ワクチン接種におけるプライマリ・ケアの歴史的役割とCOVID-19予防接種プログラムにおける潜在的役割

―文献名―
Leah Palapar, et al. Primary Care Variation in Rates of Unplanned Hospitalizations, Functional Ability, and Quality of Life of Older People. Ann Fam Med. Jul-Aug 2021;19(4):318-331.

―要約―
【目的】
COVID-19のパンデミックの回復には、感染検査、免疫判定、ワクチン接種のための広範で協調的な取り組みが必要となる。いくつかのCOVID-19ワクチンが登場したことで、全国的にCOVID-19の予防接種を普及させ、提供することに懸念が生まれている。これまでの予防接種の実施パターンから、国民全員に予防接種を行うための包括的で持続可能な取り組みの重要な要素が見えてくるかもしれない。

【方法】
2017年のMedicare Part B Fee-For-Serviceデータと2013-2017年のMedical Expenditure Panel Surveyを用いて,予防接種の提供を提供者のタイプ別に列挙した。これらのサービスの提供は,サービス,医師,および訪問レベルで検討した。

【結果】
2017年のMedicare Part B Fee-For-Serviceでは,予防接種のサービスを提供しているのはプライマリ・ケア医が最も多く(46%),次いで集団予防接種者(45%),そしてナースプラクティショナー/フィジシャンアシスタント(NP/PA)(5%)の順であった(Table.1)。2013-2017年のMedical Expenditure Panel Surveyでは、プライマリ・ケア医が予防接種のために最も多くの診療を行っていた(54%)(Table.2)。

【結論】
2012年から2017年の間に、プライマリ・ケア医は、高齢者を含む米国の人々に予防接種を提供する上で重要な役割を果たしている。これらの知見は、米国における今後のCOVID-19の復興と予防接種の取り組みにおいて、プライマリ・ケアの診療がワクチンのカウンセリングと提供の重要な要素となる可能性を示している。

【考察】
歴史的に見て、プライマリ・ケアの診療所はワクチンの提供において重要な役割を果たしてきた。多くの患者がプライマリ・ケアの診療所でワクチン接種を受けているので、COVID-19の予防接種の普及と提供には、同じ診療所が重要な役割を果たすかもしれない。新しいワクチンは、他のワクチンに比べて、ワクチンに対する躊躇、誤った情報、拒否などに直面する可能性がある。プライマリケア医は、信頼できる医療情報源とみなされることが多い。プライマリ・ケア医は、実際にワクチンを提供することに加えて、ワクチンのカウンセリング、地域社会の信頼構築、COVID-19ワクチンに関する科学的知識の供給源として、さらに重要な役割を果たしていると考えられる。プライマリ・ケア医は、患者がCOVID-19検査や免疫判定の結果を解釈したり、ワクチンに関する質問に答えたりするための臨床指導を行うことができる。プライマリ・ケアは、予防接種のカウンセリングやワクチンの提供において歴史的に重要な役割を果たしてきたことから、公衆衛生機関や地域の医療機関と協力して、COVID-19の回復に向けた早急かつ持続的な保健活動を行うことが不可欠である。

【開催日】
2021年9月8日(水)