疼痛に対しての鍼治療

-文献名-
ROBERT B. Acupuncture for Pain. Am Fam Physician. 2019 Jul 15;100(2):89-96.

-要約-
鍼治療は忍容性が高く、重篤な副作用のリスクはほとんどない治療法であり、疼痛に対しての統合治療、補完治療として普及してきている。鍼治療の効果は、内因性オピオイド・セロトニン・ノルエピネフリンの放出が侵害受容器や炎症性サイトカイン、運動器に作用するのではないかと考えられているが、正確には解明されていない。また、鍼の技術、使用鍼数、鍼保持時間、経穴の特異性、治療回数、主観的(心理的)要因など、複数の要因が寄与している可能性がある。
鍼治療の効果は、急性/慢性腰痛、変形性膝関節症、頭痛、筋筋膜痛、頸部痛、線維筋痛症で発表されている。
鍼治療のシステマティックレビューでは統計的にも臨床的にも効果が示されたものもあるが、鍼治療は盲検化が難しく、バイアスの問題は大きい。また、真の鍼と偽の鍼の治療(下図参照)での効果の差は有意ではなかった。鍼治療の効果には患者の期待、治療の儀式、鍼灸師との関係性、プラセボなどの様々な要因が効果因子となっているのではないかと思われる。
忍容性・副作用:10%以下に倦怠感、局所の疼痛、頭痛。入院・後遺症が残る・死亡といった重篤なイベントはなし。気胸や重篤な感染症の報告は稀。

補足:verum needle(真)とsham needle(偽)について
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【開催日】2019年12月4日(水)