慢性閉塞性肺疾患の増悪予防に用いるアジスロマイシン

【文献名】

R.K. Albert , et al. Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD. The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDISINE. 2011;8.25: 689-698.



【要約】

<背景>

COPD急性増悪により、診療所や救急外来を頻繁に受診し、頻回の入院による失業や治療コストがかかる。また、急性増悪を引き起こす患者は引き起こさない患者と比較すると、突然死のリスクや早期の呼吸機能の低下、QOLの低下が認められる。マクロライド系抗菌薬がCOPD急性増悪を減らすという研究と減らさないという研究があるために(限界のある研究が多かったため)、この治療の有用性について研究を行うこととした。

<方法>

増悪リスクは高いが、聴覚障害・安静時頻脈は認めず,補正 QT 間隔延長の明確なリスクを有しない COPD 患者を対象にアジスロマイシンによって増悪の頻度が低下するかどうかを検討することを目的として無作為化試験を行った。



<結果>

1,577 例をスクリーニングし、その中で 1,142 例(72%)を1 年にわたり標準の治療とアジスロマイシン 250 mg/日を投与する群(570 例)とプラセボを投与する群(572 例)に無作為に割り付けた。1 年間の追跡を完了した患者の割合はアジスロマイシン群 89%,プラセボ群 90%であった。初回増悪までの期間の中央値は、アジスロマイシン群で 266 日(95%信頼区間 [CI] 227~313)に対し、プラセボ群では 174 日(95% CI 143~215)だった(P<0.001)。増悪の頻度は,アジスロマイシン群で患者・年あたり 1.48 回であったのに対し、プラセボ群では患者・年あたり 1.83 回であり(P=0.01)アジスロマイシン群における患者・年あたりの COPD 急性増悪発生のハザード比は 0.73(95% CI 0.63~0.84)であった(P<0.001)。St. George 呼吸器質問票(0~100 で,スコアが低いほど機能が良好であることを示す)のスコア改善はアジスロマイシン群のほうがプラセボ群よりも大きく(低下の平均 [±SD] 2.8±12.8 対 0.6±11.4,P=0.004),最小有意差である 4 単位以上の低下がみられた患者の割合は、アジスロマイシン群で 43%であったのに対し、プラセボ群では 36%であった(P=0.03)。聴力低下はアジスロマイシン群でプラセボ群よりも多く認められた(25% 対 20%,P=0.04)。また、気道におけるマクロライド耐性菌は優位に上昇(81%対41%)したが、肺炎発症には関与しなかった。



<結論>

特定の COPD 患者では,標準治療に加えてアジスロマイシンを 1 年間連日服用することで,増悪の頻度が低下し QOL が改善したが、ごく一部の患者で聴力低下が生じた。この介入によって微生物の薬剤耐性パターンが変化する可能性があるが、それによる影響は不明である。



【考察とディスカッション】

アジスロマイシンの1年間連日投与で急性増悪の頻度が低下してQOLは改善することがわかったが、ジスロマック250mg錠=304円なので、1年間連日投与だと、約11万円。この患者の経済状況など考えると現実的な治療とは言えない。まずは吸入などの標準治療のコンプライアンスの上昇を目指すことが1番重要である。
健康保険のカバーしていない利用法であること、入院・死亡などについてのアウトカムは有意差が出ていないことなど、問題は多いだろう。



【開催日】

2011年10月5日












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