ソーシャルメディアにおける医療者のプロフェッショナリズム

- 文献名 -
 Jeanne M. Farnan, MD et al: Online Medical Professionalism: Patient and Public Relationships: Policy Statement From the American College of Physicians and the Federation of State Medical Boards. Ann Intern Med. 2013;158(8):620-627.

- この文献を選んだ背景 -
 最近世間のSNSなどの利用度が急激に増し、自分自身も時に利用することもある。
便利な反面、怖さもあるこのようなツールに対して米国から医師に対する指針が発表されたため、参考になればと思い紹介したい。

- 要約 -
 
【背景】
 Web上でのコミュニケーションツールのイノベーションはここ数年でめまぐるしい。一方で医師がどう使用するかということに対するポリシーやガイダンスはほとんどない。この文献はオンライン上での医療倫理とプロフェッショナリズムを考える上での枠組みを提案するものである。

【方法】
 この指針は米国内科学会American College of Physicians (ACP) と米国州医事評議会連合Federation of State Medical Boards (FSMB)によって作成されたものである。2011年5月~2012年10月に検討された。その後外部の査読などを加え作成されたものである。

【Positions】

① オンラインメディアを用いることは患者、医師にとって非常に教育的な利点をもたらしうる。しかし、倫理的な問題も生じうる。プロとしての、患者医師関係における信頼を維持するには関係性、信頼、プライバシー、そして人に対する尊敬の念を一貫して守ることが求められる。
 ・facebookなどでの現在、もしくは過去の患者とのやり取りはすべきではない。

② プロフェッショナルとしての立場と個人としての立場に分ける境界が不鮮明となりがち。常に2つの立場を意識し、それぞれしっかりと振る舞うべきである。
・”pause-before-posting” どう受け止められるか考えるように。
 ・研修医、学生、他のスタッフらとの関係にまで言及。関係性があいまいになりうるので注意が必要。
 ・ACPとFSMBはEメールでの患者とのやり取りは支持しない。

③ Eメールや他のコミュニケーションツールは、患者の同意を得た上で患者医師関係を構築するために医師としてのみ用いるべきである。患者ケアについてのやり取りはカルテに記載すべき。
 ・関係性ができていない患者とのEメールのやり取りはすべきではない。
 ・直接会って話をすることを補うに過ぎない。

④ 医師ランキングサイトや他の情報源などにおいて自分自身に対する利用可能な情報の正確性を定期的に評価するべきである。(self-auditing)

⑤ インターネット上のコミュニケーションは長きにわたり、時には永遠に残るものである。自分自身の医師人生において将来にわたり影響しうるものであることを認識すべきである。

【まとめ】
 今後もこのようなソーシャルメディアは変化していくであろう。今回の指針はスタートに過ぎず、今後も修正や時代への適応が必要である。医師にはそれらがどのような影響を持ちうるかを事前評価すべきであり、またそれらに対しての知識も持つ必要がある。

- 考察とディスカッション -
 専門職ゆえ、我々が与える影響力は、想像していた以上に大きいと感じた。
 様々な職種や患者との関係性がぼやけたり、医師と個人の立場が不明瞭になったりと使い方を間違うと非常に怖いツールであることも再認識できた。
 ただし、関係性がしっかりとできている間柄であれば、うまく使うとケアの質向上にも寄与しうる側面もあるようだ。 また、家庭医は特に患者や家族との関係性が濃密になりやすく、さらには地域に住んでいるとプライバシーの境界の不鮮明さも増す。しっかりとした患者との関係性を構築し、その上での適正な使用をすべきと再認識した。それができないようであれば、無理に使うことなく、基本的に医師としてのみの使用に徹するという考え方もあるように思えた。

開催日:平成25年8月7日












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