「コーチングを忙しい臨床現場のコミュニケーションに活かすには?」

【文献名】
著者名:伊藤 守
文献タイトル: 第4章(p137-171) 
雑誌名・書籍名: 「3分間コーチ」 
発行年:2008年

【要約】
※実際の現場でのコミュニケーションのあり方とその内容に焦点をおいた「第4章」の共有と要約をこの場では行う。
※予備知識:ここでいう「コーチング」とは「目標達成に必要な知識、スキル、ツールが何であるかを棚卸しし、それをテーラーメイド(個別対応)で備えさせるプロセス」を指します。

<ビジョンを作る>
 具体的には現場で行うことは「相手の「視点」を未来に向ける」ことを行います(主にある種の質問によって)。イメージ的には一枚のキャンパスに向かって自分と相手が並んで座って会話するような感じ。部下やスタッフの可能性を開くことは上司の仕事です。

<ビジョンは作り続ける>
 基本的にイメージやビジョンは記憶できません。ビジョンは鮮明なときほど動きやすくなりますが、モチベーションやパフォーマンスが落ちているときはこれが不鮮明・混乱・消失しているときです。3分間コーチではビジョンメーキングをひとつのミッションにしています。方法は「会話・問いかけを通じて様々な可能性を思い描く過程で鮮明にしていく」です。ビジョンについて語り続けていないとすぐにみえづらくなります。コーチは常に少し先の未来を語り続けましょう。

<問いを共有する>
組織のコミュニケーションを活発にするにはどうしたらよいのでしょう?このことには、ただ「問う」のではなく、問いを共有することで初めてコミュニケーションは活発になります。上司や部下の間で問いが共有されていることで初めてコミュニケーションを始める動機が生まれます。問いが共有されていれば問いかけに対して「自分はどうすべきか」を知るためにコミュニケーションを交わす必要性がうまれるのです。3分間コーチではすでに問われているような問いにクローズアップすることを行います。この際、答えを強要してしまうと共有された問いは消失してしまうので注意しましょう。自由に考えることに意味があります。

<問いの共有が行動を起こす>
 問われると部下は普段持たなかった視点を持ちます。問いとはほとんど未来に向けられたものであり、当然視点は未来にむき、より自立的、自発的な行動が促されます。「問い」には人を「わかったつもり」から行動へと移行させる力があります。
 問いの共有のもうひとつの効能は自分の中に存在する非生産的な問いを追い出す働きです。非生産的な問いとは「大丈夫かな・・・?」「これでいいんだろうか・・・?」「ほんとうかな・・・?」といったものであり、これらの問いは別の問いを起こさない限りすぐに頭の中を占拠してしまいます。私たちは常に未来に向けた問いを投げかけ、共有し続けることが大事です。

<個人の目標を設定する>
 私たちは常に自分に関心があります。様々な組織の輝かしいビジョンを見せられても、常にスタッフは「WIIFM What’s in it for me?(それで私はどうなるの?)」と考えています。コーチは「これをすることで、わたしが手にするものは何か?」を考えさせることが必要なのです。「皆さんは自分の周りのスタッフの「WIIFM」を知っていますか?」、互いの個人の目標を共有公開することもまたその達成に協力し合う環境を生むことになります。

<今いる場所を示す>
 ビジョンを共有し、WIIFMを明確にし、目標も設定(共有)した。次にコーチが行うのは「フィードバック」と「フィードフォワード」です。
● フィードバック:「今の君は少し急ぎすぎているかな?」:
 ➢ ・・・結果に対して制御をきかせる
● フィードフォワード:「患者さんは私たちの医療にどの程度満足しているのだろうか?」:
 ➢ ・・・まだ起こっていないことに対して、制御をきかせる。
これらはスタッフが各自の目標に対して「今自分がいる場所」を知らせるのに有用であり、多くのスタッフはこれを求めています。自分が行っていることに対して、自分以外の視点を求めています。

<リソースを最大化する>
 コーチングの目的は直接的には「部下の目標達成」にありますが、それだけではなく、その人の能力を引き出し、リソースを最大化することが大事です。リソースの棚卸し、強みの発見。リソースを発揮する環境とは、これらは全て3分間コーチのテーマとなりえます。
 特にリソースとはその能力のみを引き出しても、それを発揮する場がなければ、その人は「有能」とはなり得ません。「場」とは人と人、全体との関係性そのものです。
 つまりリソースを最大化するとは、①リソースにアクセするする手段を持ち、②リソースを表現する「場」(関係性)をもつこと、が必要とされます。よって②を活かすための能力、関係を築く能力もまた開発することが必要です。

【開催日】
2012年8月14日












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