ニキビの最新ガイドライン(カナダ)

-文献名-
Y Asai MD MSc, A Baibergenova MD PhD, et al. Management of acne: Canadian clinical practice guideline. Canadian Medical Association Journal. 2016, 188(2) : 118-126

-要約-
Introduction
・ニキビは12-24歳の85%が経験する
・精神的ストレスや瘢痕をもたらしQOLを低下させる恐れがある
・ニキビの性状は複数の段階に分けられる(Figure 1)
・前回のカナダのガイドラインは2000年のもの
 →エビデンスに従った新しい指針が必要
・3つのカテゴリーに関して記載していく
 A:comedonal acne(面皰)
  - closed comedones(閉鎖面皰):白色
  - open comedones(開放面皰):grey–white
   毛孔の完全/部分閉塞と皮脂の貯留による
 B・C:mild­to­moderate papulopustular acne(炎症性座瘡)
    表層の炎症が見られる
 D・E:severe acne
   膿疱や結節を伴い、深く組織障害を起こす
   レアなタイプ:conglobate acne(集簇性座瘡)
松島先生図①

<GLの対象でないもの>
neonatal, infantile and late­onset acne; acne fulminans; acne inversa (hidradenitis suppurativa); and acne variants such as gram­negative folliculitis, rosacea, demodicidosis, pustular vasculitis, mechanical acne, oil or tar acne, and chloracne.

・European evidence-based guideline for the treatment of acne (2012)(ES3)に内容を合わせるようにしている
 ※2016も出ているようですが有料

Method
・Guideline panel composition
 運営委員会(C.L. and J. Tan)が選抜 他には地域の代表や疫学と皮膚科のエキスパート(Y.A. and A.B.)も
・Guideline development
 AGREE IIに準拠 適応についてはADAPTE frameworkに従う
 2007〜2013年のシステマティックレビューの中から5つ選抜(ES3とマレーシアのは質が高い)
 2010.3〜2013.3の文献を検索した 出版前に追加で2015.7までの文献を調べた
 クライテリアに合致したものを2人のレビューアー(Y.A. and A.B.)が評価
 Grade A, B, Cに評価しエビデンスレベル1-4を決めた
 出てきた推奨をパネルディスカッションした
 blinded online Delphi processで決定
・Stakeholder review
・Mitigation of competing interests
 Valeant, Galderma, Cipher, Bayer and Mylanの援助あり
 バイアスを受けないよう工夫した

Recommendations
・アルゴリズム(Figure 2)を掲載
・full guidelineはAppendix 4参照
・面皰のみに関するエビデンスはなかったため、軽症の炎症性座瘡の結果を元にしている

◎comedonal acne
外用薬が基本
・レチノイド(一般名 アダパレン,商品名ディフェリンゲル)
  ・benzoyl peroxide(BPO):過酸化ベンゾイル(商品名: ベピオゲル)
 ※カナダではOCTとして販売
・レチノイド+BPOまたはクリンダマイシン

乾燥肌や刺激に弱い肌にはクリームやローションを
脂っぽい肌にはゲルを

効果不良の場合、女性では経口避妊薬の併用も検討する
松島先生図②

松島先生図③

◎mild­to­moderate papulopustular acne(限局性)
・BPO単独
・レチノイド
・併用

◎severe acne
・経口抗菌薬の併用
 テトラサイクリンorドキシサイクリンを推奨
 ミノサイクリンはdrug-induced lupusやhepatitisのリスクが上がる
 ただし耐性菌の誘導には気をつけなければならない
・女性の場合は経口避妊薬の併用も検討
・経口イソトレチノイン(日本では未承認)
 催奇形性があるので避妊を!

Implementation
5年以内に改定する予定

Gaps in knowledge
・体幹の座瘡への有効性のエビデンスがない
・minimal effect sizeがはっきりしない
・座瘡の重症度の国際的標準が決まっていない
・QOL低下に対する補助療法(心理療法など)の知見がない
・耐性菌を防ぐために抗菌薬内服期間をどれくらいにすればいいのか決まっていない
・よく使われている治療(erythromycin–tretinoin、spironolactone、isotretinoin)の効果

Conclusion
早期発見、早期治療により、瘢痕などの後遺症を防げる。

【開催日】
 2016年9月7日(水)