敗血症の治療方針(Early goal-directed therapy:EGDT)は時代遅れなのか

―文献名―
Ling Zhang, Guijun Zhu, Li Han and Ping Fu .Early goal-directed therapy in the management of severe sepsis or septic shock in adults: a meta-analysis of randomized controlled trials:BMC Medicine (2015) 13:71

―要約―
【背景】
 The Surviving Sepsis Campaignガイドラインでは、early goal-directed therapy (EGDT) が、重症敗血症または敗血症性ショックの患者の致死率を下げる重要な戦略だとしている。しかしながら、その効果は不明である。

【方法】
 1966年1月から2014年10月までのMedline, Embase, the Cochrane Library, Google Scholar, Chinese database (SinoMed)といったデータベースにある文献を渉猟した。
重症敗血症または敗血症性ショックに対するEGDTに関する全てのランダム化比較試験について、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行った。プライマリアウトカムとしては致死率、セカンダリーアウトカムとしてはICU滞在期間、入院期間、人工呼吸器管理、昇圧剤、輸液、輸血とした。Review Manager 5.2を用いて、相対リスク、95%信頼区間を算出した。

【結果】
 2011年~2014年までの10のRCT、4157人の患者を組み入れた。全ての研究で、EGDT群とコントロール群では致死率に有意差を認めなかった(RR 0.91, 95% CI: 0.79 to 1.04,P = 0.17)。異質性の検定ではχ2 = 23.65, I2 = 58%であった。サブグループ解析では、標準EGDT群(注1)は、修正EGDT群(注2)と違って、通常治療(注3)に比較して低い致死率だった(RR 0.84, 95% CI: 0.72 to 0.98, P = 0.03)。しかしながら、EGDT群は、早期に乳酸除去をした群と比較し、より高い致死率であった(RR 1.52, 95% CI: 1.06 to 2.18, P = 0.02)。最初の6時間で、EGDT群は通常治療に比較して、より昇圧剤が投与され、輸液され、輸血をされていた。ICU滞在期間、入院期間、気管挿管率、昇圧剤投与については有意差を認めなかった。

注1:標準EGDT…治療開始6時間以内のCVP8~12mmHg、平均血圧65~90mmHg、尿量0.5ml/kg/h以上、中心静脈酸素飽和度(ScvO2)70%以上を保つ方略
注2:修正EGDT…標準EGDTを簡素化したもの(CVP、ScvO2を計測しない)
注3:通常治療…元文献によるが、おおよそ輸液量、昇圧剤の使用量はEGDTに比べて少量

【結論】
 EGDTは、重症敗血症、敗血症性ショックの患者にとって生命予後を改善しないようである。EGDTは早期乳酸除去群と比較してより高い致死率であった。早期乳酸除去(※)をするEGDTについての、質の高いRCTが施行されることが望ましい。

※乳酸除去治療…おそらく持続的血液透析濾過治療(CHDF)のことを指す

【開催日】
2015年7月1日(水)












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