COVID-19既感染者に新型コロナワクチン(mRNA BNT162b2:ファイザー/ビオンテック社)を接種したときの副反応について

―文献名―
Antonella d’Arminio Monforte, Alessandro Tavelli, et al. Association between previous infection with SARS CoV-2 and the risk of self-reported symptoms after mRNA BNT162b2 vaccination: Data from 3,078 health care workers.E Clinical Medicine 36 (2021) 100914.

―要約―
【背景】
医療従事者(HCW)は,SARS CoV-2による感染症に罹患するリスクが高いため,ワクチン接種の優先順位が高い。 本研究では過去にCOVID-19の罹患歴のあるHCWにおいて、ワクチン接種後の重度および中等度の全身症状のリスクが高いかどうかを調査することを目的とした。

【方法】
イタリア・ミラノの2つの大規模三次病院(ASST Santi PaoloおよびCarlo)で2021年1月4日から2月9日の間に抗SARS CoV-2 mRNA BNT162b2ワクチンを接種したHCW全員のコホートにオンラインアンケートを実施した。アンケートは2回実施.1回目は2回目接種の直前,2回目は2回目接種2週後.過去のSARS-CoV-2感染/COVID-19発症,2回の各投与後の局所および全身の症状を報告してもらった。中等度の全身症状は「日常生活に支障をきたすもの、または休業を余儀なくされるもの」とした。中等度の全身症状に関連する因子をロジスティック回帰で特定した。

【結果】
3,078人のHCWが対象となった。うち,SARS-CoV-2感染/COVID-19の既往のあるものは396名(12.9%)であった。対象となったHCW全体では59.6%が1回目の投与で、73.4%が2回目の投与で、局所的または全身的な症状を1つ以上経験していた。重度の全身症状,重篤な有害事象は報告されなかった。中等度の全身症状については1回目と2回目の投与後に、それぞれ6.3%(COVID-19経験者14.4% vs COVID-19未経験者5.1% p<0.001)と28.3%(COVID-19経験者24.5% vs COVID-19未経験者28.3% p=0.074)に発生した。(Table2,Table3,下記)すでにCOVID-19を経験している被験者は、初回投与後に中等度の全身症状のリスクが独立して3倍高くなり、2回目の投与後には30%低くなった。

【適応】
今回のデータは、既感染のHCWにおいては重篤な有害事象がなく,短期間の副反応が発生することを現実世界において証明した。女性や若年層と同様に免疫反応の違いがこのグループのHCWの中等度の全身症状の要因となっている可能性がある。

【資金提供】
資金提供なし。

Table2. 1回目のワクチン接種後

Table3. 2回目のワクチン接種後

【開催日】2021年6月9日(水)