骨折の予防に必要なビタミンD摂取量のプール解析

【文献名】 
著者名:Heike A. Bischoff-Ferrari, MD et al
文献タイトル:A Pooled Analysis of Vitamin D Dose Requirements for Fracture Prevention
雑誌名・書籍名:N Engl J Med
発行年: 2012; 367 : 40 – 9. 

【要約】
<背景>
ビタミンD補給量と骨折の減少の関係について、メタアナリシス研究の結果は一致していない。

<方法>
研究者たちは65歳以上の人の対象者にカルシウム併用と非併用のビタミンD補給者(毎日、週1回、4カ月毎)とプラセボ、カルシウム単独投与を行った11の二重盲検RCT試験のデータをプールした。
プライマリエンドポイントは年齢層、性別、住居タイプ、試験で補正したCox回帰分析を行い、大腿骨頸部や非椎体骨折の発生率とした。主要目的は,すべての試験の治療群のビタミン D の実際の摂取量(各被験者の治療遵守と,試験プロトコール外でのサプリメント使用を含む)の四分位群のデータを,対照群と比較すること。

<結果>
31022人の人(平均年齢76歳、91%が女性)のうち1111人が大腿骨頸部骨折を発症し、3770人が非椎体骨折を発症した。無作為に割り付けられたビタミンD投与群の参加者と、コントロール群に割り付けられた参加者との比較では有意差はなかった(ハザード比 0.90,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.01)が大腿骨頸部骨折の発症のリスクが10%低下し、非椎体骨折のリスクは7%の減少を認めた(ハザード比 0.93,95% CI 0.87~0.99)。実際の摂取量の四分位群では,骨折リスクの低下は摂取量が最大の群(中央値 800 IU/日,範囲 792~2,000)にのみ認められ,大腿骨近位部骨折リスクは 30%低く(ハザード比 0.70,95% CI 0.58~0.86),あらゆる非椎体骨折リスクは 14%低かった(ハザード比 0.86,95% CI 0.76~0.96)。ビタミン D 摂取量が最大の群における有益性は,年齢層,住居タイプ,ベースラインの 25-ヒドロキシビタミン D 値,カルシウムの追加摂取で規定したサブグループ間でほぼ一貫していた。

<結論>
高容量のビタミンD補給(800IU/日)は65歳以上の人において大腿骨頸部骨折や非椎体骨折の予防にいくらか有用である。

【開催日】
2012年8月1日