高齢者の長寿の要素

【文献名】 
著者名:Debora Rizzuto PhD student 1, Nicola Orsini associate professor 2, Chengxuan Qiu associate professor 1, Hui-Xin Wang senior researcher 1, Laura Fratiglioni professor 1 3
文献タイトル:Lifestyle, social factors, and survival after age 75:population based study
雑誌名・書籍名:BMJ
発行年:2012;345:e5568 doi: 10.1136/bmj.e5568 (Published 30 August 2012)

【要約】
<目的>
75歳以上の成人の長寿に関連する要素を同定する

<デザイン>
population based cohort study

<セッティング>
スウェーデン ストックホルムの一地区

<対象>
Kungsholmenプロジェクトに参加した1810人の75歳以上の成人。18年間追跡(1987-2005の状況調査)

<主要アウトカム>
死亡年齢の中央値

<結果>
・追跡期間中、1661人(対象者の91.8%)が死亡。参加者の半数が90歳以上まで生存した。

・喫煙者の半数は非喫煙者よりも1年(95%信頼区間:0.0-1.9年)早く亡くなった。

・身体活動が最も強く寿命と関連した。日常的に水泳・ウォーキング・体操を行っている群は行っていない群と比較し2.0年(0.7-3.3)長生きした。

・低リスク群(健康的な生活習慣・少なくとも一つの身体活動・良好な社会的つながり)は高リスク群(非健康的な生活習慣・身体活動せず・限定された社会的つながり)よりも5.4年長生きした。

・85歳以上の場合も慢性疾患を抱えている場合も、低リスク群のほうが4年長生きした。

<結論>
75歳以上であっても、非喫煙や身体活動などの生活習慣は長寿と関連する。低リスクの習慣は女性には5年、男性には6年の生存期間を付加する。これらの関連は85歳以上の高齢者や慢性疾患を抱えた方にも同様である。

【考察とディスカッション】
この年代の患者さんが生活習慣改善を行った時に寿命が長くなるかはこの研究からは不明だが、少なくともその時点での生活習慣改善からその後の予後を考えたり患者さんに情報提供したりする一つの材料とはなるだろう。また、若い年代の成人への情報提供の材料ともなるだろう。
それぞれの群の生活の質も情報提供できると、そのメリット・デメリットがさらにイメージしやすくなるか。

【開催日】
2012年10月10日