小児期に養子縁組された成人患者の満たされていないヘルスケアニーズ:洞察と提言

-文献名-
Julia L. Small, Kasia Dillon, Jade H. Wexler,et al. Unmet Health Care Needs of Adult Patients Adopted in Childhood: Insights and Recommendations. The Annals of Family Medicine. 2025; 23 (6) 488-499.

-要約-
この文献を選んだ背景

浅井東に来てから「養子なのかな?」と思う症例があったが、うまく応答できず驚きを表現してしまったことがあった。
養子縁組ではないが、近くの自立支援ホームで暮らす子供たちが最近何人か当院を受診している。同行した施設スタッフを母親・父親と誤認することも散見され、どうしたものかなと思っていた。
annals of family medicineで最近の論文を眺めていたところ、目に留まったので選んだ。
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要約
小児期に養子となった人が、成人期に直面する医療上の課題と医師-患者関係について検討した。
米国在住の成人養子を対象にオンライン調査を実施した。調査には養子縁組に対するアイデンティティ、医療アクセス、家族歴へのアクセス、養子であることを明かした時の臨床医の反応、医療においての優先事項とそれに対する医師の対応などが含まれる。
データは記述統計及び多変量ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。
対象者は204名で、多数が医療従事者の養子縁組に対する知識不足の指摘や差別経験を報告した。こうした医療者の否定的な態度を「時々」経験した養子縁組者は、ほとんどまたは全く経験していない者と比べて、医療受診を遅らせたり医師を変更したりするオッズ比が7倍以上だった。
質的データの分析により、5つのテーマが特定された
1医療従事者は養子縁組を生涯にわたる医療的課題として認識し対応すべきである
2家族歴へのアクセス制限が養子縁組者のケアに悪影響を及ぼす
3養子縁組者は遺伝子検査を通じて自身の医療リスクをより深く理解したいと望む
4臨床医の養子縁組に関する知識不足が患者に積極的な害を与え、医師患者関係を損なう
5医療従事者が養子縁組に関する知識不足を認識し、フィードバックを受け入れ、養子縁組に関する専門的な研修を積極的に求めることで、医療体験は向上し信頼は高まる

考察
医療者が養子縁組のヘルスケアに関する知識が不足していると感じていることが明らかになった
全ての医療専門家が養子縁組された成人をケアする方法について教育を受けるべき
家族歴のアクセス制限は容姿に限った話ではないが、そのような人たちは自分に必要な情報が欠けているという不安が伴う可能性がある
養子縁組が他のSDHと併せて臨床医が対処すべき健康への影響を伴うことを示唆している

限界:オンラインアンケートは募集形式で行った。養子縁組のアイデンティティの強い人やネガティブな体験を持つ人が集まりやすい可能性がある

【開催日】2026年1月7日