~うつ病スクリーニングにおけるPHQ-9の有用性について~

【文献】
デヴィッド・L・サイメル、ドルモンド・レニー/編:第19章アップデートうつ病. JAMA版 論理的診察の技術 日経BP社:263-268、2010年5月24日

【要約】
・成人において、2-9項目のスクリーニング手法は、より長いうつ病質問表に匹敵する性能を有する。
・短い9項目のPatient Health Questionnaire(PHQ-9)は、最も識別力に優れ、かつうつ病の診断に対してより診断的な情報を与える。PHQ-9はまた、治療反応性も定量化できる。
《文献吟味の結果》
 5つの研究は合計5652人の患者においてこれらの手法を評価し、うち1653人が参照基準となる面接を受けた。それぞれの研究は、米国(研究数=2)、ドイツ(研究数=2)、ニュージーランド(研究数=1)で行われた。
 これらの研究は、短い2-9項目のスクリーニング手法がより長い質問表に匹敵するあるいはそれを上回る性能を持つ、ということをこれまでのエビデンスに付け加える(表19-6)。
あ る質の高い研究では、HenkelらがPHQ-9およびWHO-5を、心理学的な健全性に関する一般的な測定法であるGeneral Health Questionnaire(GHQ-12)と比較した。PHQ-9の陽性尤度比(LR+5.2、95%信頼区間[CI]=3.9-6.8)は、WHO- 5(LR+2.6、95%CI=2.2-3.0)あるいはGHQ-12(LR+2.2、95%CI=1.9-2.6)よりも有意に高かった。PHQ-9の 陰性尤度比(LR-0.26、95%CI0.17-0.4)はWHO-5(LR-0.11、95%CI=0.05-0.25)およびGHQ-12(LR- 0.24、95%CI=0.14-0.42)に匹敵した。
他の3つの研究もこうした所見を支持している。Loweらは大学関連の家庭医療部門から抽出された1619人の患者を対象に、PHQ-9をHADSおよびWHO-5と比較した。PHQ-9は他の手法と比べ有意に高いLR+を有し、LR-はそれらに匹敵した。
Kroenke らは、プライマリケア部門および産婦人科部門の対象者から得られたPHQ-9に関するデータを統合した。この質の高い研究では、PHQ-9のLR+は 7.3(95%CI=5.6-9.4)、LR-は0.14 (95%CI=0.06-0.32)であることが分かった。
まとめると、PHQ-9は 他の短い手法よりも直接比較において優れた性能を有し、より長いうつ病質問法に匹敵するあるいはより優れたLRを有することを、これらの研究は示してい る。PHQ-9は大うつ病に対するDSM-Ⅳの基準症状について特に尋ねるという利点を持ち、臨床的な状態変化にも反応することが示されている。それゆ え、PHQ-9は診断面接法に不可欠の症状に関するデータを提示し、加えて治療への反応性をモニターすることもできる。

【開催日】
2010年10月6日(水)