Outcomes of Medical Emergencies on Commercial Airline Flights

―文献名―

Peterson DC, M.D., et al.  N Engl J Med ;368:2075-83,2013 

―要約―

【背景】
世界では、毎年 27 億 5,000 万人が民間航空機を利用する。飛行中に医学的緊急事態が発生した場合には,医療へのアクセスは限られる。飛行中の医学的緊急事態と、その転帰を報告する。

【方法】
2008 年 1 月 1 日~2010 年 10 月 31 日に、5 つの国内・国際航空会社から,医師が指揮する医療通信センターに通報された。飛行中の医学的緊急事態の記録を調査した。頻度の高い疾患と、機内で提供された支援の種類を明らかにした。予定外の着陸地変更、病院への搬送、入院の発生率とそれらに関連する因子を検討し、死亡率を算出した。

【結果】
センターへの通報にいたった飛行中の医学的緊急事態は 11,920 件あった(飛行 604 回あたり 1 件)。頻度の高い疾患は,失神または失神前状態(37.4%)、呼吸器症状(12.1%)、悪心または嘔吐(9.5%)であった。飛行中の医学的緊急事態 の 48.1%では、乗り合わせた医師が医療支援を行い、7.3%では着陸地が変更された。飛行後の追跡データを入手しえた 10,914 例のうち、25.8%が救急隊員によって病院に搬送され、8.6%が入院し、0.3%が死亡した。入院の要因としては、脳卒中の可能性(オッズ比 3.36,95%信頼区間 [CI] 1.88~6.03)、呼吸器症状(オッズ比 2.13,95% CI 1.48~3.06)、心症状(オッズ比 1.95,95% CI 1.37~2.77)の頻度が高かった。

【結論】
飛行中の医学的緊急事態のほとんどは、失神,呼吸器症状、消化管症状に関連し、医師が任意で医療を提供する頻度が高かった。着陸地変更または死亡にいたった飛行中の医学的緊急事態は少なく、飛行中に医学的緊急事態が発生した乗客の 1/4 は病院でさらなる評価を受けた。(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた。)

―ディスカッション―

思っていたよりも飛行機内の緊急事態の際に医療関係者が乗っている割合が多かった(医師(48.1%))ことに驚いた。
実際、日本の医師にとられたアンケートでは「航空機の中で『お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか』というアナウンス(ドクターコール)を聞いたときに手を挙げるか?」という質問に対して、 「手を挙げる」と答えたのは4割程度という結果がある。このような結果になった一因としては、対応した場合の責任問題や医療器具が乏しい状況での判断や、自身の判断が運航に与える影響が大きいことに対する不安などが考えられる。

資料
「善きサマリア人の法」
災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない。
→アメリカやカナダで施行されているが日本では法整備なし。

JAL機内の医療用品
・薬剤
注射:生理食塩液、アドレナリン、リドカイン、ブドウ糖、イノバン、アトロピン、ネオフィリン、ハイドロコートン、ブスコパン、メテナリン
内服:ニトロペン、アダラートカプセル、タベジール、タリビット
医療用具:聴診器、血圧計、AED、心電図モニター、血糖測定器、点滴セット、アンビュバッグ、気管内挿管セット、液体吸引セット、異物吸引セット、ネラトンカテーテル
一部国際線のみ

開催日:平成26年4月16日












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