発達障害児に対するアプローチ

―文献名―
岩間真弓、市河茂樹.かかりつけ医がみていこう common diseaseとしての発達障害.治療.2014;4.Vol.96.増刊号:556-557ページ

―要約―

【はじめに】
2012年度の文部科学省の統計では、発達障害がある児童は全児童の6~9%であることが示された。発達障害は、診断や治療において専門性の高い判断が必要な場合もある。一方、発達障害児の日々の生活のアドバイスや健康相談については、なかなか受診できない専門施設だけでなく、児の住む地域のプライマリ・ケア医が積極的に関わっていくことは大切であり、今後ますます求められていくだろう。

【発達障害とは】
自閉症、アスペルガー症候群その他の汎用性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの(2004年の発達障害者支援法)。
特性に応じた支援が受けられれば、十分に能力を発揮できる可能性がある。

a.自閉症
自閉症の児は発語が遅い、対人意識が弱い、かんしゃくが強いということで保護者から相談を受ける事が多い。成長発達の中で、児の言語、運動、社会性の発達にはマイルストーンがあるが、そこから外れているようであれば、まず1~2ケ月後に、成長が認められるかをしっかりとフォローする。そして表1(言語評価を行うべきred flags)に当てはまるようであれば、耳鼻科、言語聴覚士、地域の発達障害者支援センターに紹介しながら言語評価を開始する。対人面やこだわり、コミュニケーションの取り方について早期に関わっていくことで、児がより安心して成長することが可能となる。

b.注意欠陥多動性障害
じっとしていられない、順番が待てない、忘れ物が非常に多いといったことに、保育園や幼稚園などの集団生活の中で気付かれ、相談される事が多い。ただ、「落ち着きのない子」で終わるのではなく、どうしてそのような行動になっているのかを見極め、周囲にも伝える事が大切。伝える情報はなるべく少なくシンプルにする等、本人に合わせた情報の入力の仕方をすることで生活しやすくなる。

【適切な支援】
発達障害とは児の生まれ持った特性であり、治療して治す疾患ではない。また、決まった対応方法があるわけでもなく、児の特性とライフステージに合わせた支援を、医療、保健、福祉、教育および労働などの各関係機関が連携を図りながら提供していく必要がある。各都道府県に、発達障害者支援センターがあるほか、各自治体の子育て支援課が相談を受け付け、近くの療育機関を紹介してくれる。支援における医療の役割としては、医師による診断、特性に合わせた育児方法のアドバイス、薬物療法、言語聴覚士・作業療法士や児童心理士による言語・行動療法や感覚統合訓練などが挙げられる。ADHDに対して治療薬もあり、注意力の向上に一定の効果が期待出来る。発達が気になる児やその育児者の相談に乗り、児にあったリハビリ、子育て支援機関を紹介し療育を開始する。診断が困難な場合は発達支援外来に紹介している。専門医、言語聴覚士、作業療法士、保健師、教員などが集まって児の事を話し合うカンファレンスを実施する。

【おわりに】
発達障害児の診療といっても医師1人の力だけでは出来る事は限られている。日常診療の中で、かかりつけ医が児やその育児者の悩みに気づき、その児にあった支援につなげていく流れをリードしていくことで、児1人ひとりが生まれ持った特性を安心して十分発揮するためのお手伝いができるのである。専門医に紹介した後も、かかりつけ医としてこまめに関わり続けていけば、常に「その児の専門家」として近くで成長を応援し、児がのびのびと成長出来る地域づくりを推進していく事が出来る。

―ディスカッション―

発達障害児に対するアプローチ、支援方法が紹介され、我々家庭医の関わりについても述べられている。寿都での最近の取り組みとしては、5歳児健診前に、家庭医、役場保健師、保育園保育士が集まり、情報の共有をするようにして、すでに診断されている児の最近の動向や、疑いがある児に対する対応策を検討し、健診での対応の改善につなげた。疑わしい児は、家族と相談し、専門医に紹介し、診断がつけば、その後の支援につながっている。しかし、その後、我々家庭医が、紹介した専門医や療法士、児童心理士とうまく連携して、児の特性に合わせた対応が統一して出来ているとはあまり感じられない。今後、このような専門家との密接な連携がより求められるのはないかと感じた。

開催日:平成26年4月16日












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