Afに対する抗凝固薬の有効性と安全性の比較

-文献名-
Torben Bjerregaard Larsen, Flemming Skjøth, Peter Brønnum Nielsen, Jette Nordstrøm Kjældgaard, Gregory Y H Lip.
Comparative effectiveness and safety of non-vitamin K antagonist oral anticoagulants and warfarin in patients with atrial fibrillation: propensity weighted nationwide cohort study. BMJ 2016; 353

-要約-
Objective
 抗凝固薬を初めて開始する心房細動の患者さんで、ダビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)といったNOACsの有効性や安全性をワーファリンと比較した。

Design
 観察的全国コホート研究

Setting
 3つのデンマークの全国データベース、2011年8月から2015年10月

Participants
 61,678人の経口抗凝固薬を初めて処方された非弁膜症性心房細動の患者で、弁膜症性心房細動や静脈血栓症の既往がない患者。治療の選択はワーファリン(n=35,436、57%)、ダビガトラン 150mg (n=12,701、21%)、リバーロキサバン 20mg (n=7,129、12%)、アピキサバン 5mg (n=6,349、10%)に分けられた。

Main outcome measures
 虚血性脳梗塞、虚血性脳梗塞もしくは全身性塞栓症の合計、死亡、虚血性脳梗塞もしくは全身性塞栓症もしくは死亡の合計を有効性の結果と定義した。安全性の結果はあらゆる出血、脳内出血、大出血とした。

Results
 分析を虚血性脳梗塞に限定すると、NOACsはワーファリンと有意差はなかった。1年のフォローの中では、リバーロキサバンはワーファリンと比べて虚血性脳梗塞と全身性塞栓症の年間発症率の減少(それぞれ3.0%と3.3%)と関連していた。ハザード比は0.83(95%信頼区間は0.69-0.99)。ダビガトランとアピキサバン(それぞれ年間2.8%と4.9%)のハザード比はワーファリンと比べて有意差はなかった。年間死亡率はアピキサバン(5.2%)とダビガトラン(2.7%)(それぞれ0.65,0.56-0.75、0.63,0.48-0.82)とワーファリン(8.5%)と比較して有意に低かったが、リバーロキサバン(7.7%)は有意差がなかった。あらゆる出血の組み合わされたエンドポイントでは、アピキサバン(3.3%)とダビガトラン(2.4%)(0.62,0.51-0.74)とワーファリン(5.0%)と比較して有意に低かった。ワーファリンとリバーロキサバンの年間の出血率(5.3%)は同じであった。

Conclusion
 通常の診療では、すべてのNOACsがワーファリンと比べて安全性も有効性も代替できるものであると考える。虚血性脳梗塞についてはNOACsとワーファリンに有意差を認めなかった。死亡率、あらゆる出血、大出血に関してはワーファリンと比較して、アピキサバンとダビガトランが有意に低かった。

-考察とディスカッション-
 この文献を読んで、NOACsについての知識が増えて、これらの薬剤が自分の中でより身近に感じられるようになった。
 今後も新しい薬剤の処方は躊躇すると思われるが、その有効性と安全性を調べて、使いこなせるようにしていきたい。

【ディスカッション】
 1.みなさんはNOACsを新規に処方する際に躊躇することはありませんでしたか?
 (使いこなしている方は気持ちの変遷などがあれば教えてください。)
 2. 新しい薬剤の知識をどのようにして手に入れていますか?

【開催日】
 2016年11月2日(水)