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【医師による勉強会「Journal Club」の情報提供目的の掲載です。病気や症状など診療に関するお問い合わせ、当センター内のクリニックへのご意見・お問い合わせはお受けできませんのでご了承下さい。】
【文献名】
Memantine Treatment in Patients With Moderate to Severe Alzheimer Disease Already Receiving Donepezil A Randomized Controlled Trial JAMA 2004 Jan 21;Vol291,No.3:317-324
【要約】
<Context>
Memantine is a low- to moderate-affinity, uncompetitive N-methyl-Daspartate receptor antagonist. Controlled trials have demonstrated the safety and efficacy of memantine monotherapy for patients with moderate to severe Alzheimer disease(AD) but no controlled trials of memantine in patients receiving a cholinesterase inhibitor have been performed.
Objective To compare the efficacy and safety of memantine vs placebo in patients with moderate to severe AD already receiving stable treatment with donepezil.
<Design, Setting, and Participants>
A randomized, double-blind, placebo controlled clinical trial of 404 patients with moderate to severe AD and Mini-Mental State Examination scores of 5 to 14, who received stable doses of donepezil, conducted at 37 US sites between June 11, 2001, and June 3, 2002. A total of 322 patients (80%) completed the trial.
<Interventions>
Participants were randomized to receive memantine (starting dose 5 mg/d, increased to 20 mg/d, n=203) or placebo (n=201) for 24 weeks.
<Main Outcome Measures>
Change from baseline on the Severe Impairment Battery (SIB), a measure of cognition, and on a modified 19-item AD Cooperative Study? Activities of Daily Living Inventory (ADCS-ADL19). Secondary outcomes included a Clinician's Interview-Based Impression of Change Plus Caregiver Input (CIBIC-Plus), the Neuropsychiatric Inventory, and the Behavioral Rating Scale for Geriatric Patients (BGP Care Dependency Subscale).
<Results>
The change in total mean (SE) scores favored memantine vs placebo treatment for SIB (possible score range, 0-100), 0.9 (0.67) vs ?2.5 (0.69), respectively (P_.001); ADCS-ADL19 (possible score range, 0-54), ?2.0 (0.50) vs ?3.4 (0.51), respectively (P=.03); and the CIBIC-Plus (possible score range, 1-7), 4.41 (0.074) vs 4.66 (0.075), respectively (P=.03). All other secondary measures showed significant benefits of memantine treatment. Treatment discontinuations because of adverse events for memantine vs placebo were 15 (7.4%) vs 25 (12.4%), respectively.
<Conclusions>
In patients with moderate to severe AD receiving stable doses of donepezil, memantine resulted in significantly better outcomes than placebo on measures of cognition, activities of daily living, global outcome, and behavior and was well tolerated. These results, together with previous studies, suggest that memantine represents a new approach for the treatment of patients with moderate to severe AD.
【開催日】
2011年8月24日
【文献名】
Leslee L. Subak, M.D., Weight Loss to Treat Urinary Incontinence in Overweight and Obese Women N Engl J Med 2009 360;5 jan 29, 481-490
【要約】
<Background>
Obesity is an established and modifiable risk factor for urinary incontinence, but conclusive evidence for a beneficial effect of weight loss on urinary incontinence is lacking.
<Methods>
Researchers randomly assigned 338 overweight and obese women with at least 10 urinary incontinence episodes per week to an intensive 6-month weight-loss program that included diet, exercise, and behavior modification (226 patients) or to a structured education program (112 patients).
<Results>
The mean (±SD) age of the participants was 53±11 years. The body-mass index (BMI) (the weight in kilograms divided by the square of the height in meters) and the weekly number of incontinence episodes as recorded in a 7-day diary of voiding were similar in the intervention group and the control group at baseline (BMI, 36±6and 36±5, respectively; incontinence episodes, 24±18 and 24±16, respectively). The women in the intervention group had a mean weight loss of 8.0% (7.8 kg), as compared with 1.6% (1.5 kg) in the control group (P<0.001). After 6 months, the mean weekly number of incontinence episodes decreased by 47% in the intervention group, as compared with 28% in the control group (P = 0.01). As compared with the control group, the intervention group had a greater decrease in the frequency of stress incontinence episodes (P = 0.02), but not of urge-incontinence episodes (P = 0.14).A higher proportion of the intervention group than of the control group had a clinically relevant reduction of 70% or more in the frequency of all incontinence episodes (P<0.001), stress-incontinence episodes (P = 0.009), and urge-incontinence episodes(P = 0.04).
<Conclusions>
A 6-month behavioral intervention targeting weight loss reduced the frequency of self-reported urinary-incontinence episodes among overweight and obese women as compared with a control group. A decrease in urinary incontinence may be another benefit among the extensive health improvements associated with moderate weight reduction.
【開催日】
2011年8月17日
【文献名】
Hudon C. Fortin M, et al. Measuring Patients'Perception of Patient-Centered Care: A Systematic Review of Tools for Family Medicine. Ann Fam Med 2011; 9:155-164.
【要約】
<目的>
患者中心のケアは家庭医療学において中核をなす価値観であることは広く認識されている。
このSystematic Reviewは家庭医療学における患者中心のケアを患者の視点で評価するための測定法、スケール、アイテムを見いだし、比較することを目的とした。
<方法>
MEDLINE、Embase、Cochrane database3つのデータベースを1980年から2009年4月までの期間で検索し、Systematic Reviewを行った。ハンドサーチと専門家からのアドバイスによりこれらの検索結果を補足した。以下の条件をすべて満たす文献を採択した。
(1) 患者中心の視点で患者中心のケアを測定する自記式のツールを使用
(2) 開発と妥当性の検証は量的またはpsychometric(精神測定)な結果で報告していること
(3) 家庭医療の外来診療というセッティングに応用可能であること
採択された文献はStandards for Reporting of Diagnostic Accuracyの修正版を用いて解析した。
それぞれの測定法は患者中心のケアの概念構造(Figure1)のコンポーネントの中にマッピングされた(Table3)。

<結果>
検索された3045の文献のうち90の文献が詳細に検討され、26の文献が取り扱っていた13の測定方法がinclusion criteriaに合致していた。5つの文献で取り扱われている2つの測定法が患者中心のケア測定のために開発されていた(「the Patient Perception of Patient-Centeredness」と「the Consultation Care Measure」)。21の文献で取り扱われている11の測定法が利用可能な下位尺度、アイテムとして見いだされた。
<結論>
今回見いだされた2つの測定法は患者中心の中核となるコンポーネントをよく測定できるが、単回の外来を取り扱う測定法であり、慢性疾患のマネジメントのような時間をかけたケアのプロセスを研究する場合、その適用には限界がある。11の測定法は患者中心のケアの概念を部分的にはカバーしているが、患者中心のケアを特異的に評価するためにデザインされたものではなかった。
今回採用された文献の一覧はTable 1.
PPPCは直近の家庭医療外来を患者の視点で評価する方法。4段階のリッカートスケールを用いた14の質問項目で構成されている(Cronbach's α reliability = 0.71)。不快や不安からの回復・軽減、初回外来から2か月後の感覚的な健康観、不要な検査や専門医へのコンサルトの少なさとよく相関した。
CCMもPPPCと同様、直近の家庭医療外来を患者の視点で評価する方法。4段階のリッカートスケールを用いた21の質問項目(コミュニケーションとパートナーシップ、人間関係、ヘルスプロモーション、ポジティブで明快な問題へのアプローチ、人生・背活への影響に対する関心、の5つにグループ分けされている)で構成されている(Cronbach's α reliability = 0.84-0.96)。患者満足度、Enablement、症状の軽減、不要な専門医へのコンサルトの減少と相関する。
【開催日】
2011年8月17日
【文献名】
Sertraline or mirtazapine for depression in dementia (HTA-SADD): a randomised, multicentre, double-blind, placebo-controlled trial. The Lancet, Volume 378, Issue 9789, Pages 403 - 411, 30 July 2011.
【要約】
うつ症状を示すアルツハイマー病患者に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のセルトラリン、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)のミルタザピン、偽薬のいずれかを投与した無作為化試験の結果が、Lancet誌2011年7月18日号に掲載された。英London King's CollegeのSube Banerjee氏らによると、13週後と39週後のうつ症状の変化において、どちらの抗うつ薬にも偽薬を上回る利益は見られず、有害事象発生率は高かった。
認知症患者の多くはうつ症状を示すが、適切な薬物療法を示した質の高いエビデンスはない。
現状では、主要学会は抗うつ薬の認知症患者への適用を支持しており、セルトラリンなどが第1選択として処方されている。高齢化が進む先進国では、認知症患者のうつは臨床的に重要な領域であると考えた英National Institute of Health Research (NIHR)は、著者らに臨床試験の実施を依頼した。
そこで著者らは、英国で最もよく処方されているセルトラリンとミルタザピンの有効性と安全性を偽薬と比較する、二重盲検の無作為化試験HTA-SADDを実施した。
イングランドの高齢者精神医療施設9カ所で、07年1月から09年12月まで、患者登録を実施。NINCDS-ADRDA基準に基づいてアルツハイマー病疑いまたは可能性例と判定された患者の中から、4週間以上うつ状態が続いており、Cornell認知症抑うつ尺度(CSDD)のスコアが8以上の人々を選んだ。臨床的に危険な状態(自殺リスクが高いなど)の患者などは除外した。
登録患者は、1対1対1の割合で、セルトラリン(目標用量は150mg、107人、平均年齢80歳)、ミルタザピン(同45mg、108人、79歳)、偽薬(111人、79歳)のいずれかに無作為に割り付けた。4週と8週の時点でCSDDスコアを調べ、いずれも4以上なら増量するとした。
主要アウトカム評価指標は、13週時点のCSDDスコアに基づくうつ状態の軽減とし、2次評価指標として39週時点のCSDDスコアなどを評価した。
39週までの脱落は、セルトラリン群が35%、ミルタザピン群が29%、偽薬群が24%だった。1日用量の平均は、登録患者全体ではセルトラリンが70mg、ミルタザピンが24mgで、脱落患者を除くとそれぞれ95mgと30mgになった。
どのグループでも、うつ症状はベースラインに比べ軽快化していた。13週時点でCSDDスコアの低下が最も大きかったのは偽薬群で、-5.6ポイント。セルトラリン群では-3.9ポイント、ミルタザピン群では-5.0ポイントだった。39週時点では、それぞれ-4.8ポイント、-4.0ポイント、-5.0ポイントだった。
線形回帰混合モデルを利用し、ベースラインのCSDDスコア、時間、施設で調整して平均差を求めた。ベースラインから13週までのうつスコアの低下レベルに有意差はなかった。セルトラリン群の偽薬群との平均差は1.17(95%信頼区間-0.23から2.58、P=0.10)、ミルタザピン群の偽薬群との平均差は0.01(-1.37から1.38、P=0.99)で、セルトラリン群をミルタザピン群と比較した場合の平均差は1.16(-0.25から2.57、P=0.11)だった。39週の時点でも結果は同様で、偽薬群との平均差は、セルトラリン群が0.37(-1.12から1.87、P=0.62)、ミルタザピン群は-0.66(-2.12から0.79、P=0.37)だった。
ベースラインのうつ病の程度で患者を層別化(CSDDのスコアが8~11か12以上か)して分析したが、やはりこれら2種類の抗うつ薬の有効性は認められなかった。
39週までの消化器症状、神経学的症状などの有害事象発生率を調べたところ、偽薬群は29人(26%)、セルトラリン群は46人(43%、P=0.010)、ミルタザピン群は44人(41%、P=0.031)だった。
この試験では、偽薬を上回る抗うつ薬の利益は見られず、有害事象のリスクは有意に高かった。著者らは、「得られた結果はネガティブだが臨床的には重要だ」という。この試験では、割り付けから13週時点で偽薬群のうつスコアにも改善が見られたことから、「うつ症状が見られてから3カ月程度は観察を継続し、変化が見られないケースにのみ抗うつ薬の使用を考慮した方が良いのではないか」と著者らは述べている。いずれにせよ、認知症患者のうつに対する第1選択としてこれらの薬剤を用いることについては、再考が必要だろう。
【開催日】
2011年8月10日
【文献名】
大浦武彦,見て・考える褥瘡ケア 創面をみればすべてがわかる ここで差がつくテクニック,
中山書店:p106,2010年9月
【要約】
褥瘡の発生要因でもあり、治癒阻害要因であるものが「圧」と「ズレ」である。これらは治療で排除できる種類のものではなく、ケアこそがその役割を担うことになる。このために、褥瘡においてはケアが非常に重要で、ケアと治療が車の両輪のようにうまく機能してこそ、褥瘡は予防でき、また治癒させることができるのである。
すなわち、褥瘡ケアの質は、いかに「圧」と「ズレ」を排除できるかにかかってくる。
○想像以上に大きい「圧」と「ズレ」
背上げや体位変換時に生じた「圧」と「ズレ」は、想像以上に大きい。背上げをしただけでも「圧」と「ズレ」は背中と殿部に滞留する。そこで、背上げや体位交換時には必ず「背抜き」を行わなければならない。
○背抜き
健常者が姿勢を変えた時、例えば椅子で座位姿勢を変える時、無意識ながら、最後に必ず少し腰を浮かして姿勢を整えるが、背抜きでは、その動作をケアで行うことをイメージすればよい。健常者が無意識に行うその動作が障害をもつと容易にできなくなるので、それを支援するということである。
姿勢を変えた時、「圧」と「ズレ」が過剰にかかる部分を少し浮かせるようにして、そこに手のひらをさっと通す。この時'マルチグローブ'などを用いると、適切に確実に「圧」と「ズレ」を排除できる。
○褥瘡と患者に優しい体位交換
背抜きを行うことは前述の通りであるが、体位交換の方法そのものを工夫することも必要である。'マルチグローブ'をはめた両腕を、患者の身体の下(特に仙骨部の突出した部分)をくぐらせるようにして、そのまま患者の身体(特に褥瘡部位)を両上腕にのせたままスライドさせるように体位交換を行うと、「圧」と「ズレ」の発生を大幅に減らすことができる。
この場合、両腕をスライドさせるのであって、患者をもち上げない。
参考動画:http://www.youtube.com/watch?v=yYAG4AE7ys8
【開催日】
2011年8月3日