組織管理

【文献名】

Quint Studer著、エクセレント・ホスピタル、ディスカバー社、2011年

【要約】

<5つの柱、9つの原則で最高の組織を目指す>
5つの柱とは「医療の質」、「サービス」、「人材」、「成長」、「財務」の柱である(※Balanced Score Cardの考え方に「人材」が加えられた形)。以下、一つ一つの原則について触れる。

1.最高の病院になることを決意する
5つの柱それぞれについて測定可能な指標を設定することから始まる。それぞれの目標を定め、行動計画を作成し、評価制度を設定すれば、職員は目標達成に主体的に関わるチャンスが生まれる。そのためにはa) 職員の意識を高めるため全ての会議の議題を「5つの柱」に合わせる、b) 責任感をもたせるためにリーダーの評価を「5つの柱」に合わせる、c) 指標の進捗状況を知らせるために「5つの柱」で表した部門間のコミュニケーションボードを作成する。サンプル指標を揚げる(図1)。

2.重要な指標を測定し、改善する
定めた指標はできるだけ頻繁に測定する。一般に四半期では不十分。モチベーションを保つためには少しでも早く成果を知る必要がある。

3.サービス志向の文化をつくる
いくつかのサービスチームを作ることが原動力になる。標準化チーム、患者満足度チーム、職員満足度チーム、測定チーム、コミュニケーションチーム、評価・報酬チームなど。職員が主体的に関わる。

4.リーダーを育成する
リーダーシップを学んでいる職員が不在ではいけない。リーダーシップ開発セミナーを行うべきである。部門管理者も医療ファイナンス、業務量管理、パフォーマンス別面談スキル、上司をコントロールスキル、測定結果からアクションプランを立てるスキルなどを育成する必要がある。特に、「組織変革の壁」を学ばせ予測・対応できる能力の育成が必要。組織の成長段階の中で必ず職員のパフォーマンスのばらつきが生じ、パフォーマンスに応じた対応が組織改善に必要。

5.職員の満足度に重点を置く
この原則に重点を置くことは全ての柱の改善につながる(※参考:Service-Profit Chain)。リーダーへのフィードバックはリーダーのトレーニングにもなる(図2)。改善すべき課題は「90日間行動計画」に落とし込む。

6.職員一人一人に責任感をもたせる
「名案プログラム」を導入する。自分の案が組織改善に寄与し、評価されるならば、職員は主体的に組織改善に関わるチャンスがある。

7.個人の行動を、組織のゴール・価値観に合致させる
組織の目標に合わせてリーダーを評価する(図3)。ペースメーカーとして月齢進捗報告書(図4)、90日間行動計画(図5)なども利用する。また、医療者同志での評価も取り入れる(図6)。

8.すべての職員とコミュニケーションをとる
職員フォーラムやコミュニケーションボードの活用で一人一人の行動に影響する。

9.成功を認め、讃える
「感謝の手紙」などで職員を評価する。

図1
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図2
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図3
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図4
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図5
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図6
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【開催日】
20120年4月11日