解釈的医療:プライマリ・ケア現場の変化の中、ジェネラリズムを支持する

-文献名-
Reeve, Joanne. “Interpretive medicine: supporting generalism in a changing primary care world.” Occasional Paper (Royal College of General Practitioners) 88 (2010): 1.

-要約-
患者中心性は総合診療の核となる価値である。それは、個々人の全人的なケアを支援する関係性のプロセスとして定義されている。今日まで、患者アウトカムと患者中心性の関連を示す努力は期待外れに終わっており、一方で現実的というよりは誇張した結果を示すいくつかの研究がある。患者背景の問題は、患者中心の医療面接の質とアウトカムに影響を与える。知識やエビデンスを合理的に活用する事は、最新の診療の視点を明確にし、患者中心性に影響をもたらす。
文献の批判的吟味、自分の実験的研究、診療実践からの振り返りに基づいて、 個別ケアを裏付ける知識の活用の最新モデルに対して、私は批判する。EBMや健康政策への適応を考えるSBM、
は診療経験の上に科学的知識をおく認識論的強調の観点から、最良のエビデンスを明確にする。
これは疾患の客観的な知識、そしてこの知識の確からしさの量的見積もりも含まれる。二次医療(臓器別専門医へ診断や治療のため紹介される患者)を考える際の“議論ある適切さ”に対して、
総合診療への(最新モデルの)応用は、診療で扱っている複雑でダイナミックで不確実な病体験の本質を考えると疑問が呈される。
私は、解釈的医療のモデルにより総合診療が記述されるのが望ましいと提唱する。解釈的医療とは、批判的で思慮深くプロファッショナルである適切な範囲の知識(個別の病体験のダイナミックで共有された探求や解釈に関する)の活用である。そしてこれらは、患者の日常生活を維持するための個人の創造的な能力を支援する。解釈的知識の発生は日々の総合診療の欠かせない一部であるが、その専門性は、うまくいっているか外的に判断できるような適切なフレームワークを持ってこなかった。解釈の質の認識に関連する理論や、質的研究から発生した知識を記述することで、ジェネラリストや解釈的臨床実践から発生した知識の質を評価するフレームワークを提唱する。私は、このモデルを更に発展させる研究の3つの優先順位(個人の創造的能力creative capacityの測定、個人のcreative capacityが上がることでのコミュニティの発展、暗黙知の信頼性の確立)を示す。またそのことで総合診療の規律の重要な要素を強調し維持するであろう。これは地域コミュニティの健康ニーズを促進し、支持する。

201907佐藤1

【開催日】2019年7月24日(水)