急性虫垂炎の診断とマネジメント

-文献名-
Matthew J. Snyder. Acute Appendicitis: Efficient Diagnosis and Management. AAFP. 2018; 98(1): 25-33.

-要約-
急性虫垂炎は、成人と小児の急性腹痛症の最も一般的な原因の一つであり、生涯リスクは男性で8.6%、女性で6.7%である。また、妊娠中の女性においては、産科手術以外での緊急手術として最も多い。病歴・身体所見・検査所見の結果は診断の一助となる。右下腹部痛(LR+ 7.3-8.5)、筋性防御(LR+ 3.8)、右下腹部に放散するへそ周囲の痛み(LR+ 3.2)は成人の急性虫垂炎を考える兆候である。また、腸蠕動音の減弱・消失(LR+ 3.1)、psaos sign(LR+ 3.2)、obturator sign(LR+ 3.5)、Rovsing兆候(LR+ 3.5)は小児の急性虫垂炎を考える兆候である。
Alvarado score(もっとも研究がなされているスコア・成人と小児の両方で使用可能)、Pediatric Appendicitis score(小児に特化したスコア)、Appendicitis Inflammatory Response score(新しいスコア)は患者を低リスク・中リスク・高リスクに分けることができ、迅速な診断にも役立つ。

20180718JC(佐野)1

画像検査の第一選択には腹部エコーが推奨される。→どうですか?
(肥満患者の場合はCTが推奨されている)

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開腹もしくは腹腔鏡下の虫垂切除術が標準治療法である。しかし一部の患者には経静脈的な抗生剤投与が第一選択となる。オピオイド、NSAIDs、アセトアミノフェンを用いた疼痛管理が優先されるべきであり、治療介入の遅れや不要な処置を招く結果にはならない。(Alvaradoスコアは変わらない)
腸管穿孔は17-32%の患者でみられ、敗血症を引き起こす。外科的処置前の症状の長さがリスクとなる。中リスク〜高リスクの患者では、穿孔 の罹患率や死亡率を減らすために、早急な外科的介入が必要である。

【開催日】平成30年7月18日(水)

30歳男性の3人に1人が65歳までに2型糖尿病を発症 ー 日本人会社員5万人超の累積罹患率を調査

-文献名-
Huanhuan Hu et al. Cumulative Risk of Type 2 Diabetes in a Working Population: The Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study. Journal of Epidemiol. 2018 May 4

-要約-
Background
糖尿病は世界的な公衆衛生上の大きな健康問題であり、日本には1,080万人の糖尿病患者がいるとされている。日本人の全般的な人口を対象とした糖尿病発症リスクに関するデータはあるが、本研究は日本の30歳から65歳までの労働人口(会社員)について2型糖尿病の累積罹患率を調べたものである。
Methods
 研究グループは今回12の企業で働く約10万人の会社員を対象に行われている職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study;J-ECOH Study)のデータを用いて、2型糖尿病の累積罹患率を男女別やBMI別に調べる観察研究を行った。
 対象は、ベースライン時(2008~2010年)に糖尿病を有さず、最大で7年間追跡しできた11企業で働く30~59歳の会社員5万3,828人(男性4万6,065人、女性7,763人)。2型糖尿病の定義は、健診時のHbA1c値が6.5%以上、空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、あるいは糖尿病治療を受けている場合とした。
Results
 27万4,349人年の追跡期間中に、3,587人(男性3,339人、女性248人)が2型糖尿病を新たに発症していた。解析の結果、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率は男性が34.7%、女性が18.6%であることが分かった。対象者をBMIで層別して解析したところ、2型糖尿病の累積罹患率は男女ともに肥満(BMI 30kg/m2以上;男性77.3%、女性64.8%)と過体重(BMI 25~29.9 kg/m2;それぞれ49.1%、35.7%)の人では、BMIが25 kg/m2未満の適正体重あるいは低体重の人(それぞれ26.2%、13.4%)と比べて高いことも明らかになった。
Conclusions
 日本人会社員の大規模コホートで、30歳から65歳までの2型糖尿病の累積罹患率を調べた研究は今回が初めてだと思われる。この結果から、日本人の会社員は男女ともに2型糖尿病になるリスクが高く、その疾病負荷は大きいと考えられることから、特に若年の肥満者を対象とした効果的な体重管理法や2型糖尿病のスクリーニングプログラムの開発が必要とされる。

【開催日】平成30年7月18日(水)












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