胃がん健診目的の胃内視鏡検査

―文献名―
Hamashima C, et al. A Community-Based, Case-Control Study Evaluating Mortality Reduction from Gastric Cancer by Endoscopic Screening in Japan. PLoS One. 2013;8(11):1-6.

―この文献を選んだ背景―
 9年ぶりに本邦の胃がん検診ガイドライン(GL)が改定された。2005年GLは胃内視鏡検査は推奨グレードIで、対策型検診としては薦められず、任意型検診においては△であった。
 今回の2014年GLでは、胃内視鏡検査は推奨グレードB、対策型検診、任意型検診とともに推奨。検診間隔は2-3年。と変更されている。http://canscreen.ncc.go.jp/
 胃カメラ検診を推奨する根拠となった元論文の一つを選びHCFMの皆様のご意見を伺ってみたいと考えた。

―要約―
【目的】
 胃内視鏡検査によって胃がん死亡率の減少を評価すること

【方法】
 内視鏡での胃がん検診を導入している鳥取と新潟を対象とした症例対照研究
 ・症例群:死亡診断書とがん登録より2003-2006年に鳥取県内の4都市と2006-2010年の新潟市において胃がんで死亡した患者を抽出した。(条件:40-79歳、他疾患を除外、診断日不明を除外)さらに、地区の情報から内視鏡検診歴を確認できるものを症例群とした(Figure 1)
 ・対照群:疾病がない期間が確認でき、同じ移住地で、性別、年齢を条件に割り当てた。
 検診(胃内視鏡検診か胃X線検診)を受診した群を胃がん診断日より12.24.36.48ヶ月にわけて、検診なし群とオッズ比を計算した。Conditional ロジスティック回帰モデルを利用した

【結果】
 症例群は410人(男性288・女性122)で対照群は2292人。
 症例群(胃がん死)で36ヶ月以内に胃内視鏡検診を受けていたのは10.8%、対照群では14.3%が胃内視鏡検査を受けていた。その際の胃がん死亡のオッズ比は0.695(CI 0.489-0.986)であった。他の群では有意差は認めなかった。(Table 2)

【結論】
 胃がん診断日より36ヶ月前に内視鏡検診をうけた人では検診なしと比較して胃がん死亡を30%減少する。

【開催日】
2015年8月5日(水)