ホスピスケアの平均余命

―文献名―
Todd Eichelberger. Life Expectancy with Hospice Care. Am Fam Physician. 2018 Mar 1;97(5)

―要約―
-Evidenve-Based Answer-
ホスピスケアを受けている肺癌、膵臓癌、転移性黒色腫の終末期患者は、寿命が最小限に延長される。少なくとも1日のホスピスケアを受けると、平均余命は3ヶ月まで延長される可能性がある。(Recommendation:B)

▶2007年の後ろ向きコホート研究(n = 4,493)は、末期診断を受けた患者の生存期間を測定した。すべての患者は、診断から3年以内に死亡した。ホスピスケアを受けたのはおよそ2分の1(2,095人)だった。研究は、乳癌、結腸癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌終末期の診断の患者を含む、疾患特異的コホートから構成された。サブグループ分析では、ホスピスケアを受けた肺癌および膵臓癌の患者は、ホスピスケアを受けていない患者と比較して平均余命が延長した。(肺癌患者では279日対240日、P 1. Connor SR, Pyenson B, Fitch K, et al. Comparing hospice and nonhospice patient survival among patients who die within a three-year window. J Pain Symptom Manage. 2007;33(3):238–246.

JC神田20180801

(原著(上記添付)を参照すると、平気余命を最も延長したのは慢性心不全患者群。研究の限界として、ホスピス入院の決定に関連する要因が結果に影響するかは正確にはわからないと記載あり。この研究によりホスピスケアが死を早めるという誤解を払拭する情報を提供したいらしい。)

▶2015年の台湾の末期肺癌患者に関する後ろ向きコホート研究は、少なくとも1日でもホスピスケアを受けた患者(n = 566)とホスピスケアを受けていない患者(n = 2,833)の生存率を比較した。(20歳未満の患者は除外)ホスピスケアは診断後の生存期間を延長した。(中央値= 0.86年対0.61年、P <.001)
2. Chiang JK, Kao YH, Lai NS. The impact of hospice care on survival and health care costs for patients with lung cancer: a national longitudinal population-based study in Taiwan. PLoS One. 2015;10(9):e0138773.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4583292/

▶2014年の後ろ向きコホート研究は、転移性黒色腫を有する65歳以上の患者(n = 862)のホスピスケアの生存効果およびコスト効果を調べた。ホスピスケアを受けていない患者(n =225例)、3日以内のホスピスケアを受けた患者(n =523例)、3日以上のホスピスケアを受けた患者(n =114例)がいた。終末期の診断から死亡までの平均生存期間は、ホスピスケアを受けていない患者では6.1ヶ月、3日以内のホスピスケアを受けた患者では6.5ヶ月、3日以上のホスピスケアを受けた患者では10.2ヶ月であった(P <.001)。4日以上のホスピスケアを受けた患者は、3日以内の患者よりも平均生存期間が3.3カ月長い(ハザード比= 0.66; 95%信頼区間0.54〜0.81)
3. Huo J, Lairson DR, Du XL, et al. Survival and cost-effectiveness of hospice care for metastatic melanoma patients. Am J Manag Care. 2014;20(5):366–373.
https://www.ajmc.com/journals/issue/2014/2014-vol20-n5/survival-and-cost-effectiveness-of-hospice-care-for-metastatic-melanoma-patients

 

【開催日】2018年8月1日(水)