小児の風邪の夜間咳嗽に対するハチミツの効果

-文献名-
Cohen HA, et al. Effect of honey on nocturnal cough and sleep quality: a double-blind, randomized, placebo-controlled study. Pediatrics. 2012 Sep;130(3):465-71.

-この文献を選んだ背景-
 小児の風邪に対して処方される抗ヒスタミン薬・鎮咳薬等のいわゆる風邪薬の効果は証明されておらず、小児科研修で御指導いただいた小児科専門医の先生は、ペリアクチン®はもう処方しないと明言していた。一方で、小児の風邪の鼻汁・咳嗽は一般的に長引くことが多く、就寝中に悪化し親子の睡眠も妨げられ、お互い「何とかしてあげたい・してほしい」との思いを込めて風邪薬が処方されることも実際は多いのではないだろうか。また、薬局で発行される説明書を見て、「鼻汁=抗ヒスタミン薬」「咳=鎮咳薬」という一対一対応で親も認識しており、症状に応じてこれらの処方を指定されることもしばしばある。
 そこで、最近よく教科書や雑誌で取り上げられており、UpToDate®やDynaMed®でも一定推奨されている「小児の風邪の夜間咳嗽に対するハチミツの効果」に関して、風邪薬に頼らない診療・セルフケア指導の一助になると考え、原著論文を一度読んで見ることにした。

-要約-
【背景】
 ハチミツはWHOでも鎮咳薬として推奨されており、181以上の物質が含まれ抗酸化作用やサイトカイン放出により抗菌作用をもたらすと考えられている。これまで2つのRCT施行され、1つはソバハチミツをデキストロメトロファン(メジコン®)と投薬なしとで比較したもので、もう1つは盲検化されていなかった。

【目的】
 小児の急性上気道炎による夜間咳嗽や睡眠困難に対する、3種類のハチミツ(ユーカリ、柑橘系、シソ科)の効果をプラセボ(水酸化ケイ素含有エキス)と比較した。

【方法】
 6箇所の地域の小児科クリニックにおいて、1歳から5歳までの急性上気道炎と診断され、夜間咳嗽があり、罹病期間が7日間未満の小児300名を対象とした(Table.1)。尺度はCough Severity Assessment Questionnaire(Figure.1)を用いた。対象者は二重盲検化のうえ4群(ユーカリ、柑橘系、シソ系、プラセボ)にランダムに割り付けられた(Figure.2)。一次アウトカムは連続する二晩において投薬を行わない日(1日目)と就寝前30分に投薬を行う日(2日目)における咳の頻度の変化、二次アウトカムは咳の重症度、咳の煩わしさ、親子の睡眠の質の変化とした。

【結果】
 プラセボを含む4群すべてにおいて、連続する二晩において咳の頻度は有意に改善した。また、ハチミツ群においてアウトカムの改善度はより高かった(Figure.3)。

【結論】
 親は子供の急性上気道炎による夜間咳嗽や睡眠の妨げに対して、プラセボと比較しハチミツにおいてより高い評価をつけた。ハチミツは小児の急性上気道炎による夜間咳嗽や睡眠の妨げに対して好ましい治療となるかもしれない。

【考察】
 過去の研究による風邪薬の有害性、FDAの推奨、1歳未満の乳児にはボツリヌス菌感染リスクのため推奨されないこと、齲歯の原因にならないよう短期間の投与を推奨、等について触れられている。

【開催日】
 2016年6月15日(水)