後期研修における形成評価の手段としてのWorkplace based assessment(臨床現場における学習者評価)

【文献名】 
著者名:John Norcini and Vanessa Burch
文献タイトル:Workplace-based assessment as an educational tool
雑誌名・書籍名:AMEE guide No.31 Medical Teacher 2007 855-871
発行年:2007

【この文献を選んだ背景】
 この2年をかけて、HCFMは後期研修プログラムの目標や評価システムを大幅に改正中である。その目的の一つとして、個性やそれまでの経験が異なる一人一人の後期研修医に合わせた評価を的確に行い、その人に合わせた成長をサポートすることがある。
 そのためには、後期研修期間中の研修医に対する評価は欠かせない。そして、評価の中でも、日々の臨床業務での研修医の実際のパフォーマンスを評価する「WBA(Workplace-based assessment)」がこの10年で世界的にも着目され、研究が進んできた。我々も今後の後期研修の中でこのWBAを形成的評価(=試験して落とすためではなく、研修医にフィードバックし成長を促すための評価)の方法として取り入れようとしている。
 今回は、WBAの具体的なツールにどのようなものがあり、それぞれの特徴、限界はどうなのかについて、勉強し直したため、共有することとした。

【概要】
この文献は5つの側面に焦点を当てている。
 1形成的評価とフィードバックの有効性と頻度の文献レビュー
 2各論的な頻用されるWBAの手法について
 3形成的評価において有用なフィードバックの特徴
 4指導医を参加させ、能力を向上させる為の戦略
 5形成的評価を日々の臨床に取り入れる際の困難な側面  

今回のジャーナルクラブでは主に2に焦点を当てて紹介する。

【形成的評価の手法】p858
・この10年で様々な形成的評価のための手法が開発された。以下の7つを概観する。
①Mini-Clinical Evaluation Exercise(mini-CEX)(Figure1)
 ・指導医観察の下、学習者が臨床上のタスクを行う(問診⇒身体診察⇒診断⇒マネージ)
 ・外来・入院・ERのどれでもよいし、初診でも再診でもかまわない。また、症状の評価でも疾患の評価でも問題ない。
 ・原著では、9点満点(1-3 unsatisfactory, 4-6 satisfactory, 7-9 superior)として問診技術、身体診察、プロフェッショナリズム、臨床判断、カウンセリング、全体構成と能率、全体の能力について評価がなされることとなっている。
 ・この評価手法の最大の目的は構造化したフィードバックを観察に基づいて行うことである。大まかに15分の面接を観察し、5?10分のフィードバックを行う。
 ・学習者は、研修期間中に、異なる臨床状況で、異なる指導医に評価されることが望ましい
 ・この手法は、十分にサンプリングを行えば、信頼性のある手段であることが示されている(大まかに4人の事例があれば、95%信頼区間が1以下となり、0.8以下の信頼性coefficientには12?14事例の評価が必要である)
 ・様々なエビデンスによってmini-CEXの妥当性も示されている。例えば卒後の文脈であればITE筆記試験やルーチンの指導医によるratingとよく相関する。
 ※卒前の文脈でも利用でき、妥当性もコミュニケーションスキルなどで示されている(観察+フィードバックの時間は合計して30?45分とやや長めとなる)。

②Clinical Encounter Cards(CEC)
・カナダのMcMasterで開発され、他の環境でも実践されている。
・miniCEXと評価項目は類似であるが、6点評価であり、卒前の文脈のようである

③Clinical Work Sampling(CWS)
・臨床医のみでなく、看護師・患者によるratingが付け足された評価手法。

④Blinded Patient Encounters(BPE)
・卒前のベッドサイドにおける教育に用いられる評価手法

⑤Direct Observation of Procedural Skills(DOPS)(Figure2)
・臨床下での手技の直接観察評価のために用いられる。
・6点評価で、1-2が標準以下、3が境界、4が標準、5-6が標準以上である。
・直接観察は15分、フィードバックは5分にて行う。
・研修コースの中で学習者は実践頻度が高い手技を提示され、それについて複数の指導医から複数回観察を受けるようにする。

⑥Case-based Discussion(CbD)(Figure3)
・学習者は2人の患者のカルテを選択し、評価者にプレゼンテーションする。評価者はそのうちの一つをディスカッションするケースとして選び、ケースの2つ以上の側面(臨床アセスメント、精査と紹介、治療、フォローアップと今後の計画、プロフェッショナリズム)について深めて行く。カルテもその場にあるため、カルテ記載も同時に評価する。
・clinical reasoningの評価を行い、実際の臨床現場での意思決定のうらにある根拠を評価することが目的である。大まかに20分以下の評価として、そのうち5分のフィードバックを行う。学習者は研修期間の間に異なるケースについて異なる評価者から評価を受ける。
・CbDはその妥当性を示唆する研究がいくつかある。救急医の免許更新における研究などがそれである。その一つとして、ボランティアの医師と、臨床に問題のある医師を両方まぜて、CbDで評価した結果、その両者を鑑別できたという研究がある。

⑦MultiSource Feedback(MSF)
・360度評価とも言われるが、構造化された質問紙を用いて多くの関係者からパフォーマンスのデータをあつめ、個々の学習者へフィードバックする手法である。全ての評価は直接観察のもとではあるが、上記6つと異なるのは「日常のパフォーマンス」を思い出して記載するところである。
・多くのフォーマットがあるが、mini-peer assessment tool(mini-PAT)はその良い例であり、UKでのFoundation Programmeで用いられている。そこでは学習者が8人の評価者を指導医、ジュニア、看護師、他の医療専門職から選択する。それぞれの評価者が構造化した質問紙を渡され、プログラム中枢部に送る。また学習者自身も同じ構造化質問紙を用いて自己評価を行う。
・評価のカテゴリーはよい臨床ケア、臨床実践の維持、教育と訓練、患者との関係性、同僚との業務、全体評価、である。
・この質問紙は集計して個別フィードバックを用意する。データはグラフとして、学習者を評価した人の平均点と国での平均点が示される。全てのコメントは逐語録として残されるが、匿名化される。学習者は教育者とこの結果を見て、今後の行動計画を立てる。このプロセスは研修期間中に年に2回行われる。
・MSFは卒後や現場の医師の評価にも応用されている。Sheffield Peer Review Assessment Tool(SPRAT)がfigure4にあり、実現可能性と信頼性が示されている(※先日ジャーナルクラブで扱ったものです)。また一緒に仕事をした期間などのバイアスの影響も受けないようである。信頼性を保つ為には8-12人による評価が必要である。

注釈
形成的評価;学習者が更にのびることを目的として行う評価のこと。点数をつけて合格・不合格とする評価ではなく、改善の為の提案や指導を行うことが主目的。
妥当性=測定したいと思っているものを測定できているかどうかの指標
信頼性=誰が行っても同じような結果がでるかの指標

【開催日】
2012年10月24日

卒前教育の家庭医療コアカリキュラム

― 文献名 ―
 HOWARD TANDETER et al. A ‘ minimal core curriculum ‘ for Family Medicine in undergraduate 
medical education: A European Delphi survey among EURACT representatives. European Journal of General Practice, 2011; 17: 217-220

 ― この文献を読んだ背景 ―
 滋賀医科大学4年生対象に弓削の森先生と6コマの家庭医療の系統講義を担当する。100名対象の講義型で、かつ6コマということでどのようなテーマが良いのかを再度検討してみたかった。
 欧州の指導医委員会(2011)とSTFM(2009)と両方が見つかったが、前者の方が利用しやすいと感じたため共有したい。
 
 ― 要約 ―
背景:
家庭医療は世界で異なる発展をしている。特にプライマリケアが整備されていない国々では、家庭医が卒後キャリアの選択肢となっていないため、家庭医療の教育が不十分である。そのような状況で家庭医療は卒前教育中に必要な臨床経験とみなされていない

目的:
短期間の家庭医療の臨床実習の”ミニマムリクアイアメント””ミニマムコアコンテント”を同定する。

方法:
欧州家庭医療/総合診療指導者委員会(Council of the European Academy of Teachers in General Practice and Family Medicine)の中の全ての欧州国家とイスラエルの代表者であり、家庭医かつ指導医である40名のグループを対象にデルファイ法を用いて実施した。
デルファイ法(岡田先生のブログより):
 元々は予測が難しい未来のことを予測するための方法最近はそれを転じて合意形成の方法としても用いられる。専門家グループなどが持つ直観的意見や経験的判断を反復型アンケートを使って、組織的に集約・洗練する意見収束技法。技術革新や社会変動などに関する未来予測を行う定性調査によく用いられる。
デルファイ法ではまず、予測したいテーマについて詳しい専門家や有識者を選んで意見を求める。得られた回答は統計的に集約して意見を取りまとめ、これを添えて同じ質問を各専門家に対して行い、意見の再検討を求める。この質問とフィードバック、意見の再考という過程を数回、繰り返すとグループの意見が一定の範囲に収束してくる。この意見集約によって、確度の高い予測を得ようというわけである。
デルファイ法はテーマと関係のない影響力を極力排除するよう配慮されている。また問題としては「専門家の定義や選出方法」「アンケート質問の適正さ」「意見一致への強要や誘導」「集約手法の信頼性や妥当性」「未来予測の限界」などが指摘される。

結果:
何周かのデルファイによって、卒前家庭医療の必要最小のコアカリキュラムの15のテーマが同定された
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1   27票 特有の医学である家庭医療の紹介、継続性・包括性・協調性という家庭医療の重要原則
2  21票 全人的アプローチ:生物心理社会モデル

3  20票 症状早期の鑑別しにくい時期のマネージメント、不確実性の扱い方

4  17票 コミュニケーションスキル:患者、患者家族、難しい患者

5  17票 複数の健康問題のマネージメント:優先順位づけ

6  17票 流行状況や発生率に基づいた意思決定

7  17票 予防・健康増進、患者教育

8  16票 患者中心性

9  16票 外来スキル:外来のステージ

10 15票 慢性疾患ケア、慢性の疾患・健康問題のマネージメント:DM,HT,CHF,肥満

11 14票 疾患の原因・ケアの資源としての家族:家族背景、家族図、ライフサイクル

12  13票 家庭医療に特徴的なヘルスケア:全年齢、男性/女性、病気を治す・予防する、救急

13  12票 コミュニティ志向:コミュニティ中心のケア、地域ニーズ評価

14  12票 家庭医療にコモンな症状

15  10票 プライマリとセカンダリーの境界:紹介、ゲートキーピング、擁護者

15は別テーマ「疾患について:診断、治療、フォローアップ、訪問診療」と同等の10票であったが、最終デルファイで上位にランクされた。

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 ― 考察とディスカッション ―
 1位、2位は納得であったが、3位のテーマは臨床的でありなるほどと思った。
 家族や地域は思ったよりも高くなく、日本での教育も外来診療のためのスキルを重視しても良いかもと感じた。ただVer1.0との違いも目立たず、日本の家庭医療の後期研修目標に沿った卒前教育が良いかもとの確信も得ることが出来た。

開催日:平成25年10月25日

臨床推論において学習者は何につまづいて、教育者はどう対応できるのか?~アクションリサーチからの学習者診断・介入ガイドの作成~

― 文献名 ―
 Marie-Claude Audetat, Suzanne Laurin, Gilbert Sanche, Caroline Beique, Nathalie Caire Fon, Jean-Guy Blais and Bernard Charlin: Clinical reasoning difficulties: A taxonomy for clinical teachers Medical Teacher 2013 35: e984-e989

 ― この文献を選んだ背景 ―

 あざいでは平成26年1、2月に再研修を希望している医師の研修受け入れが決まった。しかし、私自身のここ1年あまりの教育活動は医学生実習と遠隔教育が主であり、医師研修受け入れについてはブランクがある。そのため、家庭医療コアの教育を行うチャンスは多くあったものの、臨床推論(※ここでは診断だけでなく臨床決断も含める)教育のチャンスは少なかった。
 臨床決断において、困難な学習者がぶつかる問題、その診断とアプローチについて体系的に捉え直すことの重要性を感じていたところ、アクションリサーチの手法を用いて教育車向けの体系的なガイドを作成した研究を見つけた。最終成果物のガイドは非常に包括的で実践的であるため、是非共今回のジャーナルクラブで共有したい。

 ― 要約 ―
【背景】
 臨床推論は医学実践での基盤である。現時点では、臨床推論における困難さ、その特定の方法、教育での改善方法についての確立したフレームワークは存在しない。

【目的】
     ①学習者の外来、ケースサマリー、カルテの評価の際に、最も頻度の高い臨床推論の困難さを特定すること 
     ②医学教育者が、学習者診断とマネージメントをこの領域において行う際に助けとなるガイドを開発すること

【手法】
  ①概念的枠組み;以下の二つを採用した。
1.A parallel between the processes of clinical reasoning and educational reasoning.
 臨床教育者が学習者を指導する際に、患者の臨床推論と学習者診断を同時並行で行っており、そのプロセスはい ずれも問題解決的思考(情報収集→仮説形成→診断→対応)という点で共通しているというモデル。
2.恊働構成プロセス
 研究者が第三者的に観察するのではなく、対象である臨床教育者を随所で巻き込んで、研究をを進める枠組みで、具体的なリサーチデザインとして参加型アクションリサーチを採用。

  ②セッティング;家庭医療レジデンシーを選択した。理由としては、診断上の不確実性と診断の誤りや遅れが多い科トップ3の一つだからである。

  ③参加者
   モントリオール大学における家庭医療学・救急医学において医学教育に携わっている家庭医4人を選抜した。基準としては1.15年以上の臨床家・教育者としての経歴 2.臨床推論で困難なレジデントに関わる委員会に関わっている 3.FDの委員会、活動に関わっている 4.臨床推論における困難なレジデントの特定・改善プログラムに携わっている を考慮した。
  ④研究プロセス
   参加型アクションリサーチに代表される方法で、計画–行動–観察–振り返りというサイクルを行った。具体的には、2009年4~8月の間に3時間のセッションをくりかえし行った。この3時間セッションの中ではテーマに対する振り返りと抽出を行った。セッション同士の間の期間で、参加者である臨床家がセッションで見いだした計画を実行し、観察を行った。その結果を踏まえて更に3時間のセッションで振り返り・抽出を行う・・・というプロセスを繰り返した。データが飽和するまで行い、8回のセッションが行われた。
 ここでの結果をモントリオール大学のFDワークショップで共有し、17名の多分野の臨床教育者から妥当性の評価を受けた。

結果;先行研究を踏まえて、臨床推論のプロセスを以下の三つに分けて考えた。
 1.仮説形成と情報収集の方向性 
 2.仮説の精錬と検証 
 3.診断あるいは問題の特徴付けとマネジメント計画

 学習者が呈する臨床推論の困難さは1で1つ、2、3はそれぞれ2つずつの合計5つに集約された。それぞれについて、学習者が様々なスーパーバイズの場面において示す手がかり、特定するための問いの例、困難さの原因として考えうる仮説、困難さを改善するための教育戦略を特定した。それを集積したものを踏まえて、臨床教育者のためのガイドを作成した。
結論;このガイドは臨床教育者が、臨床教育の中で、あるいは特定の臨床推論の難しさを抱えた学習者に合わせた改善教育を施すにあたり、有益なツールとなるに違いない。

 ― 考察とディスカッション ―
 
 質疑応答以外に以下のようなテーマでのディスカッションを行いたい。
  ・臨床推論につまづく学習者の評価を皆さんはこれまでどんな場面で行っていたか?
  ・皆さんが普段行っている学習者への問い、学習者診断、介入と比べてこのガイドはどうか?
  ・もし、サイトでこのガイドを取り入れるとすれば、どんな方法があるだろうか?
 
参照資料: CLINICAL REASONING DIFFICULTIES
http://informahealthcare.com/doi/suppl/10.3109/0142159X.2012.733041/suppl_file/0142159X.2012.733041.pdf

開催日:平成25年10月9日

ジャーナルクラブの利用は医師によるエビデンスに基づいた意思決定の支援に有用か?どのような要素が有効なジャーナルクラブの運用に必要か?

― 文献名 ―
 Are journal clubs effective in supporting evidence-based decision making? A systematic review. BEME Guide No. 16.
J. Harris et al. Med Teach 2011;33(1):9-23

― この文献を選んだ背景 ―
 Since 2012, weekly lecture for residents have launched and I’ve performed interactive lecture and on-site practice of about EBM for three times. In the evaluation with questionnaire, I found that residents felt somewhat difficult to perform 5 step of EBM in their daily practice. Therefore, I would try to improve the educational method and strategy this year. For the first step, I search for the best evidence of teaching EBM, and found this paper.

― 要約 ―
 Research background;A journal club (JC) is an interactive approach to making sense of evidence, which is commonly defined as ‘a group of individuals who meet regularly to discuss the clinical applicability of articles in current medical journals’ (Linzer 1987).
 Their popularity can be attributed to a number of perceived benefits -they help students and practitioners to keep up to date with health care literature, become more critical consumers of research evidence, and become better practitioners. Positive attitudes about JCs have changed little over the past 15 years.
 Although education research would support a JC approach, there is little direct evidence that JCs are actually effective in reaching their stated goals.
 Research Question;Is the JC effective in supporting EB decision making? Is it possible to determine which elements of a JC contribute to effectiveness?
 Search strategies;The search strategy was developed using Medline (Table 3) and adapted for the requirements of other databases. Bibliographies of relevant publications and review articles were scanned and relevant references were retrieved. No language restrictions were applied.
Inclusion/exclusion criteria:See Table2.
Findings:18 papers were included in the final review. Of those, 17 were for postgraduates and 1 was for both undergraduates and postgraduates. Since there was a wide range of heterogeneity of the JC intervention, authors judged it was difficult to perform meta-analysis.

(1)Main findings;The included studies reported improvements in reading behaviour (N= 5/11), increased confidence in critical appraisal (N=7/7), improved test scores on critical appraisal (N=5/7), and increased ability to use findings in clinical practice (N=5/7).
They concluded that they couldn’t judge JCs are effective in supporting EB decision making, because only seven studies attempted to measure this endpoint and they relied on self-report.

(2)Methodological weaknesses are below.
 1.The description of the interventions lacks attention to detail, preventing adequate replication. 
 2.There was a paucity of learner assessment and few validated tools were used for quantitative assessment.
 3.The large variation in JC design and delivery limits comparison.

(3)Identifying active ingredients;
Analysis of the various elements contained in JCs produced a cluster of elements that may contribute to the overall effect. These were termed active ingredients, and included mentoring, didactic support, use of structured review instruments, adhering to principles of adult learning, using multifaceted approaches to learning, and integrating learning with other academic and clinical activities.

(4)Implications for practice
Our review illustrates that JCs are used widely across different sectors of the healthcare and used in a variety of different ways. Active ingredients are found at each stage of the educational intervention (The author applied five elements model of educational intervention and describes the results of this review about each facet in Table 4).
For example, if a JC is being designed for residents, the content should be directly applicable to patient cases they find problematic, enabling application of evidence in a real-time setting; didactic support could be provided based on an educational needs assessment (e.g. for statistical support). Critical appraisal and discussion of clinical applicability could be facilitated by senior clinicians who are in supervisory positions, enabling the transfer of discussion into practice.

― 考察とディスカッション ―
 Now I plan on-line EBM WS for residents this year, this article has given me several hints. Although some of those are same as other educational sessions like adult learning and multifaceted approaches to teaching, others have some practical implication for me.
1. I would like to pay more attention on individual learners’ needs. I’ve already sent some questionnaire to know their knowledge and practice of EBM.
2. I would like to change the contents more relevant to their daily patient cases. I will discard the discussion based on the case scenario and start with gathering and evaluating their daily clinical questions from the first session.
3. Mentoring is important. I would try the hands on session of EBM STEP1 to 3. (This part was on-site activity last year.)
4. I would like to introduce more structured material for critical appraisal.
5.The support of ‘on-site’ educators is imperative. I ask for your support.
Do you manage journal clubs in your clinic? If you have, how do you manage it? Is there some implication for you?

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 ↓ 画像をクリックすると全体が表示されます。
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開催日:平成25年7月10日

あるレジデンシーでの質的研究を用いた探索的な評価ツール開発/レジデンシー特有の能力とその熟達化を言語化し、その評価を研修場所毎に開発した軌跡

【文献名】
Baglia J et al. Generating developmentally appropriate competency assessment at a family medicine residency. Fam Med. 2011 Feb;43(2):90-8.

【要約】

BACKGROUND AND OBJECTIVES:
Ten years after the Accreditation Council for Graduate Medical Education’s (ACGME) mandate that residency programs evaluate learners’ competency, research is needed to guide efforts to meet this challenge. During an innovative residency redesign, the authors developed a process to effectively measure “competence.” This particular family medicine residency admits six residents per class year and is sponsored by an academic community hospital. Our objective was to generate developmentally appropriate observable behaviors that assess competencies.

METHODS:
Eight steps guided the development of this assessment system: 
(1) Generate residency-specific competencies, 
1. Relationship-centered care,
2. comprehensive care,
3. information literacy and knowledge creation,
4. leadership and change management, 
5. community health partnership, 
6. lifelong learning, and 
7. self care.
(2) Define residency-specific competencies, 
(3) Identify principles of assessment, 
1. direct observation is ideal and includes both assessment and feedback, 
2. multiple methods are appropriate,
3. assessment is consistent to the extent that visible behaviors are identified, and variations of interpretation are minimized, 
4. assessment and feedback are timely and expected, and 
5. effective assessment practices are dependent upon ongoing faculty development.
(4) Compose and analyze narratives of excellence within each competency, 
   
(5) Distill standard statements from narratives and organize into Dreyfus levels of competence, 

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 (6) Derive observable behaviors from standard statements to directly correlate behaviors and competency levels, 

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(7) Design assessment tools (based on observable behaviors) for six residency learning sites, and 

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(8) Translate assessment tools for ACGME competencies.
RESULTS:
The results of this process include an assessment system that 
(1) features six tools used with strategic frequency throughout the academic year and 
(2) generates global assessment of residents’ performance in both ACGME and residency-specific competencies.

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CONCLUSIONS:
Narrative reflection was an effective method to tie observable behaviors to competencies. The process was time intensive; however, greater efficiency and enthusiasm is expected in the use of these assessment tools, with greater confidence in the program’s capacity to assess training outcomes. Future research should include comparison of these tools with those of other programs.

【開催日】
2011年11月2日

臨床推論を教える

【文献名】 
著者名:Kassirer, Jerome P. MD  
文献タイトル:Teaching Clinical Reasoning: Case-Based and Coached Academic medicine 
雑誌名・書籍名:Volume 85 – Issue 7 – pp 1118-1124
発行年:July 2010

【要約】
最善の臨床ケアは、正確な診断技術と最も適切な治療をすすめる臨床医の技術にかかっている。そして臨床推論の技術の習得はどのレベルの医学教育においてもキーとなる必要条件である。臨床推論を教えることは、教育理論のいくつかの基本的な原則に基づいている。成人教育理論によると、学習とは、繰り返し実際の症例に意識的に暴露されることで熟達していく。実際の症例とは、臨床推論の様々な側面から選択された物であるべきで、指導医の参加が教育的経験の価値を高める。成人学習理論は、臨床医学と臨床推論のストラテジーの記憶は、情報や判断や推論のエラーが直ちに指摘されたときに高められるとしている。記憶から作られた人工の症例より、実際の症例の方が、現実の臨床資源の失敗や多相性をしばしば反映するので、そちらが選ばれる。

これらの概念は診断プロセスを教えることと学ぶことを助長する。診断的検査や治療と、臨床推論における認知エラーのリスクとベネフィットはtrade offである。臨床推論を教えることは、学習者が解剖学と病理学を全部理解するまで遅らせる必要もないしそうすべきでない。推論の生成、パターン認識、背景の整理、診断的検査の解釈、鑑別診断、診断的確証といった概念は臨床的問題解決(clinical problem solving)の言語と方法で教えられる。専門的技術はそれに到達する正確なメカニズムを知らなくても到達できる。

Teaching Clinical Reasoning 2010
30人以下の学習者で症例ベースのカンファレンスする方法を提示。

●まず:アウトラインを提示。(List1)

●症例選択:臨床推論を幅広く理解するために、症例はランダムでなく、慎重に選択する必要がある。学習者がList1にある様々な側面を持った症例を持ってくることは推奨される。また学習者のレベルに応じて選ぶ。誰かの記憶で構成された以前の症例よりも、現在進行中の症例で、不確実で矛盾してて完全でなく、複雑で、臨床データが曖昧な症例がいい。認知エラーやニヤミスがどう起きるかを説明するためには、欠点のある推論と素晴らしい推論のケースとあった方が良い。学習者があまり知らない症例が良い。

● 症例の情報のまとめ方:症例のNarrativeは、患者のillnessだけでなく、患者の判断や行動も含まれるべきである。症例は、臨床推論のための統合されたテンプレートという機能だけでなく、臨床医学や臨床推論を学ぶためのバイアスとしての機能もある。なので可能であれば、実際の時間の流れで症例をまとめる。患者の年齢、性別、主訴などから初めても良いが、患者が医師に語った問題から初めても良い。つまりゴールに応じて症例を選び、プレゼンテーションを仕立てるべきである。

● 指導者の役割:指導者の機能は、指導者も学習者と同様に症例についての知らない状態であり、同じ情報から検討しなければいけないときにもっともよくなる。指導者は学習者の疑問と反応とコメントの妥当性正確性をモニタリングする。診断と治療における推論と同様に、患者の医学的側面についての特別な問題は、同時に扱うことが可能である。指導者は学習者になぜその情報を求めたのかをたずね、その答えを得たら何がわかるのかを説明させる。Problem solvingセッションでのこの相互のやり取りのポイントは、症例に関する情報が全て出そろってからディスカッションするより、検査データが出そろった時、診断や治療プランができてきた時など途中途中で検討することで、即座にフィードバックできることである。
  指導者は、参加者のセッションへの積極的に参加するよう努力する。知的にチャレンジングで、楽しくて、脅すことのないセッションにしなければならない。これは常にストレスのないセッションにするという訳でなく、ストレスが記憶に残る要因ともなる。指導者は時に闇に迷い込み、ミスをして、判断を誤り、不適切な仮説を立てるなどするかもしれない。重要なことは何が学ばれるのかということであり、全ての症例に最終的な答えがある訳ではないことである。また指導医は症例の全ての面をカバーしなければならないと感じるべきでない。

● 認知エラーを回避する:最近の臨床推論では、メタ認知が認知エラーの回避に効果的な方法かもしれないとしている。

以下メモ
教育方法は科学的根拠に乏しい。ここ数十年の人間の認知に関する理解は深まっているが、教育方法はいまだ専門科の意見に大部分を頼っている。

ジョンドゥーイJohn Dewey:学習には最善の経験が必要。教育は興味の刺激、自主性、表現の自由が欠かせない。

現在の教育理論は、教育者は知識を与えるのでなく、学習をファシリテートし、自発性を推奨し、互いに探求することを保証する。実際の状況で新しい知識の適応という文脈にいるときに最も効果的に新しい知識や技術を学ぶことができる。

【考察とディスカッション】
フェローシップで学んだ教育理論や、PCCMであつかうillnessなどの内容も含まれた文献であり、参考になった。また普段何となく実施してるケースカンファレンスも概ねこのやり方に則っていたのでバックボーンが得られた。メタ認知は主に医師患者関係の考察に対して使用していたが、臨床推論の世界でもエラーを防ぐためにメタ認知が注目されていることがわかり、実践してみたいと考えた。

【開催日】
2012年10月17日

「コーチングを忙しい臨床現場のコミュニケーションに活かすには?」

【文献名】
著者名:伊藤 守
文献タイトル: 第4章(p137-171) 
雑誌名・書籍名: 「3分間コーチ」 
発行年:2008年

【要約】
※実際の現場でのコミュニケーションのあり方とその内容に焦点をおいた「第4章」の共有と要約をこの場では行う。
※予備知識:ここでいう「コーチング」とは「目標達成に必要な知識、スキル、ツールが何であるかを棚卸しし、それをテーラーメイド(個別対応)で備えさせるプロセス」を指します。

<ビジョンを作る>
 具体的には現場で行うことは「相手の「視点」を未来に向ける」ことを行います(主にある種の質問によって)。イメージ的には一枚のキャンパスに向かって自分と相手が並んで座って会話するような感じ。部下やスタッフの可能性を開くことは上司の仕事です。

<ビジョンは作り続ける>
 基本的にイメージやビジョンは記憶できません。ビジョンは鮮明なときほど動きやすくなりますが、モチベーションやパフォーマンスが落ちているときはこれが不鮮明・混乱・消失しているときです。3分間コーチではビジョンメーキングをひとつのミッションにしています。方法は「会話・問いかけを通じて様々な可能性を思い描く過程で鮮明にしていく」です。ビジョンについて語り続けていないとすぐにみえづらくなります。コーチは常に少し先の未来を語り続けましょう。

<問いを共有する>
組織のコミュニケーションを活発にするにはどうしたらよいのでしょう?このことには、ただ「問う」のではなく、問いを共有することで初めてコミュニケーションは活発になります。上司や部下の間で問いが共有されていることで初めてコミュニケーションを始める動機が生まれます。問いが共有されていれば問いかけに対して「自分はどうすべきか」を知るためにコミュニケーションを交わす必要性がうまれるのです。3分間コーチではすでに問われているような問いにクローズアップすることを行います。この際、答えを強要してしまうと共有された問いは消失してしまうので注意しましょう。自由に考えることに意味があります。

<問いの共有が行動を起こす>
 問われると部下は普段持たなかった視点を持ちます。問いとはほとんど未来に向けられたものであり、当然視点は未来にむき、より自立的、自発的な行動が促されます。「問い」には人を「わかったつもり」から行動へと移行させる力があります。
 問いの共有のもうひとつの効能は自分の中に存在する非生産的な問いを追い出す働きです。非生産的な問いとは「大丈夫かな・・・?」「これでいいんだろうか・・・?」「ほんとうかな・・・?」といったものであり、これらの問いは別の問いを起こさない限りすぐに頭の中を占拠してしまいます。私たちは常に未来に向けた問いを投げかけ、共有し続けることが大事です。

<個人の目標を設定する>
 私たちは常に自分に関心があります。様々な組織の輝かしいビジョンを見せられても、常にスタッフは「WIIFM What’s in it for me?(それで私はどうなるの?)」と考えています。コーチは「これをすることで、わたしが手にするものは何か?」を考えさせることが必要なのです。「皆さんは自分の周りのスタッフの「WIIFM」を知っていますか?」、互いの個人の目標を共有公開することもまたその達成に協力し合う環境を生むことになります。

<今いる場所を示す>
 ビジョンを共有し、WIIFMを明確にし、目標も設定(共有)した。次にコーチが行うのは「フィードバック」と「フィードフォワード」です。
● フィードバック:「今の君は少し急ぎすぎているかな?」:
 ➢ ・・・結果に対して制御をきかせる
● フィードフォワード:「患者さんは私たちの医療にどの程度満足しているのだろうか?」:
 ➢ ・・・まだ起こっていないことに対して、制御をきかせる。
これらはスタッフが各自の目標に対して「今自分がいる場所」を知らせるのに有用であり、多くのスタッフはこれを求めています。自分が行っていることに対して、自分以外の視点を求めています。

<リソースを最大化する>
 コーチングの目的は直接的には「部下の目標達成」にありますが、それだけではなく、その人の能力を引き出し、リソースを最大化することが大事です。リソースの棚卸し、強みの発見。リソースを発揮する環境とは、これらは全て3分間コーチのテーマとなりえます。
 特にリソースとはその能力のみを引き出しても、それを発揮する場がなければ、その人は「有能」とはなり得ません。「場」とは人と人、全体との関係性そのものです。
 つまりリソースを最大化するとは、①リソースにアクセするする手段を持ち、②リソースを表現する「場」(関係性)をもつこと、が必要とされます。よって②を活かすための能力、関係を築く能力もまた開発することが必要です。

【開催日】
2012年8月14日

クリニカル・パールとは何か

【文献名】
著者名:春田 淳志、錦織 宏
文献タイトル:クリニカル・パールとは何か.
雑誌名・書籍名:JIM
発行年:P562?565, vol.22 no.8 2012-8

【要約】
クリニカル・パールの定義・基準

  Mosby’s Medical Dictionary 8th edition 2009では”A short, straightforward piece of clinical advice(短く単刀直入な臨床上のアドバイス)”、Whitmanは”Creative Medical Teaching, a compilation of definitions and discussions of individual items of medical education(創作的な臨床教育、すなわち、教育実践の場にある個々の記述・議論の集合体)”と定義している。クリニカル・パールを扱った721文献のレビューでは、11の論文がパールの特徴についてディスカッションされ、そのうち5つの論文に定義が記載されているが、共通した包括的な定義は明確になっていない。

  一方、クリニカル・パールについて、Mangrulkarらは以下の4つの基準を示している。

1) ある患者から得られた情報の中で、他の患者に対しても一般化出来るものである。
 一般化に関しては常にその範囲と程度を考慮する必要がある。

2) 経験豊富な優れた臨床医から得られるものである。
 誰が経験豊富な優れた臨床医なのかを判断することは難しいが、ジョンズ・ホプキンス大学のウィリアム・オスラー卿や、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のローレンス・ティアニー先生などが提唱したパールは日本だけでなく、多くの国の医師に受け入れられている。週刊誌等の一般雑誌に掲載された医師ランキングや教授だからといった社会的地位などで判断することは慎みたい。いったんつくられたクリニカル・パールは今の時代、ネット上の書き込みなどで伝わっていき、その情報源を確かめる術がないこともある。現場では指導医から後期研修医に、後期研修医から初期研修医にというように伝わって、疑問視されず受け入れられることもある。クリニカル・パールのようなパッケージ化された情報やトップダウン式の情報伝達は、批判的思考を抑えたり自己正当化の手段として使われてしまったりする可能性もある。自分自身が間違えたラベリングを行っていないかどうかについて常に振り返り、情報源を評価する必要がある。

3) あまり知られていない知識をうまく伝える事が出来る。
 この基準も非常にあいまいである。専門家のほとんどは知っているが研修医は知らないことをパールということもあるだろうし、パールはよく知られるようになればパールではなくなることもある。指導医として言語化されていない事をパールとして伝える事に長けた人もいるが、この「言語化能力」は良い指導医に求められる能力の一つと言っても良いかもしれない。

4) 注意を惹きインパクトのあることが最も重要であり、簡単で、理解しやすく、覚えやすくあるべきである。
 クリニカル・パールは1973年、Norman Milerが提唱したFactoids(事実のようなもの)とも表現される。Factoidsというのは、「証明されていないが、繰り返し印刷されたり放送されたりして信用を得たもの」である。証明されるというよりも、受け入れられるということが特徴である。
(Mangrulkar RS, et al : What is the role of the clinical “pearl”? Am J Med 113 : 617-624, 2002)
  これらの点を十分に理解した上で、臨床医は診療ツールとして、また指導医は指導のツールとして、クリニカル・パールを使う。
クリニカル・パールと科学的思考における推論
  科学的思考には、演繹と帰納という2種類の推論が含まれている。臨床現場では、科学的思考におけるこれら2種類の推論をうまく組み合わせることが必要である。つい演繹的思考で書かれたエビデンスをもとにして内的妥当性を考える事が科学的思考と考えてしまいがちだが、帰納的なクリニカル・パールも臨床現場では有用な情報であり、これらを発信しデータの量を積み重ねる事もリサーチクエスチョンとして質的検証していくのも、重要な科学的任務の必要であるといえるかもしれない。

クリニカル・パールと臨床教育

  臨床教育のツールとして使用する時には、以下の4つの基準で判断するのがよいといわれる。
① 情報源の妥当性の検討

② エビデンスとの比較
 すべてのパールにエビデンスを調べるのは実際的ではないが、検証する姿勢は持つべきである。

③ 安全性と費用対効果の検討:特に治療に関して

④ 実践性・転用可能性の検討
 高安病のマネージメントについてはプライマリ・ケアの雑誌よりもリウマチ科にとって役に立つ情報だろうし、専門家は皆知っているが研修医が知らないことであれば、研修医を指導する時には役に立つ情報になるだろう。集団・背景においてそのパールが転用可能かどうか、一般化の範囲を検討して発信することも必要である。

 これまでのレビューではクリニカル・パールの包括的で明確な定義は記載されていないが、Mangrulkarの4つの基準は参考になる。パールのような短く包括的で分かりやすい情報は受け入れやすく、盲目的になりやすいが、適応に関しては情報源・信憑性・安全性・費用対効果などを考慮し、一般化の程度と範囲に留意する必要がある。もし、無批判的にパールを適応するとそれが患者へのリスクとなることもありうる。

【開催日】
2012年8月8日

2次文献についての質評価

【文献名】
文献タイトル:Speed of updating online evidence based point of care summaries: prospective cohort analysis
雑誌名・書籍名:BMJ 2011
発行年:343:d5856

【要約】
<Objective>
 To evaluate the ability of international point of care information summaries to update evidence relevant to medical practice.

<Design>
 Prospective cohort bibliometric analysis.

<Setting>
 Top five point of care information summaries (Clinical Evidence, EBMGuidelines, eMedicine, Dynamed, UpToDate) ranked for coverage of medical conditions, editorial quality, and evidence based methodology.

<Main outcome measures>
 From June 2009 to May 2010 we measured the incidence of research findings relating to potentially eligible newsworthy evidence. As samples, we chose systematic reviews rated as relevant by international research networks (such as, Evidence-Based Medicine, ACP Journal Club, and the Cochrane Collaboration). Every month we assessed whether each sampled review was cited in at least one chapter of the five summaries. The cumulative updating rate was analysed with Kaplan-Meier curves.

<Results>
From April to December 2009, 128 reviews were retrieved; 53% (68) from the literature surveillance journals and 47% (60) from the Cochrane Library. At nine months, Dynamed had cited 87% of the sampled reviews, while the other summaries had cited less than 50%. Overall, 114 systematic reviews (89%) had been cited by at least one point of care summary. The median follow-up time was 33 weeks (range 1-60). Table 2. reports the proportions of citations by summaries over time and the hazard ratio for each summary compared with the top performer. The updating speed of Dynamed clearly led the others. For instance, the hazard ratios for citations in EBM Guidelines and Clinical Evidence versus the top performer were 0.22 (95% confidence interval 0.17 to 0.29) and 0.03 (0.01 to 0.05). This means that the updating speed of Dynamed is 78% and 97% greater than those of EBM Guidelines and Clinical Evidence, respectively. The
median time to citation was 7.7 weeks (range 7-8.2) for Dynamed and 42 weeks (range 34-maximum not reached) for EBM Guidelines.

<Limitations>
Firstly, the total number of citations in the point of care information products should have been taken into account. Secondly, citational analysis counts only bibliographic references without going deeply into the content of the citation.  Qualitative analysis of the updating process and how new evidence is incorporated and affects recommendations should also be taken into account in assessing whether one summary is better than others. We did not directly assess how many systematic reviews in our sample called for a change in clinical practice. 
Finally, we did not consider the updating of results from studies with other designs (such as randomised clinical trials) as we think that systematic reviews are preferable to support decision making at the point of care..

<Conclusions>
 Other studies have assessed other dimensions such as user’s satisfaction, how well different online point of care services answered questions arising in daily clinical work, content development, and evidence based soundness. Updating is only one aspect of the overall quality of a point of care product. But, point of care information summaries include evidence relevant to practice at different speeds. A qualitative analysis of updating mechanisms is needed to determine whether greater speed corresponds to more appropriate incorporation of new information.

【考察とディスカッション】
This literature cannot say which point of care summaries is superior to others. But, it is useful for me to know the difference of the Top 5 point of care summaries.
I’m getting interest in the approaches to content development which found in “Reasons for different updating speeds” section. 
“The updating process is based on two phases: identifying important new evidence and assessing whether it offers new information that might change recommendations for clinical practice. In addition, a third phase exists in which the new evidence should be included in the “old” body of knowledge. Updating is not only a matter of literature surveillance but implies a critical evaluation of what a new item of knowledge adds to other works and what that means for clinical practice.”
There is no major differences between products in the first phase, but in the second and third phase, how a new evidence is deemed relevant and then incorporated into the body of the summary probably largely dictates the different updating speeds.  
This process is similar in mechanism to our practice, I think.

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【開催日】
2012年7月18日

Clinical Prediction Rules その特徴・弱点は?

【文献名】

Gavin Falk, clinical research fellow, Tom Fahey, professor of general practice.
Diagnosis in General Practice: Clinical prediction rules BMJ 2009;339:(Published 7 August 2009) 

【要約】

<Clinical Prediction Ruleとは何か?>

Clinical Prediction Ruleは、症状・徴候・診断的検査を組み合わせて点数化し、その結果から、対象となる疾患を持つ可能性に応じて、患者を層別化する。その際に注目されるアウトカムは多種多様で、診断・予後・治療全般に用いられる。



Clinical Prediction Ruleは一般的に臨床応用されるまでに3つの段階を踏む。

①ルールの開発;探索的因子(症状・徴候・診断的検査)の単独もしくは組み合わせでの影響を確認する段階。

②より狭いまたは広い範囲での妥当性確認;異なる集団での妥当性を調査する段階
③Impact analysis;RCTを用いてClinical Prediction Ruleが患者アウトカム・臨床家の行動・資源利用などに与える影響を調べる段階。例としては、CAGE questionnaireが挙げられる。



<どんな時に用いられるか?>
最もよく用いられるのは、疾患の存在する可能性をより洗練して見積もる段階においてである(下記Fig1参照)。適応するためには、ベイズの定理(事前確率を見積もり、尤度比から事後確率を導き出す)の考え方が必要である。例えばプライマリケアセッティングでは、疾患の除外を行ったり、注意深い経過観察が適切と考えるための根拠がほしい場面が多い。そのような状況では、感度が高く、NPV(陰性適中率)が低いRuleが適切である。
(Bayesの定理においてClinical Prediction Ruleを組み合わせた具体的な利用例がノモグラム併記で原文にあります。ご参照ください。)



<どんな時に誤りが起こるか?>
一般的な診断的検査と同様に、その妥当性や臨床上での適応性に影響を与えるバイアスに弱い。
ヒューリスティック※1は状況が単純であればうまくいくのだが、状況が複雑になってくると誤まった判断の原因となる。
しばしばルールの適応時に起こり得るエラーは、

①疾患の事前確率を見誤る場合
例;利用可能性バイアス 非常に強烈だったり、印象に残りやすい出来事、例えばまれだが記憶に残る疾患 の可能性を高く見積もってしまう)

②ルールの開発時の手法的問題によって誤りが起こる場合
例;ルールの正確性が確認された母集団と、ルールが適応された患者が臨床的に異なったスペクトラムを持っていた場合。(※発表者捕捉この場合はスペクトラムバイアスといって、診断的検査が持つ感度と特異度は変化してしまうため、ルール自体の性能が変わってしまう。) 通常はルールが開発された際の母集団の方が重症で進行した疾患であることが多いため、感度・特異度ともに実際よりも大きく見積もられがちになる。

③ルールにおける量的な見積もりが不正確な場合、そのルールからくる診断的・予後的・治療的な推奨はさらに不確かなものになってしまう。
プライマリケアセッティングにおけるPrediction Ruleの応用の難しさは、CRB-65スコア(肺炎の予後推定スコア)においてもわかる。プライマリケアセッティングで応用されたときに、スコアは低リスク群の患者を的確に導き出したが、では、どこで紹介を考慮すべきなのか、そしてそれがどの程度その後のマネージや生存率を変えるのかについてははっきりしなかったのである。



<どのようにして(弱点を)改善することができるのか?>

・Clinical Prediction Ruleの導入・報告のための、標準的な方法論が報告されている。STARD※2と呼ばれるフレームワークがおそらくはルールの開発・報告の質を上げるだろうし、特にスペクトラムバイアスや選択バイアスへの対策となるだろう。



・近日は、サンプルサイズを多くして、ルールの正確性を改善させようとする試みもなされている。例えば、
UKのプライマリケアでは咽頭痛に関する合併症を予測する臨床的な特徴を割り出すために18000人の咽頭痛患者を蓄積しての研究がおこなわれている。www.descarte.co.uk



・最後に、ルールを正確に想起し、適応するためのコンピューターによるシステム(clinical decision support systems)が開発されつつある。



【参考】

※1ヒューリスティック;人が複雑な物事を分析したり、解決したりするときに、暗黙で用いている簡便な解法や法則を指す。分類として、「代表性」、「利用可能性」、「固着性」といったものがある。

「代表性ヒューリスティック」;特定のカテゴリーに該当しやすいと思われる事柄の確率を過大に評価する。 消化性潰瘍=腹痛と、代表させてしまうと、腹痛がない患者において潰瘍の可能性を不適切に棄却してしまう。(実際には腹痛がない消化性潰瘍はかなりの割合で存在する)
一般的に診断が「難しい」とされる疾患群は「我々の代表的と思っている特徴」と「実際の特徴」のずれが大きいことが多いようです。(例;感染性心内膜炎、大動脈解離、肺血栓塞栓症)

「利用可能性ヒューリスティック」;上述。

「固着性ヒューリスティック」:アンカリング、ともいう。初めに「これだ!」と思ったものからなかなか離れられない。例;胸痛+ST上昇⇒MIと思ってしまうと、なかなか大動脈解離は思い浮かばない。



※2 STARD;http://www.bmj.com/content/326/7379/41.1.full.pdf ←を参照ください。


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Fig 1 Stages and strategies in arriving at a diagnosis



【開催日】

2011年9月28日