愛着理論で、家庭医療における医師・患者関係の新しい理解を付け加える

-文献名-
Darren Thompson and Paul S. Ciechanowski
The Journal of the American Board of Family Practice May 2003, 16 (3) 219-226; DOI: https://doi.org/10.3122/jabfm.16.3.219

-要約-
<背景>
家庭医は、患者とその家族のケアの継続性の結果として、患者との永く続く臨床上の関係を形成する独自の姿勢を備えている。患者と医療提供者の同盟に対する協力度と満足度は、さまざまな医学的問題にわたる治療アウトカムに重要な意味を持つことが示されている。最適なケアを提供するには、家庭医が、患者と自分自身の両方で、ヘルスケアの関係に過去の関係の臨床的に関連する側面が現れるという後遺症を理解する必要があります。これらの重要な側面の認識を支援するには、概念モデルが不可欠です。
<方法>
MEDLINEを使用して文献検索を実施した。キーワードは「illness」と「愛着理論」とした。 35件の英語のみの記事があり、そこからさらに関連記事を収集した。
<結果>愛着理論は、医師と患者の関係の重要な特徴を強調するための有用なモデルとして機能する。これは、家庭医療のセッティングで治療結果に影響を与える可能性がある。愛着理論では、誰もが初期の養育者に強い愛着の絆を形成する生来の欲求を持っていると仮定する。確実に生き抜くために、子供はその絆を介護者の愛着スタイルに適合させる。時間が経ち成熟していく過程で、人は、これらの初期の、そしてある程度はその後の、密接な人間関係に基づいて、その後の人間関係(ケアを受ける関係)に関連するスタイルを作り上げる。回避型、とらわれ型、恐怖型などに至りうる不安定な愛着スタイルは、臨床上の関係と治療結果にしばしば重要で予測可能な影響を及ぼすことが示されている。
<結論>
家庭医は、患者の個別の愛着パターンを認識することにより、患者を理解し、思いやりのある、柔軟な治療スタンスをより簡単に選択することができ、それによって治療結果を改善することができる。

<不安定型愛着の要約>
Book1

医師の愛着タイプも、患者との関係構築に影響を与える。

【開催日】2020年3月4日(水)