アメリカ男性の朝食摂取と冠動脈疾患の危険性についての前向き研究

- 文献名 -
 Prospective Study of Breakfast Eating and Incident Coronary Heart Disease in a Cohort of Male US Health Professionals Leah E. Cahill,  et. al. Circulation. 2013; 128: 337-343

- 要約 -

【背景】
 成人において、食事をスキップすることは、体重増加、高血圧、インスリン抵抗性、空腹時脂質濃度上昇と関連する。しかしながら、食事内容にかかわらず、特定の食習慣が冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)のリスクに影響するかどうかは分かっていない。本研究の目的は、食生活と冠動脈疾患のリスクを前向きに検討すること。

【方法と結果】
 朝食を食べることを含む食習慣について、1992年に45歳から82歳のアメリカ人男性26,902人を評価した。彼らは、Health Professionals Follow-up Study に参加しており、心血管系疾患や悪性腫瘍には罹患していなかった。フォローアップの16年間に、1527もの冠動脈疾患発症が診断された。 人口統計、食事、ライフスタイルで調整した冠動脈疾患、およびその他の冠動脈疾患の危険因子の相対リスクおよび95%信頼区間を推定するためにCox比例ハザードモデルを使用した。朝食をスキップした男性は、スキップしなかった男性に比べて27%高い冠動脈疾患発症のリスクを有していた(95%信頼区間1.06~1.53、相対リスク1.27)。夜遅くに食べない人に比し、夜遅くに食べる人は55%高い冠動脈疾患発症のリスクを有していた(95%信頼区間1.05~2.29、相対リスク1.55)。これらの関連は、BMI、高血圧、高コレステロール血症および糖尿病の影響を受けていた。食べる頻度(一日あたりの食べる回数)と冠動脈疾患の危険性との間には有意な関連は認められなかった。

【結論】 
 健康の専門家の男性のこのコホートでは、朝食を食べることは、冠動脈疾患のリスク低下と有意に関連していた。

開催日:平成25年12月4日

認知症の家族の介護者のメンタルヘルスを促進するプログラム(manual based coping strategy programme)の臨床効果

- 文献名 -
 Clinical effectiveness of a manual based coping strategy programme (START, STrAtegies for RelaTives) in promoting the mental health of carers of family members with dementia: pragmatic randomised controlled trial  Gill Livingston, et. al.  BMJ 2013;347:f6276 doi: 10.1136/bmj.f6276 (Published 25 October 2013)
 
- この文献を選んだ背景 -
 認知症の家族を介護している介護者が精神的にダメージを受けるケースをよく経験する。今回、認知症の家族を介護する介護者のメンタルヘルスに関する論文を読んだので共有する。

- 要約 -
【目的】
 manual based coping strategy programmeが通常の治療と比較して、認知症の家族を介護している介護者のうつ、不安症状を軽減するかどうかを評価する。
【デザイン】
 Randomised, parallel group, superiority trial.
【セッティング】
 英国(ロンドンとエセックス)、Three mental health community services and one neurological outpatient dementia service
【参加者】 260人の認知症の家族を介護している介護者
【介入】
 manual based coping strategy programme:8回のセッションから成り、指導された心理学の専門家から提供される。認知症、介護者のストレス、感情的サポートを得る場などの精神教育、介護者の行動の理解、行動を管理するテクニック、支援がないという考えの変容、受容の受け入れ、自らの意見の主張、relaxation、将来のプランニング、楽しい活動の増加、スキル学習の維持など。これらの事を自宅でマニュアルを使いながら、relaxation CDを聞きながら学ぶ。
【Main outcome measures】
 4ヶ月後と8ヶ月後の症状 (hospital anxiety and depression total score)
<Secondary outcomes>
・depression and anxiety caseness on the hospital anxiety and depression scale;
 介護者のQOL:health status questionnaire, mental health
 要介護者のQOL:quality of life-Alzheimer’s disease
 介護者から要介護者への潜在的な虐待行為:modified conflict tactics scale
【結果】
 260人の介護者が選ばれた(Figure)。ランダムに173人が介入群、87人が通常の治療群に割り付けられた。
 8ヶ月後のhospital anxiety and depression total scoreは介入群が通常の治療群と比較してより低かった(adjusted difference in means −1.80 points (95% confidence interval −3.29 to −0.31; P=0.02) 
)(Table5)。
 うつのケースが介入群で低かった(odds ratio 0.24, 95% confidence interval 0.07 to 0.76) (Table5)。
 介護者のQOLが介入群で高かった(difference in means 4.09, 95% confidence interval 0.34 to 7.83) (Table5)。
 介護者から要介護者への潜在的な虐待行為の報告は介入群で少なかった(odds ratio 0.47, 95% confidence interval 0.18 to 1.23) (Table5)。
【結論】 
 manual based coping strategy programmeが認知症の家族を介護している介護者の不安やうつに対して効果があり、介護者のQOLを改善させている。

- 考察とディスカッション -
 認知症の家族を介護している介護者への支援プログラムが有効である事が改めて示された。寿都町では、町役場の保健師が中心となって定期的に家族会を開催しているが、今回の論文のような体系だったプログラムでの支援ではない。今後、このような支援プログラムを作成するかは議論の余地があるが、皆さんの地域の状況はいかがでしょうか? 

開催日:平成25年12月11日

長期療養患者に対する遠隔ヘルスケアの費用効率

- 文献名 -
 C. Henderson et al. Cost effectiveness of telehealth for patients with long term conditions (Whole Systems Demonstrator telehealth questionnaire study): nested economic evaluation in a pragmatic, cluster randomised controlled trial. BMJ 2013; 346:f1035

- この文献を選んだ背景 -
 先日、英国での家庭医療視察報告を聞き、電話での医療相談がごく一般的におこなわれていることを知った。適応を正しく定めれば、移動や待ち時間等の負担軽減や医療者の業務軽減、医療費削減につながる診療方法ではないかと感じた。そんな中、遠隔医療の費用効果を検証した研究を見つけたので、紹介する。

- 要約 -
【目的】
標準的な外来治療・支援と、それに遠隔ヘルスケア(電子ヘルスケア、telehealth)を加えた場合の費用/費用効果を検証する

【デザイン】
pragmatic, cluster randomised controlled trial に含まれた経済的評価

【セッティング】
英国の3つの地方自治体での、地域密着型遠隔ヘルスケアによる介入

【参加者】
3230 人の慢性疾患患者(心不全、COPD、糖尿病)が2008年5月から2009年12月までWhole Systems Demonstrator 遠隔ヘルスケア試験に採用された。 受容性、効果、費用効果を検証した同試験の参加者のうち、845人を遠隔医療、728人を通常医療に無作為に割り当てた。

【介入】
参加者は自分の地域で利用可能な標準的ヘルス/ソーシャルケアに加え、遠隔ヘルスケアの設備一式を受け取り、モニタリングサービスを12ヶ月間受ける。

【主要評価項目】
費用効果分析のプライマリ・アウトカムは、得られた質調整生存年(QALY)毎の増分費用効果とした。

【結果】
私達は、965人の参加者(534人が遠隔ヘルスケア、431人が通常のケアを受けていた)の費用とアウトカムの純利益分析から始めた。12ヶ月後の2群間のQUAYの調整平均差は0.012だった。介入前の3ヶ月間のヘルス/ソーシャルケアの総費用(介入の直接経費を含む)は、遠隔ヘルスケア群と通常医療群でそれぞれ、1390ポンド(1610ユーロ、2,150ドル)と1,596ポンドだった。費用効果の閾値分析(the analysis surrounding the value of the cost effectiveness threshold)における決断の不確実性を検証するため費用対効果受容曲線(cost-effectiveness acceptability curve)を算出した。一般的なケアに遠隔ヘルスケアを加えた時の質調整生存年(QALY)毎の増分費用効果は92,000ポンドだった。この値では、費用効果の可能性は低い。(支払いを希望する最高額が30,000ポンドの場合11%で、50%以上になるためには90,000ポンド以上にならなければならない。)装置の価格が80%低下するか遠隔ヘルスケアサービスを最大限に利用したと想定すれば、感度分析において遠隔ヘルスケアは通常ヘルスケアに比べわずかに高くなる(有意ではないが)。しかし、最も楽観的なシナリオ(装置の価格が80%低下し、遠隔ヘルスケアを最大限利用している)でも、この群の差異は示されなかった。(費用効率 12,000 £/QALY)

【結論】
 一般的ケアに加え遠隔ヘルスケアを使用した患者のQALYは一般的なケアのみを受けている患者と変わらず、遠隔ヘルスケアによる治療介入に関わる総費用はより高額だった。遠隔ヘルスケアを標準的な外来治療・支援に加えることに費用効果はなさそうである。

- 考察とディスカッション -
 これまでにも遠隔ヘルスケアに関する研究はいくつかおこなわれているが、アウトカムと費用の関連を検証した研究はほとんどなかった。費用軽減に繋がることを示唆する研究もあるが、質の高い研究デザインに基づいておこなわれていない。遠隔ヘルスケア利用により急性期ケア受診率が下がることを示した研究はあるが、プライマリケア外来における利用についての研究はほとんど無かった。本研究の結果は、筆者の予想に反し現時点での遠隔ヘルスケアの有用性を否定するものだったが、今後、遠隔ヘルスケアシステムの改良やコスト軽減が進むにつれこの結論が変化していく可能性はあると考える。

開催日:平成25年12月11日

新型うつ病

- 文献名 -
 「新型うつ病のデタラメ」 中島聡

- この文献を選んだ背景 -
 最近産業医活動の一環として産業医として関わっている企業の職員に対してうつ病レクチャーを実施した。その中で新型うつ病について総務や管理職の方から質問が多く見られた。これまで新型うつ病について勉強する機会がなかったため、上司に相談したところ本書を紹介された。

- 要約 -

 本書は一般向けに書かれた書籍であるが、新型うつ病を理解する上で非常に役に立つとのことで上司の精神科医である友人から推奨された書籍であった。内容は新型うつ病と従来のうつ病(内因性、メランコリー親和型うつ病)を比較し新型うつ病と従来のうつ病の違いと新型うつ病に対する筆者の対応が記載されている。筆者は精神科医としてキャリア33年、1996年から沖縄で精神科クリニックを開業している。本書では最近新型うつ病の患者が増えてきており社会問題になっていることを指摘している。
いくつか重要と思われた箇所を以下に抜粋する。

①新型うつ病の臨床経過

・症例1:40歳男性、市役所職員、ガス関係の技術者で10年間勤務していたが畑違いの公園管理科に転属になりそれを期に仕事を休みがち、気分の落ち込みを訴え受診した。「夜は行こうと思うが、朝になるといいや休んでしまえという気持ちになり休んでしまう」とのことで休職の診断書を希望。理由を尋ねると「行きたい気分になれないから」と述べる。診断書を発行し4ヶ月休職後、異動の確約をもらい復職し異動したが、その半年後また仕事に行けなくなったと受診。希死念慮も出現し上司に相談したら休んだ方が良いと言われたとのこと。1ヶ月の休職診断書を発行し再び休職し、休職が決まったときはやったーという気分だった。その後も復職と休職を繰り返すようになり、「ずっと休んでいたい」と訴えるようになった。出社するように促すと「アルコール漬けになっているから内科に入院して食生活を整えたい」と訴えるようになった。アルコール専門の精神科による治療を勧めると受診しなくなり終診となった。薬物療法として抗うつ薬と抗不安薬および睡眠薬を用い、また2週間に1回の臨床心理士によるカウンセリング(支持的性格のもの)も行った。

②従来のうつ病(内因性、メランコリー親和型うつ病、大うつ病)の臨床経過

・症例2:41歳女性、独身、事務職として長く勤務している。1ヶ月前から特にきっかけなく「イライラして、気分が滅入り、集中力もなくなっている、食欲もなく1ヶ月で体重が3kg減った、夜も寝れない」とのことで受診。「仕事をやりたくない」という気持ちはないが、「人とはあまり会いたくなくテレビ新聞はあまり見る気になれない。普段の感じとは全く違う」とのこと。元々の性格は「きちんきちんとやらないと気が済まない」タイプ。軽いうつ病ですと伝えしっかりとした休息と服薬が必要であることを話し、抗うつ薬と抗不安薬、睡眠薬を処方。1週間後非常に明るい表情で「もう治っている感じです。食欲もでてきた」との反応。その後も経過良好で半年ほどで内服通院中止となった。

③新型うつ病と従来のうつ病の違い

・従来のうつ病(内因性、メランコリー親和型うつ病、大うつ病)の核となるのは症状の異質性、経過の異質性、医師患者関係の異質性の3つである。

・症状の異質性には「生気的悲哀」と「悲哀不能」がある。「生気的悲哀」とは心的というより、むしろ身体的なものとして感じる悲哀感であり、しばしば頭の重苦しさや胸のもやもやした圧迫感など体に局在する憂うつ感として訴えられる。「悲哀不能」とは単なる気分の落ち込みではなくむしろ悲しむ事も喜ぶこともできないような感情が全面的に遮断された状態。

・経過の異質性には「了解不能」という異質性がある。これがなくストレス的な出来事からそのまま「なるほど、そういう状況ならひどく落ち込んでも無理はないだろう」と了解できるようなものはうつ病ではない。途中まではかなり了解出来るものであっても経過をよく見ればどこかに、たいていは発症に至る最後のところに「それにしてもどうしてここまで」あるいは「それにしてもどうして球に」と感じさせるような不連続がある。

・医師患者関係の異質性:うつ病患者の悲哀は了解不能である。うつ病ではなく抑うつ体験反応の人の悲しみは、聞いていて自然に感情移入でき、こちらも気の毒になるようなことが普通だが、うつ病患者の悲しみはどうにもついて行けないと感じられるような性質がある。

・新型うつ病とは逃避的な傾向によって特徴づけられる、抑うつ体験反応である。

・精神科医の中でも新型うつ病の位置づけは議論されているところで時に身体的不定愁訴の中に生気的悲哀感のような訴えが混じることがあることを根拠に新型うつ病は内因性の軽症うつ病であるという主張もある。しかし筆者は新型うつ病に見られる異質性はあまりにも弱く異質性とは言えないと主張している。

④新型うつ病がもたらした社会的弊害

・休職のための診断書:新型うつ病は復職が近づくと「また落ち込みが強くなってきた、不安になってきた」など症状が強くなり休職診断書の更新を希望する場合が多い。十分に回復するまで復職させないとなると本人に治療意欲が高い場合は問題ないが、そうでない場合は疾病利得につながってしまいいつまでも休職を続ける事になりかねない。休職中も復職出来るようにしっかり気持ちの準備をするように促し、ある程度以上症状が強い場合は別だが、単に症状がなくなっていないから、本人が希望するからといって安易に更新しないことも治療的配慮として必要。

・傷病手当金のための診断書:休職しても給料の6割を受け取ることが出来る。症状が固定している必要はなく、その時期に就労出来ない状態であったかがポイント。とくに新型うつ病の場合、病気の影響と自己責任の判別をしっかりする必要がある。本書の例では「自分の好きなことがやりたいので、夜ついパソコンでいろんなサイトを見たりゲームをしてしまう。それで朝眠い。夜になって仕事に行かなかったことを反省する」という場合は診断書発行していない。

・しばしばもらえる障害者年金:障害を残す疾患やけがの結果初診から1年半以上経過して、症状固定した場合に国から支給される年金。従来型のうつ病で遷延化し症状固定するものは15%前後、新型うつ病で障害が固定することはまずあり得ない。

開催日:平成25年12月4日

より効率的に仕事をこなす7つの戦略

― 文献名 ―
 [ 7 strategies for creating a more efficient practice]
 Fam Pract Manag.2007 sep;14(8):27-30   http://www.aafp.org/fpm/2007/0900/p27.html

― 要約 ―

Simple, low-cost technologies and strategic outsourcing have helped this solo physician practice efficiently, even without any staff.

It’s an ultra-solo, no-staff ideal medical practice, also known as a micro practice. Low over-head allows me to see fewer patients per day and spend more time with them, but it also requires that I optimize efficiency in order to accomplish all of the administrative tasks on my own.

I discovered one of the most delightful aspects of a micro practice: its responsiveness to change. When I decide to change something, it simply gets done. No one needs to be convinced or trained. The results are immediate and dramatic.
I’ve listed below the changes that were the most helpful in my workflow redesign:

1. Offer online appointment booking.
 I use http://www.appointmentquest.com . When patients want to make an appointment, they simply go to my Web site and follow the prompts. It saves them and me lots of phone time.

2. Delegate history-taking to patients. 
 In September 2006, I started using Instant Medical History (http://www.medicalhistory.com), which allows patients to enter their own history into their chart. 

3. Use free tools to measure how you’re doing. 
 How’s Your Health? (http://www. howsyourhealth.org) is a free online tool that collects patient-entered data regarding their health status and their perceptions of the care they have received, and it provides a sum
mary to the patient and to the doctor.

4. Use e-mail to convey laboratory and X-ray results to patients.

5. Don’t be afraid to let the answering machine pick up. 
During office hours, my message machine states, “I am currently with a patient or otherwise unable to get to the phone; please leave a message and I will call you back as soon as I can.”

6. Use electronic billing.

7. Hire a poster/biller. 
I gave up on the pure ultra-solo/no-hired-help model, mostly because I hate posting and billing.

While my practice is by no means perfectly efficient, the above changes have made my practice sustainable over the long haul. Even if you are not planning to open your own micro practice, many of the above changes in workflow and processes are applicable to any practice setting.
For those interested in practice transformation via the ideal medical practice model, join the online discussion group “practiceimprovement1″ at http://www.groups.yahoo.com. It will connect you with like-minded physicians and give you information on how to nudge, nurture and shape your practice as it evolves to its truly “ideal” form.

開催日:平成25年11月13日

TPPと医療問題

― 文献名 ―
 池上彰の学べるニュース アベノミクス、TPP編
 池上彰 海竜社 2013.6

 ― この文献を選んだ背景 ―
  東区の医師会で、医療政策委員会の役員となった。毎月東区支部役員会に参加しているが、話題の一つとしてTPPへの参加の是非についてがある。日本医師会としては反対の声明を出しているが、正直TPPとは何か、TPPの反対論からの意見はあるが賛成側の意見にはどのようなものがあるかが見えなかったため、一度TPPとは何かについて勉強するべきと思い、あえて医療とは関係のないTPPの中立的な意見のありそうな本書を選んだ。

 ― 要約 ―
 
TPPとは?TPPの目的は?

・TPP(Trans-Pacific Partnership:環太平洋パートナーシップ協定)とは、太平洋に面した国々で結ぶ貿易協定である。目的は、TPPに加盟する国々の中で自由貿易を進めてそれぞれ経済を発展させよう、ということ。具体的には、加盟する国々の間の関税をなくすことである。

FTA・EPAとTPP
・今までも関税をなくしたり減らしたりする話合いは当事者である2カ国間で行われてきた。FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)は主に物品を対象に、EPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)は物品に加えて、サービス、人の異動、投資、知的財産などもっと幅広い分野を対象に規制をなくす協定である。
・現時点で日本が結んでいるEPAは13カ国である。ちなみにチリ産ワインへの関税は欧州産ワインの約1/3となり(2012年)、インドネシアやフィリピンとEPAを結んだ結果、両国から日本に看護しや介護福祉士の資格をとりたいという人が来るようになった。日本はこうした2国間のEPAから、今度は多国間のEPAに参加しようとしている。それがTPPである。

世界の貿易の歴史
・第二次世界大戦後の1948年に23カ国で発足し、日本は1955年に加盟したGATT(関税と貿易に関する一般協定)は、戦争への反省から生まれた協定である。自由貿易をやめたことが間違いだったという反省が背景にある。
・1929年に大恐慌が起きると、どこの国も自分の国の産業を守ろうとして関税を引き上げた。これが保護貿易である。しかしこれで世界の物流がストップしてしまい、各国が資源を求めて争い、第二次世界大戦の一因になったと言われている。そこで戦後、自由な貿易を広げて世界経済が発展していけば、戦争を少しでも減らすことができるのではないか、という考え方から自由貿易を基礎とするGATTが生まれ、その後次々と参加する国が増え、1995年、GATTをもとにWTO(世界貿易機関)が設立された。
・しかしWTOには加盟国が増えすぎ(現在159カ国 ※国連加盟国193カ国)、各国の利害が対立し意見がまとまらなくなった。そのため合意までに時間がかかり、話がつく国同士で自由貿易をしようという動きがでてきた。それが2国間のFTAやEPA、さらには地域ごとの自由貿易協定である。
・自由貿易協定にはNAFTA(北米自由貿易協定:カナダ・アメリカ・メキシコ2)、AFTA(ASEAN自由貿易地域:ASEAN諸国10カ国)、EU(欧州連合:27カ国)などがあり、太平洋周辺の国々で作ろうとしているのがTPPである。

TPPの現状
・TPPは2006年、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国で始まり、2010年にアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが加わった。日本でも当時の菅直人総理が2010年10月に交渉参加を検討すると表明したが、国内での反対が多く交渉参加には至らなかった。ところが日本の動きを知ったメキシコとカナダが、経済規模の大きな日本が入った場合、参加が遅れたら不利になると考え2012年に交渉参加開始。結果として日本は立ちおくれてしまった。
・2013年3月、安倍首相がTPP交渉参加を表明したが、後から入った国が決まったルールを覆すのは難しく、通常参加するまではそれまで決まっていることを教えてもらえないため、ふたを開けたら日本に不利なことが決まっていたという可能性も十分考えられる。
・TPPで議論される分野は21分野あるが、日本がTPPに参加するのはアメリカが入っているからである。アメリカは、どんどん経済力をつけている中国を牽制するためにも中国以外のアジア太平洋の国々が対抗したいという思惑があり、アメリカから参加希望があったことも大きいと言われている。

TPP参加のメリット・デメリット
・TPPで貿易が自由化されると、輸出産業には追い風になる。政府の試算によると、日本のGDPは今後10年間で3.2兆円増加する。消費者側としても、関税が低くなることから毛皮や革靴、果物なども安くなる。また、知的財産の権利保護で海賊版の取り締まりもできるようになる。
・しかし、一方で食の安全性としてアメリカでは遺伝子組み換え食品に表示義務がなく、食品添加物の安全性にも問題が残る(認められている食品添加物 日本:653種類、アメリカ:約1600種類)。

TPPと医療問題
・TPPでは混合診療がアメリカで行われているため、TPPに参加した場合には混合診療解禁が求められる可能性がある。日本医師会としては、海外で流通する新しい薬が使用できるようになることや混合診療によって高度な治療が受けられるかもしれないが、自由診療によって貧富の差による医療の偏在化がおこる可能性があるため猛反対している。また、資本力のある海外の病院が入ってきて小さな病院がつぶれる可能性があること、混合診療が入ってくることにより保険のきく治療範囲が狭くなる可能性もあり、国民皆保険制度が撤廃させられる懸念があることもあり、反対の立場をとっている。

TPP交渉の今後の3つの課題
・遅れて参加する日本には①過去の交渉内容が見られない、②残された交渉の機会がすくない、③決定事項を覆せない可能性 があり、日本政府は「聖域」を守り、3つの課題をクリアし国民に有利な条件をどれだけ他の国々に要求できるかが課題である。

開催日:平成25年11月20日

後期研修における形成評価の手段としてのWorkplace based assessment(臨床現場における学習者評価)

【文献名】 
著者名:John Norcini and Vanessa Burch
文献タイトル:Workplace-based assessment as an educational tool
雑誌名・書籍名:AMEE guide No.31 Medical Teacher 2007 855-871
発行年:2007

【この文献を選んだ背景】
 この2年をかけて、HCFMは後期研修プログラムの目標や評価システムを大幅に改正中である。その目的の一つとして、個性やそれまでの経験が異なる一人一人の後期研修医に合わせた評価を的確に行い、その人に合わせた成長をサポートすることがある。
 そのためには、後期研修期間中の研修医に対する評価は欠かせない。そして、評価の中でも、日々の臨床業務での研修医の実際のパフォーマンスを評価する「WBA(Workplace-based assessment)」がこの10年で世界的にも着目され、研究が進んできた。我々も今後の後期研修の中でこのWBAを形成的評価(=試験して落とすためではなく、研修医にフィードバックし成長を促すための評価)の方法として取り入れようとしている。
 今回は、WBAの具体的なツールにどのようなものがあり、それぞれの特徴、限界はどうなのかについて、勉強し直したため、共有することとした。

【概要】
この文献は5つの側面に焦点を当てている。
 1形成的評価とフィードバックの有効性と頻度の文献レビュー
 2各論的な頻用されるWBAの手法について
 3形成的評価において有用なフィードバックの特徴
 4指導医を参加させ、能力を向上させる為の戦略
 5形成的評価を日々の臨床に取り入れる際の困難な側面  

今回のジャーナルクラブでは主に2に焦点を当てて紹介する。

【形成的評価の手法】p858
・この10年で様々な形成的評価のための手法が開発された。以下の7つを概観する。
①Mini-Clinical Evaluation Exercise(mini-CEX)(Figure1)
 ・指導医観察の下、学習者が臨床上のタスクを行う(問診⇒身体診察⇒診断⇒マネージ)
 ・外来・入院・ERのどれでもよいし、初診でも再診でもかまわない。また、症状の評価でも疾患の評価でも問題ない。
 ・原著では、9点満点(1-3 unsatisfactory, 4-6 satisfactory, 7-9 superior)として問診技術、身体診察、プロフェッショナリズム、臨床判断、カウンセリング、全体構成と能率、全体の能力について評価がなされることとなっている。
 ・この評価手法の最大の目的は構造化したフィードバックを観察に基づいて行うことである。大まかに15分の面接を観察し、5?10分のフィードバックを行う。
 ・学習者は、研修期間中に、異なる臨床状況で、異なる指導医に評価されることが望ましい
 ・この手法は、十分にサンプリングを行えば、信頼性のある手段であることが示されている(大まかに4人の事例があれば、95%信頼区間が1以下となり、0.8以下の信頼性coefficientには12?14事例の評価が必要である)
 ・様々なエビデンスによってmini-CEXの妥当性も示されている。例えば卒後の文脈であればITE筆記試験やルーチンの指導医によるratingとよく相関する。
 ※卒前の文脈でも利用でき、妥当性もコミュニケーションスキルなどで示されている(観察+フィードバックの時間は合計して30?45分とやや長めとなる)。

②Clinical Encounter Cards(CEC)
・カナダのMcMasterで開発され、他の環境でも実践されている。
・miniCEXと評価項目は類似であるが、6点評価であり、卒前の文脈のようである

③Clinical Work Sampling(CWS)
・臨床医のみでなく、看護師・患者によるratingが付け足された評価手法。

④Blinded Patient Encounters(BPE)
・卒前のベッドサイドにおける教育に用いられる評価手法

⑤Direct Observation of Procedural Skills(DOPS)(Figure2)
・臨床下での手技の直接観察評価のために用いられる。
・6点評価で、1-2が標準以下、3が境界、4が標準、5-6が標準以上である。
・直接観察は15分、フィードバックは5分にて行う。
・研修コースの中で学習者は実践頻度が高い手技を提示され、それについて複数の指導医から複数回観察を受けるようにする。

⑥Case-based Discussion(CbD)(Figure3)
・学習者は2人の患者のカルテを選択し、評価者にプレゼンテーションする。評価者はそのうちの一つをディスカッションするケースとして選び、ケースの2つ以上の側面(臨床アセスメント、精査と紹介、治療、フォローアップと今後の計画、プロフェッショナリズム)について深めて行く。カルテもその場にあるため、カルテ記載も同時に評価する。
・clinical reasoningの評価を行い、実際の臨床現場での意思決定のうらにある根拠を評価することが目的である。大まかに20分以下の評価として、そのうち5分のフィードバックを行う。学習者は研修期間の間に異なるケースについて異なる評価者から評価を受ける。
・CbDはその妥当性を示唆する研究がいくつかある。救急医の免許更新における研究などがそれである。その一つとして、ボランティアの医師と、臨床に問題のある医師を両方まぜて、CbDで評価した結果、その両者を鑑別できたという研究がある。

⑦MultiSource Feedback(MSF)
・360度評価とも言われるが、構造化された質問紙を用いて多くの関係者からパフォーマンスのデータをあつめ、個々の学習者へフィードバックする手法である。全ての評価は直接観察のもとではあるが、上記6つと異なるのは「日常のパフォーマンス」を思い出して記載するところである。
・多くのフォーマットがあるが、mini-peer assessment tool(mini-PAT)はその良い例であり、UKでのFoundation Programmeで用いられている。そこでは学習者が8人の評価者を指導医、ジュニア、看護師、他の医療専門職から選択する。それぞれの評価者が構造化した質問紙を渡され、プログラム中枢部に送る。また学習者自身も同じ構造化質問紙を用いて自己評価を行う。
・評価のカテゴリーはよい臨床ケア、臨床実践の維持、教育と訓練、患者との関係性、同僚との業務、全体評価、である。
・この質問紙は集計して個別フィードバックを用意する。データはグラフとして、学習者を評価した人の平均点と国での平均点が示される。全てのコメントは逐語録として残されるが、匿名化される。学習者は教育者とこの結果を見て、今後の行動計画を立てる。このプロセスは研修期間中に年に2回行われる。
・MSFは卒後や現場の医師の評価にも応用されている。Sheffield Peer Review Assessment Tool(SPRAT)がfigure4にあり、実現可能性と信頼性が示されている(※先日ジャーナルクラブで扱ったものです)。また一緒に仕事をした期間などのバイアスの影響も受けないようである。信頼性を保つ為には8-12人による評価が必要である。

注釈
形成的評価;学習者が更にのびることを目的として行う評価のこと。点数をつけて合格・不合格とする評価ではなく、改善の為の提案や指導を行うことが主目的。
妥当性=測定したいと思っているものを測定できているかどうかの指標
信頼性=誰が行っても同じような結果がでるかの指標

【開催日】
2012年10月24日

Short-Term and Long-Term Health Risks of Nuclear-Power-Plants Accidents

― 文献名 ―
 John P. Christodouleas, M.D., M.P.H., Robert D. Forrest, C.H.P., Christopher G. Ainsley, Ph.D., Zelig Tochner, M.D., Stephen M. Hahn, M.D., and Eli Glatstein, M.D. N Engl J Med 2011; 364:2334-2341

 ― この文献を選んだ背景 ―
 Many foreigners asked me about Fukushima nuclear accident when I attended in WONCA 2013 in june this year. Their questions were mainly about the present situation, risks of health problems, contamination of seawater, and what we are doing for the situation. To none of them, I couldn’t answer clearly. It is true that we don’t have enough information about this problem, but I realize that I must learn more about this problem as a health care provider, and as a Japanese.

 ― 要約 ―
MECHANISMS OF EXPOSURE

Reactor Accidents and the Release of Radioactive Materials


In the event of an accident, the primary concern is that the support structure (core) containing the fuel and the fission products may become damaged and allow radioactive elements to escape into the environment. When the core cooling system damaged, the reactor core and even the fuel itself can partially or completely melt, which results in explosions within the reactor, dispersing radioactive material.

In the partial meltdown at Three Mile Island, a minimal amount of radiation was released, has not yet led to identifiable health effects. On the other hand, in Chernobyl, the explosions and the subsequent fire sent a giant plume of radioactive material into the atmosphere, resulted in 28 deaths related to radiation exposure in the year after the accident. The situation at Fukushima will probably end up ranking between these two historical accidents in terms of radiation releases and health consequences.

Types of Radiation Exposure

Human radiation exposure as a result of reactor accidents is generally characterized in three ways: total or partial body exposure as a result of close proximity to a radiation source, external contamination, and internal contamination. Internal contamination occurs when fission products are ingested or inhaled or enter the body through open wounds. This is the primary mechanism through which large populations around a reactor accident can be exposed to radiation. 
Reactor accidents can release a variety of radioisotopes into the environment. The health threat from each radioisotope depends on an assortment of factors ( e.g., half-life , gaseous, substantial quantities , tendency to settle on the ground) . The release of radioactive water into the sea at the Fukushima plant has resulted in an additional route whereby the food chain may be affected, through contaminated seafood.

CLINICAL CONSEQUENCES OF RADIATION EXPOSURE


Type of Radiation and Dose Rates

At a molecular level, the primary consequence of radiation exposure is DNA damage. The clinical effect of radiation exposure will depend on numerous variables, including the type of exposure, the type of tissue exposed, the type of radiation, the depth of penetration of radiation in the body, the total absorbed dose, and the period over which the dose is absorbed (dose rate). The literature on radiation refers to dose in terms of both gray (Gy) and sievert (Sv). Radiation exposure can potentially result in short-term and long-term effects in every organ system in the body. Comprehensive reviews of the literature on radiation exposure have been produced by the International Atomic Energy Agency and the World Health Organization.

Acute Radiation Sickness and Its Treatment

When most or all of the human body is exposed to a single dose of more than 1 Gy of radiation, acute radiation sickness can occur. Much of our understanding of acute radiation sickness is based on the clinical experience of more than 800 patients who have been described in national and international registries of radiation accidents, and all 134 patients with confirmed acute radiation sickness at Chernobyl were either plant workers or members of the emergency response team.

Much of the short-term morbidity and mortality associated with a high total or near-total body dose is due to hematologic, gastrointestinal, or cutaneous sequelae. In the Chernobyl accident, all 134 patients with acute radiation sickness had bone marrow depression, 19 had widespread radiation dermatitis, and 15 had severe gastrointestinal complications. Hematologic and gastrointestinal complications are common because bone marrow and intestinal epithelium are especially radiosensitive as a result of their high intrinsic replication rate. Cutaneous toxic effects are common because external low-energy gamma radiation and beta radiation are chiefly absorbed in the skin. If total body doses are extremely high (>20 Gy), severe acute neurovascular compromise can occur. Acute radiation sickness can be categorized into three phases: prodrome, latency, and illness. (see Signs and Symptoms of Acute Radiation Sickness in the Three Phases after Exposure.)


The first step in the care of any patient who is exposed to radiation is to manage immediate life-threatening injuries, such as those from trauma or burns. The next step is to address external and internal radiation contamination, if any. Decontamination protocols are available from several sources. Once these issues have been addressed and acute radiation sickness is suspected, treatment is guided by the estimated total dose, which is determined on the basis of the initial clinical symptoms, lymphocyte depletion kinetics, and cytogenetic analyses, when available.

Patients with modest whole-body doses (<2 Gy) may require only symptomatic support for nausea and vomiting. In patients with whole-body doses of more than 2 Gy, the treatment of the consequences of bone marrow depletion is paramount. Strategies include management of infections with antibiotics and antiviral and antifungal agents, the use of hematopoietic growth factors, and possibly bone marrow transplantation. The use of bone marrow transplantation is controversial, since outcomes after radiation accidents have been poor. After Chernobyl, only 2 of the 13 patients who underwent bone marrow transplantation survived long term. Among the 11 patients who died, complications from transplantation appeared to be the primary cause of death in 2 patients. Gastrointestinal radiation sequelae are managed with supportive care and possibly with the use of prophylactic probiotics. Cutaneous radiation injuries may evolve over the course of weeks. Treatment of such lesions involves minimizing acute and chronic inflammation with topical glucocorticoids while avoiding secondary infections. Several organizations have developed detailed treatment algorithms for acute radiation sickness that are publicly available. Increased Long-Term Cancer Risks

In the region around Chernobyl, more than 5 million people may have been exposed to excess radiation, mainly through contamination by iodine-131 and cesium isotopes. Although exposure to nuclear-reactor fallout does not cause acute illness, it may elevate long-term cancer risks. Studies of the Japanese atomic-bomb survivors showed clearly elevated rates of leukemia and solid cancers, even at relatively low total body doses. However, there are important differences between the type of radiation and dose rate associated with atomic-bomb exposure and those associated with a reactor accident. These differences may explain why studies evaluating leukemia and nonthyroid solid cancers have not shown consistently elevated risks in the regions around Chernobyl.

However, there is strong evidence of an increased rate of secondary thyroid cancers among children who have ingested iodine-131. Factors that increase the carcinogenic effect of iodine-131 include a young age and iodine deficiency at the time of exposure. 
In accidents in which iodine-131 is released, persons in affected areas should attempt to minimize their consumption of locally grown produce and groundwater. However, since the half-life of iodine-131 is only 8 days, these local resources should not contain substantial amounts of iodine-131 after 2 to 3 months. On the advice of public health officials, area residents may take potassium iodide to block the uptake of iodine-131 in the thyroid. To be most effective, prophylactic administration of potassium iodide should occur before or within a few hours after iodine-131 exposure. The administration of the drug more than a day after exposure probably has limited effect, unless additional or continuing exposure is expected.

CONCLUSIONS

Because nuclear-reactor accidents are very rare events, few medical practitioners have direct experience in treating patients who have been exposed to radiation or in the overall public health response. Organizations that could be involved in either activity — because of their proximity to a power plant or their role in the health system — must put detailed algorithmic response plans in place and practice them regularly. A critical component of the response, with respect to both treatment of individual patients and interaction with the community, is clear communication about exposure levels and corresponding risk, with an eye toward widespread public apprehension about acute radiation sickness and long-term cancer risks.

 ― 考察とディスカッション ―
 We haven’t had many studies on this issue yet. The real amount of radioisotopes are still unclear, investigations are ongoing. So it’s not easy to practice EBM on this problem. But as a family physician, we have some methods to approach people there, for example, practicing PCCM and “being there”. At the same time, we should have knowledge about symptoms of radiation exposure and about prophylaxis of clinical consequences.

開催日:平成25年11月6日

地域コミュニティケア研究の一例(抗生剤処方に関して低コストキャンペーンの実現性と効果について)

― 文献名 ―
 Giulio Formoso et al: Feasibility and effectiveness of a low cost campaign on antibiotic prescribing in Italy: community level, controlled, non-randomised trial.BMJ 2013;347:f5391

 ― 要約 ―
【Objectives】 
To test the hypothesis that a multifaceted, local public campaign could be feasible and influence antibiotic prescribing for outpatients.

【Design】 
Community level, controlled, non-randomised trial.

【Setting】 
Provinces of Modena and Parma in Emilia-Romagna, northern Italy, November 2011 to February 2012.

【Population】 
1 150 000 residents of Modena and Parma (intervention group) and 3 250 000 residents in provinces in the same region but where no campaign had been implemented (control group).

【Interventions】 
Campaign materials (mainly posters, brochures, and advertisements on local media, plus a newsletter on local antibiotic resistance targeted at doctors and pharmacists). General practitioners and paediatricians in the intervention area participated in designing the campaign messages.

【Main outcomes measures】
Primary outcome was the average change in prescribing rates of antibiotics for outpatient in five months, measured as defined daily doses per 1000 inhabitants/day, using health districts as the unit of analysis.

【Results】
Antibiotic prescribing was reduced in the intervention area compared with control area (−4.3%, 95% confidence interval −7.1% to −1.5%). This result was robust to “sensitivity analysis” modifying the baseline period from two months (main analysis) to one month. A higher decrease was observed for penicillins resistant to β lactamase and a lower decrease for penicillins susceptible to β lactamase, consistent with the content of the newsletter on antibiotic resistance directed at health professionals. The decrease in expenditure on antibiotics was not statistically significant in a district level analysis with a two month baseline period (main analysis), but was statistically significant in sensitivity analyses using either a one month baseline period or a more powered doctor level analysis. Knowledge and attitudes of the target population about the correct use of antibiotics did not differ between the intervention and control areas.

【Conclusions】
A local low cost information campaign targeted at citizens, combined with a newsletter on local antibiotic resistance targeted at doctors and pharmacists, was associated with significantly decreased total rates of antibiotic prescribing but did not affect the population’s knowledge and attitudes about antibiotic resistance.

開催日:平成25年10月23日

卒前教育の家庭医療コアカリキュラム

― 文献名 ―
 HOWARD TANDETER et al. A ‘ minimal core curriculum ‘ for Family Medicine in undergraduate 
medical education: A European Delphi survey among EURACT representatives. European Journal of General Practice, 2011; 17: 217-220

 ― この文献を読んだ背景 ―
 滋賀医科大学4年生対象に弓削の森先生と6コマの家庭医療の系統講義を担当する。100名対象の講義型で、かつ6コマということでどのようなテーマが良いのかを再度検討してみたかった。
 欧州の指導医委員会(2011)とSTFM(2009)と両方が見つかったが、前者の方が利用しやすいと感じたため共有したい。
 
 ― 要約 ―
背景:
家庭医療は世界で異なる発展をしている。特にプライマリケアが整備されていない国々では、家庭医が卒後キャリアの選択肢となっていないため、家庭医療の教育が不十分である。そのような状況で家庭医療は卒前教育中に必要な臨床経験とみなされていない

目的:
短期間の家庭医療の臨床実習の”ミニマムリクアイアメント””ミニマムコアコンテント”を同定する。

方法:
欧州家庭医療/総合診療指導者委員会(Council of the European Academy of Teachers in General Practice and Family Medicine)の中の全ての欧州国家とイスラエルの代表者であり、家庭医かつ指導医である40名のグループを対象にデルファイ法を用いて実施した。
デルファイ法(岡田先生のブログより):
 元々は予測が難しい未来のことを予測するための方法最近はそれを転じて合意形成の方法としても用いられる。専門家グループなどが持つ直観的意見や経験的判断を反復型アンケートを使って、組織的に集約・洗練する意見収束技法。技術革新や社会変動などに関する未来予測を行う定性調査によく用いられる。
デルファイ法ではまず、予測したいテーマについて詳しい専門家や有識者を選んで意見を求める。得られた回答は統計的に集約して意見を取りまとめ、これを添えて同じ質問を各専門家に対して行い、意見の再検討を求める。この質問とフィードバック、意見の再考という過程を数回、繰り返すとグループの意見が一定の範囲に収束してくる。この意見集約によって、確度の高い予測を得ようというわけである。
デルファイ法はテーマと関係のない影響力を極力排除するよう配慮されている。また問題としては「専門家の定義や選出方法」「アンケート質問の適正さ」「意見一致への強要や誘導」「集約手法の信頼性や妥当性」「未来予測の限界」などが指摘される。

結果:
何周かのデルファイによって、卒前家庭医療の必要最小のコアカリキュラムの15のテーマが同定された
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1   27票 特有の医学である家庭医療の紹介、継続性・包括性・協調性という家庭医療の重要原則
2  21票 全人的アプローチ:生物心理社会モデル

3  20票 症状早期の鑑別しにくい時期のマネージメント、不確実性の扱い方

4  17票 コミュニケーションスキル:患者、患者家族、難しい患者

5  17票 複数の健康問題のマネージメント:優先順位づけ

6  17票 流行状況や発生率に基づいた意思決定

7  17票 予防・健康増進、患者教育

8  16票 患者中心性

9  16票 外来スキル:外来のステージ

10 15票 慢性疾患ケア、慢性の疾患・健康問題のマネージメント:DM,HT,CHF,肥満

11 14票 疾患の原因・ケアの資源としての家族:家族背景、家族図、ライフサイクル

12  13票 家庭医療に特徴的なヘルスケア:全年齢、男性/女性、病気を治す・予防する、救急

13  12票 コミュニティ志向:コミュニティ中心のケア、地域ニーズ評価

14  12票 家庭医療にコモンな症状

15  10票 プライマリとセカンダリーの境界:紹介、ゲートキーピング、擁護者

15は別テーマ「疾患について:診断、治療、フォローアップ、訪問診療」と同等の10票であったが、最終デルファイで上位にランクされた。

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 ― 考察とディスカッション ―
 1位、2位は納得であったが、3位のテーマは臨床的でありなるほどと思った。
 家族や地域は思ったよりも高くなく、日本での教育も外来診療のためのスキルを重視しても良いかもと感じた。ただVer1.0との違いも目立たず、日本の家庭医療の後期研修目標に沿った卒前教育が良いかもとの確信も得ることが出来た。

開催日:平成25年10月25日