【EBMの学び】年齢別の骨粗鬆症薬の効果

STEP1 臨床患者に即したPI(E)CO
【評価を行った日付】
 2016年6月10日
【臨床状況のサマリー】
 81歳女性 町に在住で夫と2人暮らし。昨年1月に脳梗塞で他院入院歴がありその際に骨粗鬆症を指摘されている。(大腿骨の骨密度がYAMで66%と診療情報提供あり)。
 その後ビスホスホネート内服について相談があったようだが内服を増やしたくないことと、副作用の心配もあり経過観察となっていた。今年の4月に再度骨密度を測定(橈骨でYAMが55%、T-scoreが-5.56)。再度ビスホスホネート内服の相談をするが、過去の転倒もなくやはり内服の副作用に不安があると。現在は「毎日骨ケア」というカルシウム飲料を飲んでいる。月額は5000円程度である。

 既往:脳梗塞(プラビックス内服している)。
 ADL:自立(昨年の脳梗塞で左半身麻痺があったが、今は杖もなく歩行可能。ほぼ毎日2時間パークゴルフをしている)。
 認知機能:問題なし。

 骨折のリスクを考えるとBP剤を飲んだ方が良いとは思うが実際にBP剤のコンプライアンスも良くはなく、本人の副作用の懸念もわかる。一度文献を読んで説明した方が納得出来るのではないか。「毎日骨ケア」はどうだろうか?ただこれを比較した論文はない。

 P;80代閉経後のADLが自立している女性で
 I(E);ビスホスホネート内服している人
 C;内服していない人で
 O;骨折の発生率に差がでるか?

STEP2 検索して見つけた文献の名前
【見つけた論文】
検索したエンジン;up to date で 「骨粗鬆症 治療」で検索
「閉経後女性の骨粗鬆症のマネージメント」に行きつき、高齢者のアレンドロネートの論文を検索。システマティックレビューでは適切な論文もあったが、今回はRCTの学びを深めたいと考えた。その上でRCTでの適切な論文は見つけられなかったのでPub medからsimilar articlesを検索して論文を見つけた。
見つけた論文;Effects of Alendronate on the Age-Specific incidence of Symptomatic Osteoporotic Fractures

STEP3;論文の評価
STEP3-1.論文のPECOは患者のPECOと合致するか?

 P;閉経後2年以上経過した骨粗鬆症がある55-80歳女性の
 I(E);アレンドロネート内服群と
 C;プラセボ群で
 O;年代毎で骨折予防の効果が変わるか?
 →患者のPECOと (合致する ・ 多少異なるがOK ・ 大きく異なるため不適切)

STEP3-2 論文の研究デザインの評価;内的妥当性の評価
①研究方法がRCTになっているか?隠蔽化と盲検化はされているか?
 →ランダム割り付けが ( されている ・  されていない )
 →隠蔽化が      ( されている ・  されていない ・ 記載なし
 →盲検化が      ( されている ・  されていない )
実際のTableで介入群と対照群は同じような集団になっているか?
 →( なっている ・ なっていない)
  どう異なるか?:Table1で患者のキャラクターは整っているが、それをtable2にした時点で世代毎の層にわけられてしまうので、介入群と対照群が同じかどうか不明
② 解析方法はITT(intention to treat)か?
 →ITTが (されている  ・  されていない)

STEP3-3 論文で見いだされた結果の評価
Outcomeについて、以下の値を確認する
 Table 2を参照.ここからcox proportional hazardsにデータを当てはめたのがFig.1(P値、RR)、Fig.2(最年少、最高齢の世代別のARR)
  Table2
  股関節/大腿骨 P: 0.43 椎体 P:0.47 手首 P:0.36 複合 P:0.53
安達先生図
【① 治療効果の有無; P値を確認する】
 Table2のP値は0.05以上であり効果に差が出ない。Figure1のP値は0.05未満であり効果に差がある。

【②治療効果の大きさ;比の指標と差の指標を確認する】
 上記表を参照。ARRはFig2から出してそこからNNTも出している。高齢者の方がARR、NNTが高くなっている。

【③治療効果のゆらぎ;信頼区間を確認する】
 Fig1ではどれも95%Clが1を含んでいない。

STEP4 患者への適用
【①論文の患者と、目の前の患者が、結果が適用できないほど異なっていないか?】
 Table 1を参照、閉経後女性、高齢者、骨粗鬆症は一致している。対象者の年齢が平均して10歳ほど若い。白人の研究。アレンドロネートは2年後から5㎎から10mgに変更になっているので日本では行わない方法。T-scoreが腰椎と大腿骨で‐2.0~-2.5だが実際は橈骨で‐5.56であった。
・内的妥当性の問題点は?(STEP3の結果のサマリー)
 →隠蔽化されていない部分が問題。骨折の予防というアウトカムは問題ない。
【②治療そのものは忠実に実行可能か?】
 高齢夫婦であるが認知面は問題なく服薬コンプライアンスは良好。内服は可能。ただし副作用とコンプライアンスについての説明は必要。(服薬回数についてあらかじめもプランとして提示した方が良さそう)。
【③重要なアウトカムはコストや害を含めて全て評価されたか?】
 コストに関しては105円×30日=3150円と毎日骨ケアより安い。骨折予防のアウトカムはある。
【④患者の考え・嗜好はどうなのか?】
 ・これまでのその治療に対する経験はどうか?
  →ビスホスホネートを今まで新規で処方したことはない。
 ・自分の熟達度から実行は可能だろうか?
  →本人と副作用についてあらかじめ話し合いながら計画をたてて行えば大丈夫と考える。
 ・illness/contextの観点からは治療は行うべきか?あるいはillness/contextを更に確認するべきか?
  →本人にとっての健康感は買い物に行ったり、病院に来たりすること。仲間とパークゴルフをすること。高齢者独居で骨折のリスクも高いと考えると、今回の結果からも説明して治療は行うべきと思う。ただなぜ内服をしたくないかはもう少し深く聞く必要はある。

【開催日】
2016年7月13日(水)

高齢糖尿病患者の管理レビュー

-文献名-
Kasja J.Lipska,MD,MHS, A Review of Glycemic Control in Older Adults with Type 2 Diabetes, JAMA,2016;315(10):1034-1045

-要約-
【重要事項】
 糖尿病高齢者の最適な血糖管理については、まだ未決着である。

【観察】
 4つの大規模ランダム化臨床試験(サンプルサイズ1791〜11440人)で得られたエビデンスの多くが、糖尿病治療のガイドとして使用されてきた。多くのRCTが血糖コントロール強化治療群と標準治療群(80歳以上は除外)を比較したデザインで、微小血管アウトカムの評価のため代理エンドポイントを使用し、どのサブグループで特定の治療に対して最も治療の効果があるのか、あるいは有害事象があるのか、限られたデータしか得られていなかった。RCTのデータでは、より高齢の集団では強化治療群は10年間の大血管イベントの減少を示さなかった。更に、強化治療群は8年間の微小血管アウトカムの改善を示さなかった。RCTのデータは一貫して、強化治療は1.5-3倍の重症低血糖のリスクを即座に増加させた。これらのデータや観察研究に基づくと、65 歳以上の成人の大部分において、 HbA1Cの目標値を7.5%以下にすることとHbA1Cが9%以上になることは、害のほうが大きいようである。しかし患者の要因・治療目標に近づくための使用薬剤・生命予後・患者の治療の嗜好性により目標値は異なる。少ない治療負担や低い低血糖リスクを有する薬剤のみ(例:メトフォルミン)使用するとしたら、より低いHbA1Cの目標値は適切かもしれない。もし患者が注射や頻回な血糖測定を避けたいと強く希望するなら、インスリンを使用しないが故の、高めのHbA1C目標値は適切かもしれない。

【結論と妥当性】
 より高齢の集団における血糖治療の質の高い研究結果は得られていない。最適の判断には、患者と一緒に、利益と不利益の見込と患者の治療に関する嗜好性を組み入れ、治療負担を加味することが必要である。多くの高齢者においては、HbA1C目標値を7.5-9.0の間にすることが治療利益を最大にし、不利益を最小にするだろう。

【開催日】
 2016年5月25日(水)

【EBMの学び】認知症患者の治療

STEP1 臨床患者に即したPI(E)CO
【評価を行った日付】
2015年12月9日
【臨床状況のサマリー】
ある日の施設回診の一場面。
79歳女性 今年9月から特養入所中 鉄欠乏性貧血や頻尿でもともと当院へ通院されていた。アルツハイマー型認知症については3年前に他病院で診断・フォローされている。当院でのHDS-Rは8点(2年前)。今年7月からリバスタッチパッチ(リバスチグミン)導入されており9月頃から背中の貼付部位に皮膚炎出現。他病院の処方医に相談すると足底に貼るよう指示されたとのことで変更したところ大きな水疱を形成。10月よりレミニール(ガランタミン)4mg2T2×内服に変更された。施設看護師「レミニールに変更後は以前より眠りがちです・・もともと認知症の周辺症状は強くなくおとなしい方です・・」
現在のADLは一部介助で車椅子レベル。
この方が認知症治療薬を飲み続ける必要はあるのか?

P;重度アルツハイマー型認知症で認知症治療薬を内服している高齢女性
I(E);内服を継続している場合
C;内服を中断する場合
O;予後を改善するか?

STEP2 検索して見つけた文献の名前
【見つけた論文】
◆Up to dateのCholinesterase inhibitors in the treatment of dementiaにはDuration of therapyの項目があり、ChEIの中断によりしばしば悪化することがあるとの記載。関連する論文はいずれもRCTではなく横断研究だった。
横断研究:http://www.uptodate.com/contents/cholinesterase-inhibitors-in-the-treatment-of-dementia/abstract/67?utdPopup=true
      http://www.uptodate.com/contents/cholinesterase-inhibitors-in-the-treatment-of-dementia/abstract/68?utdPopup=true

Galantamineの項には36ヶ月は効果持続するとあり、その根拠となっている論文を読んでみた。
The Cognitive Benefits of Galantamine Are Sustained for at Least 36 Months
 http://www.uptodate.com/contents/cholinesterase-inhibitors-in-the-treatment-of-dementia/abstract/33?utdPopup=true
→Pubmedでhttp://archneur.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=785390
軽症~中等度認知症患者を対象としており、患者のPICOには合わない…

◆Dynamed のAlzheimer dementiaでの薬物治療の項目にはcontinuing donepezil may slow cognitive decline compared to discontinuing donepezilとある。この根拠となったRCTがこちら
Donepezil and memantine for moderate-to-severe Alzheimer’s disease.
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1106668

◆認知症疾患治療ガイドライン2010ではその時点ではリバスチグミン・ガランタミンは本邦未発売だったが、重度AD患者へのドネペジル24週間治療の有効性についてのRCTが紹介されている。
 http://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo.html

STEP3;論文の評価
STEP3-1.論文のPECOは患者のPECOと合致するか?

P;地域に住み、3ヶ月以上ドネペジルを内服しておりそのうち少なくとも最近6週間は10mg内服している、中等度~重度(SMMSE5-13点)の
アルツハイマー型認知症(疑い)患者
I(E);ドネペジルを続ける/メマンチンを使用する/ドネペジルとメマンチンを併用するのは(ドネペジル・メマンチンの単独または併用治療は)
C;ドネペジルをやめる/メマンチンを使用しない/ドネペジルとメマンチンを併用しないのに比べて(プラセボに比べて)
O;52週後のSMMSEスコアやBADLSスコアの値は良くなるか
→患者のPECOと (合致する ・ 多少異なるがOK ・ 大きく異なるため不適切)

STEP3-2 論文の研究デザインの評価;内的妥当性の評価
①研究方法がRCTになっているか?隠蔽化と盲検化はされているか?
→ランダム割り付けが ( されている ・  されていない )
→隠蔽化が      ( されている ・  されていない )
→盲検化が      ( されている ・  されていない )
実際のTableで介入群と対照群は同じような集団になっているか?
→( なっている ・ なっていない)
どう異なるか? 介入群の方が、女性の割合が高い
② 解析方法はITT(intention to treat)か?
→ITTが (されている  ・  されていない)

STEP3-3 論文で見いだされた結果の評価
Outcomeについて、以下の値を確認する
【① 治療効果の有無; P値を確認する】
 ・ドネペジル継続群ではドネペジル中止群と比較してSMMSEスコアが平均で1.9ポイント高かった(95%信頼区間1.3-2.5、P<0.001)。
  BADLSスコアは平均で3.0ポイント低かった(95%信頼区間1.8-4.3、P<0.001)。
 ・メマンチン投与群ではメマンチン非投与群と比較してSMMSEスコアが平均で1.2ポイント高かった(95%信頼区間0.6-1.8、P<0.001)。
  BADLSスコアは平均で1.5ポイント低かった(95%信頼区間0.3-2.8、P = 0.02)
 ・ドネペジルとメマンチンの有効性には互いに有意な差がみられなかった。(SMMSE:p=0.14、BADLS:p=0.09)
 ・ドネペジルとメマンチン併用ではドネペジル単独を上回る効果は見られなかった。(SMMSE:p=0.07、BADLS:p=0.57)

【②治療効果の大きさ;比の指標と差の指標を確認する】
 連続変数である症状スコアが指標となっており率が求められない。
 分析にあたって、SMMSEは1.4ポイント、BADLSは3.5ポイントの差をもって臨床的に意義のあるスコアとしている。
【③治療効果のゆらぎ;信頼区間を確認する】
 P値と同様の項目で有意差あり。

STEP4 患者への適用
【①論文の患者と、目の前の患者が、結果が適用できないほど異なっていないか?】
 使用している薬剤は同じChEIだがそもそもドネペジルとガランタミン、リバスチグミンで種類は異なる。
 また施設入所中の患者である点も異なる。
【②治療そのものは忠実に実行可能か?】
 内服そのものは施設介護者が手助けしてくれ、拒食や拒薬の症状はみられないため、ドネペジル10mg内服継続という治療は有害事象がなければ実行可能と考えられる。
【③重要なアウトカムはコストや害を含めて全て評価されたか?】
 ドネペジル10mgは後発品でも1日300点以上。ガランタミン16mgだと400点。コストはかかる。
 そもそもガランタミンとリバスチグミンは軽度~中等症の認知症に対して保険適応となっており重症について保険適応があるのはドネペジルとメマンチン。
 内服前に比べて傾眠の副作用が前面に出る場合は転倒のリスクもあり、内服継続は望ましくない。
【④患者の考え・嗜好はどうなのか?】
 現時点で本人は施設での生活に満足しており、介護者も認知症による症状で困難を感じていない。重症の認知症患者と考えると認知症治療薬を内服継続することで僅かのMMSEやBADLSの値の改善がその後の生活を大きく変えるとは考えにくい。

 

【開催日】
2015年12月9日(水)

アルツハイマー病の非薬物療法

【文献名】
山口智春,山口春保.アルツハイマー病の非薬物療法.日老医誌 2012;49:437-441

【要約】
 適切な薬物療法とともに、患者の抱える不安や喪失感を理解し、介護環境を知り、適切なリハやケアを提供し、家族介護者を指導し支えるといった、他職種で協働する非薬物療法が求められている。診察室での本人や家族への接し方など、主治医や家族介護者が本人に関わる行為の全てが非薬物療法であると包括的に捉える。脳活性化リハビリテーションの5原則はリハ・ケアばかりでなく診療にも活かせる。

八藤先生図

脳活性化リハビリテーションの5原則
● 快刺激
 ―快刺激により笑顔が生まれることで、脳内にドパミンが多量に放出され、学習意欲・やる気の向上につながる。スタッフ側も笑顔になることで、笑顔が笑顔を生み出す。また、快適な環境の設定も重要である。

● ほめる
 ―対象者をほめる・受容する。ほめられることは人間にとって最大の報酬であり、ドパミン神経系の賦活により、意欲向上につながる。他人をほめることも大切であり、自己効力感や尊厳を高める。

● コミュニケーション
 ―他者と楽しい時間と場を共有することで、安心感が生まれる。特に進行と共に困難となる社会交流については、それを踏まえた上で受容的に関わり、非言語的コミュニケーションも含め社会的相互交流の場を維持する。

● 役割
 ―対象者が社会的役割を主体的に担うことができるようにかかわる。主体的役割の存在はその人が生きている拠り所となるものであり、疾患に関係なく人間として共通するものである。

● 誤りを避けて正しい方法を習得(errorless learning)
 ―認知症では誤りを基に試行錯誤からの学習は困難だけでなく、混乱を招きネガティブな感情のみが記憶に残りやすく、学習の妨げにもなる。能力に応じたサポートで不要な失敗を避けつつ、正しい方法を繰り返し、成功体験とポジティブな感情で終わらせる。満点主義が基本。

【開催日】
2015年9月16日(水)

【EBMの学び】高齢者への骨粗鬆症予防

STEP1 臨床患者に即したPI(E)CO
【評価を行った日付】
 2015年5月4日
【臨床状況のサマリー】
 88歳女性。腰部脊柱管狭窄症、腰椎圧迫骨折疑いで他院にて保存的加療中だった。訪問リハビリ目的に当院紹介となり、外来受診となった。診療も当院への転医を希望されたため、継続して診療に当たることとなった。事前に当院理学療法士からの依頼があり、骨密度を評価したところ、YAM 55.77%と低値だった。高齢であるがADLはほぼfullである。これまで、骨粗鬆症は指摘されていたようだが、特に治療はされていなかった。88歳と高齢であり、治療のメリットと副作用のデメリットを考え、骨粗鬆症に対する治療を行うか否かを迷っている。
 P;80代女性
 I(E);骨粗鬆症の薬物治療を行う群
 C;骨粗鬆症の薬物治療を行わない群
 O;骨折の発生率

STEP2 検索して見つけた文献の名前
【見つけた論文】
Safety and Efficacy of Risedronate in Reducing Fracture Risk in Osteoporotic Women Aged 80 and Older: Implications for the Use of Antiresorptive Agents in the Old and Oldest Old

STEP3;論文の評価
STEP3-1.論文のPECOは患者のPECOと合致するか?

 P;骨粗鬆症の80歳以上の女性
 I(E);リセドロネート5mg/日+カルシウム1000mg/日を3年間投与
 C;プラセボ+カルシウム1000mg/日を3年間投与
   ※介入群、対照群ともに血清中の25ヒドロキシビタミンDの値が40nmol/Lを下回るときにはビタミンD 500IU/日を投与した。
 O;椎体骨折の発生率
 →患者のPECOと (合致する ・ 多少異なるがOK ・ 大きく異なるため不適切)

STEP3-2論文の研究デザインの評価;内的妥当性の評価
【①研究方法がRCTになっているか?隠蔽化と盲検化はされているか?】
 →ランダム割り付けが ( されている ・  されていない )
 →隠蔽化が      ( されている ・  されていない )
 →盲検化が      ( されている ・  されていない )
 実際のTableで介入群と対照群は同じような集団になっているか?
 →( なっている ・ なっていない;どう異なるか?)
【②解析方法はITT(intention to treat)か?】
 →ITTが ( されている ・ されていない)

STEP3-3論文で見いだされた結果の評価
【①治療効果の有無; P値を確認する】
 リセドロン投与群がプラセボ群に比べて新たな椎体骨折の危険性を81%減少させた。(P<0.001) 【②治療効果の大きさ;比の指標と差の指標を確認する】  ・RR(あるいはHR・OR)を確認する   1年後、新たな椎体骨折の発生率 プラセボ群10.9%、介入群2.5%   →HR=0.19   3年後、新たな椎体骨折の発生率 プラセボ群24.6%、介入群18.5%   →HR=0.56  ・ARRとNNTを計算する   1年後 ARR=8.4% NNT=11.9   3年後 ARR=6.1% NNT=16.4 【③治療効果のゆらぎ;信頼区間を確認する】  1年後 95%CI=0.09-0.40 P<0.001  3年後 95%CI=0.39-0.81 P=0.003 ※他にこの論文について気になったこと ・研究期間が1993年~1998年と時代が古い ・製薬会社Procter and Gamble Pharmaceuticals(P&Gの米国法人、現在は製薬部門は他社に委譲している)がスポンサーとなっている STEP4患者への適応
【①論文の患者と、目の前の患者が、結果が適応できないほど異なっていないか?】
 ・年代、椎体骨折の発生率という点では合致している。
 ・人種の違いがある(北米、ヨーロッパ、オーストラリア)
 ・日本国内での添付文書上での投与量は2.5mg/日である。
【②治療そのものは忠実に実行可能か?】
 リセドロン酸ナトリウム(商品名:アクトネル、ベネット)は国内では2.5mg、17.5mg(週1回)、75mg(月1回)の製剤が発売されている。
 リセドロン2.5mgは通常毎日早朝空腹時に内服し、その後30分は横にならないようにしなくてはならない。それがこの患者さんに可能かどうか、ご家族が対応出来るかどうか確認する必要がある。
 また、週1回の製剤、月1回の製剤も発売されているので、それなら対応可能かを確認する必要がある。
【③重要なアウトカムはコストや害を含めて全て評価されたか? 】
 ・非椎体骨折の発生率に関しては有意差を認めていない。(80歳未満では有意差があったが、80歳以上では有意差がなかった)
 ・有害事象について吐き気、腹痛、消化不良、嘔吐、胃腸障害、深刻な上部消化管有害事象の有無について評価され、両群で有意差はなかった。
 ・週1回の製剤、月1回の製剤も発売されているが、これらが同様の結果が得られるものなのか、副作用の発症率などを別に検討する必要がある。
【④患者の考え・嗜好はどうなのか?】
 ・骨粗鬆症の治療については次回の外来で相談することとしていたため、ご本人の希望についてはまだ確認出来ていない。
 ・リハビリに関しては意欲的である。当院PTが訪問リハビリで関わっているので普段の様子を確認していきたい。

【開催日】
2015年5月13日(水)

認知症の人の心理的理解 パーソン・センタード・ケア

―文献名―
大嶋光子,中村真規子 「認知症の人の心理的理解 パーソン・センタード・ケアの一考察」 太成学院大学紀要

―要約―
 認知症の人は何もわからなくなってかえって楽ではないかと思われがちであるが、認知症の本人の語りから、自分が壊れていくようなおびえと不安を抱えて生きていることがわかっている。認知症の治療には①薬物療法、②脳活性化リハビリテーション、③介護者や家族の対応がある。③のように、身近な者による個別性の高い治療ができる可能性があり、その可能性を生かすため、認知症の理解を深め、認知症の人や介護者の尊厳を高めるパーソン・センタード・ケアについて考察を行う。

・認知症の心理的理解の方法
①認知症の人のためのアセスメントツール センター方式
 認知症の人を支えるチームで情報を集約し、お互いの気づきやアイディアをもとに会話しながら「その人を知る」ためのアセスメントツール。
②バリデーション
 たとえケアする側からみて違っていても、認知症のその人にとって現実であることを理解し、訴えや行動を否定しないで、受け入れることから始めるコミュニケーション法。
③精神的ケアの20か条
 室伏が1987年に述べた、老年期に精神障害(神経症、精神病、痴呆)をもつ患者の生活全般をとらえて、共通して心がけるべきケアの原則。
④ブレーンストーミング法を用いた他者理解
 「あなたが認知症になったときに望むケア」をテーマに認知症介護指導者研修の研修生に行われたブレーンストーミング法の実施報告。

・最新の認知症ケア パーソン・センタード・ケア
 最近、認知症の当事者が自らの気持ちや環境について、もしくは望む支援について語り始めている。自らの気持ちに代表されるように「その人らしさ」という言葉が新たな認知症ケアのキーワードになっている。
 英国ブラッドフォード大学認知症研究グループTom Kidwood教授の造語であるパーソンフッド(personhood)に由来。パーソンフッド:「一人の人として、周囲の人と関わりをもち、周囲から受け容れられ、尊重され、本人もそれを実感していること」
そのパーソンフッドを核として、それを維持し、認知症の人の生活の質を高めていくケアのあり方が「パーソン・センタード・ケア」である。
認知症を持つ人には「よい状態」と「よくない状態」がある。

140903_1

よい状態の指標があれば、パーソンフッドが保持されていることを示す。
パーソンフッドが損なわれ、認知症の人と介護者の間に悪循環が起こる原因となるものは「悪性の社会心理」と名付けられた。(下表)

140903_2 

ケアする者はパーソン・センタード・ケアを実践するために、パーソンフッドを損なう悪性の社会心理を改善、排除し、人としてのニーズを満たす積極的な関わりを提供していかなければならない。

【開催日】
2014年9月3日(水)

ユマニチュード

―文献名―
本田美和子/イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ.マニチュード入門.2014年

―要約―
はじめに
ユマニチュード(Humanitude)はイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの2人によってつくり出された、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションにもとづいたケアの技法。
「人とは何か」「ケアをする人とは何か」を問う哲学と、それにもとづく150を超える実践技術から成り立つ。
認知症の方や高齢者のみならず、ケアを必要とするすべての人に使える、たいへん汎用性の高い技法。

Section1 ユマニチュードとは何か
1 ケアをする人と受ける人
・日常の風景
・それは防御かもしれない
2 その人に適したケアのレベル
・ケアのレベルを設定する
 ①健康の回復を目指す(たとえば肺炎を治す)。
 ②現在ある機能を保つ(たとえば脳梗塞後の麻痺が進行しないようにする)。
 ③回復を目指すことも、現在ある機能の維持をすることも叶わないとき、できるかぎり穏やかで幸福な状態で最後を迎えられるように、死の瞬間までその人に寄り添う(たとえば、末期のがんの緩和ケアを行う)。
・誤ったレベルのケアは害である
3 害を与えないケア
・なぜ罪悪感を抱いてしまうのだろう・・・
・強制ケアが健康を害している
・睡眠を妨げない
 ・記憶の保持が困難になった人でも、幸せな気分で眠りについたという思いは感情記憶にとどまりますから、就寝時のケアは大切なのです。
 ・夜間の安否確認のための訪問や、失禁していないかと確認するためのおむつ交換がどれほど悪い影響をもたらしているか想像できるでしょう。
・抑制はしない
 ・入院の原因となった肺炎の治療が終わった2週間目には歩けなくなっている、ひとりでは食べられなくなっている、という皮肉な現実がある。
 ・「生きているものは動く」「動くことが生きていることだ」を当たり前に受け止めるケアの文化を育て、ケアの方法を変えていくことが必要です。
・わきを持ち上げない
 ・肩関節の脱臼に繋がる危険性があります。
 ・人の身体の動きを知ったうえで立位を介助する方法を正しく学び訓練することが必要です。
4 人間の「第2の誕生」
 ・ユマニチュードは、この「人と人との関係性」に着目したケアの技法です。
 ・ユマニチュードは、自分も他者も「人間という種に属する存在である」という特性を互いに認識し合うための、一種のケアの哲学と技法です。
 ・その中心に位置するのはケアを受ける人とケアをする人との「絆」です。
・もし他者との絆がなければ
 ・自分が人間的存在であると認識することができます。つまりこれが第2の誕生です。

Section2 ユマニチュードの4つの柱
・人間の尊厳を取り戻すために
 ・(1)その能力や状態を正しく観察し、評価と分析を行うこと。
 ・(2)見つめ、話しかけ、触れ、立つことや移動を効果的にサポートすること。
 ・(3)その行動の抑制も強制も行わない環境をつくること。
1 ユマニチュードの「見る」
・ポジティブな見方とネガティブな見方
 ・水平に目を合わせることで「平等」
 ・正面から見ることで「正直・信頼」
 ・顔を近づけることで「優しさ・親密さ」
 ・見つめる時間を長くとることで「友情・愛情」
・「見ない」は「いない」
・ケアを受ける人は本当に見てもらっているか?
 ・相手を「見る」ためには0.5秒以上のアイコンタクトが必要だとされています。
・「見る」ことに関する2つの方法
 ・自然にできる「見る」
 ・後天的に学ばないとできない「見る」
・職業人として「見る」ということ
・文化の問題ではない
2 ユマニチュードの「話す」
・赤ちゃんにはどう話す?
・話さない人には話しかけなくていい?
・コミュニケーションの原則
・オートフィードバック
 ・自分の行っているケアの様子を言葉にする。
3 ユマニチュードの「触れる」
・広い面積で、ゆっくりと、優しく
・ケアの場での「触れる」
・皮膚から伝わる感覚の情報は場所によって違う
・”つかむこと”が伝えるメッセージ
 ・「親指を手のひらにつけて、絶対に使わない」と強く意識することが必要になってきます。
・5歳の子の力以上は使わない
4 ユマニチュードの「立つ」
・立つことの意味
 ・子どものころに自分で立ち上がったこと、それを見ていた親や大人に喜ばれたという記憶は、ポジティブでほこりに満ちた感情記憶です。
・立つことの生理的メリット
・多くの場合、歩けないのは医原性
・一日20分、立位でのケアを
・脳に誤情報を与えないこと
5 人間の「第3の誕生」
・人間らしい世界に迎えられなかった子どもは?
・近く遮断状態の高齢者
・フライデーはどこにいる

Section3 心をつかむ5つのステップ
・責めるのではなく、変えればいい
・よかれと思ったことが・・・
・マナーとして当たり前のこと
・出会いから別れまでの5つのステップ
1 出会いの準備
・なぜノックするのか?
 ①3回ノック。
 ②3秒待つ。
 ③3回ノック。
 ④3秒待つ。
 ⑤1回ノックしてから部屋に入る。
 ⑥ベッドボードをノックする。 
・自分が来たことを告げて反応を待つ
2 ケアの準備
・合意が得られなければ、あきらめる
 ・3分以上このプロセスに時間をかけない。
・「あなたに会いに来た」というメッセージ
 ・「◯◯です。お話をしに来ました。ご一緒してよろしいですか?」
 ・”あなたと話をしに来た””あなたに会いに来た”というメッセージを伝える。
・嫌がる言葉は使わない
・正面から近づく
・視線をとらえる
・2秒以内に話しかける
・いきなりケアの話はしない
・話す、触れる
・顔はプライベート・ゾーン
3 知覚の連結
・2つ以上の感覚を使う
・複数の知覚情報を矛盾させない
・知覚の連結とは
・適正よりも技術
・2人でケアを行うときには「黒衣とマスター」技法を使う
・マスター役は「見る」「話す」、黒衣役は「触れる」
・どちらが効率的か
4 感情の固定
・「この人は嫌なことをしない」という感情記憶を残す
・やや大げさに表現する
・共に働く人たちの理解を得るには
5 再会の約束
・約束を書きとめておく
・次回来られない場合には

Section4 ユマニチュードをめぐるQ&A

【開催日】
2014年7月16日(水)

認知症の家族の介護者のメンタルヘルスを促進するプログラム(manual based coping strategy programme)の臨床効果

- 文献名 -
 Clinical effectiveness of a manual based coping strategy programme (START, STrAtegies for RelaTives) in promoting the mental health of carers of family members with dementia: pragmatic randomised controlled trial  Gill Livingston, et. al.  BMJ 2013;347:f6276 doi: 10.1136/bmj.f6276 (Published 25 October 2013)
 
- この文献を選んだ背景 -
 認知症の家族を介護している介護者が精神的にダメージを受けるケースをよく経験する。今回、認知症の家族を介護する介護者のメンタルヘルスに関する論文を読んだので共有する。

- 要約 -
【目的】
 manual based coping strategy programmeが通常の治療と比較して、認知症の家族を介護している介護者のうつ、不安症状を軽減するかどうかを評価する。
【デザイン】
 Randomised, parallel group, superiority trial.
【セッティング】
 英国(ロンドンとエセックス)、Three mental health community services and one neurological outpatient dementia service
【参加者】 260人の認知症の家族を介護している介護者
【介入】
 manual based coping strategy programme:8回のセッションから成り、指導された心理学の専門家から提供される。認知症、介護者のストレス、感情的サポートを得る場などの精神教育、介護者の行動の理解、行動を管理するテクニック、支援がないという考えの変容、受容の受け入れ、自らの意見の主張、relaxation、将来のプランニング、楽しい活動の増加、スキル学習の維持など。これらの事を自宅でマニュアルを使いながら、relaxation CDを聞きながら学ぶ。
【Main outcome measures】
 4ヶ月後と8ヶ月後の症状 (hospital anxiety and depression total score)
<Secondary outcomes>
・depression and anxiety caseness on the hospital anxiety and depression scale;
 介護者のQOL:health status questionnaire, mental health
 要介護者のQOL:quality of life-Alzheimer’s disease
 介護者から要介護者への潜在的な虐待行為:modified conflict tactics scale
【結果】
 260人の介護者が選ばれた(Figure)。ランダムに173人が介入群、87人が通常の治療群に割り付けられた。
 8ヶ月後のhospital anxiety and depression total scoreは介入群が通常の治療群と比較してより低かった(adjusted difference in means −1.80 points (95% confidence interval −3.29 to −0.31; P=0.02) 
)(Table5)。
 うつのケースが介入群で低かった(odds ratio 0.24, 95% confidence interval 0.07 to 0.76) (Table5)。
 介護者のQOLが介入群で高かった(difference in means 4.09, 95% confidence interval 0.34 to 7.83) (Table5)。
 介護者から要介護者への潜在的な虐待行為の報告は介入群で少なかった(odds ratio 0.47, 95% confidence interval 0.18 to 1.23) (Table5)。
【結論】 
 manual based coping strategy programmeが認知症の家族を介護している介護者の不安やうつに対して効果があり、介護者のQOLを改善させている。

- 考察とディスカッション -
 認知症の家族を介護している介護者への支援プログラムが有効である事が改めて示された。寿都町では、町役場の保健師が中心となって定期的に家族会を開催しているが、今回の論文のような体系だったプログラムでの支援ではない。今後、このような支援プログラムを作成するかは議論の余地があるが、皆さんの地域の状況はいかがでしょうか? 

開催日:平成25年12月11日

高齢者の不健康な行為と能力低下(disability)の関係

– 文献名 –

 Unhealthy behaviours and disability in older adults: Three-City Dijon cohort study. Fanny Artaud PhD,et al.  BMJ 2013 ;347 :f4240

– この文献を選んだ背景-
 
 我々家庭医は高齢者を診る時、常にCGA(Comprehensive Geriatric Assessmesnt:高齢者包括機能評価)を念頭に入れて高齢者を診察している。今回、高齢者の能力低下に関わる事として、不健康な行為との関わりを研究した興味深い論文を読んだので紹介する。

- 要約 -

【目的】
 不健康な行為(低い/中間の肉体活動度、1日1回以下のフルーツ、野菜の摂取、現在の喫煙/過去の喫煙、全く飲酒しない/以前の飲酒/大量の飲酒)とフランスの高齢者の能力低下の危険度との関係(個々の行為と行為の組み合わせとの関係)を調査すること。またこれらの関係に関与する潜在的な因子を評価すること。

【デザイン】
前向きコホートスタヂィ

【セッティング】
Three -City studyのうちのディジョンセンター

【参加者】
3,982人(女性:2,410人(60.5%))
1999~2001年の間の65歳以上のフランス人
健康行為を評価した時点ではベースラインは能力低下はない

【主要評価項目】
3つの能力低下スケール(移動能力、IADL,ADL)から得られたデータの組み合わせ
能力低下の階層別指標(なし、軽度、中等度、重症)
2001~2012年までの間に5回評価

【結果】
 12年間のフォローアップ期間中に1,236人(女性:861人(69.7%))が中等度から重症の能力低下に進展した。能力低下の危険性に関与した項目として、低い/中間の肉体活動度(HR:1.72,95%CI:1.48,2.00)、1日1回以下のフルーツ、野菜の摂取(HR:1.24,95%CI:1.10,1.41)、現在の喫煙/過去の喫煙(HR:1.26,95%CI:1.05,1.50)、一方で、アルコール消費量には強い相関関係はなかった。能力低下に関係する不健康な行為の数が増えれば増えるほど能力低下の危険は増加した(P<0.001)。3つの不健康な行為を行っている人は何も不健康な行為がない人と比べるとの能力低下の危険性は2.53倍増した。逆の因果バイアスは最初の4年間で能力低下が見られた人は除外して、排除している。不健康な行為のスコアと能力低下との間の関係の30.5%がBMI,認知機能、うつ病の症状、外傷、慢性疾患、心血管疾患とそのリスクファクターによって説明される。最も関係しているのが慢性疾患であった。

【結論】
不健康なライフスタイルは能力低下の危険性と関係している。不健康な行為が増えれば増えるほど、その危険性は増す。慢性疾患、うつ病の症状、外傷、BMIは部分的にこの関係を説明した。

開催日:平成25年8月21日

高齢者における余暇活動と認知症リスク

– 文献名 –

 Leisure Activities and the Risk of Dementia in the Elderly J. Verghese and others(N Engl J Med 2003; 348 : 2508 – 16 : 

– 要約 –

Background
 Participation in leisure activities has been associated with a lower risk of dementia. It is unclear whether increased participation in leisure activities lowers the risk of dementia or participation in leisure activities declines during the preclinical phase of dementia.

Methods
 We examined the relation between leisure activities and the risk of dementia in a prospective cohort of 469 subjects older than 75 years of age who resided in the community and did not have dementia at base line. We examined the frequency of participation in leisure activities at enrollment and derived cognitive activity and physical-activity scales in which the units of measure were activity days per week. Cox proportional-hazards analysis was used to evaluate the risk of dementia according to the base line level of participation in leisure activities, with adjustment for age, sex, educational level, presence or absence of chronic medical illnesses, and base line cognitive status.

Results
 Over a median follow-up period of 5.1 years, dementia developed in 124 subjects (Alzheimer’s disease in 61 subjects, vascular dementia in 30, mixed dementia in 25, and other types of dementia in 8). Among leisure activities, reading, playing board games, playing musical instruments, and dancing were associated with a reduced risk of dementia. A one-point increment in the cognitive-activity score was significantly associated with a reduced risk of dementia (hazard ratio, 0.93 [95 percent confidence interval, 0.90 to 0.97]), but a one-point increment in the physical-activity score was not (hazard ratio, 1.00). The association with the cognitive-activity score persisted after the exclusion of the subjects with possible preclinical dementia at base line. Results were similar for Alzheimer’s disease and vascular dementia. In linear mixed models, increased participation in cognitive activities at base line was associated with reduced rates of decline in memory.

Conclusions
 Participation in leisure activities is associated with a reduced risk of dementia, even after adjustment for base-line cognitive status and after the exclusion of subjects with possible preclinical dementia. Controlled trials are needed to assess the protective effect of cognitive leisure activities on the risk of dementia.

開催日:平成25年8月14日