グループ診療が壊れるとき

―文献名―
Francois Marechal, Dorothee Schmidt, Evelyne Lasserre and Laurent Letrilliart. When the group practice breaks up; a qualitative study. BMC Family Practice. 2013 May 3;14:53.

―要約―
【背景】
グループ診療は世界中のプライマリ・ケア医の間でだんだんと普及してきている。しかしグループ診療の中で分裂が起こる可能性もしばしばあり、そのプロセスはこれまで研究されていない。この研究の目的は家庭医のグループ診療の破綻の原因を探索し、それにまつわる感情を記述することである。

【方法】
我々は、フランスのローヌ・アルプ地方でグループ診療の破綻を経験した、21人の家庭医と1人の事務員を対象とした深層インタビューによる質的研究を行った。

【結果】
初めてグループ診療を始めるとき、若い医師たちは準備が出来ている、あるいは、サポートされていると感じておらず、必ずしもパートナーと同じ期待を共有しているわけではなかった。破綻の原因には、グループ内の不均衡、対照的な働き方やマネジメント・スタイル、コミュニケーションの途絶などが含まれていた。破綻のプロセスにより、それを経験したパートナーほぼ全員、特に辞めた方のパートナーは、苦悩や失敗といった感覚を長く持ち続けていた。

【結論】
パートナーシップの最も初期の段階から弱体化の要因が存在し、グループ内で起こる変化や出来事すべてにおいて問題が増加する可能性があった。そこで我々は以下のことを推奨する。公正なマネジメント、明確な契約に基づく共有されたプロジェクト、必要に応じて第3者からもらう助言、そして最悪の場合にはグループ診療を辞めることである。

【開催日】
2014年5月14日(水)

金銭的インセンティブは会社の業績を上げるか?

― 文献名 ―
 ジェフリー・フェファー.ロバート・I・サットン.「事実に基づいた経営」.155-190.東洋経済新報社.2006.

― この文献を選んだ背景 ―
  先日のFMS-EoでのHCFMを高機能組織とするためのハード面整備の議論の中で,人事考課の話題が言及された.医療の分野では人事考課という考え方について,どのような判断材料をもっているべきなのか.この点についての組織知を拡張したいと考え本文献を選択した.

― 要約 ―

【事例の紹介】
(事例の要約)「金銭的インセンティブは,単純で,明確で,誰もが納得し,ズルができない指標があって,どんなやり方をしてもその指標を上げることだけを考えればよい」という局面でこそ有効である.
1.サフェリテ・グラスの実践(アメリカの自動車用ガラスの最大手)
 金銭的インセンティブシステムで44%生産性が向上した.サファリテのいくつかの特徴はインセンティブシステム成功の重要な鍵と思われる.ⅰ)仕事は定型の作業として覚えることができ,独立して作業できる.チームワークは必要なく,個人ベースのインセンティブでチームワークが損なわれることはなかった.ⅱ)品質をモニターすることが容易であったため,従業員は仕事の質を犠牲にして早さを求める分けにはいかなかった.ⅲ)従業員のゴールは単純明快で一元的だった.ガラスを落とさないように気をつけながら,できるだけ早く組み込めばよかったのである.「出来高が簡単に測れ,品質の問題もすぐわかり,誰がやったか明確」ということが,個人のインセンティブを使うのに適していた.インセンティブシステムの失敗は,インセンティブが機能しなかったのではなく,機能しすぎた場合が多い.

2.ゴミ回収ドライバーにインセンティブシステム導入(ニューメキシコ市アルバカーキ市)
 「5時間で回収を終わったドライバーは,5時間分の時給と,3時間分のインセンティブ報酬を受け取ることができる」というもの.結果は,2002年に最もインセンティブ報酬を受け取った24人のドライバーのうち,15人は埋め立て場にいつも重量制限をこえたトラックで現れていた.また,気をつけていれば予防可能な事故が頻発するようになった.予想外の結果として,「安全性の低下,オペレーションコスト,法的責任,顧客不満の上昇」が認められた.

【金銭的インセンティブが行うこと】
1.インセンティブによる動機付け効果
 やる気が高まったとしても,上がるのは努力量であって,少なくとも短期的には能力まで向上するわけではない.努力量を上げさせようとする仕組みは,基本的に努力をすればするほど良い結果が得られることを前提としている.この仕組みは従業員がどうしたら仕事を効果的にできるかが分かっており,会社の仕組みや技術が業績の本当の問題ではない時に初めて機能する.
 金銭をやる気の源泉にする仕組みは,仕事の成果は個人次第であり,個人の行動が組織の業績につながることを前提としている.しかし,ある電力会社の幹部は報酬が会社の業績とリンクしていたのだが,電力会社のコストや単価は気温で決まり,フロリダの夏はあつければあついほど電力が消費された.この幹部はフロリダにやってきた夏に報酬が大幅アップした.彼は「フロリダの気候をコントロールできるならインセンティブシステムは有効だろう」と皮肉を漏らしていた.このように,もし業績が社員のせいでなかったり,社員の努力が業績につながらなかったりというように前提が成り立たなければ,金銭的インセンティブによってやる気が上がったとしても,業績には何の結果ももたらさないし,もたらしようがない.逆に,金銭的インセンティブを目指して一生懸命働いたのに,結果が出ないのを見た社員は,逆に欲求不満となりやる気をなくす.

2.社員に組織の価値感を示す情報効果
 社員は評価制度をみて経営が何を本当に重要と考えているのかを知る.インセンティブによって行動が協力にコントロールできるという面ではよいのだが,経営層がその行動の意味するところや,微妙な影響をよく理解していなければ裏目に出る.問題は,企業のビジネスモデルが,1つか2つの行動だけが重要だというような大変シンプルなものでない限り,典型的な金銭的インセンティブは何が重要かを伝えるには,単純すぎる限られたツールであるということだ.かといって,複数の基準があるインセンティブシステムは,複雑すぎて行動をうまくコントロールできない.個人の成績が複数の相互に絡み合った面を持ち,組織の業績を上げるために知恵と判断が必要な場合には,単純なシグナルは往々にして間違う.例え仕事が複雑でないとしても,社員がどのようにして目標を達成するか,すべての可能性を考えることは不可能である.仮にそれができたとしても,長くて分かりにくいルールや条件のリストができ,システムはあちこちが抜けて機能しなくなる.

3.正しい人材をひきつけ,間違った人材を排除する選別効果
 同僚と競争して勝つことに興味を感じる人材は,高い業績が高い報酬に繋がる会社を選ぶ.しかし,自社のインセンティブシステムにひかれて応募してきた者が本当に採りたかった人材かどうか別問題である.「金に釣られて入社する奴は,金に釣られて辞める」(タンデム・コンピュータ 元CEO トレイビッグ).また,インセンティブシステムは報酬格差を生むが,これは人間関係を壊すかもしれない.報酬や評価に格差をつけることは,成績が客観的に測定でき,かつ成績が共同作業でなく個人だけの努力の結果であるときに意味がある.正しい人材は必要な協力を行うべきであるという考えに基づけば,ちょっとした協力が不可欠な仕事の場では報酬格差はほとんどいつもマイナスの影響を与える.大学教員の調査では,学部内の給料の格差は,仕事の満足度の低下,協力の低下,研究生産性の低下に繋がっているとの結果もでている.29チーム,延べ1500人のプロ野球選手の調査では,基本給,過去の成績,年齢,経験の全てを勘案しても,選手間の格差が大きいチームほど選手の成績が悪いことが分かっており,格差の大きいチームほど勝率が低い.野球はメンバー間の調整や協力が比較的少ないにも関わらずである.

全ての組織でこの3つのメカニズムが働いている.しかし同時に,動機付け,情報を与え,ひきつけようとした社員に対して,予想外に業績を下げる効果が働くことも多い.金銭的インセンティブが業績を上げるというのは,危険な「半分だけ正しい」常識である.間違った報酬システムは,社員が「自分は公平に扱われているか」「組織が自分を本当に大切に考えているか」を理解するシグナルとなることを考えると,大変危険である.

― 考察とディスカッション ―

 医療には,①多職種による協力が不可欠,②目指すべき目標が複数あり複雑(経営指標,患者の健康,安全性,倫理的要素など),③これらにおいてやる気と目標指標達成の間に直線関係が必ずしも成立しない,④各職種の業務量が単純に医療機関の売り上げにつながるという関係にない,などの特徴がある.インセンティブシステムが人間関係を壊し,間違った行為(非倫理的,コンプライアンス低下)を誘発するリスクについて,十分検討しておかなければならないだろう.また,インセンティブシステムを各職種に適用しても医療機関の売り上げに直接結びつく構造にないため(i.e.診療報酬は医師の医療行為によって規定されているし,患者の動員は外部環境にも依存する),システムの原資を獲得する土台がないことにも留意が必要である.

開催日:平成26年2月19日

Episode of Care という考え方

- 文献名 -
 Episode of Care; A Core Concept in Family Practice
 Henk Lamberts,MD,PhD The Journal of Family Practice,Vol.42,No.2(Feb),1996

 - この文献を選んだ背景 -
 10月、ICPCを搭載した電子カルテシステムをオランダにて視察した。その際に「エピソード」として我々家庭医が扱う疾患を捉える概念を知ることができ、それが電子カルテシステムを利用したICPCデータベースの根幹を担っていることがわかった。それについてPubMedで調べている際に、この文献を見つけて読む事にした。

 - 要約 -
 
141008

 - 考察とディスカッション -
 家庭医療の学会である「日本プライマリ・ケア連合学会」の設立はイギリス・オランダから比べると40年以上遅い。本文献は16年前のものあるが、現在の日本における診療所プライマリ・ケアの記述研究へ重要な示唆を与えている。私たちが年齢や性別ごとにどのような健康問題を扱い、それがどのような診断になり、どのようにフォローされているのか。家庭医療診療所で提供されている医療そのものを記述するためには、ICPCと”Episode”が両輪になると感じた。それを発信していくことの宛先は、国民や住民、ひいては他の臓器別専門医や医療従事者など医療界の方達であり、包括性(幅広い臓器や心理社会背景も含めて)や継続性、不確実性などを客観的に示していくことになるであろう。皆さんはこのようなツールをつかってやりたい研究テーマなどはあるでしょうか?

 開催日:平成25年12月18日

より効率的に仕事をこなす7つの戦略

― 文献名 ―
 [ 7 strategies for creating a more efficient practice]
 Fam Pract Manag.2007 sep;14(8):27-30   http://www.aafp.org/fpm/2007/0900/p27.html

― 要約 ―

Simple, low-cost technologies and strategic outsourcing have helped this solo physician practice efficiently, even without any staff.

It’s an ultra-solo, no-staff ideal medical practice, also known as a micro practice. Low over-head allows me to see fewer patients per day and spend more time with them, but it also requires that I optimize efficiency in order to accomplish all of the administrative tasks on my own.

I discovered one of the most delightful aspects of a micro practice: its responsiveness to change. When I decide to change something, it simply gets done. No one needs to be convinced or trained. The results are immediate and dramatic.
I’ve listed below the changes that were the most helpful in my workflow redesign:

1. Offer online appointment booking.
 I use http://www.appointmentquest.com . When patients want to make an appointment, they simply go to my Web site and follow the prompts. It saves them and me lots of phone time.

2. Delegate history-taking to patients. 
 In September 2006, I started using Instant Medical History (http://www.medicalhistory.com), which allows patients to enter their own history into their chart. 

3. Use free tools to measure how you’re doing. 
 How’s Your Health? (http://www. howsyourhealth.org) is a free online tool that collects patient-entered data regarding their health status and their perceptions of the care they have received, and it provides a sum
mary to the patient and to the doctor.

4. Use e-mail to convey laboratory and X-ray results to patients.

5. Don’t be afraid to let the answering machine pick up. 
During office hours, my message machine states, “I am currently with a patient or otherwise unable to get to the phone; please leave a message and I will call you back as soon as I can.”

6. Use electronic billing.

7. Hire a poster/biller. 
I gave up on the pure ultra-solo/no-hired-help model, mostly because I hate posting and billing.

While my practice is by no means perfectly efficient, the above changes have made my practice sustainable over the long haul. Even if you are not planning to open your own micro practice, many of the above changes in workflow and processes are applicable to any practice setting.
For those interested in practice transformation via the ideal medical practice model, join the online discussion group “practiceimprovement1″ at http://www.groups.yahoo.com. It will connect you with like-minded physicians and give you information on how to nudge, nurture and shape your practice as it evolves to its truly “ideal” form.

開催日:平成25年11月13日

世界のMBAではどんなことが学べるのか?

― 文献名 ―
 「世界最高MBAの授業」 佐藤智恵 東洋経済 2013年

― この文献を選んだ背景 ―
 フェローの2年間で経営のスクーリングを受けてきたが、まだそれを活かしきれていない現状がある。更に経営について学ぶためのいくつかの書籍を読んできたが、世界ではどんな経営学が学ばれ、どういう教育スタンダードなのかを知りたくなりこの書籍を読んだ。

― 要約 ―

  内容は、世界の名だたる大学院が提供するMBA(経営学修士)を学んだ複数の日本人留学生のインタビューである。
1章1人の留学生のインタビューで構成され、留学中に受けた授業の中で印象に残った2~3個の授業について記載してあり、それに対し筆者の考察が加えられている。特に研究という形ではなく、あくまで事例の紹介。
 筆者=インタビュアーは1970年生まれ、NHK入局後、ディレクターなどを経てコロンビア大学でMBA取得。ボストンコンサルティンググループを経て独立。
  インタビュイーの日本人は、現在20代後半30代後半までの、国内外の大手やベンチャー企業などで活躍する同年代の15人である。大学院はハーバード、スタンフォード、ノースウェスタン、MIT、デューク、ロンドンなど。

  いくつか重要と思われた箇所からカテゴリー分けして以下に抜粋する。

①リーダーシップ

 ・「リーダーが倫理的に判断する」という事は、どこかに存在する正しい答えを客観的に選択する事ではなく、
     自分の信念を確立し、それをさらけ出すことによって人を動かす事がリーダーシップである。

 ・文化別、国別の理想的なリーダーシップのスタイルがあるのではない。国や文化の垣根を越えて人を導いていくのが
    グローバルリーダーシップである。そのためには常に真正でなければならない。

 ・前向きな変化をするつもりのない経営トップがいる会社で働いているなら、別の会社への転職を考えた方がいい

 ・リーダーに必要な4つの力:
  1)自分自身の優先順位を理解し自省する力
  2)物事を多角的に見る力 
    3)自分自身をありのままに受入れ、日々を改善する力
  4)他人を尊重する力

 ・リーダーとは、人々の人生に対する深い畏れや不安を、「希望」に変える事ができる人だ。
   「この人についていけば、自分や家族のためにより良い人生を送る事ができる」「誇りを持って企業やコミュニティで
    働く事ができる」と人々に希望を与える事。(バンヤンツリーの創設者)

 ・自分が率いるチームのメンバーの顔、名前、名前の発音、経歴を覚えるという事は、帝王学の基本だ。

 ・リーダーには、自分がリーダーであるという強い当事者意識=オーナーシップが不可欠であり、
    オーナーシップを持つという事は、チームメンバーに対して「心からの思いやり、誠実さを持つという事」である。
    そうする事でチームの信頼を得て、結束力が高まり、組織を成功に導く。

 ・組織に規律をもたらしたいのであれば、リーダー自ら規律を体現しなければならない

 ・古い体質の業界であたらしい事をやろうとすると様々な抵抗にあうが、それは当然の事だ。
    その抵抗をいかにサポートに変えるかという努力こそが、改革や使命の実行には不可欠な道筋であり、スキルである。
 
  ・周りの人が「あのリーダーは私たちの組織に価値をもたらさない人だ」と感じてしまうと、実際にそのリーダーは
    価値をもたらす事ができなくなってしまう。貢献する機会が与えられないばかりか、仮に貢献してもリーダーの
    実績と認識されないからだ。

②コミュニケーション

 ・何事も正直に伝える事が一番。相手が受入れがたい事を伝えなければいけないときはなおさら。
    しかし同時に相手に礼を尽くす事もわすれてはいけない。
 
  ・組織内で苦手な人間と働く事にストレスを感じるという事は、「自分本来の自信」が確立されていない事を意味する。
    人間というのは漠然とした不安や怒りを持つ生き物。「自分本来の自信」をもって、何に対してストレスを感じているのか
    原因を特定し、日々自分で関係を改善していくしかない。
 
  ・プレゼンテーションを作り上げる上で重要な3つ:
  1)具体的なストーリーを伝える 
  2)顧客の声や調査結果を具体的に伝える
    3)チームメンバーの役割を明確にし、適切なアドバイザーを見つける

 ・人間は自分と違う人の事を「あの人は敵だ」「あの人は間違っている」と判断しがちだ。そうではなく、
    ただ違いを受入れる事が重要なのだ。その違いを受けいれる事からビジネスが始まる

 ・交渉前に国民性や人柄を確認して、交渉術を変えていけばいい。

③起業/プロジェクトマネジメント

 ・起業する目的はお金を儲ける事ではない。社会に良いインパクトを与える事だ。

 ・学んだ者は、それを活かし自分にしかできない挑戦をする権利だけでなく、挑戦する責任も伴う

 ・人生の創造には、小さなステップからでもいいので実験し、自分と自分の外の世界が相互作用しながら試行錯誤する。
    完璧を目指さないで、顧客の声を聞いてみる。失敗してもいいからある程度製品ができたら売り出してみる。

 ・リバースイノベーションとは「顧客のニーズにあった製品を現地で開発する」こと。グローカリゼーションとは
   「既存の製品を売るために現地の顧客を開拓する」こと。後者は古い。前者のマインドセットを持つべき。

 ・手を広げずに、限られた期間で成果が出せる課題に注力する

  ・プロジェクトの結果が、当初考えていたスコープの範囲だけでなくそれを越えた範囲に対しても、
    どのようなアクションに結びつき、その地域・組織にとってどのような影響をもたらすのかよく考える

 ・最初に発明したり開発したりした人や独占した技術が儲けられる時代は終わった。技術はそこにあるだけでは
    価値はない。技術と社会をつなぐ役割をするのが、オープンイノベーションだ。

 ・起業する時に必要なのは、投資家や顧客を感動させる「ストーリー」だ。ビジネスモデルも大切だが、
    どうやったら世の中にインパクトを与えられるのか、そのストーリーを考えなさい。
    イノベーションとは人間の生活を革新させるビジネスを生み出すことなのだ。

 ・日本のメーカーのマーケティングは、技術ありき、モノありき。
    ヨーロッパのブランドマーケティングはまずコンセプトありき。

④その他
 ・MITのモットー:「Think, Act, Reflect」(考えよ、行動せよ、内省せよ)

 ・自分を見つめる4つのステップ:
  1)自分がずっと変えたいと思っていて、変えられない習性や癖は何か? 
    2)変えられない事を象徴する行動は何か 
  3)変えられた自分を想像して見なさい。違和感はないだろうか 
    4)なぜ違和感を感じるのか

開催日:平成25年11月13日

Typical Electronic Health Record Use in Primary Care Practices and the Quality of Diabetes Care Literature

【文献名】
著者名:JC. Crosson, PA. Ohman-Strickland, D J. Cohen, EC. Clark, and BF. Crabtree.
文献タイトル:Typical Electronic Health Record Use in Primary Care Practices and the Quality of Diabetes Care. 
雑誌名・書籍名:Ann Fam Med
発行年:May/June 2012 10:221-227.

【背景】
We implemented Secom’s EHR system into our 6 clinics these 4 years. But we could not always make use of its potential function as central portal system of medical information to improve our quality of care in daily practice. So, I am interested in this type of research to change our usage style of EHR. How can we find better use of EHR?

【要約】
<PURPOSE>
Recent efforts to encourage meaningful use of electronic health records (EHRs) assume that widespread adoption will improve the quality of ambulatory care, especially for complex clinical conditions such as diabetes. Cross-sectional studies of typical uses of commercially available ambulatory EHRs provide conflicting evidence for an association between EHR use and improved care, and effects of longer-term EHR use in community-based primary care settings on the quality of care are not well understood.

<METHODS >
We analyzed data from 16 EHR-using and 26 non-EHR-using practices in 2 northeastern states participating in a group-randomized quality improvement trial. Measures of care were assessed for 798 patients with diabetes. We used hierarchical linear models to examine the relationship between EHR use and adherence to evidence-based diabetes care guidelines, and hierarchical logistic models to compare rates of improvement over 3 years.

<RESULTS>
EHR use was not associated with better adherence to care guidelines or a more rapid improvement in adherence. In fact, patients in practices that did not use an EHR were more likely than those in practices that used an EHR to meet all of 3 intermediate outcomes targets for hemoglobin A1c, low-density lipoprotein cholesterol, and blood pressure at the 2-year follow-up (odds ratio = 1.67; 95% CI, 1.12-2.51). Although the quality of care improved across all practices, rates of improvement did not differ between the 2 groups.

<CONCLUSIONS>
Consistent use of an EHR over 3 years does not ensure successful use for improving the quality of diabetes care. Ongoing efforts to encourage adoption and meaningful use of EHRs in primary care should focus on ensuring that use succeeds in improving care. These efforts will need to include provision of assistance to longer-term EHR users.

【ディスカッション】
<PURPOSE>
Recent efforts to encourage meaningful use of electronic health records (EHRs) assume that widespread adoption will improve the quality of ambulatory care, especially for complex clinical conditions such as diabetes. Cross-sectional studies of typical uses of commercially available ambulatory EHRs provide conflicting evidence for an association between EHR use and improved care, and effects of longer-term EHR use in community-based primary care settings on the quality of care are not well understood.

<METHODS>
We analyzed data from 16 EHR-using and 26 non-EHR-using practices in 2 northeastern states participating in a group-randomized quality improvement trial. Measures of care were assessed for 798 patients with diabetes. We used hierarchical linear models to examine the relationship between EHR use and adherence to evidence-based diabetes care guidelines, and hierarchical logistic models to compare rates of improvement over 3 years.

<RESULTS> 
EHR use was not associated with better adherence to care guidelines or a more rapid improvement in adherence. In fact, patients in practices that did not use an EHR were more likely than those in practices that used an EHR to meet all of 3 intermediate outcomes targets for hemoglobin A1c, low-density lipoprotein cholesterol, and blood pressure at the 2-year follow-up (odds ratio = 1.67; 95% CI, 1.12-2.51). Although the quality of care improved across all practices, rates of improvement did not differ between the 2 groups.

<CONCLUSIONS>
Consistent use of an EHR over 3 years does not ensure successful use for improving the quality of diabetes care. Ongoing efforts to encourage adoption and meaningful use of EHRs in primary care should focus on ensuring that use succeeds in improving care. These efforts will need to include provision of assistance to longer-term EHR users.

【開催日】
2012年6月20日

組織管理

【文献名】

Quint Studer著、エクセレント・ホスピタル、ディスカバー社、2011年

【要約】

<5つの柱、9つの原則で最高の組織を目指す>
5つの柱とは「医療の質」、「サービス」、「人材」、「成長」、「財務」の柱である(※Balanced Score Cardの考え方に「人材」が加えられた形)。以下、一つ一つの原則について触れる。

1.最高の病院になることを決意する
5つの柱それぞれについて測定可能な指標を設定することから始まる。それぞれの目標を定め、行動計画を作成し、評価制度を設定すれば、職員は目標達成に主体的に関わるチャンスが生まれる。そのためにはa) 職員の意識を高めるため全ての会議の議題を「5つの柱」に合わせる、b) 責任感をもたせるためにリーダーの評価を「5つの柱」に合わせる、c) 指標の進捗状況を知らせるために「5つの柱」で表した部門間のコミュニケーションボードを作成する。サンプル指標を揚げる(図1)。

2.重要な指標を測定し、改善する
定めた指標はできるだけ頻繁に測定する。一般に四半期では不十分。モチベーションを保つためには少しでも早く成果を知る必要がある。

3.サービス志向の文化をつくる
いくつかのサービスチームを作ることが原動力になる。標準化チーム、患者満足度チーム、職員満足度チーム、測定チーム、コミュニケーションチーム、評価・報酬チームなど。職員が主体的に関わる。

4.リーダーを育成する
リーダーシップを学んでいる職員が不在ではいけない。リーダーシップ開発セミナーを行うべきである。部門管理者も医療ファイナンス、業務量管理、パフォーマンス別面談スキル、上司をコントロールスキル、測定結果からアクションプランを立てるスキルなどを育成する必要がある。特に、「組織変革の壁」を学ばせ予測・対応できる能力の育成が必要。組織の成長段階の中で必ず職員のパフォーマンスのばらつきが生じ、パフォーマンスに応じた対応が組織改善に必要。

5.職員の満足度に重点を置く
この原則に重点を置くことは全ての柱の改善につながる(※参考:Service-Profit Chain)。リーダーへのフィードバックはリーダーのトレーニングにもなる(図2)。改善すべき課題は「90日間行動計画」に落とし込む。

6.職員一人一人に責任感をもたせる
「名案プログラム」を導入する。自分の案が組織改善に寄与し、評価されるならば、職員は主体的に組織改善に関わるチャンスがある。

7.個人の行動を、組織のゴール・価値観に合致させる
組織の目標に合わせてリーダーを評価する(図3)。ペースメーカーとして月齢進捗報告書(図4)、90日間行動計画(図5)なども利用する。また、医療者同志での評価も取り入れる(図6)。

8.すべての職員とコミュニケーションをとる
職員フォーラムやコミュニケーションボードの活用で一人一人の行動に影響する。

9.成功を認め、讃える
「感謝の手紙」などで職員を評価する。

図1
120426_1

図2
120426_2

図3
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図4
120426_4

図5
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図6
120426_6

【開催日】
20120年4月11日

~電子カルテ導入の影響について~

【文献】
Gradual Electronic Health Record Implementation: New Insights on Physician and Patient Adaptation. Ann of Fam Med ;2010;8:316-326.

【要約】
目的
電子カルテ導入が医師患者関係や患者の行動にどのような影響を与えているかを検証する。

方法
家庭医の外来診療所において、電子カルテの導入前5か月・移行期の10ヶ月間・導入後3または6か月後に以下の調査を行った。
①170人の患者について、外来を直接観察して、時間を計測した。
②出口で患者へ電子カルテを用いた外来についてインタビューを行った。
③診療所の看護師・看護助手・事務職員を集めてフォーカスグループディスカッションを行った。
④診療所の看護職員と医師に対して、観察(構造化されていない)とインタビューを行った。
 ※電子カルテ;Logicianという商品;血液・画像・病理・患者の地理的情報の結果が参照できる。

分析
Immersion-Crystallization discussionと代替仮説の検索を用いた。

インタビュー・FGDの結果の要約
①患者の評価
 ・導入前は、情報技術に対する不安の表出がみられたが、医師への信頼や医師患者関係の安全性を実感して、電子カルテに肯定的な意見が出るようになった。
②医師・医療従事者の評価
 ・導入後は、電子カルテの懸念事項への不安は解消され、電子カルテの利点が理解されるようになり、更には予想していなかった利点も見出された。
 ・特に、医師はコンピューターという第三者が外来に入るようになって、快適そうに見えた。仕事の能率化が実感されることで看護師や事務職員の電子カルテへの抵抗感も次第に改善した。
 ・予想していなかった利点として、その場で参照できる情報(薬の毒性や避妊法、検査のリマインダーなど)による作業の能率化や、医師が診察室から出る時間の減少が挙げられた。
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結果の詳細
A導入前;この時点では、電子カルテに記載されるのは問題点リストと薬のリストのみであった。
①患者の視点
 ・ほとんどの患者が電子カルテがあることに気づいていなかった。
 ・患者の回答の殆どは紙でも電子カルテもどちらでもよいというスタンスだった。
 ・患者は電子カルテが導入されると、医師の仕事内容、筆跡、情報の蓄積と検索、信頼度、正確性、医師同士のコミュニケーションを改善し、外来中に医師が診察室を出ることが減ると予想した。
 ・患者はしばしば、セキュリティや技術上の問題を理由に、電子カルテの導入について中立的な意見であった。
②医療職種の意見
 ・事務職は、文字の判別性、データの正確性、カルテの捜索・ファイリングが必要なくなることを期待していた。
 ・医師が電子カルテ導入の障壁になると考えられていた。
 ・看護師は、タイピング能力不足や、子供が壊さないかなどを心配していた。また、移行期の仕事増大を懸念していた。

B移行期;医師のカルテ記載は、紙/電子カルテどちらでも可。看護師はバイタル・予診は紙と電子カルテ両方に記載した。
①患者の意見
 ・電子カルテの存在についてどれくらい気がつくかは人によってまちまちだった。
 ・スピードやそのアクセスの良さはいいと感じていた。その一方でセキュリティへの不安を感じていた。
 ・患者によっては、紙でも電子カルテでもどちらでもいいという姿勢を持つ人もいた。
②医療職種の意見
 ・看護師は記録の抜け落ちや重複があったが、時間がなかったり、やり方を知らないからであるという意見が出た。
 ・看護師は、医師のアイコンタクトや診察が減ることや、患者が医師の記載した内容を見ることによる悪影響や、守秘義務が守られない可能性(院内の他のスタッフがカルテをみる可能性など)、コンピューターの故障を心配していた。
 ・時間が節約できることや、リマインダーによって検査の漏れが防げる点を評価していた。
 ・また、、患者が診療により責任を持つようになる(データに興味を持ったりなどから)のではという予想があった。
 ・医師は、患者がみている中で患者の問題点を記載しないといけないことに不快さを感じていた。

C完全導入後;院内・院外のネットワークとつなぐことが可能となった。
①観察結果
 ・外来の時間は変化がなかった。情報を収集するために使う時間は少なくなった。
 ・医師はアイコンタクトが減る事を危惧しており、実際に電子カルテの時にカルテを見る時間の方が、紙カルテの時にカルテを見る時間よりも長かったがが、患者は医師のアイコンタクトや外来の質に満足していた。
②患者の意見
 ・安全性、情報へのアクセスの早さ、能率、情報共有、それから、「現代らしい」スタイルについて良く評価していた。
 ・セキュリティ面については評価が分かれていた。
③医療職種の意見
 ・看護師からは、作業の能率化、医師の記載が正確になった、データの参照が早くなった、新たなテンプレートのお陰で医師の入力が早くなった、医師のカルテ記載へのインセンティブにもなるという肯定的な意見が出た。
 ・患者がコンピューターの画面に興味を示すことで、より診療に積極的になる、と評価する者もいた。

D外来での医師の変化について
①診察室にコンピューターという第三者が入ることで患者とのコミュニケーションに変化が生じた。
 ・体とコンピューターの位置や、言葉でのコンピューターの説明、患者との情報の共有方法などを工夫していた。
 ・特に導入後は、モニターを患者にも見えるように配慮して、モニターとアイコンタクトを同時に行うようにしていた
 ・非言語的コミュニケーションがより多くなった。使っていない腕を患者の方へ伸ばしたり、足や膝だけ患者の方へ向けたり、診察台に寝ている時も、膝は患者に垂直に向かっていた。
 ・医師によっては、患者の言葉などをカルテにタイプして繰り返すようになったため、患者がより外来に集中し、自分の言葉を訂正する余裕が持てるようになった。
②医学的情報の共有が促進された。
 ・即座に情報が見れるため能率がまし、患者との情報の共有がよりなされるようになった。これに対して、紙カルテ時代に情報を患者と見ると言うことは殆どなかった。(移行期は情報を患者に見せる医師はまだ少なかった。)

【開催日】
2010年8月4日(水)

~外来での待ち時間対策~

【文献名】
待ち時間革命 前田 泉 著 日本評論社 2010.

【要約】
詳細
医療のoutcome:臨床効果 + 患者満足度

患者さんの総合満足度:影響が多い順に ①>②>③
①医師に対する満足度
②症状改善や不安・悩みの軽減
③受付・看護師・待ち時間

待ち時間=医師の診療時間×待ち患者数 (待ち時間はゼロにはならない, 患者さんもゼロは望んでいない)

対策
患者の待ち時間に対する不満=実際の体験-待ち時間期待値

・実際の体験:実際の待ち時間
 →改善の方針:待ち時間の短縮…短時間で満足度upのコミュニケーション, 時間予約制(ハイブリッド)
        待ち時間の活用…問診表(受診理由や解釈モデル), コメディカルによる問診や指導

・待ち時間期待値:診療所…予約あり 20分, 予約なし 38分
 →改善の方針:期待時間のコントロール…事前の待ち時間予告, 待合での状況報告・声かけ

【開催日】
2010年7月7日

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