Association Between Socioeconomic Status and Mortality, Cardiovascular Disease, and Cancer in Patients With Type 2 Diabetes

-文献名-
Rawshani, Araz, et al. “Association between socioeconomic status and mortality, cardiovascular disease, and cancer in patients with type 2 diabetes.” JAMA Internal Medicine 176.8 (2016): 1146-1154.

-要約―
※前提:スウェーデンは医療へのアクセスや利用について、社会経済的側面でほぼ間違いなく世界で最も公平な国のうちの一つである。

研究の重要性:
 2型糖尿病患者において、医療への公平なアクセスがあり重要な交絡因子を調整したうえで、社会経済的状態と全死因死亡、心血管関連死、糖尿病関連死、癌死亡率との間に関連があるかは、検討されたことがない。

目的:
 2型糖尿病患者において、所得、教育水準、婚姻状況、出生地が、全死因死亡、心血管死、糖尿病関連死、癌死亡と独立して関連しているかどうかを評価する。

デザイン、設定、参加者:
 Sweden National Diabetes Register(2003年1月1日から2010年12月31日まで)に登録された70歳以下の2型糖尿病患者217364人を調査対象とした。イベント発生まで平均5.6年間追跡した。最大17の共変量を有するCOX比例ハザード回帰モデルを用いて解析した。

メインアウトカム:
 全死因死亡、心血管死、糖尿病死、癌死亡率

結果:
 217364人は平均年齢58.3歳、男性60.2%。19105人が死亡し、そのうち11423人(59.8%)が心血管死、6984人(36.6%)が糖尿病関連死、6438人(33.7%)が癌による死亡だった。完全調整モデルを用いた既婚者の(独身者に対する)ハザード比は全死因死亡0.73(95% CI, 0.70-0.77), 心血管死0.67 (95% CI, 0.63-0.71), 糖尿病関連死0.62 (95% CI, 0.57-0.67)だった。婚姻状況は全癌死亡には関連していなかったが、既婚者の男性は独身男性に比べて前立腺癌の死亡率が低かった(ハザード比0.67 (95% CI, 0.50-0.90))。収入の五分位の最低位は最高位と比べたハザード比は全死因死亡1.71 (95% CI, 1.60-1.83), 心血管死1.87 (95% CI, 1.72-2.05), 糖尿病関連死1.80 (95% CI, 1.61-2.01), 癌死亡率1.28 (95% CI, 1.14-1.44)だった。非西洋移民の全死亡死因、心血管死、糖尿病関連死、癌死亡率はネイティブスウェディッシュと比べて、それぞれ0.55(95%CI、0.48-0.63)、0.46(95%CI、0.38-0.56)、0.38 95%CI、0.29-0.49)、および0.72(95%CI、0.58-0.88)だった。大学の学位を持ってる者は教育年数が9年(スウェーデンの義務教育年数)以下のものと比べて全死亡者数、CV、糖尿病関連死亡率、癌死亡率のハザード比は、それぞれ0.85(95%CI、0.80-0.90)、0.84(95%CI、0.78-0.91)および0.84(95%CI、 0.93)だった。

結論:
 社会経済的状態は全死因死亡、心血管死の強力な予測因子だった。

ディスカッション:
 リスクファクターと共変量を調整しても社会経済的状態の影響を排除できなかったという事実は、リスクファクターのコントロールがこれらの較差を縮小することに効果がないことを意味するわけではない。
 社会経済的状態が悪いことは、心理社会的ストレス、失業、財政難、不健康な習慣、健康上の障害、危険な地域に住む、社会的支援の欠如、不十分な結束と結びついている。
 非西部から西部へ移住する個人は、母国では選択された強力なサブグループであるため、スウェーデン出身者より結果が良かったと考える。

Limitation:
 アルコール消費についてのデータを得られなかった。喫煙は吸うか吸わないか二分変数での評価だった。

【開催日】
 2017年2月1日(水)