はインスリンを要する入院中の高血糖の頻度が有意に多かった(プレドニゾン群 76 [19%] vs 43 [11%]; OR 1.96, 95% CI 1.31-2.93, p=0.0010)(Table 3)。  ステイロイドによるその他の有害事象はまれであり、両群とも差はみられなかった(Table 3)。 Limitation:  入院患者としたため、外来患者全体への一般化の限界あり。  死亡数が少ないので検討するにはパワー不足。  Primary endpointにおいていくつかのパラメーターが存在していること。しかし、筆者としては、これは現実に即していると考えている。 Interpretation:  入院を要する市中肺炎の患者に対する7日間のプレドニゾン治療は合併症を増加させることなく臨床的な安定までの期間を短縮する。この結果は患者の利益、医療の費用、効率性からは切実なものであると言える。 【開催日】 2015年3月4日(水)












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