OECD35カ国におけるプライマリ・ケアの測定

-文献名-
Stephen J. Zyzanski, et al. Measuring Primary Care Across 35 OECD Countries. Annals of Family Medicine. VOL. 19, NO. 6, NOVEMBER/DECEMBER 2021.

-要約-
【目的】
Person-Centered Primary Care Measure(PCPCM)の心理測定特性とスコアを28言語,OECD(経済協力開発機構)加盟35カ国において検討した。
PCPCMについて(本文より)
11項目の患者報告式の測定法で、プライマリケアの幅広い範囲と統合的、包括的な性質を評価(アクセス性、支援、コミュニティの状況、包括性、継続性、調整、家族の状況、目標指向のケア、健康増進、統合、関係)。何百人もの患者、臨床家、保険者が、プライマリ・ケアにおいて重要であると言うことに基づいて開発。本研究は、PCPCMを多様な言語や国で使用できるようにし、将来の研究で検討できる国ごとの違いに関する予備的仮説を刺激し、各国の医療へのアプローチの自然実験に基づく政策や実践を導くことを目的としている。
【方法】
有料のオンラインサンプリングサービスを利用し、各国の成人360人の年齢と性別を代表するサンプルを依頼した。プライマリケアについて患者や臨床医が最も重要であるとする意見に基づいて開発され、既に検証済みの11項目の患者報告式測定法であるPCPCMを実施した。また、人口統計、Patient-Enablement Instrument(注:患者の対処能力、理解、健康への自信度などの評価尺度)
、プライマリ・ケア医や診療所にかかっている年数、医師が結果を知ることでケアが向上すると思うかどうか、アンケートに答えるのが大変だったかどうかとの関連から構成妥当性を評価した。我々は、各国におけるPCPCMの心理測定特性を評価し、各国におけるPCPCMの総得点と項目別得点を報告した。
【結果】
PCPCMはすべての言語と国において確かな心理測定学的特性を示し,クロンバックのアルファは0.88から0.95,修正項目総相関は0.47から0.81,大多数の国で0.50台前半から0.70台後半であった.複数回の分析により、並行妥当性の強い証拠が示された。1点から4点までの範囲で、全体の平均点は2.74点であり、標準偏差は0.19点であった。(Table 1)
PCPCMの平均点は、最も低いスウェーデン(2.28)から最も高いトルコ(3.08)までであり、ドイツが2位(3.01)、米国が3位(2.99)であった。(Table 2)
【結論】
PCPCMの複数国にわたる内部一貫性と同時検証は、患者や臨床医が重要だと言うプライマリ・ケア機能の幅の一貫性を強く証明するものである。また、各国における総得点と項目別得点の多様性は、各国の政策、慣行、人口統計、文化がプライマリ・ケアに与える影響について興味深い仮説を生み出し、PCPCMを用いた生態学的分析と個人データ分析をさらに進める強い動機となる。

Q1=私の診療所は、私がケアを受けることを容易にしてくれる
Q2=私の診療所は、私のケアのほとんどを提供することができる
Q3=私のケアにおいて、医師は私の健康に影響するすべての要素を考慮している
Q4=私の診療所は、私が複数の場所から受けるケアを調整している
Q5=私の医師または診療所は私を人間として理解してくれている
Q6=私の医師と私は一緒に多くのことを経験してきた
Q7=私の医師または診療所は私の味方をしてくれる
Q8=私の受けるケアは私の家族に関する知識を考慮している
Q9=この診療所で受けるケアは地域に関する知識に基づいている
Q10=長期にわたって、私の診療所は私の健康維持に役立つ
Q11=長期にわたって、私の診療所は私の目標を達成するために役立つ

【開催日】
2022年1月12日(水)