~非結核性抗酸菌症の診断~

【文献名】
David E Griffith, Richard J Wallace, Jr: Diagnosis of nontuberculous mycobacterial infections of the lungs in HIV-negative patients. Up To Date ONLINE 18.3: last updated December 2, 2009.

【要約】
臨床的基準(以下の両者を満たす)
1.肺症状、胸部レントゲンで結節状あるいは、空洞陰影(M.kansasii感染の90%、M.avium complex(MAC)感染の50%に見られ、結核感染の場合よりも壁が薄く、周辺実質組織が不明瞭になる)、HRCTで多発性の小結節陰影を伴う気管支拡張像。
・MACの少なくとも50%は気管支拡張像を伴う結節影を認め、それは右中葉、舌区に最も頻繁に見られる
・ある研究では、気管支拡張像も持つ患者で24%は肺に多発性の結節影を認め、喀痰培養でMAC陽性の患者で結節影を認めた患者が53%、認めない患者は4%に過ぎなかった。
かつ
2.他の疾患を適切に除外
微生物学的基準
(1)喀痰検査は少なくとも3回、別々の検体で検査する必要がある。その中で少なくとも2回、別々の喀痰の検体で培養陽性。もし、その結果から診断出来ない時場合、塗抹と培養を繰り返す事を考慮。
または、
(2)少なくとも1回、気管支洗浄液の検体で培養陽性。
または、
(3)経気管支的、または他の方法で採取した肺生検検体で抗酸菌の組織学的特徴(肉芽腫性炎症、あるいは抗酸菌)を有し、かつ、非結核性抗酸菌の培養陽性、または、抗酸菌の組織学的特徴(肉芽腫性炎症、あるいは抗酸菌)を有する生検検体と一つ以上の喀痰あるいは気管支洗浄液で非結核性抗酸菌の培養陽性。
(4)頻回の培養検査で診断できない、または、環境の汚染によるものと考えられる場合は、専門医にコンサルトする。
(5)非結核性抗酸菌症と疑われるが、診断基準を満たさない患者は、診断が確定するか否定されるまでフォローされるべきである。
(6)非結核性抗酸菌症と診断されても治療開始を必要としないこともある。それは、患者個々の治療に対するリスクと有益性に基づいて決定されるものである。

【開催日】
2010年12月1日(水)