この患者は将来静脈血栓塞栓症を発症するか?

【文献名】

Julia Hippisley-Cox.Development and validation of risk prediction algorithm (QThrombosis) to estimate future risk of venous thromboembolism: prospective cohort study.BMJ 2011;343:d4656 doi: 10.1136/bmj.d4656



【この文献を選んだ背景】

入院、もしくは外来診療の中でDVTなどの静脈血栓塞栓症を疑い、場合によっては診断に至るケースは少なくない。今回、DVTの発症リスクを予測するツールが開発されたので紹介したい。



【要約】

<Objectives>

静脈血栓塞栓症(深部)の将来の発症リスクを予測するアルゴリズムの開発と妥当性を確認するため。

(下肢腫脹などの有症状患者が血栓塞栓症に「現在」罹患しているかどうかのリスクではない。)



<Design>
Prospective open cohort study
 1年後と5年後の時点でのリスク計算式を導き出すためコホートでCox比例ハザードモデルを用いた。
  Calibration(較正)とdiscrimination(識別)を測定するため、validation cohortを用いた。
 患者をStataを用いて無作為に2/3をderivation(解析群)に、1/3をvalidation(検証群)に割り付けた。



<Setting>

QReserchデータベース上のイングランドとウェールズにある564か所の家庭医(general practices)



<Participants>
25~84歳で、過去12カ月で妊娠記録がなく、静脈血栓塞栓症の既往がなく、ベースラインで経口抗凝固薬の処方を受けていない患者。

<Outcomes>
 プライマリケア医のカルテもしくは死亡記録に記録されている静脈血栓塞栓症(DVTもしくは肺塞栓)の発生



<Results>
Derivation cohort(解析群):
 
割り付け 2,598,829人-exclusion=2,314,701人が対象。

14,746件/10,095,199人年(14.6/10,000人年)発生。
Validation cohort(検証群):

割り付け 1,354,517人-exclusion=1,240,602人が対象。
6,913件/4,632,694人年(14.9/10,000人年)発生した。
Baselineのcharacteristic ⇒ Table1参照
最終的なモデルにおいて独立予測因子に以下が含まれる。
男性・女性双方において、年齢、BMI、喫煙状況、静脈瘤、うっ血性心不全、慢性腎症、COPD、炎症性腸疾患、過去6カ月における入院歴、抗精神病薬の現在の処方歴

研究者らによって以下が含められた。
女性における経口避妊薬、タモキシフェン、ホルモン補充療法
   (以下の項目は有意差なし)

心房細動、心血管系疾患、喘息、静脈血栓塞栓症の家族歴

このモデルは良く較正されていると言える。(well calibrated) ⇒ Table3

5年時点で

R2 statistic:女性においては33%、男性においては34%

D statistic:女性では1.43、男性では1.45であった。
ROC statistic:両性別で0.75であった。



<Conclusions>

1年と5年の時点における血栓症の寄与危険度を定量化する新しいリスク予測モデルを開発し、妥当性を確認した。静脈血栓塞栓症を予防していくためにハイリスク患者を同定することに役立つ。このアルゴリズムは患者であれば知っている、もしくはカルテに一般的に記載されている単純な臨床上の変数から成り立っている。臨床上の一般的なコンピュータシステムと統合することができ、入院、もしくはリスクを上昇させてしまうような治療を開始する前のリスク評価に用いることができる。



QThrombosisR risk calculator

http://www.qthrombosis.org/index.php



【開催日】

2011年9月7日












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