包括性と医療費

―文献名―
Andrew Bazemore, et al. More comprehensive care among family physician is associated with lower costs and fewer hospitalizations. Annals of family medicine. 2015; 3(13):p.206-213.

―要約―
【目的】
 包括性は、プライマリ・ケアの5つのコアな要素のうちの1つとして評価されているが、包括性とアウトカムとの関係はまだわかっていない。我々は、家庭医の診療における包括性を構成する要素と、医療費との関連を調査した。

【方法】
 患者の診療に従事している家庭医のサンプルと、彼らが診療したメディケア受給者全員分を含む、2011年以降のメディケア・パートA、パートBの請求書、そしてサンプルの家庭医のうち2007年から2011年までの間に専門医更新を申請した医師から得られたデータを統合した。包括性の測定のため、自記式調査票を作成し、専門医更新時に提出必須とした。またメディケアのBerenson-Eggers Type of Service(BETOS)からも指標を作り、比較した。その後、2つの包括性指標と入院、パートB単独、パートAとBの合計の医療費の関係を調査した。

【結果】
 サンプルとした家庭医数は3,652人で、メディケアの受給者555,165人のうちの大部分の診療を担っていた。そのうち、2007年から2011年の間に専門医更新を行ったのは1,133人であり、185,044人の診療にあたっていた。BETOSと自己評価による包括性は中等度の相関(0.30)を示した。受給者と家庭医の特性を調整すると、包括性はメディケア・パートAとパートBの合計およびパートB単独のコスト削減と関連していた。しかし入院との関連はみられなかった。医療費の支払いとの関連はBETOSのほうが自己評価による包括性よりも強かった。BETOSが高いほど、入院の可能性は低くなった。

【結論】
 家庭医のケアの包括性(特に請求書に記載される項目から測定した包括性)が増すと、メディケアの医療費、入院は減少した。プライマリ・ケアの包括性へ報酬を与えることや、診療方針とすることが、費用曲線を変化させうる。

【開催日】
 2015年11月18日(水)

危機におけるリーダーの危うい姿と望ましい姿

―文献名―
ASTDグローバルネットワークジャパン リーダーシップ開発委員会「2011年度 ASTDグローバルネットワーク・ジャパン リーダーシップ開発委員会報告」2012年3月16日
 *ASTD:American Society for Training & Developmentという非営利団体の略称。主に人材開発や組織開発の分野でカンファレンスやセミナーを
      行っている団体。

―この文献を選んだ背景―
 診療所経営で日々様々な問題を経験し対処・対応しているが、その問題が危機的状況となると違うリーダーシップが自然と発動される感覚があった。先の震災でも話題になった「危機のリーダーシップ」について学習・省察しようと調べてみたところ、この文献に出会うことが出来たので共有する。

―要約―
【作成経緯】
 ASTDの日本支部のリーダーシップ開発委員会で、2011年7月から2012年2月まで10回の議論を行い、企業組織の内部に起因する“危機”とその対処における“あるべきリーダーシップ”に着目し、組織の危機対応のプロセスを①迫りくる危機、②危機への対処、③体質の転換の3つのフェーズに区切り、各フェーズでのリーダーシップ(トップ、ミドル、社員に求められるフォローワーシップ)の仮説を立て、インタビューや文献調査によるモデル化を行った。

【資料要約】
●フェーズ①「迫りくる危機」:危機は顕在化していないが、リスクが存在する局面
  ■組織の状況
   ◇ 杜撰で不透明な管理体制、不正や問題に対する感度の低さ、世間と組織の倫理観のズレ、現状追認の意識、組織防衛を優先
  ■リーダーの意識・行動の描写
   ◇ トップ:緩い現状認識、重んじる判断軸のズレ、自らの地位への執着
   ◇ ミドル:当事者意識の欠如

  ■望ましい意識・行動
   ◇ トップ・ミドル共通:
    ・信頼関係の構築、問題解決への執着、鋭い情報収集アンテナ、失敗経験を生かす、厳しい現状認識から逃げない姿勢(不都合な情報・
     事態に向き合う、丹念な情報収集)、価値基準の明示(長期的な組織の発展を重んじる、顧客・社会の立場で考える)
   ◇ トップに求められること:
    ・理念・危機対応方針の共有、危機対応への覚悟、私利私欲の排除
   ◇ ミドルに求められること:
    ・社内の連帯作り、現場での危機対応シナリオ構築、危機対応への覚悟
   ◇ 現場に求められること:
    ・現場の生の声を上げる
  ■望ましい組織体制・文化のあり方
   ◇ 組織全体に求められること:
    ・風通しの良い組織作り、危機の想定の具体策、危機対応シナリオ構築、危機対応に関する社内リソース構築、危機対応に関する
社外リソース活用
   ◇ トップに求められること:
    ・適切な人材登用

●フェーズ②「危機への対処」:危機が顕在化し、危機への対処処置を行っている局面
  ■組織の状況
   ◇ 危機への無関心・楽観、危機発生直後にパニック発生、不安・不信の高まり、情報錯綜・隠蔽、外部からの関心の高まり、
     司令塔不在による混乱、外部からの批判・糾弾、組織内部の疲弊、社会的制裁
  ■リーダーの意識・行動の描写
   ◇責任回避、判断回避、外部の権威への依存、多方面への受身の対処、脅威による疲弊

  ■望ましい意識・行動
   ◇ トップ・ミドル共通:
    ・的確でスピーディーな情報収集、的確な情報発信、事態収拾の徹底
   ◇ トップに求められること:
    ・価値観の明示と実践、正しい現状認識、適切な情報コントロール、積極的な内部コミュニケーション、社内のモチベーション維持への配慮、
     覚悟の明示、真摯な対応姿勢、ポジティブな思考と迅速な行動
   ◇ ミドルに求められること:
    ・方向性の明示、オープンな情報共有・的確な状況把握、主体的な行動、危機対応に集中
   ◇ 現場に求められること:
    ・事実に基づく現場の状況報告、即時最善の行動
  ■望ましい組織体制・文化のあり方
   ◇ 組織全体に求められること:
    ・危機対処組織の立ち上げ

●フェーズ③「体質の転換」:危機をバネに新生を目指している局面
  ■組織の状況
   ◇ 経営破綻への不安、上層部への批判、原因追究の動き、事態収拾の兆し、組織改革への機運、引責者・退職者の出現、組織の主体的な
     情報発信・危機的状況の沈静化、現場の主体性回復、再建への機運、新体制・ルールの構築、再生に向けた価値の再定義、新体制での方針・
基準策定、問題解決への取り組み、再発防止への取り組み
  ■リーダーの意識・行動の描写
   ◇ 旧リーダーの機能不全、新たなリーダーの出現、事業・組織体制の改革、企業価値・基準の新たな定義、信頼回復に向けたコミュニ
     ケーション、リーダーとしての覚悟と実践、大胆な改革・ビジョンの提示

  ■望ましい意識・行動
   ◇ トップに求められること:
    ・過去との決別・逃げない覚悟、新たな企業価値観の追及と明示、根本原因の解決、強いエネルギーと熱意、期限かつ誠実な行動、
ポジティブマインドを促す、部下への感謝、社外へのメッセージ発信、情報開示の徹底、着実な再生への取り組み、経営陣の信頼関係構築
   ◇ ミドルに求められること:
    ・風土改革の主導・実践、再生への熱意、方針を現場に落とす、現場のチーム作り、誠実な行動、体質転換への問題把握、
     有能な社員の引き留め
   ◇ 現場に求められること:
    ・現場管理の徹底、確実な業務運営、再生への建設的な関与、キャリアの再考
  ■望ましい組織体制・文化のあり方
   ◇ 組織全体に求められること:
    ・オープンで多様性を活かすしくみづくり、新たな企業文化構築への取り組み

―考察とディスカッション―
 危機を3つのフェーズに分け、在りがちな組織の現状やリーダーの行動の描写は反面教師になった。また望ましい意識・行動のリストは自分が行えていること・行えていないことのチェックリストにもなり、自然発生的な危機のリーダーシップでは不足する部分(意識しないと振る舞えないリーダーシップ)を補う情報となった。
 またリーダーのみならず、ミドル(HCFMならサイト長、診療所ならフェロー)の役割の重要性も認識できた。当事者意識を持ってリーダーと積極的にコミュニケーションを行い、現場を指揮するミドルの存在が危機対応には欠かせないと改めて実感した。
 また危機のときほど事実確認が濁り、組織のコントロールが難しくなる実感を持っている。自分なりには先入観や希望的観測を排し、冷静に「事実に基づくこと」情報管理と細かな情報発信を重視している。また組織コントロールを握るためにも、ギアをあげて巻き込むと同時に穏やかに落ち着いて振る舞うという、スピード感と安定感のバランスにも工夫している。
 危機を等身大に扱いどのようなパースペクティブで扱うのかのリーダーシップを鍛えていきたい。
皆さんが、この資料を読んで新たに学んだことは何ですか?
皆さんが、危機のリーダーシップで大切にした(い)ことは何ですか?

【開催日】
 2015年11月18日(水)

DSMの功罪:操作的診断は正しいのか

―文献名―
アラン・V・ホーウィッツ著.それは「うつ」ではない どんな悲しみも「うつ」にされてしまう理由
(原著名:The Loss of Sadness How Psychiatry Transformed Normal Sorrow Into Depressive Disorder).2011年 阪急コミュニケーションズ

―この文献を選んだ背景―
アリセプトの売り上げと認知症患者数の比例、新型うつ病と休職など精神疾患の診断criteriaは時に、社会問題まで発展することがある。私たち家庭医はプライマリケアを担うため、精神疾患と関わることが多いが、大局的に見た精神科業界の流れ、大きな位置付けをしめているDSMについて時に、批判的な視点をもっておくことも必要である。このような事を改めて考える必要を感じ、上記書籍を読んでみた。

―要約―
第一章:うつの概念
1960-1970年代に、同じ患者、同じ症状でも精神科医によって診断にバラツキがあることが問題となり、DSM作成チームは,1980年代から各疾患の明確な定義を確立するために、症状リストを提示することになった。

 DSM-5は、うつ病の症状を9つ挙げ、それを一定数以上満たせばうつ病の診断基準を満たすとしています。うつ病の症状については、次のようになっています。
佐藤先生図
これらのうち、
 ・5つ以上が2週間以上続くこと
 ・1か2のどちらかは必ず認めること
 ・苦痛を感じている事、生活に支障を来していることを満たすと「抑うつエピソード」であると判断され、更に他の疾患を除外している事
  (例えばお薬で誘発されたうつ状態など)
を満たすと、うつ病の診断基準を満たすこととなります。

第二章:正常な悲哀
 正常な悲哀は一時的なものであるとは限らない。夫婦間のごたごた、ストレスの多い仕事、長期にわたる貧困、慢性病などが背景にあれば悲哀も長時間つづく。
 乳幼児は主たる養育者から引き離されると、泣くなど特有の悲哀反応を示す。親密な関係の喪失に対して社会化以前の乳幼児が示す悲哀反応は、人の生得的な本性の一部であり正常な反応と考える。
進化で獲得したメカニズムだとしたら、悲哀は何のためにあるのか?
 ①社会的支援が得られる:うつ反応が助けが必要なことを周囲の人々へ知らせ、社会的支援を引き出すSOSの叫びである。
            絆の喪失後に強い苦痛を伴う悲哀を経験することで、人々は絆の大切さを実感し、結束の維持に努めるようになる。
            遠い祖先の時代には、狩猟などで家族が離れ離れになることがあり、このような環境では、喪失による悲哀は
            社会的な絆を強め、維持する強い動機付けになった。
 ②地位喪失後に身を守る手段となる:敗北や服従という状況に対する適応的な反応として、身を守ることに役立つ。
 ③不毛な努力を断念させる:今までの目標をあきらめて、新しい目標にエネルギーを向けるのは困難な作業だが、今行っている活動を
             中断し、考え込むことで、この作業をよりうまく遂行できる。

第三章:理由の有無という指標-古代から19世紀までのうつの診断史
メランコリー:これといった理由がないのに抑鬱状態になった場合。理由に対して抑うつの度合いが激しい場合。
 問題が解決したのちも鬱がつづくような場合→病的なうつとされていた。症状だけではなかった。

第四章:20世紀のうつ
 1950年代、アメリカでは精神科の治療の中心は重度の患者を扱う州立病院から、比較的軽度な外来患者を扱う精神分析セラピーへシフトした。そのため以前からある重度の障害を定義した統計マニュアルは役立たなくなり、1952年、アメリカ精神医学会は、新マニュアルを作成した(DSM-Ⅰ)
 この反応においては、うつと自己評価の低下によって、不安が軽減され、多少なりとも緩和される。この反応は現在の状況が引き起こしたもので、患者にとっての何らかの喪失が引き金となることが多く、往々にして過去の行為に対する後悔や罪悪感を伴う。このようなケースでは、喪失の現実的な状況だけでなく、喪失したものに対する患者の愛憎入り混じった感情の強さによって反応の強さが変わってくる。抑うつ反応は「反応性うつ」と同義であり、精神病性反応とは区別すべきものである。この区別で考慮すべきポイントは1)患者の生活歴、特に気分が激しく変化したか、人格構造、引き金となるような環境要因があったか。2)悪性の症状(自分は病気ではないかと異常に心配する、興奮、特に身体的な妄想、幻覚、激しい罪悪感、ひどい不眠症、自殺願望、極端な精神運動性の遅滞、深刻な思考の遅滞、麻痺)がないことである。
 うつ状態を意識化に潜む不安から自分を守る手段とみなすだけではなく、罪悪感と愛憎が維持混じる感情がうつの中核にあるという精神分析派の説を採用している。1967年、DSM-Ⅱは「抑うつ神経症」に簡潔な定義を与えている。
 この疾患は、内的な葛藤または愛する対象や大切にしていた所有物を失うなどの出来事による、過剰な抑うつ反応として現れる。これは「退行期うつ病」「躁鬱病」とは区別されるべき疾患である。反応性うつ、または抑うつ反応はこのカテゴリーに含まれる。
この定義は、精神科医がうつの諸症状を知っていることを前提として、その諸症状は列挙せず、病因論を土台としている。
 1970年以降、うつは一つの病気か複数のタイプに分類するべきか調べるために、症状に対する因子分析を統計学的な手法として採用するようになった。また1972年、正確な定義なしに様々な分類が行われる限り、精神医学が科学的な学問分野として認められることは望めないと考える研究チームが現れた→異なる研究グループの結果を比較し、データを蓄積し、統一的な基準を設置することを目指したファイナー基準が作られた。
 診断の信頼性はあがったが、妥当性(診断の有効性)については不確かであった。ではなぜ症状優位の基準へ変化したのか?
 ①1980年代、フロイト派の影響力は低下し、ざまざまな理論の精神医学派が乱立。病因については論じないDSM-Ⅲは多少な考えをもつ臨床家に
  受け入れられた
 ②反精神医学の運動(診断の不一致、幻聴ダミーの入院)が盛りあがり、精神医学の信頼性の回復の必要性
 ③精神疾患に医療保険が適応されるためには、確固とした根拠が必要で、診断基準が特定の病気のみを保険適用とするというものでなければ
  ならない。

第五章:DSM—Ⅳの定義するうつ

第六章:DSMの基準が社会に及ぼした影響
 地域に対しての疫学調査で、臨床家が得るのに相当する診断を得ることが体型的な質問票を使えば可能であるという前提で、一般住民に対して調査が行われた。精神科受診する母集団と有病率が違うという点でも無謀であった。

第七章:悲哀の監視

第八章:DSMとうつの生物学的研究

第九章:抗うつ薬による薬物療法の普及
 費用対効果を重視するマネジドケアは、心理療法より薬物療法を優先する。またマネジドケアは、心理療法よりもSSRIに寛大に医療給付を行う内容になっている。また1997年 FDAが一般向けメディアを通じて直接消費者へ向けた医薬品広告(DTC広告)を認可したためSSRIの使用は拡大。FDAは医薬品広告では、病気の治療に用いるものであることを明確にし、日常的な苦痛を軽減する効用をうたってはならないと定めている。この場合、DSMの定義は、一般人にもわかりやすい病気の定義を示すのにうってつけであった。DSMの定義を採用すれば、ありふれた症状が病気の兆候とされるため人々は合法的に処方箋を手に入れられるし、製薬会社は合法的に一般人向けに製品を宣伝できるのだ。また製薬会社がDTCに投ずる予算は年間20億ドルにもなる。しかし製薬業界は患者と家族の支援団体に多額の寄付を行ったり、うつ病の臨床研究にも巨額な助成金を提供。また全米うつ啓発デーなど教育キャンペーンを大々的に展開し、うつのスクリー二ングを無料で行う自動音声電話やホームページを開設している。https://www.youtube.com/watch?v=pB6_6DlXFoQ(ジェイゾロフト1分間広告例)
→著者の意見:正常な悲哀までうつと診断し、SSRIを処方しているのは行き過ぎでは?
 反対派:出産に伴う正常な陣痛をなくすために麻酔薬を使う無痛分娩に反対する人はほとんどいない。同様にSSRIの服用で感情を制御でき、
     自信をもつことができ、精神的な苦痛が和らぐなら病気でなくても処方すべきでは?
 その反対派:孤独で耐え難い悲哀の場に一定期間とどまることが人の自然な姿であり、その悲哀の場につきものの苦痛を薬で
       軽減してもいいのかという思い。

第十章:社会科学の役割

第十一章:結び
 精神科臨床医によって、症状に基づく基準のメリットは、保険に適用されない可能性のある幅広い患者の治療費が、保険会社から償還されることである。保険会社は疾患の治療費は払うが、生活上の悩みには保険は適応されない。またDSMの診断基準で恩恵をうける最も堅調な利害関係者は、正常な悲哀がうつ病と診断されることで巨額の利益をえる製薬会社であろう。ただ最後に、悲哀を病気と定義することで、恩恵をうけるものとして、苦痛を感じている人々なのかもしれない。心理的な苦痛を治療可能な病気と解釈すれば、抵抗なく医師へ助けを求めることができ、つらい感情をコントロールできる。また病気の犠牲者という自己定義をすれば、自分の抱える問題を社会的に容認される形で説明でき、そうした問題に対する責任をある程度免れることができるため、人々はそうした自己定義を進んで受け入れることもあるかもしれない。

―考察とディスカッション―
 各国のコンテクストの中で、DSMのようなスタンダートが作られたという流れは興味深かった。精神科では上記の内容はもしかしたら常識で、みなさん注意して使っているのかもしれないが、プライマリケアで他分野(だいたいはそう)から輸入して使用する際には、その分野のコンテクストなども把握しないと、製薬会社中心の情報では注意が必要だと改めて認識をし直した( DSMの定義の変遷など興味深い)。
  1) DSMをどのように普段の臨床で位置付けていましたか?
  2) 正常な深い悲哀は見直されるべき意義があるのか、それとも不都合なものとして私たちの生活から排除されるべきなのか
  3) DTC(Direct to consumer)広告について、GERD、リリカ、アリセプトなど患者さんが外来で話をする際に、
    どのように対応をしているか、何か気をつけている点など

【開催日】
 2015年11月4日(水)

脳梗塞再発予防における抗血小板薬

―文献名―
Wuxiang Xie, Fanfan Zheng, Baoliang Zhong, Xiaoyu Song, Long-Term Antiplatelet Mono- and Dual Therapies After Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack: Network Meta-Analysis, J Am Heart Assoc. 2015 Aug 24;4(8)

―要約―
BACKGROUND
The latest guidelines do not make clear recommendations on the selection of antiplatelet therapies for long-term secondary prevention of stroke. We aimed to integrate the available evidence to create hierarchies of the comparative efficacy and safety of long-term antiplatelet therapies after ischemic stroke or transient ischemic attack.

METHODS and RESULTS
We performed a network meta-analysis of randomized controlled trials to compare 11 antiplatelet therapies in patients with ischemic stroke or transient ischemic attack. In December 2014, we searched Medline, Embase, and the Cochrane Library database for trials. The search identified 24 randomized controlled trials including a total of 85,667 patients with antiplatelet treatments for at least 1 year. Cilostazol significantly reduced stroke recurrence in comparison with aspirin (odds ratio 0.66, 95% credible interval 0.44 to 0.92) and dipyridamole (odds ratio 0.57, 95% credible interval 0.34 to 0.95), respectively. Cilostazol also significantly reduced intracranial hemorrhage compared with aspirin, clopidogrel, terutroban, ticlopidine, aspirin plus clopidogrel, and aspirin plus dipyridamole. Aspirin plus clopidogrel could not significantly reduce stroke recurrence compared with monotherapies but caused significantly more major bleeding than all monotherapies except terutroban. The pooled estimates did not change materially in the sensitivity analyses of the primary efficacy outcome.

CONCLUSIONS
Long-term monotherapy was a better choice than long-term dual therapy, and cilostazol had the best risk–benefit profile for long-term secondary prevention after stroke or transient ischemic attack. More randomized controlled trials in non–East Asian patients are needed to determine whether long-term use of cilostazol is the best option for the prevention of recurrent stroke.

【背景】
 最新のガイドラインでは、脳梗塞の二次予防のための長期抗血小板薬の選択について、明確な推奨はしていない。我々は、利用可能なエビデンスを統合して、脳梗塞後、または一過性脳虚血発作後の長期抗血小板薬治療の効果と安全性の階層を創出することを目的とした。

【方法と結果】
 我々は、11の脳梗塞または一過性脳虚血発作の患者に対する抗血小板薬療法のランダム化比較試験についてネットワークメタ分析を行った。2014年12月、我々はMedline、Embase、Cochrane Libraryを検索した。その検索で、85,667人の少なくとも1年の抗血小板薬の治療を受けた患者を含む24のランダム化比較試験が見つかった。シロスタゾールは、アスピリン(オッズ比 0.66, 95%信頼区間 0.44 – 0.92)とジピリダモール(オッズ比 0.57, 95%信頼区間 0.34 – 0.95)と比較して著明に脳梗塞の再発を減少させた。シロスタゾールは、アスピリン、クロピドグレル、テルトロバン、チクロピジン、アスピリンとシロスタゾールの併用、アスピリンとジピリダモールの併用のそれぞれと比較して著明に頭蓋内出血を減少させた。アスピリンとクロピドグレルの併用は、単独療法と比較して著明な脳梗塞の再発を減少させることはできなかったが、テルトロバンを除くすべての単独療法と比較して主要な出血イベントを著明に増加させた。プールされた推定値は、有効性の主要な一次アウトカムの感度分析に著しく変化を与えなかった。

【結論】
 長期の単独療法は、長期の併用療法よりも良い選択であり、シロスタゾールは、脳梗塞後または一過性脳虚血発作後の再発予防にリスク対効果で最も優れていた。非東アジア系患者において脳梗塞の再発予防におけるシロスタゾールの長期使用が最も良いかどうかを決定するには、より多くのランダム化比較試験が必要である。

※ネットワークメタ分析(Network meta-analysis)とはメタ分析の一種である。通常のメタ分析は治療法Aと治療法Bを比較した臨床試験を収集し、個々の比較結果を統計的に併合する。従って、治療法Aと治療法Cや、プラセボを比較した臨床試験は分析対象とはならない。今まで分析対象外となっていた臨床試験を含めたメタ分析がネットワークメタ分析である。

※シロスタゾール:プレタール®、クロピドグレル:プラビックス®、チクロピジン:パナルジン®

【開催日】
 2015年11月4日(水)












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