Comfort Feeding Only

-文献-
Eric J. palecek, et al. Comfort Feeding Only: A Proposal to Bring Clarity to Decision- Making Regarding Difficulty with Eating for Persons with Advanced Dementia. J Am Geriatr Soc. 2010 March ; 58(3): 580–584.

-要約-
体重減少につながる経口摂取・食事の困難は、認知症進行期において一般的である。このような問題が発生すると、家族はしばしば胃瘻造設に関する意思決定に直面する。
観察研究に基づく既存のエビデンスは、経管栄養が生存率を改善したり、誤嚥のリスクを低下させたりしないことを示唆しているが、認知症患者では経管栄養が広く行われており、施設入居者の大部分は人工的水分・栄養補給法に関する希望について文書による事前指示を得られていない。
理由の1つは、人工的水分補給・栄養法を差し控える指示が「経口摂取させない」と誤って解釈され、その結果家族の抵抗感を生むためである。
さらに、施設は体重減少に対する当局の監査を恐れており、経管栄養の使用は可能なことがすべてが行われていることを意味すると誤って信じている。
これらの課題は、患者のケアの目標を強調する明確な言語を作成することで克服できる。
個別の食事ケア計画を通じて患者の快適性を確保するためにどのような措置を講じるべきかを示す新しい指示「Comfort Feeding Only」を提案する。
慎重な食事介助による可能な範囲での快適な経口摂取に注力することは、経管栄養に代わる明確な目標指向の代替手段を提供し、人工的水分・栄養補給を放棄する現在の指示によって課せられることになる見かけの「ケアする」「ケアしない」の二分法を排除する。

【開催日】2019年11月6日(水)

帯状疱疹予防における生ワクチン(ZVL)と組換えワクチン(RZV)の比較

-文献-
McGirr A, et al. The comparative efficacy and safety of herpes zoster vaccines: A network meta-analysis. Vaccine. 2019
May 16;37(22):2896-2909.

-要約-
背景:
・米国およびカナダでは、50歳以上の帯状疱疹予防に以下の2つのワクチンが認可されている(本邦と同様)
   生ワクチン(Zoster Vaccine Live; ZVL) 単回投与
   組換えワクチン(Recombinant Zoster Vaccine; RZV) 2回投与
・ZVLおよびRZVのランダム化比較試験(RCT)は、それぞれプラセボと有効性、安全性を比較している
・2つのワクチンの有効性、安全性を直接比較した試験はない
・この研究では、ネットワークメタ分析(NMA)を使用して2つのワクチンの有効性と安全性を比較した

方法:
・以下のPICOで文献検索、系統的レビューされた(21の全文出版物と4の会議抄録)
 P:帯状疱疹の既往ない50歳以上の成人(免疫不全者で実施された研究は除外)
 I:ZVL、RZVいずれかの帯状疱疹ワクチン接種(用量、スケジュール、準備、投与経路を問わない)
 C:他の帯状疱疹ワクチン、プラセボ、介入なし(異なる用量、スケジュール、準備、投与経路を評価する研究を含む)のいずれか
 O:有効性・・・帯状疱疹の発生率、帯状疱疹後神経痛(PHN)の発生率ほか
    安全性・・・完全な中止、重篤な有害事象、局所反応、全身反応
・詳細な実現可能性評価により、NMAは有効性(帯状疱疹およびPHNの発生率)および安全性(重篤な有害事象および注射部位反応、全身反応)の結果で実現可能であることが示された
・年齢はワクチンの有効性(VE)の既知の効果修飾子であるため、VE分析は年齢ごとに層別化された

結果:
・帯状疱疹への有効性は、60歳以上(Fig. 2A)、70歳以上(Fig. 2B)の両方の年齢層において、RZV(筋注)がZVL(皮下注)よりも有意に優れていた。PHNへの有効性も60歳以上(Fig. 2C)、70歳以上(Fig. 2D)の両方にて同様だった。
・RZVは、ZVLおよびプラセボのほとんどと比較して、注射部位および全身反応が大幅に増加ししたが、定義とデータ収集手順は研究間で異なっていた。重篤な有害事象については、ZVLまたはプラセボとの間に統計的に有意差は見られなかった。

20191109後藤

結論:
・RZVはZVLと比較して、60歳以上の成人の帯状疱疹およびPHNの発生率を大幅に低減する
・RZVは局所・全身反応が多いが、重篤な有害事象についてはRZVとZVLの間に違いはみられなかった

研究の限界:
・研究の数が少なかったため、結果は慎重に判断する必要あり
・少数の研究がNMAの結果に影響を与えた可能性がある
・研究の不均一性の結果、安全性の結果について95%CIが非常に広かった
・利益相反あり

【開催日】2019年11月6日(水)

A群溶連菌咽頭炎への5日間の抗生剤治療

-文献名-
Gunilla Skoog Stahlgren, et al.Penicillin V four times daily for five days versus three times daily for 10 days in patients with pharyngotonsillitis caused by group A streptococci: randomized controlled, open label, non-inferiority study. BMJ 2019; 367:l5337

-要約-
【Introduction】
スウェーデンにおいて、A群溶連菌咽頭炎に対する治療レジメンは、ペニシリンV 1000 mgを1日3回、10日間となっている。この治療期間は他の国と同じだが、投与量と総曝露量(30 g)は比較的多い。
抗菌薬治療の理由は、主に急性リウマチ熱や糸球体腎炎などの重篤な合併症を避けるためであるが、これらの状態は現在、高所得国では非常にまれなものとなっている。
今日、高所得国での治療の主な理由は速やかな症状の臨床的治癒をはかることであり、また、腹膜炎、膿痂疹、蜂巣炎、中耳炎、副鼻腔炎などのまれな合併症を防ぐことにもなる。
2008年のメタ分析では、A群レンサ球菌咽頭炎の患者へより短期間の治療(5~7日)を行った場合、10日間の治療に比べて臨床的成功と細菌学的根絶の可能性が低いことが示された。
この研究での1日総投与量は750~1600mgの範囲で、1日2回または1日3回だった。薬物動態および薬力学としては、βラクタム系抗生物質の有効性は血清中の非結合薬物濃度の最小阻害濃度を超える時間に依存しており、その決定要因は用量と投薬頻度である。
1日4回800mgの投薬レジメンは、1日3回1000mgと比較してより良いものとなる。短いレジメンでのリスクは、臨床的治癒と微生物学的根絶の割合が低いことだが、治療期間を短縮すると副作用が少なくなり、患者のアドヒアランスが向上し、ヒト微生物叢への影響が少なくなり、抗生物質の総使用量を減らし、患者と地域社会の薬物費用を削減できる。
本研究の目的は、適切な臨床効果を維持しながら、ペニシリンVの総暴露量を削減できるかどうかを調査することである。A群レンサ球菌による咽頭扁桃炎患者において、ペニシリンV800 mg 1日4回5日間の治療は、現在の推奨用量である1000 mg1日3回10日間に劣らないという仮説のもと、非劣勢試験を行った。

【Method】
デザイン:オープンラベル、ランダム化非劣勢試験。2015年9月~2018年2月の期間、スウェーデンの17の医療センターにて実施。
対象:6歳以上で、3~4のCentor criteria(38.5°C以上の発熱、リンパ節腫脹、扁桃の白苔、咳の欠如)、およびA群レンサ球菌の迅速抗原検査陽性となった患者をinclusion。重病の兆候を示した場合、またはペニシリンに対する過敏症を有していた場合、少なくとも15 mgのプレドニゾロンによる免疫調節治療を受けていた場合、過去1ヶ月間に咽頭扁桃炎の抗生物質を投与されていた場合(再発)、またはinclusionから72時間以内に抗生物質治療を受けた場合は除外。
介入:ペニシリンV 800 mgを1日4回5日間、現在の推奨用量1000 mgを1日3回10日間と比較。40 kgまでの子供は、体重に応じて投与量を調整した(10-20 kg:投与量250 mg、20-40 kg:投与量500 mg、治療群に関係なく)。
主要アウトカム:抗生物質治療の終了後5〜7日での臨床的治癒(主要な残存症状または咽頭扁桃炎または症候性再発の臨床所見のない完全な回復として定義)。二次アウトカムは、治癒試験で採取した培養による細菌学的根絶、症状緩和までの時間、再発の頻度、合併症および新たな扁桃炎の発症、有害事象のパターン。

【Results】
患者(n=433)は5日間(n=215)または10日間(n=218)のレジメンにランダムに割り当てられた。プロトコルごとの母集団の臨床的治癒は、5日間のグループで89.6%(n=181/202)、10日間のグループで93.3%(n=182/195)だった(95%信頼区間-9.7~2.2)。
細菌学的根絶は、5日間のグループで80.4%(n=156/194)、10日間のグループで90.7%(n=165/182)だった。5日と10日のグループで、それぞれ8人と7人の患者が再発し、6人と13人の患者が合併症を発症し、6人と13人の患者が新たな扁桃炎を発症した。症状が緩和されるまでの時間は5日間のグループで短かった。有害事象は主に下痢、悪心、および外陰膣障害だった。10日間のグループでは発生率が高く、有害事象の期間が長かっ
た。

【Discussion】
A群レンサ球菌咽頭扁桃炎において、ペニシリンV5日間1日4回の治療は、10日間1日3回の臨床結果に劣らない事が分かった。細菌学的根絶は5日間の治療グループで低かったが、症状が解消するまでの時間は短かった。グループ感の1ヶ月以内の再発数に統計的有意差はみられなかった。最後のフォローアップでは、5日間の治療グループで新たな扁桃炎の発症と合併症の数が少なかった。また、5日間のグループで報告された有害事象はより少なく、有害事象が生じている期間がより短かった。
ペニシリンV5日間1日4回の治療は、現在の10日間のレジメンに置き換えられる可能性がある。

【開催日】2019年10月9日(水)

トランスジェンダーのケア

-文献名-
DAVID A. KLEIN, MD, MPH; SCOTT L. PARADISE, MD; and EMILY T. GOODWIN, MD, Fort Belvoir Community Hospital, Fort Belvoir, Virginia Am Fam Physician. 2018 Dec 1;98(11):645-653.

-要約-

201910神田1

導入:米国では約15万人の若者と140万人の成人がトランスジェンダーとして特定されています。社会文化的な需要が進むにつれ、臨床医はおそらくトランスジェンダーの人々の増加に気づくでしょう。
しかし、大規模な観察研究のデータは、トランスジェンダーの24%が医療環境での不平等な治療を報告し、19%が治療の拒否を報告し、33%が予防的介入を求めていないことを示唆しています。
約半数のレポートは、彼らがトランスジェンダーケアの基本的な教義を彼らの医療専門家たちに教えたと報告しています。
用語の定義:トランスジェンダーは、経験、表現される性別が出生時に割り当てられた性別と異なる人を表します。性同一性障害は、トランスジェンダー及び性多様性の人が経験する機能苦痛または問題を表します。
ICD-11の診断にある性不適合は、その人の経験する性別と割り当てられた性別の間の矛盾を表していますが、違和感または治療のための好みを意味するものではありません。
トランスジェンダーと性の不一致という用語は、一般的に性的指向、性的発達、外的性別表現とは異なります。
最適な臨床環境:臨床医が信頼関係の確立と維持に重点を置きトランスジェンダーの患者にとって安全で快適な環境を確立することが重要です(Table1)。
臨床医は「私は性多様性の人々のケアの経験が限られていますが、あなたが私の診療に安心を感じてもらえることが大事で、最適なケアができるよう頑張ります」と患者に伝えることはできます。
トランスジェンダー、性多様性に親和性のある資料のある待合室はより歓迎かもしれません。
問診票を更新して、性別に依存しない言語を含め、トランスジェンダーの患者の特定に役立つ2段階の方法(選択した性別と出生時に割り当てられた性別を特定する2つの質問)を使用できます。
文化的に繊細な用語やトランスジェンダーの話題、個人の偏見の評価における臨床医やスタッフのトレーニングは患者の反応に寄与するかもしれません。
また、地域のトランスジェンダーの患者の代弁をすることができます。

201910神田2

評価:
病歴
トランスジェンダー患者を評価する場合、臨床医は性別の違和感または不一致の大きさ、期間、および安定性を評価する必要があります。治療は状況に合わせて最適化する必要があります。臨床像(例えば
、精神病)が混乱していたり性肯定ケアをより困難にする(例えば、制御されていないうつ病、重要な薬物使用)状況です。患者の社会環境のサポートと安全性は性肯定のために評価を必要とします。
これは、理想的には学際的な注意を払って達成され、完全に評価するために、数回の受診が必要な場合があります。
プライマリケア臨床医は、性同一性障害を評価しホルモン療法を管理することにより患者の性別関連のケアに積極的な役割を取るか、または良い状態であるか観察しプライマリケアと紹介を提供する補助的な役割を果たすか選択することができます(Figure1)。
臨床医は、自分自身をホルモン療法の門番と見なすべきではありません。むしろ患者が自分の健康管理について合理的で教育に基づいた決定を下せるように支援する必要があります。

身体診察
トランスジェンダーの患者は、継続的な不快感または過去の否定的な経験のために、身体診察中に不快を感じる場合があります。
診察は患者の現在の解剖学的構造と受診の特定のニーズに基づくべきである、そして、説明し寄り添い患者の快適さのレベルによって中断されるべきです。
性発達の違いは、通常、性の違和感や性の不一致よりもずっと早く診断されます。ホルモン療法されていない場合は、出生時に割り当てられた性別と一致しない性別の特性を評価するために、初期検査が必要になる場合があります。
このような所見は、内分泌科医または他の専門医への紹介を必要とする場合があります。

メンタルヘルス:
トランスジェンダーの患者は通常メンタルヘルスの診断の割合が高いです。しかし、患者の精神的懸念がトランスジェンダーであることに二次的であると仮定しないことが重要です。
プライマリケアの臨床医は、うつ病、不安障害、PTSD、摂食障害、薬物使用、親密なパートナーの暴力、自傷行為、いじめ、不登校、ホームレス、高リスクの性的行動、および自殺傾向のためのルーチンのスクリーニングを検討すべきです。
臨床医は、トランスジェンダーの人々の基本的なメンタルヘルスのニーズに対応し(例えばうつ病や不安に対する第一選択治療)、必要に応じて患者を専門医に紹介する必要があります。
トランスジェンダーはトラウマ的経験の有病率が高いため、ケアはトラウマインフォームドであるべきで(すなわち、安全、支援および信頼性に焦点を当てる)、ケアとレジリエンスに関連する患者の人生経験によって導かれるべきです。
人の性自認を出生時に割り当てられた性別に合わせるための努力、治療は非倫理的でAAFPのポリシーを含む現行のガイドラインやエビデンスに対応していない治療です。

ヘルスメンテナンス:
予防医療は、トランスジェンダーとシスジェンダー(つまり、トランスジェンダーではない)の人とで同様です。
微妙な推奨事項は、患者の現在の解剖学、薬物使用、および行動に基づいています。
高脂血症、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満のためのスクリーニングの推奨事項はUSPSTFから入手できます。臨床医はVTEおよび代謝性疾患の兆候と症状に注意する必要があります。
ホルモン療法はこれらの状態のリスクを高める可能性があるためです。骨粗鬆症のスクリーニングはホルモン治療に基づきます。
がん検診の推奨事項は、患者の現在の解剖によって決定されます。乳房組織を持つトランスジェンダーの女性と完全な乳房切除を受けていないトランスジェンダーの男性は、シスジェンダーの人のガイドラインに基づいてマンモグラフィのスクリーニングを受けるべきです。子宮頸部および前立腺癌のスクリーニングは、現行のガイドラインおよび解剖的存在に基づいてなされるべきです。
予防接種(例HPV)および性感染症(HIVを含む)のスクリーニングと治療に関する推奨事項は、性行為に基づいてCDCとUSPSTFが提供しています。
HIV感染前および曝露後予防、治療基準を満たす患者のために考慮されるべきです。

ホルモン療法:
女性化および男性化するホルモン療法は、経験のある性から第二の性への発達を促進するための部分的に不可逆的な治療です。すべての性別の人がホルモン治療を必要とするわけではありません。
しかし、治療を受けた人は一般に、QOL、自尊心、不安の改善を報告しています。患者が不可逆的な外見の変化、生殖能力、および社会的な状況だけでなく、他の潜在的な利点とリスクを理解した後、治療に同意する必要があります。(詳細は割愛)
手術およびその他の治療:性の違和感を最小限に抑えるために、性適合外科的治療は必要とされない場合があり、ケアは個別化する必要があります。(詳細は割愛)

トランスジェンダーユース
すべてではありませんが、ほとんどのトランスジェンダーの成人は、子供の頃から性同一性の安定性を報告しています。しかし、性多様な思春期前の子供たちのなかには、ゲイ、レズビアン、またはバイセクシャルとして識別し、または性同一性がより明確になってきたときトランスジェンダーとは別にアイデンティティを持つこともあります。思春期前の性多様性の子供のために広く受け入れられている治療プロトコルはありません。臨床医は優先的に(支持的に「成り行きを見守る」アプローチとは対照的に)性同一性の健康的な探索を個別化する肯定的なケア戦略に子供や家族のメンバーの支援に焦点を当てることができます。
これは、トランスジェンダーの若者の発達に精通しているメンタルヘルスの臨床医への紹介を正当化するかもしれません。
トランスジェンダーの思春期の若者は、サポートのための心理療法にアクセスし、性同一性を探索し、性の不一致の社会感情的な側面に適応し、潜在的な治療に対する現実的な期待について話し合うための安全な手段が必要です。
臨床医は回復力を付与することが示されているサポーティブな家族や社会環境を代弁すべきです。いじめや被害にあうサポーティブでない環境は、心理社会的機能と幸福に悪影響をもたらし得ます。
トランスジェンダーの青年は、二次性徴の開始時に苦痛を経験する場合があります。臨床医は、患者が性的成熟のステージ2または3に達したときに思春期を抑制するために、性腺刺激ホルモン放出ホルモン
(GnRH)の開始または適時の紹介を考慮する必要があります。この治療は完全に可逆的であり、将来の肯定は簡単かつ安全にすることができ、性同一の安定性を確保するための時間ができます。ホルモン
治療は、思春期の発症前には保証されません。
GnRHアナログ治療のための同意には利益とリスクに関する情報が含まれるべきである。治療を開始する前に、内因性思春期の進行を必要とする可能性のある不妊治療について患者に紹介する必要があります。
一部の人は、外見(衣服、髪型など)または行動を性同一性と一致させることを好みます。社会的肯定のリスクと利益を比較検討する必要があります。初経後のTransmasculineの若者は、追加の避妊効果を
提供する月経抑制を受けることができます。乳房結合は、乳房組織を隠すために使用される場合がありますが、痛み、皮膚刺激、または皮膚感染を引き起こす可能性があります。
複数の研究が、思春期抑制とその後の性一致ホルモン療法後の心理社会的結果の改善を報告しています。治療の遅れは精神ストレスおよび性関連虐待を増強するかもしれません。
したがって、成り行きを見守るアプローチで性一致ホルモン治療を差し控えることにはリスクがないわけではありません。
トランスジェンダーの人、家族、臨床医向けの追加リソースは、eTable Cに示されています。

201910神田4

201910神田3
FIGURE 1.
Considerations in the care of transgender and gender-diverse persons in primary care.

【開催日】2019年10月9日(水)

認知症患者の予後:オランダでの前向き全国レジストリ研究の結果

-文献名-
Irene E van de Vorst, Ilonca Vaartjes, Mirjam I Geerlings, Michael L Bots, Huiberdina L Koek. Prognosis of patients with
dementia: results from a prospective nationwide registry linkage study in the Netherlands. BMJ Open 2015; 5:e008897.

-要約-
OBJECTIVE
国立病院の登録データに基づいて認知症の死亡リスクを報告し,一般住民や心血管疾患の死亡リスクと比較してリスクを把握すること.
DESIGN
2000年1月1日~2010年12月31日までの前向きコホート研究
SETTING
病院ベースのコホート
PARTICIPANTS
全国の病院ベースの臨床的に診断された認知症患者59,201人(病院に入院,または日中のクリニック受診)のコホートで構成された(男性38.7%,81.4歳(SD 7.0)).
MAIN OUTCOME MEASURES
日中のクリニックを受診した認知症患者について,一般集団と比較して1年および5年の年齢別および性別別の死亡リスクが報告された.
急性心筋梗塞,心不全,または脳卒中で入院した患者と比較して,認知症で入院した患者では,これらは絶対および相対リスク(RR)として表された.
RESULTS
1年死亡リスクは男性で38.3%,女性で30.5%だった.5年死亡リスクはそれぞれ65.4%と58.5%だった.
病院に入院した認知症患者の死亡リスクは,日中のクリニックを受診した患者よりも有意に高かった(1年RR 3.29,95%CI 3.16〜3.42,および5年RR 1.79,95%CI 1.76〜1.83).
一般集団と比較して,死亡リスクは日中のクリニック受診患者で有意に高かった(1年RR:女性2.99,95%CI 2.84〜3.14,男性3.94,95%CI 3.74〜4.16).
5年RRはやや低かったが,それでも有意であった.
結果は若い年齢でより顕著で,入院患者の死亡リスクは心血管リスクと同等かそれを上回っていた.
(女性の1年RR:認知症 vs AMI 1.24,95%CI 1.19~1.29,認知症 vs 心不全1.05,95%CI 1.02~1.08,認知症 vs 脳卒中1.07,95%CI 1.04〜1.10).
5年RRは同等だった.男性の場合,RRはわずかに高かった.
CONCLUSION
認知症は,他の疾患や一般集団と比較して予後が悪い.入院患者のリスクは,心血管疾患後のリスクを上回った.

【開催日】2019年10月2日(水)

プライマリケア教育診療所(内科・家庭医)における指導医の働き方の3つのモデル

-文献名-
Bodenheimer Thomas MD; Knox Margae MPH; Kong Marianna MD. Models of Faculty Involvement in Primary Care Residency Teaching Clinics. Academic Medicine. In press.

-要約-
三つのモデルとその具体例
レジデンシーは二つの同等に重要なミッション、つまり、未来のための医師を要請することと今の患者をケアすることがあるが、プライマリ・ケアの教育診療所ではこの二つはよく衝突する。
レジデントは他サイトでの業務があるし、指導医は入院担当、教育業務の準備、管理業務、研究といった他の責務があるので、常に患者の対応ができるわけではない。
結果として多くの教育診療所は複雑な指導医・レジデントのスケジュールを’juggle’する必要がある。
著者らは、2013-2018年に行なった42の内科あるいは家庭医の教育診療所へのサイトビジット(2日ずつで診療所長・プログラム責任者、レジデント、指導医、診療所スタッフへのインタビューを実施+その診療所の業務の直接観察)を通して、指導医の業務への参与のあり方にスペクトラムがあることを見てきた。
そこでそれを3つのFaculty involvement modelsとして記述し、具体例を示す。 (詳細レポートはAAMCからpublishされている様子:参考文献1)

1.The focused model
・少数の指導医がそれぞれ少なくとも5コマ/週以上を診療またはレジデントのプリセプティングに費やすモデル
・17/42=40%で、コミュニティ基盤型(=非大学型)レジデンシーによく見られる。
例:Program A:コミュニティ基盤型で11人の指導医、すべての指導医が6-8コマを診療所で診療あるいはプリセプティングで過ごすProgram B 後述のDispersed modelから移行した例。
以前は多数の指導医が週に1コマ診療、2コマ指導だったが、患者が待つ状況などを踏まえて、体制を移行し、プログラム内の指導医を入院対応のホスピタリストと外来のphysician educatorsに分かれるようにした。
結果、12人の指導医による6コマ診療、2コマプリセプティングの体制となり、レジデントの学習経験も、ケアの継続性も改善した。
Program C 大学基盤型で4つの小サイトでそれぞれが5-8人の指導医・4-5コマ診療、2コマプリセプティング。ただ、近年academic responsibilitiesが増したことでこの指導医たちが診療のコマ数を減らさざるをえなくなっている

2.The dispersed model
・多くの指導医が1-2コマ/週を診療所での臨床または教育業務に費やす
・9/42=21%で、大学基盤型のレジデンシーにしか見られない
例:Program D:大学基盤型の内科レジデンシー:100人レジデント、50人の指導医がいる。指導医は個
々の診療所では1-3コマしか費やさない。チームでのミーティングもなく、継続性は乏しいし、患者も担当医を待たなければならない。
Program E:大学基盤型の家庭医療レジデンシー。30人の指導医がいるが、臨床のコマは2-3コマと少ない。24人のレジデントも1-2コマずつで多くの診療所を回って診療をしている。(詳細あるが省略) 診療所の問題についてレジデントが指導医の働き方がFocusedになるように提言中。
Program F: 指導医たちは週に7コマを外来や教育に費やしているが、診療のほとんどがレジデントのいない診療所で行なっており、レジデントのいるサイトには週に1-2コマしかいかない。教育のための診療所配置の観点から、この状態はdispersed modelである。

3.The hybrid model
・1.と2.の融合型で、少数の5コマ以上費やす指導医と、1-2コマ/週の指導医の両方が務める
・16/42=38%が占めていた。
例:Program G: 大学基盤の内科レジデンシーで、ほとんどの指導医は週1-3コマを診療とプリセプティングに割り振っているが、2人の指導医がそれぞれの診療所で5コマ/週以上を診療・教育に費やしている。
が、リサーチグラントや他のアカデミックな業務の影響で指導医が診療所を離れるような圧力が働いており、診療所長はdispersed modelのような状態にならないようにするにはどうしたらよいか、懸念を抱いている。
Program H: 大学基盤型の家庭医療レジデンシー、小さい教育診療所が4つ、4コマ診療・1-3コマがプリセプティングとなるような指導医が診療所ごとにおり、それに加えて、community preceptorが週に1回レジデントの指導に携わっている。

上記のモデル以外の指導医の働き方に影響する因子
・それぞれの指導医が自分の診療スケジュールを決められる程度が重要
・あるレジデンシーではそれぞれの指導医がきめるため、ある日は2人の指導医が次の日が8人ということが起きていた
・診療所側が医師がいる人数を調整するために規則を持つパターンもある:例としては
・level loading: コマごとに同じ数の医師がいるように調整する
・Access-centered rule (Program D): 指導医が会議などの理由で診療をキャンセル可能なシステム。以前は許可なしに買おうだったが、今は診療所が十分な医師数が予約患者に対してあることを確認してキャンセルが可能になっている。

Focused Facultyの利点と実現するための障壁
利点:診療所チームの安定、継続性の維持、外来診療/教育者としてのロールモデルを示せる、その診療所のリソースや紹介先を熟知しており、より効果的なプリセプティングが可能、診療所の機能不全を看過しないのでチームのAnchorとなり、質改善、ポピュレーションアプローチ、継続性、レジデントへの対応などを主導的に行う
障壁:大学基盤の場合は特に、指導医の多重の、特にリサーチなどの業績評価の重圧との間で葛藤が起こる。大学組織では入院診療の方が外来診療より重んじられる、臨床教育者は研究者よりも大学では昇進しにくいなど。大学ではなくても入院診療との間のジレンマはある。

【開催日】2019年9月11日(水)

決断の共有(shared decision making)を教えること

-文献名-
Guylène Thériault. et al. Teaching shared decision making. Canadian Family Physician. 17 JULY 2019;vol.65: 514−516.

-要約-
(Introductionに準じた部分)
医療の目標は患者さんの転機を改善することで、それには患者中心のケアを提供する能力を学習者に育成することが重要である。
決断の共有とは、「臨床医と患者が意思決定の課題に直面したときに利用可能な最善のエビデンスを共有し、情報に基づいた好みを達成するために選択肢を検討するよう患者を支援するアプローチ」である。
患者の価値と好みを引き出し、有意義な方法で情報を共有する能力を習得することが重要である。特に、利益と害のバランスが取れている場合は重要である。
エビデンスとベストプラクティスヘルスケアの他の分野と同様に、SDMを教える際、医師は知識、態度、スキルに注意を払う必要がある。多くの場合、焦点はスキルにあるが、他も重要である。
教育は、SDMの目標と原則に関する知識を養う必要がある。一部の学習者は、SDMを認識せず、最終的にすべての決定を下す必要があるかのように練習する。
これは、ケアのいくつかの側面(例:緊急の状況)には当てはまるかもしれないが、ケアの他の多くの側面にはSDMが関係するはずである。
SDMを教える最良の方法はない。SDMに必要な中核となる能力には、リスクコミュニケーションのスキル、患者の好みの引き出し、患者の価値の明確化が含まれる。
SDMに対する既知の障壁の1つは、患者が私に決定してほしいのではないかという信念である。これに対処するには、医師(教育者)は患者の自己決定を取り巻く問題を定期的に学習者と話し合う必要がある。
これは、任意のトピックに関するプレゼンテーションに埋め込むことができる。
たとえば、糖尿病患者の調査と治療をレビューした後、簡単な臨床ケースを提供し、学習者に計画を提供するよう依頼することができる。
その後、学習者に徐々にこの患者の生活の特定の側面を認識させる(たとえば、妻は緩和ケアを受けている、患者は仕事を失ったばかりなど)。
その後、新しい情報に照らして証拠がどのように見えるかを生徒に考えてもらう。最終的な目標は、学生が意思決定における患者の価値と好みの重要性を認識することである(Box 1)。

Box 1(概要)
最後に… だから、あなたは私たちが糖尿病患者に提供できるさまざまな薬について学びましたが… 
聞いて… 薬の選択を後押しするのは何だと思いますか? 
学習者は次の点を指摘するかもしれない。そうでない場合は、必ずそれらについて話うように。
有効性の証拠、薬物の適用範囲またはアクセシビリティの他の側面、価値と好み

JC黒木201909

もう1つの障壁は、SDMに時間がかかること。実際、コンサルテーションの長さに対する効果の中央値は2.5分。
ロールプレイは、学習者が必要なスキルを開発するのに役立つという点で、SDMを教える上で非常に興味深く、形成的である。
ロールプレイのシナリオを使用する場合は、学習者に相互作用が有意義であり、ディスカッションの時間をためらうことなく、それほど長くないことを認識させてください。
決断の共有には、さまざまな手順が含まれる(Box 2)。教材として、一部の教師は学習者が携帯できるリマインダーカードを使用している。
他の人はこれらの手順を使用して、構造化されたフィードバックを提供している。

Box 2. 決断の共有の手順
1. 決定する必要があることを認める。
2. オプションと代替案を提示する。
 • フレーミング効果の回避* • 独自の価値観を適用しない•適切な意思決定支援ツールを使用する
3. 各オプションの潜在的なリスクと潜在的な利点について話し合う。
 • 潜在的な利益のために同様の分母を使用し、潜在的な害
 • 自然数を使用します(たとえば、1%の代わりに100人に1人)
4. その情報に照らして患者の価値と好みを話し合う
5. 患者の日常生活と目標における、さまざまなオプションの効果について話し合う
6. 患者が(意向を)反映するのを助けるために必要とされる、特定の問題に関する情報を提供する
7. 患者の懸念を確認し、理解を明確にする
8. 計画を立て、必要に応じてフォローアップを整理する
注)フレーミング効果とは、複数の選択肢から意志決定や判断をする際に、絶対的評価ではなく、そのときの心的構成
(フレーミング)や質問提示のされ方によって、意志決定が異なる現象のこと。
*フレーミングには、さまざまな代替手段の価値または利益と損害の認識に影響を与える可能性のある方法で情報を提示することが含まれる。

結論
意思決定を共有することは、教えることのできるスキルである。それが実践に統合されるためには、それは、単独の
カリキュラムではなく、すべての教育の重要な部分である必要がある。 他のトピックと同様に、多様式のアクティビテ
ィを使用すると、学習の効率が向上する可能性がある。 Box 3には、可能な活動に関するさまざまなアイデアがリストさ
れている。

Box 3. SDMを教えるための具体的な活動(概要)
ロールプレイ 
・どの質問がより有用であったか、それはなぜかを熟考する
・私たち自身の価値を反映していないかもしれない、次の決定を受け入れることの難しさについて話し合う
  学習者に会話ツールまたは意思決定支援ツールを作成してもらう
  フレーミング効果について議論する
• 情報を提示するさまざまな方法(割合、治療に必要な数、相対リスクなど)で学習者を考えさせ、内省を促進するビデオを使用する
SDMの手順を構造化された方法で使用してフィードバックを提供する
• これらの手順を毎日または毎週の学習者のフィードバックフォームに埋め込みます
 正式な教育に取り組む
•多くの(ほとんどではないにしても)講義の最後に、患者に意味するかもしれないことについてのいくつかの考察を含めることを目指す

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【開催日】2019年9月11日(水)

プライマリケアにおけるうつ病の疫学

-文献名-
Manish K. Jha, MD, et al. A structured approach to detecting and treating depression in primary care:
VitalSign6 project. Annals of Family Medicine. 2019;4(17):326-334.

-要約-
 Purpose:
この報告では、米国の大都市圏で進行中の、16のプライマリケアクリニックにおけるうつ病患者のスクリーニング、
治療およびアウトカムを改善するために行われた「質の改善プロジェクト(VitalSign6)」の結果について記述している。

・16のクリニックの内訳:6つのcharity clinic、6つの連邦政府認定health care center、2つの民間の低所得者層向けクリニック、
 2つの民間のメディケアあるいは私的保険に加入している患者のためのクリニック

 Method:
この後ろ向き分析の対象は、前述の「質の改善プロジェクト」においてPHQ-2でスクリーニングされた25000人の患者(12歳以上)である。
スクリーニング陽性(PHQ-2>2)となった患者は、自記式質問票とclinicianの診察によってさらなる評価が行われた。
2014年8月から2016年11月までに集められたデータは3種類で、(1)当初のPHQ-2施行群(n=25000)、(2スクリーニング陽性群(n=4325)、(3)clinicianによってうつ病と診断され、
18週間以上登録されていた群(n=2160)である。

 Results:
うつ病のスクリーニングされた患者の17.3%(4325/25000)が陽性と判定された。
スクリーニング陽性だった患者のうち、clinicianの診察によってうつ病と診断されたのは56.1%(2426/4325)であった。
18週間以上登録された患者のうち、64.8%がmeasurement-based pharmacotherapyを開始され、8.9%が外部の専門家に紹介された。
薬物療法を開始した1400人の患者のうち、フォローアップの回数は、0回45.5%、1回30.2%、2回12.6%、3回以上11.6%であった。
寛解率は、フォローアップ回数が1回20.3%(86/423)、2回31.6%(56/177)、3回以上41.7%(68/163)であった。
ベースラインの特徴として、脱落率の高さと関連していたのは、非白人、薬物乱用スクリーニング陽性、うつ病/不安障害の症状の重症度が低い、若年であった。

 Conclusion:
ルーチンスクリーニングとうつ病の治療開始後、3回以上フォローアップされている患者は寛解率が高かったが、ケアの脱落率の高さは、アウトカムに悪影響を及ぼす重大な問題である。

背景:
➢ 大うつ病はUSでは成人の5-10%を占める。その半数はうつ病と診断されていない。適切な治療を受けているのは1/5以下。
ゆえに一般人口を対象にうつ病のスクリーニングを行うことが推奨されている。2015年に外来でうつ病とスクリーニングされたのは3%のみ。

➢プライマリケアクリニックで治療されたうつ病患者のアウトカムは、measurement-basedcare(MBC)に則って行われた場合、精神科での治療と同等である。

➢ Measurement-based careアプローチ:
(1)標準化された症状や副作用、治療のアドヒアランスの評価
(2)治療に対する現場での意思決定
(3)継続的なフォローアップ
(4)意思決定をサポートするためのclinicianへのフィードバック
から成る。通常のケアと比較して2倍の寛解率と見込めるとされ、うつ病のガイドラインにも採用されている。
主に患者の自己報告による(自記式質問票を活用)。

➢ Quality-improvement project:うつ病は慢性疾患であり、エビデンスに基づいたうつ病診療をプライマリケアで新しいスタンダートへ。
ウェブベースのアプリを活用しており、それによって(1)スクリーニング、(2)うつ病と診断された患者の症状のモニタリング、(3)clinicianに対してMBCをガイドする

➢ Clinician:内科医、家庭医、小児科医、physician assistants、advanced practice nurses

【開催日】2019年9月4日(水)

CPAP療法のアドヒアランス向上に対するエスゾピクロンの短期使用の効果

-文献名-
Christopher J. et al. Effects of a Short Course of Eszopiclone on Continuous Positive Airway Pressure Adherence. 17
November 2009 Annals of Internal Medicine Volume 151 • Number 10

-要約-
Introduction:
未治療への閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)へのCPAP療法の導入は日中のQOLの向上や心血管イベントの発症抑制につながる可能性があり、第一治療選択として推奨されている。
CPAPを新規に導入した患者のうち、約50%が最初の1年以内、ほとんどが最初の1か月以内に使用を中止している。
長期的なアドヒアランスの信頼できる唯一の予測因子は、短期的な持続陽圧呼吸療法(CPAP)を遵守することである。
短期的な治療の遵守を改善することを目的とした戦略は、CPAP療法の成功に合理性があると考えられる。
理論的には、徹底した患者教育、定期的なフォローアップ、およびデバイスの快適性の向上(たとえば、加温加湿器、より適切なマスクの使用)により成功率が増加すると推定されている。
しかしこのような集中的なサポートや技術的介入は、実際の臨床で一貫性、確実性を持って実施されていない。
どのような患者がCPAP療法の長期継続に移行するかを予測し、CPAP療法導入時2週間の非ベンゾジアゼピン鎮静催眠性(エスゾピクロン)を使用するほうがプラセボよりも長期的なCPAP療法のアドヒアランスを改善するかどうかを判定するための研究を行う。

Method:
2007年3月から2008年12月までに新規にOSASと診断され、以前にCPAP療法を受けていなかった18歳から64歳の患者を対象にした。
OSASはすべての患者で、夜間の睡眠ポリグラフ検査に基づいて診断され、またすべての睡眠ポリグラムは、研究調査員および著者によって評価された。診断を確立し、無呼吸低呼吸指数を使用して、米国睡眠医学アカデミーの基準に従ってOSAの重症度を定義した。
催眠薬を長期間使用している患者、1晩に2杯以上のアルコール飲料を摂取している患者、および肝機能障害または研究の完了を妨げる重度の精神疾患のある患者、妊婦を除外した。

エスゾピクロン3 mgを就眠前に服用する群(n 80)、プラセボ群(n 80)を無作為に割り当てた。
ランダム化は、コンピューター化されたプログラムを使用して実施された。薬局には最終データが収集されるまで、無作為化と盲検化を維持した。
CPAPを開始するすべての患者に包括的な教育プログラムに参加し、適切なマスクフィッティングを行った。CPAP自体は全員が同じモデルを使用した。
治療に対する臨床反応を評価するために、1か月後に評価が行われた。また必要に応じて、追加のフォローアップが提供され、圧力の変化、漏れの評価、マスクの変更、
または適切な睡眠衛生などの調整と教育を含む非薬理学的介入は、より良いアドヒアランス向上のために個別化されている。この研究に登録されたすべての患者は、3ヶ月および6ヶ月の治療後にも評価を受けた。
Primary outcomeとして測定したものは、24週目のCPAP療法の遵守であった。
詳細には、使用された夜間の割合、全調査の夜間の平均夜間使用時間、CPAPが使用された夜間の平均時間を計算した。
また、「CPAPの定期使用」ができているかの割合を比較した。これは全体の70%以上使用割合があり、かつ1晩で4時間以上の使用ができているものと定義した。
上記の測定にはCPAPユニットに統合されている「スマートカード」からCPAP使用の客観的な測定値を取得した。
登録時(ベースライン)およびCPAPを開始してから1、3、6か月後に測定された変数をすべて収集した。さらに1か月、3か月、6か月にスマートカードを収集し、
ダウンロードしたデータを1週間単位で毎晩記録および分析をした。
Secondary outcomeは、CPAP中断率と症状の改善率を測定した。
症状の指標には、エプワース眠気尺度(ESS)スコア、疲労感、睡眠アンケートの機能的結果の変化をベースラインと研究の終わりとの間で比較して決定した。

Results:
登録された160人の患者のうち、154人が治験薬を受け取り、分析された。登録された患者のうち、1、3、6ヶ月で追跡調査を行い、その時点で150、136、および120人が対象となった。2つのグループの患者のベースライン患者特性は類似しており(Table1)、治験薬から報告された副作用も稀で、グループ間で差はなかった(Table2)。
JC西園1
JC西園2

エスゾピクロン群は、全体の64.4%でCPAPを使用し、プラセボを投与された患者では45.2%であり、エスゾピクロンによりCPAP療法の遵守が改善された。またエスゾピクロン対プラセボのグループで、全調査の夜間の平均夜間使用時間は3.57対2.42時間、CPAPが使用された夜間の平均時間は4.05対3.02時間であった。

JC西園3

参加者がスマートカードを返さなかったために欠落したデータは、1週目で2%(154人の患者のうち4人)から24週目で22%(34人の154人の患者)であった。欠測データは任意の週にグループ間で均等に分配された。
CPAPの定期使用を中断するまでの期間も、エスゾピクロンよりもプラセボの方が短く、平均期間は、プラセボ群で13.3週間、エスゾピクロン群で17.6週間であった。
さらには、CPAPの使用により、主観的な改善がもたらされた。ベースラインと比較して、ESSスコアはエスゾピクロン群で22.7%減少し、プラセボ群で7.6%、疲労は10.2に対して17.7%減少した。および睡眠アンケート機能スコアの機能的結果は9.4%に対して12.6%増加した。

【開催日】2019年9月4日(水)

成人の大うつ病性障害における21の抗うつ薬の効果と認容性の比較

-文献名-
Comparative efficacy and acceptability of 21 antidepressant drugs for the acute treatment of adults with major
depressive disorder: a systematic review and network meta-analysis.Lancet 2018; 391: 1357–66

-要約-
背景:
大うつ病性障害は世界でも一般的で難しく費用を要する疾患です。薬物治療と非薬物治療があるが資源不足が背景にあり薬物治療が多く用いられている現状があります。
これらの薬剤について適切な根拠を提示する必要があり、今回大うつ病性障害の急性期治療における抗うつ薬を比較しランクつけするために我々の以前の研究(12の抗うつ薬の比較の研究)をさらにup dateした。
方法:システマティックレビューとネットワークメタアナリシスを用いた。データはCochrane Central Register of Controlled Trials, CINAHL, Embase, LILACS database, MEDLINE, MEDLINE In-Process, PsycINFOを用い、検索は規制当局のウェブサイト、および国際登録簿を検索した。2016年1月8日までに公開、非公開されている二重盲検化無作為比較試験を用いました。
対象は標準的な基準(DSM-Ⅲ~Ⅴ,ICD-10)に従って診断された大うつ病性障害を有する成人(18歳以上の男女)であり、急性治療に用いられた21の抗うつ薬のプラセボ対照試験および薬剤同士の直接比較試験を含めた。
プライマリアウトカムは抑うつ改善の有効性(標準的尺度を用いて50%以上の改善)と許容性(途中で治療を脱落した患者の割合)であった。
セカンダリーアウトカムは、うつ病スコアのエンドポイント、寛解率、および有害事象のために早期に脱落した患者の割合でした。
結果はランダム効果を用いたペアワイズおよびネットワークメタアナリシスを用いて要約オッズ比(OR)を推定した。
除外基準としては準無作為化試験および不完全な試験、または対象が双極性障害、精神病性うつ病(うつ病に幻覚妄想を合併する疾患)、治療抵抗性うつ病、重篤な医学的疾患(癌、神経難病)を併存するうつ病とし、全体の約20%以上が除外された。
研究のバイアスリスクの評価はコクランハンドブックに従って行い、さらにプライマリアウトカムのネットワーク推定に寄与するエビデンスの評価についてはGRADEのフレームワーク(moderate, low, very low)を用いて行った。

結果:
1979年~2016年までで28552件の引用が検索によって特定され、680件の論文が全文検索された。この中から116477人の参加者を含む522の二重盲見化比較試験が用いられた(figure1)。
Figure2は、有効性と許容性に関する適格な比較のネットワークを示しています(※○の大きさが群数、線が直接比較、線の太さが試験数の多さ)。
ミルナシプラン(SNRI、トレドミン)を除くすべての抗うつ薬は、少なくとも1つのプラセボ対照試験を受けました。
レボミルナシプラン(日本未採用)のみが、いずれのネットワークにおいても少なくとも別の薬物と直接比較されていなかった。
Figure3(プライマリアウトカム)はすべての試験のネットワークメタアナリシスの有効性と認容性のフォレストプロットを抗うつ薬とプラセボで比較しており、
有効性に関してはすべて抗うつ薬はプラセボよりも有効であり、最も効果があったのがアミトリプチリン(3環系、トリプタノール)2.13(95%信頼区間[CrI] 1・89〜2・41)で、次がミルタザピン(NaSSa,リフレックス、レメロン)、次がデュロキセチン(SNRI,サインバルタ)であった。
最も効果が低かったのはレボキセチン(SSRI,レクサプロ)1・37(1・16〜1・63)。
認容性に関しては、アゴメラチン(バルトキサン(NDDI(ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(日本採用なし)) (OR 0・84、95%CrI 0・72〜0・97)およびフルオキセチン(SSRI,日本未承認)(0・88、0・80〜96)が関連していたプラセボよりもドロップアウトが少なく、対照的にクロミプラミン(3環系,アナフラニール)はプラセボよりも悪かった(1・30、1・01〜1・68)。比較のループは8%が一致していなかった。
異質性は有効性で0.044(95%CrI 0.028–0.063)、寛容性については0.040(0.023–0.062)と推定され中程度から低いことが示唆されました。
バイアスリスクは522件の試験のうち46件(9%)はリスクが高く、380件(73%)が中程度、96件(18%)が低と評価されました。
そして証拠の確実性は中程度から非常に低かった。
Figure 4ではプライマリアウトカム(有効性と認容性)に対する抗うつ薬同士の直接比較(対面研究)を示しています。
これによるとクロミプラミン、デュロキセチン、フルボキサミン、レボキセチン、トラゾドン、およびベンラファキシンが最も高いドロップアウト率に関連する抗うつでした。
有効性についてはアミトリプチン、ミルザタピン、デュロキセチンの順でした。すべての抗うつ薬間のORの差は有効性で1・15~1・55、許容性で0・64~0・83の範囲であった。
Figure4にGRADEの判断を組み込むとアゴメラチン、エスシタロプラム、シタロプラム、およびミルタザピンの比較の大部分ではmoderateであり、
ボルチオキセチン、ネファザドン、クロミプラミン、ブプロピオン、アミトリプチリンの比較では証拠の確実性はlow,very lowであった。
figure5は、すべての研究および直接の研究における有効性および許容性についての二次元グラフであり、二次結果の結果は一次結果の結果と一致していた。
直接比較では、治療が比較の新規または実験薬である場合、同じ治療が比較のより古いまたは対照薬である場合よりも有意に有効であるように思われた(差1・18倍、95 %CrI 1・09–1・27)この新規性効果を調整すると、抗うつ薬の違いが減少しました。

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【開催日】2019年8月7日(水)

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