Comparison of Early versus Late Orthostatic Hypotension Assessment Times in Middle-Age Adults

-文献名-
JAMA Intern Med. 2017 September 01; 177(9): 1316–1323. doi:10.1001/jamainternmed.2017.2937

-要約-
Introduction:
ガイドラインでは、臥位から立位になった3分後に起立性低血圧を評価することが勧められている。立位3分後に血圧を測定した時と立位直後に測定した時とで、どちらがより強く有害事象を予測するかはわかっていない。

Objectives:
立位直後とそれより後に評価した起立性低血圧を比較し、それぞれとめまいや有害事象との関連性を調べる

Design、setting、and Participants:
Atherosclerosis Risk in Communities Study(1987-1989)に参加していた44歳〜66歳の中年成人

Exposure:
起立性低血圧は収縮期血圧20mmHg以上か、あるいは拡張期血圧10以上の低下と定義。立位直後から25秒おきに合計5回血圧を測定。

Main Outcomes and Measures:
5回の血圧測定それぞれと、立位でのめまいの既往、転倒、骨折、失神、自動車事故、全死因死亡との関連性を調べた。
追跡期間は中央値で23年。

Results:
11429が参加。平均54歳。
Measurement 1(M1、立位から平均28秒後の測定で認められた低血圧)はめまいのとの関連が高かった。ほかにもM1は骨折、失神、死亡との関連が一番高かった。M2(立位から平均53秒後の測定で認められた低血圧)は転倒や自動車事故との関連が一番高かった。
変数で調節すると、M1~M4で認められた血圧低下は全て転倒と有意に関連し、M2が最も強い関連性を示した。M1~M2で認められた低血圧は骨折リスクと最も強い関連を示した。M1~M5全ての血圧低下は失神と有意に関連したが、M2のみが自動車事故と関連した。立位から1分以降に認められた低血圧はめまいや個々の長期予後と関連がなかった。

Conclusion and Relevance:
ガイドラインの推奨とは対称的に、立位になって1分以内に認めた起立性低血圧がめまいや有害事象と強い関連があった。起立性低血圧を診断するためには、立位になってから1分以内に血圧を測定することを推奨する。

川合1(20171115)

川合2(20171115)

川合3(20171115)

川合4(20171115)

Discussion:
制限について。骨折、転倒、失神、自動車事故はICD9のコードかCMS claimsで評価したので、感度に問題がある。立位を指示してから実際に立ち上がるまでに参加者間でばらつきがある。自動車事故については運転手とての技量が評価されていない。

【開催日】
2017年11月15日(水)

冠動脈心疾患患者の生活習慣に焦点を当てたテキストメッセージ配信がリスク因子の改善に及ぼす影響

―文献名―
Clara K. Chow, MBBS, PhD, et al,
Effect of Lifestyle-Focused Text Messaging on Risk Factor Modification in Patients With Coronary Heart Disease
JAMA. 2015 Sep 22-29;314(12):1255-63

―要約―
Introduction:
心血管疾患の二次予防として有効なものとして、内服予防、リスクコントロール、生活習慣の改善などがあるが、生活習慣への介入は最も効果的であるが、十分に研究されていない。 そのため、冠動脈疾患を持つ患者に定期定期にメッセージを送信することで心血管リスク因子を減らすことが出来るかランダム化試験で評価を行った。

Objective:
携帯電話のテキストメッセージによって送信される心血管リスク因子に関する生活習慣に焦点を当てた半個別化支援プログラムの効果を検証すること

Design and Setting:
喫煙、運動および食事療法のメッセージ(TEXT ME)試験は、オーストラリアのシドニーにある大規模な三次病院で2011年9月から2013年11月までの虚血性心疾患の既往のある710人の患者(平均年齢58歳(SD,9.2)男性82%.喫煙者53%)を集めた並行群、単盲検、ランダム化臨床試験。

Interventions:
介入群(n=352)の患者は通常のケアに加えて、6ヶ月間1週間に4回の助言、動機づけのリマインダ、行動変容を支援するテキストメッセージを受信した。対照群(n=358)の患者は通常のケアのみを受けた。各参加者のメッセージは、ベースライン特性(例えば、喫煙)に従ってメッセージバンクから選択され、自動化されたメッセージ管理システムを介して配信された。

Main outcomes and Measures:
Primary end point(主要評価項目):6ヶ月後のLDL-C
Secondary end point(副次評価項目):収縮期血圧、BMI、身体活動量、喫煙状況

Results:
6ヵ月後には、介入群の参加者において、収縮期血圧およびBMIの低下、身体活動の有意な増加、および喫煙の有意な減少とともに、LDL-Cが有意に低下した。
画像1尾崎

Conclusions and Relevance:
冠動脈性心疾患の患者の中で、通常のケアと比較して生活習慣に焦点を当てたテキストメッセージ配信サービスを使用すると、LDL-Cレベルが改善され、他の心臓血管疾患の危険因子が大幅に改善された。

Discussion:
・行動への介入研究でありOutcomeがLDL-Cという代用アウトカムだったため、臨床転帰の改善に繋がるか不明。
・携帯を使えない人、英語の文章を十分に理解できない人は除外されていた。
・Secondary end pointのいくつか(身体活動)は自己申告によって測定された。
・完全な盲検化が出来なかった。
・効果がいつまで続くか不明。

画像2尾崎 画像3尾崎 画像4尾崎Conclusions and Relevance

【開催日】
2017年11月15日(水)

成人の非喘息性急性下気道感染に対する経口ステロイドの効果

ー文献名ー
Effect of Oral Prednisolone on Symptom Duration and Severity in Nonasthmatic Adults With Acute Lower Respiratory Tract Infection: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Aug 22;318(8):721-730. doi: 10.1001/jama.2017.10572.

ー要約ー
Introduction:
プライマリケアにおける急性下気道感染を扱うことは非常に一般的であり、急性下気道感染症の症状は増悪した喘息に類似している。経口および吸入コルチコステロイドは急性喘息に対して非常に有効であるが、米国、英国、および欧州のガイドラインでは、コルチコステロイドを急性下気道感染症に使用すべきかどうかについては指針が示されていない。これにも関わらず吸入、経口ステロイドが使用されていることが多い。今研究の目的は、喘息のない成人の急性下気道感染症に対する経口コルチコステロイドの効果を無作為に調べることである。

Method:
The Oral Steroids for Acute Cough(OSAC) trialは2013年6月~2014年10月の期間で行われた、無作為、3重盲検化のプラセボ群を対照とした研究である。多施設で行われ、オックスフォード等の4つの大学で研究の手法を学んだ家庭医と看護師が患者の適正(4週間以内の発症で、咳嗽に加えて24時間以内に少なくても1つの下気道症状(痰、喘鳴、息切れ、胸痛)を持ち、即日抗生物質の投与が必要でなくかつ5年間喘息の治療を受けていない成人患者)を評価し参加者とした。介入はプレドニンゾロン20mg/日とプラセボを5日間投与であり、フォローアップはウェブ又は用紙を用いて0~6の症状を28日間毎日記載し、咳はさらに28日間記載した。
主要なアウトカムは➀徐々に増悪していた中等度咳嗽の持続時間②投薬後の症状重症度(咳嗽、痰、息切れ、不安、不眠、活動障害)の2~4日間での平均スコア(0~6点)であった。

Results:
58人の家庭医と50人の看護師が評価し、525人の参加者が選ばれた。その中で124人が除外され、401人が参加となった。このうち咳嗽のデータは334人、症状の重症度に関しては370人が利用可能であった。双方の患者の性質に関してはプレドニゾロン群がわずかに男性が多く年齢(平均50歳)が高かった(table1)。
主要なアウトカムについて、①中等度に悪い咳の期間の中央値はプレドニゾロン、プラセボともに5日間であり(table2)、咳の持続時間のベースラインの中央値をCoxモデルに当てはめて計算すると0.91(95%Cl 0.76~1.10P=36) 対1.11(95%Cl 0.89-1.39)であり(9%<20%)有意差は認めなかった。
②2~4日目の症状の重症度に関してはプレドニゾロン群とプラセボで1.99対2.16(95%Cl-0.4~0.00,P=0.5)と0.2ポイント(9.3%<20%)であり有意差は認めなかった(table2)。

Discussion:
この研究ではいくつかの限界があり、1つ目は患者が選択的に集められているため募集率が低くなり一般化に影響が出る可能性があること。2つ目は中等度に悪い咳の期間が基準を満たさなかった募集者が予想以上に多かったこと。
3つ目は他のバイオマーカー(レントゲン、炎症反応、微生物学的検査、レントゲン)が測定されていなかったので
重症度に差が出ていた可能性があること。4つ目に試験の適格基準には、急性下気道感染ではなく慢性または感染後の咳を伴う患者が含まれていた可能性があること。5つ目にこの研究では、患者報告の結果を用いたので客観的ではないこと。6つ目にグループ間で服薬コンプライアンス不良による有害事象の効果について欠如していることが限界として挙げられた。
最後に、今後はCRPの上昇や即時に抗菌薬が必要な程度の重症度の高い場面でのステロイドの有効性についても研究が必要である。

【開催日】
2017年11月1日(水)

海外渡航前の予防接種

-文献名-
Travel Immunizations (American Family Physician)

-要約-
プライマリケア医が旅行者にvaccine preventable diseaseについて助言する責任は増してきている。それは旅行に関連した疾患のリスクアセスメント、出発までに残された期間、vaccine preventable diseaseの疫学に関する最新の知識などに基づいていなければいけない。
トラベルワクチンはおおまかに以下の3つに分類される。
① アップデートおよび追加接種を受けるべき小児期のルーチンな予防接種
② 特定の地域に入る際に法律の上で必要とされる予防接種
③ 目的地で暴露される可能性次第で利益になることが予想される推奨予防接種

Risk Assessment:
まず全目的地、経由地、それぞれの滞在期間、宿泊形態(都会か田舎か、ホテルかテントか)、アクティビティ(動物との接触、川や湖の水に接触するか、食事)、季節に応じたリスク、現地の住民との接触などを含めた全旅程を考慮する。次にその人の健康状態(特に旅行中に関係しうる基礎疾患)、今までの予防接種歴、薬や予防接種に対するアレルギー、現在の薬、Table3のリスクの高い旅行者に該当しないかを確認する。
旅行者は、特に発展途上国に行く場合、少なくとも4週間前までに医学的助言を受けるべきである。リスクの高い目的地であればトラベルクリニックも助けになりうる。出発までの期間に応じて予防接種計画を立てるが、通常のスケジュールでよいのか、早めて行ったほうがよいのか(この場合出発までに最大限の効果が得られない可能性があることを知らせる必要がある)を検討する。
Tabel2のような資料や、CDCのHPを参考にする(日本の状況を考慮し最後に追記した資料も参照)。

Routine Immunizations:
旅行は医療者にとって定期接種を振り返る機会でもある。
・最後の破傷風予防接種から5年以上経過していて、暴露後接種ができないかもしれない土地に行く旅行者は破傷風とジフテリアの追加接種を。
・1956年以降に生まれ2回接種していないまたは抗体価が陰性で麻疹流行地に行く旅行者ならMMRを。
・インドやエジプトなどの流行地に行くならポリオの追加接種を。
・水痘接種歴を確認し12歳なら1回、13歳以上なら2回追加接種を。
・65歳以上やそれ以下でも慢性肺疾患や無脾、肝硬変、糖尿病があるなら肺炎球菌を。
といったように、今までの接種歴を考慮しながら検討すべきである。渡航地の季節によってインフルエンザも忘れずに。

Required Immunizations:
黄熱病
まれだが、赤道付近のアフリカや南アメリカといった流行地では致死的になりえる感染症。月齢9か月以上で黄熱病が報告されている地域に入る場合に推奨。流行国では出入国に接種証明書が必要になる場合もある。(ただし検疫所など限られた機関でしか打てない)

A型肝炎
目的地が北アメリカ(メキシコを除く)、西ヨーロッパ、日本、オーストラリア、ニュージーランドである場合除くすべての旅行者に推奨。

B型肝炎
B型肝炎流行地で密に現地の住民と接触する可能性があるまたは6か月以上の長期滞在の場合、海外で医療行為を受ける可能性がある場合、外国で生まれて出生地に戻る場合に推奨。

日本脳炎
インド亜大陸、中国、韓国、日本、東南アジアなど流行地に(田舎なら特に)、流行時期に、30日以上滞在する場合に推奨。短期旅行者であっても屋外アクティビティに参加したり流行地に行ったりする場合は推奨。

腸チフス
中南米、インド亜大陸、アフリカなどの流行地に行くなら推奨。通常の旅行ルート以外に立ち入って汚染された可能性がある飲食物を摂るかもしれない人も推奨。

髄膜炎菌
サブサハラは12~1月に”髄膜炎ベルト”で流行するので推奨。メッカ巡礼やその他の宗教的休暇の時期にサウジアラビアに行く巡礼者も必要。

狂犬病
インド亜大陸、中国、東南アジア、フィリピン、一部のインドネシア、ラテンアメリカ、アフリカ、旧ソ連諸国で今だに流行。暴露後接種も有効だが必ずしも利用可能とは限らない。流行地に30日以上滞在、へき地に行く、動物の近くで働く、ハイキングやサイクリングなど動物と近づくアクティビティに参加する、噛まれたことを伝えられない小児などの場合に推奨。

TABLE1
TABLE2
TABLE3
TABLE4

【開催日】
2017年11月1日(水)












copyright© HCFM inc. all rights reserved.