~家庭医の診療の包括性に対する予測因子~

【文献】
Wong E, Stewart M. Predicting the scope of practice of family physicians. CAN FAM Physician 2010:56:e219-24.

【要約】
目的
 診療所で働く家庭医の診療の幅と関連する要因を同定する
デザイン
・ 2001年のカナダ家庭医療学会による全国家庭医勤務調査の横断調査に対する2次的な単変量及び多変量解析
セッティング
・ カナダ
参加者
・ 診療のほとんどを診療所で実施する家庭医
1次アウトカム
・ 診療の地理的条件、及び、診療所を基盤とする家庭医によって提供される12の医療サービスの数で表現される診療の幅スコア(SPS:Scope of practice score)
・ 12の医療サービス
麻酔
慢性疾患のマネジメント
救急医療
施設在住の高齢者に対する診療
在宅医療
入院ケア
緩和ケア
予防医療
患者が他の医療機関・福祉サービスを利用する際の調整
メンタルヘルス(精神療法とカウンセリング)
外科サービス(一般外科、外科補助、小外科)
周産期ケア(出生前、分娩、分娩後)

結果
・ 多変量解析モデルでは参加者の中でのSPSの多様性の35.1%を説明することができた。州の違いや地域が郡部かどうかという要素が、SPSの多様性の 30.5%を説明していた。男性、若年、グループ診療、入院ベッドへのアクセスの良さ、臓器別専門医へのアクセスの悪さ、大学などでの教育ユニットにおけ る診療、混合型診療報酬支払い、専門研修終了後の更なる系統的教育、診療現場での多様な医療職種の参加は高SPSと相関があった。

結論
・ 地理的要因が家庭医診療の幅の最大の要因であった。医師自身の要因、周辺の医療資源の使いやすさ、診療組織自体の要因はいずれも関連は弱かった。地理的要 因が診療の幅にどのようにそしてなぜ影響しているのか、そして、住民のニーズと独立した診療の幅の広さが住民に利益を与えるのかどうかを調べることが重要 である。この研究は、家庭医療を刷新しようとする努力の中でも、混合型診療報酬支払い、多様な医療職種の参加を促進する試み、グループ診療を養成する試み を支持していると考えられる。

【開催日】
2010年7月28日(水)