2型糖尿病患者に厳密な血糖降下治療は、いいの?悪いの?

【文献名】

Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death, and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
 BMJ 2011;343:d4169 doi: 10.1136/bmj.d4169



【要約】

<目的>

2型糖尿病における厳密な血糖降下治療と、全死亡及び血管系死亡の関係をみる



<研究デザイン>

RCTのメタ解析



<データ源>

Medline、Embace、Cochraneデータベースのシステマティックレビュー、最近のメタアナリシスのリスト



<選択された研究>

18歳以上の2型糖尿病で、心血管イベントと微小血管合併症における、厳密な血糖降下治療について評価されている13編のRCT(5つは二重盲検でJadad3点以上。8つは非盲検は3点以下)



<データの抽出>

一次エンドポイントは全死亡と心血管系死亡。二次エンドポイントは重症な低血糖と、大血管および微小血管イベント。



<結果の統合>

結果はrisk ratio(99%信頼区間)として報告した。統計学的異質性はカイ二乗検定など。fixed effect modelで統合した。厳密な血糖降下治療と通常のコントロールの比較は、fixed effect modelで評価した。かくRCTの質はJadad scoreで評価した。



<結果>

13の研究が採用された。34533人の患者のうち、18315人が厳密な血糖降下治療をうけ、16218人が通常の治療を受けた。厳密な血糖降下治療は全死亡に大きな影響はもたらさなかった(RR:1.04、99%信頼区間:0.91?1.19)。心血管系死亡も同様であった(1.11、0.86?1.43)。しかし、厳密な血糖降下治療は、非致死的なAMIを減少させた(0.85、0.74?0.96、P<0.001)。また微量アルブミン尿も減少させた(0.90、0.85?0.96、P<0.001)。しかし重症な低血糖が2倍だった(2.33、1.62?3.36、P<0.001)。5年間で、1人の心筋梗塞を防ぐために117人?150人の治療が必要。微量アルブミン尿も同様に32人?142人の治療が必要。しかしこれをすると、15人?52人に1人の割合で毎年重症な低血糖が起きる(NNH=15?52)。質の高い研究(Jadad scoreで3点以上)に限ると、うっ血性心不全の危険性が47%増加する。 

<結論> 
メタ解析の結果からは、全死亡および心血管死亡における厳密な血糖降下治療の利益は限られている。研究者らは、全死亡の9%の減少および19%の増加は除外できなかった。同様に心血管死亡の14%の減少と43%の増加は除外できなかった。大血管および微小血管イベントにおける厳密な血糖降下治療の利益/不利益の比は、不明確なままである。重症な低血糖の害は、厳密な血糖降下治療にcounterbalanceしてしまうかもしれない。2型糖尿病患者への最前の治療アプローチを確立するには、さらなる二重盲検RCTが必要である。

 <限界>
 出版バイアスがあるかもしれない。研究間に治療方法、治療目標、フォローの期間にばらつきがある。

 【開催日】 
2011年9月21日












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