家庭医のトレーニングにおける核となる技術

―文献名―
Stephen J. Wetmore, et al. Defining core procedure skills for Canadian family medicine training. Can Fam Physician 2005;51:1364-1365.

―この文献を選んだ背景―
寿都では、寿都町民の健康を守るために我々家庭医に求められる事は何かという壮大な命題から、様々な課題、研究テーマを模索している。その中で、我々家庭医に求められている医療行為(手技)は何か、郡部や都市部、外来や入院、訪問などの様々なセッティングでの違いはあるのかということに興味を持ち、現在、文献を調べている。その中で、少し古いが、その事に関する文献を見つけたので紹介する。

―要約―
【目的】
家庭医療のトレーニングに適した核となる医療行為のリストの作成

【デザイン】
デルファイ法を用いた郵送、あるいはEメールでの調査

【セッティング】
カナダの無作為に選ばれた家庭医療クリニック

【参加者】
都市部、小さな町、郡部診療の家庭医、学術の家庭医で。3~36年の家庭医としての経験がある家庭医

【介入】
カナダの家庭医療トレーニングプログラムの卒業生が学び、彼らのコミュニティでその医療行為をうまく行う事が出来る事を期待されている158の医療行為を評価する。家庭医療のトレーニングに適した核となる医療行為のリストの作成。2つ目の調査では、最初の調査で得られた核となる医療行為と、さらに高度な医療行為を評価する。

【メインアウトカム】
包括的な技術リストに関する医師の意見

【結果】
22人の家庭医が最初の調査に回答(回答率:92%)、14人が2つ目の調査に回答(回答率:58%)した。65の核となる医療行為と15の高度な医療行為が同定された。郡部診療の家庭医や小さな町の家庭医の方が都市部の家庭医よりもより多くの医療行為が核となるリストにランクされ、実行されていた。核となるリストに挙げられた医療行為に対する家庭医の同意は55%から100%、高度な医療行為に対する家庭医の同意は50%から64%であった。核となるリストに挙げられた医療行為のうち55の医療行為が70%以上の参加者で同意が得られた。

【結論】
新しく家庭医になる医師が彼らのコミュニティで行う医療行為を具体化することの重要性に関して、カナダの家庭医の意見として、医療行為のリストが示された。医療行為のリストは家庭医療プログラムの評価と医療行為の技術の指導のさらなる改善の助けとなるであろう。

【開催日】
2014年11月12日(水)