認知症の家族の介護者のメンタルヘルスを促進するプログラム(manual based coping strategy programme)の臨床効果

- 文献名 -
 Clinical effectiveness of a manual based coping strategy programme (START, STrAtegies for RelaTives) in promoting the mental health of carers of family members with dementia: pragmatic randomised controlled trial  Gill Livingston, et. al.  BMJ 2013;347:f6276 doi: 10.1136/bmj.f6276 (Published 25 October 2013)
 
- この文献を選んだ背景 -
 認知症の家族を介護している介護者が精神的にダメージを受けるケースをよく経験する。今回、認知症の家族を介護する介護者のメンタルヘルスに関する論文を読んだので共有する。

- 要約 -
【目的】
 manual based coping strategy programmeが通常の治療と比較して、認知症の家族を介護している介護者のうつ、不安症状を軽減するかどうかを評価する。
【デザイン】
 Randomised, parallel group, superiority trial.
【セッティング】
 英国(ロンドンとエセックス)、Three mental health community services and one neurological outpatient dementia service
【参加者】 260人の認知症の家族を介護している介護者
【介入】
 manual based coping strategy programme:8回のセッションから成り、指導された心理学の専門家から提供される。認知症、介護者のストレス、感情的サポートを得る場などの精神教育、介護者の行動の理解、行動を管理するテクニック、支援がないという考えの変容、受容の受け入れ、自らの意見の主張、relaxation、将来のプランニング、楽しい活動の増加、スキル学習の維持など。これらの事を自宅でマニュアルを使いながら、relaxation CDを聞きながら学ぶ。
【Main outcome measures】
 4ヶ月後と8ヶ月後の症状 (hospital anxiety and depression total score)
<Secondary outcomes>
・depression and anxiety caseness on the hospital anxiety and depression scale;
 介護者のQOL:health status questionnaire, mental health
 要介護者のQOL:quality of life-Alzheimer’s disease
 介護者から要介護者への潜在的な虐待行為:modified conflict tactics scale
【結果】
 260人の介護者が選ばれた(Figure)。ランダムに173人が介入群、87人が通常の治療群に割り付けられた。
 8ヶ月後のhospital anxiety and depression total scoreは介入群が通常の治療群と比較してより低かった(adjusted difference in means −1.80 points (95% confidence interval −3.29 to −0.31; P=0.02) 
)(Table5)。
 うつのケースが介入群で低かった(odds ratio 0.24, 95% confidence interval 0.07 to 0.76) (Table5)。
 介護者のQOLが介入群で高かった(difference in means 4.09, 95% confidence interval 0.34 to 7.83) (Table5)。
 介護者から要介護者への潜在的な虐待行為の報告は介入群で少なかった(odds ratio 0.47, 95% confidence interval 0.18 to 1.23) (Table5)。
【結論】 
 manual based coping strategy programmeが認知症の家族を介護している介護者の不安やうつに対して効果があり、介護者のQOLを改善させている。

- 考察とディスカッション -
 認知症の家族を介護している介護者への支援プログラムが有効である事が改めて示された。寿都町では、町役場の保健師が中心となって定期的に家族会を開催しているが、今回の論文のような体系だったプログラムでの支援ではない。今後、このような支援プログラムを作成するかは議論の余地があるが、皆さんの地域の状況はいかがでしょうか? 

開催日:平成25年12月11日












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