~Effectiveness of screening for CKD(CKDのスクリーニングの有効性)~

【文献名】

Braden Manns, et.al.:  Population based screening for chronic kidney disease: cost effectiveness study.BMJ 341:5869,2010.



【要約】
【Objective】

To determine the cost effectiveness of one-off population based screening for chronic kidney disease based on e-GFR. 

【Design】

Cost utility analysis of screening with e-GFR alone compared with no screening. Analyses were stratified by age, diabetes, and the presence or absence of proteinuria. 
Scenario and sensitivity analyses, including probabilistic sensitivity analysis, were performed. Costs were estimated in all adults and in subgroups defined by age, diabetes, and hypertension. 

【Setting】

Publicly funded Canadian healthcare system. 

【Participants】

Large population based laboratory cohort used to estimate mortality rates and incidence of end stage renal disease for patients with chronic kidney disease over a five year follow-up period. Patients had not previously undergone assessment of GFR. 

【Main outcome measures】

Lifetime costs, end stage renal disease, quality adjusted life years (QALYs) gained, and incremental cost per QALY gained. 

【Results】

Compared with no screening, population based screening for chronic kidney disease was associated with an incremental cost of $C463 (Canadian dollars in 2009; equivalent to about £275, €308, US $382) and a gain of 0.0044 QALYs per patient overall, representing a cost per QALY gained of $C104 900. 
In a cohort of 100 000 people, screening for chronic kidney disease would be expected to reduce the number of people who develop end stage renal disease over their lifetime from 675 to 657.
In subgroups of people with and without diabetes, the cost per QALY gained was $C22 600 and $C572 000, respectively. In a cohort of 100 000 people with diabetes, screening would be expected to reduce the number of people who develop end stage renal disease over their lifetime from 1796 to 1741. 
In people without diabetes with and without hypertension, the cost per QALY gained was $C334 000 and $C1 411 100, respectively.

【Conclusions】

Population based screening for chronic kidney disease with assessment of e-GRF is not cost effective overall or in subgroups of people with hypertension or older people.
 Targeted screening of people with diabetes is associated with a cost per QALY that is similar to that accepted in other interventions funded by public healthcare systems.



【開催日】
2011年1月19日(水)

~SAHの早期診断~

【文献名】
Perry JJ, et al. High risk clinical characteristics for subarachnoid hemorrhage in patients with acute headache: prospective cohort study. BMJ 2010;ONLINE FIRST.

【要約】
(目的)
・ 頭痛を訴える神経学的異常所見のない患者において、SAHについてリスクの高い臨床特徴を同定する。

(研究デザイン)
・ 5年にわたる多施設前向きコホート研究

(セッティング)
・ 大学関連の3次救急対応教育病院6カ所にて2000.11~2005.11までデータ収集

(参加者)
・ 1時間以内にピークに達した非外傷性頭痛を訴えて、神経学的異常所見のない患者

(主要アウトカム)
・ 頭部CTでのくも膜下腔の出血像、脳脊髄液中の黄色症(キサントクロミー)、血管造影で陽性所見(動脈瘤)を示しかつ脳脊髄液中の赤血球像 のいずれかで確定されたクモ膜下出血

(結果)
・ 登録された1999名の患者の中で、130症例のSAHを認めた
・ 平均年齢は43.4歳(16-93歳)、1207名(60.4%)が女性、1546名(78.5%)が人生で最悪の頭痛だと訴えた。
・ 13の病歴情報と3の身体診察所見の信頼性が高く、SAHとの関連が見られた。
・ これらの変数を帰納的に群分離して、3つの臨床診断ルールを設定した。
・ 全てが100%の感度(95%信頼区間 97.1-100%)、28.4~38.8%の特異度を示した。
・ この3つの診断ルールのうちどれかを利用すれば、CT・腰椎穿刺・その両者の検査率を現在の82.9%から63.7~73.5%に低下させることができたであろう。
<ルール1> 感度100% 特異度 28.4%
 40歳以上、頚部痛やこわばりの訴え、意識消失の経験、運動に伴う発症
<ルール2> 感度100% 特異度 36.5%
 救急車での到着、45歳以上、少なくとも一度の嘔吐、拡張期血圧100以上
<ルール3> 感度100% 特異度 38.8%
 救急車での到着、収縮期血圧160以上、頚部痛やこわばりの訴え、45-55歳

(結論)
・ ある臨床的な特徴はSAHに対する予想因子となりうる。
・ 1時間以内にピークに達した頭痛を訴える患者には、実践的で感度の高い臨床診断ルールを利用することができる。
・ 前向きの検証も含めて、ここに提示した診断ルールに対する更なる研究を実施することで、頭痛の患者に対してより選択的で正確な検査を行うことができるようになるはずだ。

【開催日】
2010年12月8日(水)

~非結核性抗酸菌症の診断~

【文献名】
David E Griffith, Richard J Wallace, Jr: Diagnosis of nontuberculous mycobacterial infections of the lungs in HIV-negative patients. Up To Date ONLINE 18.3: last updated December 2, 2009.

【要約】
臨床的基準(以下の両者を満たす)
1.肺症状、胸部レントゲンで結節状あるいは、空洞陰影(M.kansasii感染の90%、M.avium complex(MAC)感染の50%に見られ、結核感染の場合よりも壁が薄く、周辺実質組織が不明瞭になる)、HRCTで多発性の小結節陰影を伴う気管支拡張像。
・MACの少なくとも50%は気管支拡張像を伴う結節影を認め、それは右中葉、舌区に最も頻繁に見られる
・ある研究では、気管支拡張像も持つ患者で24%は肺に多発性の結節影を認め、喀痰培養でMAC陽性の患者で結節影を認めた患者が53%、認めない患者は4%に過ぎなかった。
かつ
2.他の疾患を適切に除外
微生物学的基準
(1)喀痰検査は少なくとも3回、別々の検体で検査する必要がある。その中で少なくとも2回、別々の喀痰の検体で培養陽性。もし、その結果から診断出来ない時場合、塗抹と培養を繰り返す事を考慮。
または、
(2)少なくとも1回、気管支洗浄液の検体で培養陽性。
または、
(3)経気管支的、または他の方法で採取した肺生検検体で抗酸菌の組織学的特徴(肉芽腫性炎症、あるいは抗酸菌)を有し、かつ、非結核性抗酸菌の培養陽性、または、抗酸菌の組織学的特徴(肉芽腫性炎症、あるいは抗酸菌)を有する生検検体と一つ以上の喀痰あるいは気管支洗浄液で非結核性抗酸菌の培養陽性。
(4)頻回の培養検査で診断できない、または、環境の汚染によるものと考えられる場合は、専門医にコンサルトする。
(5)非結核性抗酸菌症と疑われるが、診断基準を満たさない患者は、診断が確定するか否定されるまでフォローされるべきである。
(6)非結核性抗酸菌症と診断されても治療開始を必要としないこともある。それは、患者個々の治療に対するリスクと有益性に基づいて決定されるものである。

【開催日】
2010年12月1日(水)

~赤目の診察~

【文献】
Deborah S Jacobs : Evaluation of the red eye. Up To Date ONLINE 18.2: last updated June 16, 2009 .

【要約】
赤目に関する疫学的データはほとんどなく、私たちが赤目患者のマネージメントをするにあたってのガイドとなる、エビデンスに基づいたデータもない。
《病歴》
以下の質問は全ての患者にするべきである。
・視力は影響を受けていますか?
 – 読書時の文字の大きさと距離、形態認識できるか、光が分かるか。
・異物感がありますか?
  –患者が自発的には目を開けられない、または開けていられないとことが客観的な異物感の証拠となり、これは角膜が関与していることを示す。比較して、「ザ ラザラ」、または「目に砂が入ったみたい」というのは主観的な異物感で、必ずしもコンサルトを必要とするような角膜の問題を示唆しない。
・羞明(輝所恐怖症)がありますか?
 –羞明の客観的サインは帽子を被り、サングラスをかけ、悪い方の目を光をさえぎるように手で覆うか、頭を下げて光源や窓から目を背ける。検者が来るのを待つ間、検査室のライトを消して欲しいと要求する。
・外傷がありますか?
・コンタクトレンズをしていますか?
 –コンタクトレンズ使用の眼脂と赤目は、角膜炎の疑いが増す。
・涙以外で一日中続く分泌物がありますか?
《身体診察》
ペンライトを用いて
・瞳孔はライトに反応するか?
 –閉塞隅角緑内障の場合、瞳孔は中間位に固定される。その場合、ライトには反応せず、4~5mm径で固定される。
・瞳孔のサイズがとても小さいか(1~2mm)?
 –角膜の擦過傷、感染性角膜炎、虹彩炎の場合には瞳孔がピンポイントとなる。
・膿性眼脂があるか?
 –膿性眼脂は細菌性結膜炎か細菌性角膜炎を示唆する。
・毛様体の充血あるか?
 ―より重症な病状に特徴的。毛様体の赤みは、角膜輪部 (角膜が強膜に移行する部位)に最も顕著で、眼球赤道に向かうにつれ軽減していく。
・角膜に白点や混濁、異物があるか?
 –角膜の白点や混濁は感染性角膜炎を示唆する。これはたいていフルオロセインの助けがなくても見ることができる。
・前房蓄膿や前房出血があるか
《評価》
表。ここをクリックして下さい。
《要約》
もし視力・視野に影響なく;瞳孔が反応し;異物感や羞明がなく;角膜混濁がなく、前房蓄膿がなく、前房出血がなければ、プライマリケア医が最初の診断をつけて、治療を開始してよい。
以下に緊急に眼科コンサルトが必要な兆候をあげる。
片側性の赤目で患者は一般的に嘔気や嘔吐の不調を訴える。(急性閉塞隅角緑内障を示唆)
赤目に関連してひどい目の痛みや視野欠損を訴える。
角膜浸潤物やフルオレセインで染色される混濁がある。(ときに潰瘍と呼ばれる)
前房蓄膿

【開催日】
2010年11月24日

~プライマリ・ケアでの高齢者の持続するめまいの原因~

【文献】
Ottto R. Maarsingh,MD: Causes of Persistent Dizziness in Elderly Patients in Primary Care. Annals of Family Medicine:196-204, 2010.

【要約】
《目的》
 めまいの患者の多くはプライマリ・ケアで診察を受けているが、ほとんどの研究は2次・3次医療機関のものである。我々の目的はプライマリ・ケアでの高齢者のめまいの亜型を明らかにし、めまいの原因を評価することであった。
《方法》
 2週間以上持続するめまいで家庭医に受診している高齢者で、横断研究を行った。
 全ての患者は包括的な評価を受けていた。
 患者のデータは、家庭医、老年科医、高齢者住宅の医師からなる委員会で再検討され、めまいの原因を結論づけた。
《結果》
2006年6月から2008年1月まで、65歳から95歳の417名の患者。
前失神(Presyncope)が最も多い亜型で69%であった。
その他認められた亜型は回転性めまい(vertigo,41%),平衡感覚の障害(disequilibrium,40%),その他のめまい(other dizziness,2%),不明(委員の意見の一致を見なかったもの:no consensus,4%)。
44%の患者において、めまいの症状が複数の亜型に属していた。
心血管疾患が最も多い原因で57%であった(表)。

100922

その次が末梢前庭疾患で14%、精神疾患は10%であった。
薬の副作用が原因と思われたものは23%であった。
62%の患者は複数の原因を合併していた。
《結論》
以前の多くの研究に反して、心血管疾患がプライマリ・ケアでの高齢者のめまいの最も多い原因となっていた。25%は薬の副作用が原因として考えられ、これも以前の研究で報告されているよりも多かった。

【開催日】
2010年9月22日(水)

~発作性心房細動の手持ち薬による治療~

【文献】
A John Camm, Irina: PRACTICE Change page – Some patients with paroxysmal atrial fibrillation should carry flecainide or propafenone to self treat. BMJ Volume334, pp637, 2007.

【要約】
《臨床的問題》
 発作性心房細動による、動悸、めまい、倦怠感、胸痛がある患者に、
プロパフェノン(プロノン;クラス1c群)またはフレカイニド(タンボコール;クラス1c群)の内服による自己治療’ポケットに薬’のアプローチ法を提案す る。最近のNational Institute for Health and Clinical Excellenceや国際的なガイドラインで提案されている。
《エビデンス》
 この自己治療の方法を行った212のケースで、厳重な管理のもと経口プロパフェノンにて安全に除細動された場合、病院外での自己治療でも十分に治療に反応することが示された。
実 現可能性を示すキーとなる研究では、病院にて発作性心房細動に対し、経口のフレカイニドまたはプロパフェノンの投与で治療に成功した210の患者が、頻脈 に気づいたら5分以内に一回量を内服するよう適切な薬を渡された。症状が穏やかで比較的心房細動の発作が少なく(病歴12年以下)、発作開始が明確な患者 が選ばれた。さらに48時間以内に不整脈が始まり、平均脈拍数が70回/分以上、収縮期血圧が100mmHg以上の者に限って選ばれた。重度の心疾患が背 景にある患者、予防的抗不整脈薬が投与されている患者、電解質異常がある患者は除かれた。これらの210の患者は、各々の過去のコントロールデータと比較 された。心房細動発作の発生する回数は、それ以前とさほど変わりがなかったが(54.5回v59.8回/1ヵ月)、救急外来を受診する回数は減少した (4.9回v45.6回/1ヵ月、P<0.001)。観察期間中の入院回数も著しく減少した。(1.6回v15回、P<0.001) 《変化への障害》 プロパフェノンもフレカイニドも、患者が発作時に自己治療で使用することは認められていない。自己治療は、左室肥大を伴わない穏やかな心血管疾患の患者や、 心筋梗塞の発症がないよくコントロールされた虚血性心疾患の患者に拡大適用できる。しかし予防的に抗不整脈薬を使ってはいけないし、CHADS score(C=congestive cardiac failure 1点;H=hypertention 1点;A=angina 1点;D=diabetes 1点;S=stroke 2点)が2以上の場合には長期間の抗凝固薬が必要とされる。この治療を勧めるかどうかは心臓専門医次第である。病院におけるこの種の治療のエビデンスは信 用のおけるものだが、過去をコントロールとした一つの研究が、病院外で行うこのテクニックを立証している。 《診療をどのように変えるか?》 ・選択された発作性心房細動の患者に、一回内服分のフレカイニド(300mg)またはプロパフェノン(600mg)を携帯し、動悸がひどくなった場合に自己治療できるという情報提供をすべきである。 ・ 適する患者としては、構造的な心疾患がなく、心房細動のエピソードで症状を経験しているが、発作は頻回ではないこと(一年に3~4回まで)。発作が6時間 以上続くこと、血行動態が安定しており収縮期血圧が100mmHg以上で安静時脈拍が70回/分以上であること。患者がいつ、どのように薬を内服するのか が理解できる必要がある。 ・薬の選択は、以前に病院の管理下で治療に成功したものでなければならない。そのため、フレカイニドまたはプロパフェノンは、救急外来での発作性心房細動の治療のプロトコールの一部となっていなければならない。 ・治療は動悸が30分程度を超えて持続するようなら開始すべきである。薬を内服した後は、発作が止まるまで、又は4時間は座っているか、横になっていてもらう。もし、脈拍が明らかに速くなったり、めまいや失神が起こる場合にはすぐに病院にきてもらう。 ・もし自己治療が失敗した場合は、抗不整脈薬の予防的投与やカテーテルアブレーションなど他の方法を考え、自己治療のアプローチはあきらめる。 【開催日】 2010年9月1日(水)

~痛風の診断精度を上げましょう~

【文献】
A Diagnostic Rule for Acute Gouty Arthritis in Primary Care Without Joint Fluid Analysis
Hein J. E. M. Janssens, MD; Jaap Fransen, PhD; Eloy H. van de Lisdonk, MD, PhD; Piet L. C. M. van Riel, MD, PhD; Chris van Weel, MD, PhD;Matthijs Janssen, MD, PhD
Arch Intern Med. 2010;170(13):1120-1126.

【要約】
背景と目的
 急性の痛風性関節炎の患者の多くは、プライマリケアで診断と治療を受けているが、診断時に関節滑液の分析が行われないことも少なくない。今回、家庭医の診断の精度を調べ、関節液採取なしに痛風を診断するための臨床スコア表を作成した。

方法
  2004年3月24日から2007年7月14日まで、オランダ東部の家庭医93人のもとを訪れた、単関節炎で急性痛風性関節炎の疑いが非常に強い患者 381人を、症状発現が初回かどうかにかかわらず登録した。医師の診断とは別に、全員を対象に受診から24時間以内に関節液を採取した。
 381 人の平均年齢は57.7歳、74.8%が男性だった。それらの中で、顕微鏡観察により関節液に尿酸ナトリウム結晶が認められ、痛風と確定したのは216人 (56.7%)。ただし、受診時に採取された標本が陽性と判断されたのは209人で、7人は追跡中に結晶陽性となったため、その時点で痛風と確定した。
 したがって、プライマリケアで関節液を採取し結晶を指標とする診断を行った場合の感度は0.97(受診時に結晶陽性の209人/結晶陽性の216人)、特異度は0.28(医師の診断が非痛風で結晶陰性の46人/追跡終了後も結晶陰性の165人)となった。
  家庭医が関節滑液の分析なしに痛風と診断した患者は328人(86.1%)。医師の診断の陽性予測値は0.64(受診時に結晶陽性の209人/医師の診断 が痛風だった328人)、陰性予測値は0.87(医師の診断が非痛風で結晶陰性の46人/医師の診断が非痛風だった53人)。これらから計算すると陽性尤 度比は1.3、陰性尤度比は0.1となった。したがって、プライマリケアでの痛風診断の精度は中程度と判断された。
 医師から痛風と告げられた 328人を結晶陽性患者と陰性患者に分けてベースラインの特性を比較したところ、有意な差が見られたのは、男性の割合(陽性群は89.5%、陰性群は 62.2%)、高血圧(52.6%、30.3%)、心血管疾患(30.6%、14.3%)など。これらの統計学的に有意な要因と、あらかじめ定義した変数 を組み込んで、多変量ロジスティック回帰モデルを作成、プライマリケアを訪れる単関節炎患者の尿酸ナトリウム結晶陽性の予測精度=診断精度を、ROC曲線 を描いて分析した。
 最適なモデルは以下の変数を含んでいた。性別が男性、自己申告による関節炎発作歴、24時間以内に症状が最も悪化、関節部の 発赤、第一中足指節関節に症状あり、高血圧または心血管疾患あり、血清尿酸値が5.88mg/dL超。このモデルのROC曲線下面積は0.85(95%信 頼区間0.81-0.90)となった。
 著者らは、日常診療において簡便なモデルにするために、回帰係数を簡単な臨床スコアに変換、以下のような診断用スコア表を作成した。

性別が男性⇒スコア2.0
自己申告による関節炎発作歴あり⇒スコア2.0
24時間以内に症状が最も悪化した⇒スコア0.5
関節部の発赤あり⇒スコア1.0
第一中足指節関節に症状あり⇒スコア2.5
高血圧または心血管疾患あり⇒スコア1.5
血清尿酸値が5.88mg/dL超⇒スコア3.5

 それぞれ該当しない場合はスコア0として合計を求めると、最大値は13.0になる。
 医師が痛風と診断した328人の患者をスコア合計が4以下、4超8未満、8以上の3群に患者を分けると、各グループの結晶陽性患者の割合は2.2%、31.2%、82.5%となった。
 さらに受診者381人全員を対象にこの方法でROC曲線下面積を求めると、0.87(0.84-0.91)になった。臨床スコア4以下、4超8未満、8以下の3群に患者を分けると、各群の結晶陽性患者の割合は2.8%、27.0%、80.4%となった。

結論
 したがって、スコアの合計が4以下であれば痛風の可能性はほとんどないと言える。一方、8以上なら痛風治療を開始してもよいだろう。スコアが4から8の間の患者については必要に応じて関節液の分析を行うべきだ、と著者らは述べている。

【開催日】
2010年8月11日(水)

~睡眠時無呼吸症候群の診断~

【文献】
Overview of obstructive sleep apnea in adults UpToDate 18.1

【要約】
イントロダクション
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)は一生治療が必要となるよくある慢性の疾患である。
 特徴的な症状としては、
・睡眠時の不定期な異常な呼吸パターン(閉塞性無呼吸、低呼吸、覚醒と関連する努力性の呼吸)
・睡眠の中断による日中の症状(眠気、倦怠感、集中力の低下)
・いびきや不穏、息を吹き返すような鼻息のような睡眠中の不快な症状である。
 長年の睡眠中の低酸素血症や繰り返す覚醒により臓器障害をきたす。心血管系のリスクのある患者、AHI(the apnea hypopnea index) (一時間当たりの無呼吸低呼吸のイベント) が30以上の患者は死亡のリスクが高くなる。

疫学
 26%の成人がOSAの高いリスクを持っていると見積もられている。2~5%のみが昼間の眠気など少なくとも1つの症状を持ち、AHIが5以上と診断されている。AHIが5以上あっても無症状であることが一般的。
 ・年齢:18~45歳で増加する。
 ・人種:35歳以下のアフリカ系アメリカ人に多い。アジア系はアメリカ人と同等。
 ・性別:女性の3~4%、男性の6~9%

リスクファクター
・肥満:BMIや首回り、ウエストとヒップの比が増加するとOSAが進行する。
・顔面や上記道の軟部組織の異常:上顎骨の異常、小さな下顎骨、幅広い顔面、扁桃肥大、アデノイド
・現在の喫煙者は過去に一度も喫煙した事のないひとに比べて3倍。
・鼻腔粘膜の腫脹
・DM患者

臨床症状
・いびき、日中の眠気:最も共通の症状
・睡眠中の不穏、大きないびきによって終結する静かな時間、集中力低下、夜間の狭心痛、呼吸困難感、喘ぐ感じ、息が詰まる感じ

診断
・ポリソムノグラフィ:first lineの検査
・ポータブルモニタリングも受け入れられる検査

100721

重症度
・軽症:AHIが5以上15以下。HTや肺性心、多血症は一般的にはない。30%の患者が治療に反応する。
 ・中等度:AHIが15以上30以下。REM睡眠中や仰向けでのAHIが増加する。日中の活動性低下、自動車事故の増加がみられる。HTが見られるようになる。肺性心に伴う日中の症状はふつうみられない。CPAPにより、日中の眠気、QOL、血圧が改善する。
 ・重症:AHIが30以上。日常生活の活動に障害ときたすような昼間の眠気。心不全、呼吸不全症状、夜間の狭心痛、多血症、肺性心による症状が出現する。座っている時に寝てしまい、事故のリスクが高くなる。治療によって症状は軽快する。

【開催日】
2010年7月21日(水)

~うつ病治療薬の選択と治療上の注意点~

【文献】
Initial treatment of depression in adults。UpToDate ONLINE18.1

【要約】
総論 
抗うつ薬の試験の文献を評価するときには、Publication biasを考慮しなければならない。(政府または独立したスポンサーがわずかで、製薬会社と出所不明が多い。)

薬の選択 
・ほとんどのシステマティックレビューにおいて結論づけられていることには、臨床的にもQOLにおいても、治療コストについても、特定の抗うつ薬のなかで、どれを特別選ぶべきかということはない。
・何の薬を使うかということよりも、患者が受け入れられる薬を使って治療することと、症状を寛解させるのに十分な容量を使用するということのほうが、重要である。
・SSRIsがプライマリケアではしばしば第一選択として使われている理由としては、副作用が少なく、過量投与でも、危険が少ない点である。

the American College of Physicians (ACP)からの2008年臨床診療ガイドラインでは、以下の12の第二世代抗うつ薬から治療を開始することを強く勧めている。

ブプロピオンbupropion(NDRI;ウェルブトリン) 国内未
シタロプラムcitalopram(SSRI;セレクサ) 国内未
デュロキセチンduloxetine(SNRI;新☆サインバルタカプセル)
*一日一回投与のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
エシタロプラムescitalopram(SSRI;レクサプロ) 国内未
フルオキセチン fluoxetine(SSRI;プロザック) 国内未
フルボキサミンfluvoxamine(SSRI;デプロメール、ルボックス)
ミルタザピン mirtazapine (NaSSa;新☆レメロン、リフレックス)
*ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬
ネファゾドンnefazodone(SNRI;サーゾーン) 国内未
パロキセチンparoxetine(SSRI;パキシル)
セルトラリン sertraline(SSRI;ジェイゾロフト)
トラゾドンtrazodone(SARI;デジレル,レスリン)
ヴェンラファキシン venlafaxine(SNRI;エフェクサー) 国内未
☆ネファゾドンnefazodone(SNRI;サーゾーン)には肝細胞毒性あり

・過去に受け入れの良い薬で治療に成功した患者は、うつ病が再発した際には、同じ薬を再開すべきである。
・薬の選択の際には、臨床医の使いやすさ(慣れ具合)、価格、好みと副作用を考慮すべきである。

副作用
・第二世代を評価した203の試験のシステマティックレビューではmirtazapine and paroxetineが他の第二世代抗うつ薬に比べて、体重増加がおこりやすい。
・ うつ病自体が、糖尿病を進展させるリスク要因である。65歳以上の1000人を10年追跡した前向き研究では、うつ病の人は、抗うつ薬による治療に関わら ず、うつ病を持たない人に比べて2倍以上糖尿病に罹患する率が高かった。(hazard ratio 2.3, 95% CI 1.3-4.1) 
・ ケースコントロール試験において、うつがあり、糖尿病がないおよそ166,000人の患者のうち、抗うつ薬の中等量~高用量の長期間(2年以上)の使用 が、顕著に糖尿病のリスク増に関係した。(incidence rate ratio 1.8, 95% CI 1.4-2.5)
糖尿病のリスク 増加の見積もりは、amitriptyline (incidence rate ratio: 1.43, 1.03-1.98), fluvoxamine (incidence rate ratio: 4.91, 1.05-23.03), paroxetine (incidence rate ratio: 1.33, 1.02-1.73), and venlafaxine (incidence rate ratio: 2.03, 1.18-3.48)
・他の副作用については一般的な内容であったので割愛。

用量
・少量から開始することで、抗うつ薬の副作用を最小限にすることができる。
・一週間ごとに最大量まで漸増する。
・薬はたいてい朝に内服する。内服後、8時間から12時間は穏やかな興奮作用があり、眠りを阻害する可能性がある。
・SSRIは、寛解を達成するためには典型量より高用量を必要とする。
・三環形抗うつ薬は、より少量でも高容量と同程度に効果があるようす。

フォローアップ
・治療開始から治療に反応するまでの時間は2週間から6週間と考えられている。
・ある試験では治療開始から2週間以内の早い反応は、治療の安定した効果と寛解の継続を予測させる。
・2週間過ぎても反応がない場合、薬の量を増量しなければならない。
・最大量で8~10週間経過しても反応がない場合は、異なる抗うつ薬(同じまたは異なったクラスの)を試すか、精神科に紹介しなければならない。
・部分的な反応の場合は、bupropion(国内未) or buspirone(国内未)を追加するか、患者が薬の追加を好まなければ、他のSSRI、SNRIに換える。
治療期間
・抗うつ薬は一般的に、最初のうつのエピソード後、最短でも6-9ヶ月内服しなければならない。
・患者による薬の中断は多い。
・再発も多い。特に3回以上繰り返している例は薬の継続が望ましい。

精神科へ紹介するケース
・ファーストラインの薬を患者が受け入れられない、または効果がない場合
・思考障害を伴った重症なうつか、自殺衝動がある場合
・薬品中毒や精神依存、薬物乱用を伴っている場合
・患者が認知行動療法を強く望んでいる場合

【日付】
2010年7月14日(水)

~口腔潰瘍の評価~

【文献】
Vinidh Paleri, et. al: Evaluation of oral ulceration in primary care. BMJ 2010, 340: 1234-1238.
BMJ “Clinical review” seriesより

【要約】
このレビューの目的
口腔潰瘍の鑑別の全体像、悪性と非悪性疾患の鑑別を容易にする評価法の提供

口腔潰瘍の原因
(1)急性,非腫瘍性の口腔潰瘍
外傷(とがった歯牙、入れ歯、頬粘膜を噛む)
軽度のアフタ性潰瘍(疼痛を伴う癒合しない1cm未満の円形の潰瘍。灰白色をベースとし周囲に発赤を伴う。多くの患者において原因は不明。典型的には10日以内に治癒するが再発を繰り返したり、持続する場合もある)
薬剤(NSAIDs、降圧薬、ビスフォスフォネート、ニコランジル、化学療法)
感染(ヘルペス関連がほとんど、HIV、梅毒、結核、Actinomycosis)
(2)慢性,非腫瘍性の口腔潰瘍
外傷、重度のアフタ性潰瘍、扁平苔癬、薬剤、慢性的な感染
(3)腫瘍性の口腔潰瘍

どんな所見が悪性を疑わせるか?~Box3
(1)悪性疾患の可能性を上げる所見
・3週間以上改善しない痛みを伴わない潰瘍 ・硬結を伴い、潰瘍の周囲に炎症所見のない潰瘍
・辺縁がロールし、肥厚している潰瘍 ・タバコ、アルコール ・年齢(50歳以上)
・男性 ・前癌病変の存在 ・口腔潰瘍の病歴が過去ない ・局所に潰瘍を発症しやすい要因が存在しない
・潰瘍を発症しやすい全身の要因がない ・口腔の扁平上皮癌の病歴
(2)悪性疾患の可能性を下げる所見
・そのたびに治癒する再発性の潰瘍 ・同時に発症する複数の潰瘍 ・群発する潰瘍 
・全身疾患とくに膠原病に関連して発症した潰瘍 ・水疱形成 ・疼痛と出血を伴う歯肉に関連したもの
・局所に明らかな要因のあるもの

口腔潰瘍の患者へのアプローチ

100719

詳細な病歴が重要(急性?再発を繰り返す?慢性?最近の歯科治療?タバコやアルコール、薬剤?併存する疾患の有無)。
身体所見: 口唇、頬粘膜、口腔底、歯牙、歯肉、硬口蓋、舌、臼後三角部。潰瘍の分布や広がり、局所所見、潰瘍に関連する所見(とがった歯牙、入れ歯など)、口腔外の所見(特にリンパ節腫脹)

専門医への紹介の前に家庭医のできること
対症療法、口腔潰瘍の素地になりやすい状態(鉄、ビタミンB12、葉酸欠乏)の改善、タバコ・アルコール問題への取り組み
悪性疾患の可能性がない、低い場合もつらい症状がなかなか改善しない場合は紹介を。

口腔潰瘍はスクリーニングするべきか?
スクリーニング法は視診が適切。
現時点ではGeneral Populationに対して実施することを推奨するエビデンスは不十分。
リスクの高い人たちが受診したついでに、実施するのがcost effectiveであろう。

【開催日】
2010年7月14日